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録音に捧げる情熱とロマン 空気公団インタビュー

録音に捧げる情熱とロマン 空気公団インタビュー

インタビュー・テキスト
渡辺裕也
撮影:西田香織
2012/11/16

前作『春愁秋思』からおよそ1年半ぶりに空気公団が放つ新作『夜はそのまなざしの先に流れる』は、彼らの創作意欲とイマジネーションがまたしても見事に花開いた意欲作だ。今年7月に日本橋公会堂で開催された公開レコーディングライブ。ステージ上では、今野裕一郎率いる演劇ユニット「バストリオ」が、空気公団の新曲をパフォーマンスで可視化。バストリオのパフォーマンスと、ひっそりと見守るオーディエンスからの反応に感化されながら演奏した音を録音し、その素材をもとに構築されたという本作からは、いわゆるスタジオ盤ともライブ盤とも異なる熱気が感じられるはずだ。今年で結成から15年目を迎えても、この3人の録音に掲げる情熱とロマンは冷めるどころか、ここにきてまた新たなフェーズに進んだようにも思える。そこで今回は新作を中心に、空気公団における「録音芸術」とはどんなものなのかを紐解いてみた。

ステージ上で曲と関連したパフォーマンスが繰り広げられて、それを僕らが観ながら演奏したものをレコーディングしてみたらどうだろうという話になって。(窪田)

―オーディエンスの前でアルバムのレコーディングをするという今作『夜はそのまなざしの先に流れる』の特殊な制作方法は、デモ制作が行われなかったという前作『春愁秋思』の延長で生まれた発想なのかなと思ったんですが、実際はどうだったんですか。

戸川:前作のレコーディングはリハーサルだけをやって、あとは「せーの」でいきなり本番を録音するというやり方で臨んだんです。すごく新鮮な試みだったし、それで自分達としても納得のいくものができて。

山崎:空気公団にとって録音というのはすごく特別なことで、他とは重きが少し違うんですよね。だからこそ、いろんな録音方法に挑戦していきたいという気持ちがまずあって。おっしゃられたとおり、前作はデモテープを作らず、みんながどんな音を出すのかまったくわからない状態でスタジオに入ったんですけど、もちろんその軸となる曲と詞、イメージはあるんです。つまり、私がみんなに「こんな感じだよ」と説明をしてから音を出す。でも、今度はそういうやり方とはまた別の方法でやってみたくなって。

戸川:前作を作ったことで、山崎さんはある程度の到達感があったと話していて。だったら、次は録音方法も含めてまた新しいやり方で作品を作ろうと思ったんです。そこである日、ステージ上でライブをしながらレコーディングしたものを、スタジオ盤として発表するのはどうだろうというアイデアを窪田さんが出してくれて。

窪田:実はその時点でライブのために会場を借りていたんですよ。そこで、いま戸川くんが話してくれたような僕のアイデアと、借りていた会場をうまくドッキングしてみたんです。もちろんライブ録音自体はこれまでに経験しているんですけど、さらにそのステージ上で曲と関連したパフォーマンスが繰り広げられて、それを僕らが観ながら演奏したものをレコーディングしてみたらどうだろうという話になって。

左から:山崎ゆかり、戸川由幸、窪田渡
左から:山崎ゆかり、戸川由幸、窪田渡

―その、作曲面での達成感とは、具体的にどういうものだったのでしょう。前作を作ったことで、やりたいことがある程度できたということ?

山崎:もちろん前作ですべてが達成できたという意味ではないですよ。ただ、ちょっとこれまでとは方法を変えてみたかったんです。でも、それが何故だったのかはもうわかりません(笑)。いつもこういうインタビューを受けるときに思うんですよ。「アルバムを作っている最中が一番ちゃんと話せるのに」って(笑)。

―レコーディングにまつわる一連の作業をドキュメンタリーにできたら、一番面白いかもしれませんね。ましてや今回の制作は様々な工程を経ているわけですから。

山崎:そのドキュメンタリーっていう言葉は今回の作品にぴったりかもしれないですね。まず曲ができて、その曲をどうするかみんなで話し合ったら、ライブ録音がある。そこで録ったものを、いわゆるライブ盤とは違う仕上がりでアルバムに収めるにはどうすればいいか。今回はそういう思考過程を経て完成した作品だから。

―しかも、今回はそのライブ中にパフォーマンスや、様々な演出も施されていたわけで。

戸川:最初はステージ上をお客さんに公開して、その状態で録音をしようという話だったんです。でも、ただ黙々とレコーディングに集中しているメンバーがステージ上にいるだけなのもどうかと思って(笑)。

―それはそれで面白いと思いますけどね(笑)。

戸川:レコーディングと同時進行で、新曲の世界観も表現できたらいいなと思って。

山崎:音楽を聴いていると、歌詞に登場する人を想像したり、飛び込んできた言葉が自分とリンクしたりするじゃないですか。たとえば私達が表現した“天空橋”がどういう形をしているのかを、一度は見てもらいたいなと思ったんですよね。そこでどうやったら作品を立体的に見せられるのかを考えてみたら、ステージ上でのパフォーマンスというアイデアに辿り着いたんです。

―まずは自分達がイメージしたものに近い像を見せておこうということですね。

山崎:だけど、それも100%ではないんですよ。私が作った元の曲と、みんなで音を出して形になった曲って、最初の私の想像とはかけ離れたものだけど、それはぜんぜんOKなんです。パフォーマンスに関しても、曲とタイトルだけでイメージしたものを立体的に見せてほしい。あと、ステージ上のパフォーマーには、見ているお客さんが「あれは自分なんじゃないか」と思わせる感じでいてほしいとだけ伝えました。あとは好きにやってほしかったので、まったく指示をしていないんです。

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リリース情報

空気公団<br>
『夜はそのまなざしの先に流れる』(CD)
空気公団
『夜はそのまなざしの先に流れる』(CD)

2012年11月21日発売
価格:3,000円(税込)
DDCZ-1840

1. 天空橋に
2. きれいだ
3. 暗闇に鬼はいない
4. 街路樹と風
5. つむじ風のふくろう
6. 元気ですさよなら
7. にじんで
8. 夜と明日のレコード
9. あなたはわたし
10. これきりのいま

イベント情報

『11・21空気公団ニューアルバム発売日記念LIVE』Ustreamライブ生中継

2012年11月21日(水)
会場:東京都 西麻布 新世界
出演:空気公団
ゲスト:
tico moon
山口とも
※Ustream中継は21:00〜22:00を予定

CINRA.STOREで取扱中の商品

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価格:3,675円(税込)
知る人ぞ知る!? グリンピースくん

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プロフィール

空気公団

1997年結成。現在は山崎、戸川、窪田の3人で活動中。ささやかな日常語、アレンジを細やかにおりこんだ演奏、それらを重ねあわせた音源製作を中心に据えながらも、映像を大胆に取り入れたライヴや、様々な芸術家とのコラボレーションを軸にした展覧会等、枠にとらわれない活動を独自の方法論で続けている。

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