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最小編成で完璧なフォーマット J.A.Mインタビュー

最小編成で完璧なフォーマット J.A.Mインタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
2012/09/24

人間がそこの場所に立って、どういう風に感じて、どんな音を出すか。決まり切っていない、有機的な音楽。

―途中までの話の流れで言うと、新作はこれまで以上に自分たちのコアに近づいた作品ということになりますよね。

丈青:これ(アー写)も少し顔が……今までよりちょっと見えてるっていう……これは説明しない方がいいのかも(笑)。

J.A.M

―これ以上触れないでおきます(笑)。

丈青:アートって、説明できないものだと思うんですよね。なんかいい、なんか見ちゃう、なんか聴いちゃう、そこに秘密みたいなエッセンスを残しておかないと、有機的にならないんですよ。「これを計画通りガッチリやろう」って作った曲でも、もちろんいいものはできますけど、「これをやっておけばいい」っていうプレイだと、たとえクオリティーは高くても、繰り返し聴きたい作品になるかっていうと、そうじゃないと思うので。

秋田:レコーディングの仕方の話ですけど、全員が「この曲がどうなるか」っていうのをわからないで録ってる曲もあるんです。ひとつのモチーフだけあって、そのモチーフから有機的にできた曲とか。

丈青:毎回そういう曲が1〜2曲まぎれてますね。

―ちなみに、今回だと……あ、それは秘密の方がいいですかね。

丈青:そうですね、僕が今ここで言わなければ、わからないと思うので……言わないです(笑)。

秋田:レコーディングのときに丈青が言っててすごく覚えてるのが、「今日はこの曲をやるっていう風に決めたくない」っていうことで、そういう意味でも、有機的に始めたいんだろうなって。

丈青:子供の頃から「あれをやりなさい」って言われたことが全くできなかったんです。今はもう大人になりましたけど(笑)。

秋田:でも、それはすごいいいことっていうか、例えばライブでも、ショーとして「これをやらなければ」っていうのも悪いとは言わないけど、そのとき人間がそこの場所に立って、どういう風に感じて、どんな音を出すか、嫌だったら帰るでもいいしっていう、そういう状態の音楽って、生き生きしてていいんじゃないかと思うんです。

丈青:帰るって、ステージから降りるってこと?(笑)

秋田:それは言い過ぎですけど(笑)、でもそれぐらいの気持ちでできるっていうのは、J.A.Mのいいところじゃないかなって。より人間的というか、動物的というか……今回のアルバムで言うと、日野さんは完全に動物的だったよね(笑)。

―(笑)。実際、日野さんとのレコーディングはいかがでした?

みどりん:むちゃくちゃ緊張しましたね。トランペットの音なんだけど、出してくる音に対してこっちの役割が明確に変わるっていうか、「これは何の音だろう?」っていうときもあれば、リードのメロディーを取ってるときもあるし、演奏がアブストラクトな方向に行くのも、日野さんの一発の音からだったりするんです。

―その凄さを肌で感じたわけですね。

みどりん:それで演奏が終わった後に「めっちゃ緊張しました」って話をしたら、「人間なんてそもそもダメなんだから、心はニュートラルにしておきなさい」って言われて。しかも、自分が音を出してるんじゃなくて、たとえば、ご先祖様とか、神様とかが、自分を通して音を出してるんだって。

丈青:すごい優しい言葉だよね。自分もそうだから、大丈夫だよってことだもんね。

みどりん:演奏が終わった後だったんだけどね(笑)。

秋田:そのニュートラルって話に通じると思うんですけど、僕は最近なるべくフラットな状態でステージに立つようにしてるんです。丈青がいつも同じように始めることって絶対にないんで、最初に決めてかかっちゃうと、その瞬間に崩れちゃうんですよ。だから、なるべくフラットにして、いつもと同じイントロでも、そうじゃなくても、丈青がどんなテンションでも(笑)、とにかくフラットにしておいて、その日一日が楽しく終われるようにって思ってるんです。

―音源にしろ、ライブにしろ、より密に、より有機的になってきているんですね。

丈青:より密にっていうのは、確かにそういう風に感じるかも。やっぱり、進化してないとね。

秋田:今はまだ進化の過程かもしれないし、またこれからどういう風に変わるかわからないけど、今自分たちができる最高の作品は作れたと思います。

―これからまた進化して、よりコアに近づいて、アー写の顔ももっと見えるようになるかもしれませんね。

秋田:また隠れていくかもしれないですけどね(笑)。

丈青:一人だけ見えなくなってたりね(笑)。

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リリース情報

J.A.M<br>
『Jazz Acoustic Machine』(CD)
J.A.M
『Jazz Acoustic Machine』(CD)

2012年9月19日発売
価格:2,500円(税込)
VICL-63916

1. JAZZ ACOUSTIC MACHINE(Opening)
2. MINMIN
3. MINMIN(Reprise)
4. REAL
5. BLUE IN GREEN
6. QUIET WAVE
7. HE KNOWS feat. Terumasa Hino
8. GAD(Interlude)
9. ALIOSO
10. BACK FROM DARK SIDE
11. LIQUID STREET
12. BACKRUSH(Interlude)
13. JUSTICE

プロフィール

J.A.M

SOIL&"PIMP"SESSIONS(以下SOIL)のピアノの丈青、ベースの秋田ゴールドマン、ドラムのみどりんの3人によるピアノ・トリオ。都内のジャズ・クラブなどで神出鬼没的に出演、’07年&'08年とFUJI ROCK FESTIVALのField of Heavenに連続出演するなど、SOILと並行して活動中。ノン・ストップで繰り出されるビートの洪水の中を、鍵盤の旋律がめくるめく変化、フィジカルなパワーとトルクの上に、斬新な閃きの連続とダンス・ミュージックとしての高揚感が満ち溢れたパフォーマンスは、ジャズの捉え方に一石を投じる。'08年発売の1stアルバム『Just A Maestro』がロングセラーを記録。続く'10年には2ndアルバム『Just Another Mind』をリリースし、Billboard Japan Music Award 2010で"優秀ジャズアーティスト賞"を受賞。そして'12年3rdアルバムとなる『Jazz Acoustic Machine』を発表した。

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