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最小編成で完璧なフォーマット J.A.Mインタビュー

最小編成で完璧なフォーマット J.A.Mインタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
2012/09/24

J.A.Mが自然体で生み出す、日本人らしいジャズとは?

―これまでの作品を振り返った上で、新作の話も聞かせていただければと思うのですが、まず1枚目の『Just A Maestro』は、今振り返るとどんな作品でしたか?

丈青:1枚目はホント等身大っていうか、一言で言うと、「みんなこっちにおいでよ」みたいな。初めて出すタイミングだったので、そういう趣のアルバムではあると思います。

―それはつまり、間口の広い作品ということでしょうか?

丈青:そうです。さっきも言ったように、ピアノトリオはあまりメジャーな編成ではないと思うので、「こういう形でもこれだけいろんなことができるよ」ということを伝えるための初作でした。そこから今回の3枚目のアルバムに向けて少しずつ、自分たちの中にあるコアな部分に近づけていってる感じかな。

―2枚目の『Just Another Mind』はその途中段階?

丈青:2枚目の時期は、今思うと三人の音楽性が少し偏ってたかなって思います。ジャズヒップホップ寄りだったというか。

―一般的なジャズだけではなくて、幅広い音楽性を取り入れていくというのは基本スタンスとしてあったわけですよね?

丈青:特にジャンルで音楽を捉えてはいないので、ジャズに他のジャンルを持ち込んでくる、という意識ではないんです。たとえば僕は子供の頃からStingが好きだったんですけど、そのバックですごくいいジャズミュージシャンが演奏しているなんて全く知らなかった。単純に、それがいい音楽なら何でも好きっていう感じなんです。ただ、今回のアルバムでジェームズ・ウィリアムズのカバーをしてて、その曲の入ったアルバムってアートとして完成された素晴らしいアルバムだと思うんですけど、廃盤になっちゃってるんですね。そういうものが廃れていっちゃう、誰も知らなくってしまうのはよくないという想いはあって、そういう意味ではもちろんジャズの魅力を伝えていきたいとは考えていますね。

J.A.M

―言うまでもなくジャズは好きだけど、基本的にジャンルで音楽は捉えていないと。

丈青:ハービー・ハンコックとミシェル・ンデゲオチェロ(黒人女性シンガーで、卓越したベーシストでもある)が一緒にやってる音源とかが好きで、それってジャンルで分ければ違う人がやってますけど、そういうことがやりたいってずっと思っているんです。すごく手練れのジャズマンと、違うジャンルの人がセンスのいいセッションをしてレコーディングされたものが、一番しっくり来たというか。センスがいいものの中にスキルがくるまれているような、そういうイメージが素敵だなって思いますね。

―その感覚は、秋田さんやみどりんさんも共有してる感覚ですか?

秋田:ジャズは好きですけど、ジャズって言っても年代によって全然違うし、いろんなものを混ぜてるとは特に思ってないんです。単に僕たちが自然にやったらそういうものになるのかもしれないですね。

みどりん:自分も便宜上ロックだとか細かいジャンルの名前を出したりはしますけど。やっぱり二人と一緒で、別に「それだから」聴いてるわけではないですね。

J.A.M

―今のこの時代に、この三人が作ったら、自然とこうなるっていうことなんですね。

丈青:そう、ジャズをやるにも僕らは黒人じゃないし、もちろんリスペクトはあるけど、黒人のプレイヤーと同じように自分達の先達をリスペクトしてるわけではないから。人種も違うし、差別のこともあるしね……。

―あくまで、日本人が作る音楽だと。

丈青:それはあると思います。整理をするのが得意とか、そういう日本人としての個性はあると思いますね。それって自分たちが俯瞰して見るのは難しいですけど、おそらく外から見ればすごい明確にあると思うんです。

秋田:日本人にどういう特徴があるかっていうと、例えば機械を作るにしても、いろんな国の技術を上手い具合に取り入れて、新しい、いいものを作ったりしますよね。それがJ.A.Mの作るジャズの音なのかなって。日本人だから日本人らしくやろうっていう意識はないですし、いい意味で考え過ぎず、自然に出てきた音だとは思うんですけどね。

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リリース情報

J.A.M<br>
『Jazz Acoustic Machine』(CD)
J.A.M
『Jazz Acoustic Machine』(CD)

2012年9月19日発売
価格:2,500円(税込)
VICL-63916

1. JAZZ ACOUSTIC MACHINE(Opening)
2. MINMIN
3. MINMIN(Reprise)
4. REAL
5. BLUE IN GREEN
6. QUIET WAVE
7. HE KNOWS feat. Terumasa Hino
8. GAD(Interlude)
9. ALIOSO
10. BACK FROM DARK SIDE
11. LIQUID STREET
12. BACKRUSH(Interlude)
13. JUSTICE

プロフィール

J.A.M

SOIL&"PIMP"SESSIONS(以下SOIL)のピアノの丈青、ベースの秋田ゴールドマン、ドラムのみどりんの3人によるピアノ・トリオ。都内のジャズ・クラブなどで神出鬼没的に出演、’07年&'08年とFUJI ROCK FESTIVALのField of Heavenに連続出演するなど、SOILと並行して活動中。ノン・ストップで繰り出されるビートの洪水の中を、鍵盤の旋律がめくるめく変化、フィジカルなパワーとトルクの上に、斬新な閃きの連続とダンス・ミュージックとしての高揚感が満ち溢れたパフォーマンスは、ジャズの捉え方に一石を投じる。'08年発売の1stアルバム『Just A Maestro』がロングセラーを記録。続く'10年には2ndアルバム『Just Another Mind』をリリースし、Billboard Japan Music Award 2010で"優秀ジャズアーティスト賞"を受賞。そして'12年3rdアルバムとなる『Jazz Acoustic Machine』を発表した。

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