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椎名桔平が若者に告ぐ 「3年で諦めるのはまだ早い」

椎名桔平が若者に告ぐ 「3年で諦めるのはまだ早い」

インタビュー・テキスト
CINRA編集部
撮影:田中由起子
2013/04/04

当時はあまり人と会いたくなかった。

―椎名さんにとって、ターニングポイントとなった出演作品は何だったのでしょうか?

椎名:石井隆監督の映画『ヌードの夜』(1993)が俳優としての起点になっていて、その後に『金融腐蝕列島 呪縛』、最近では北野武監督の『アウトレイジ』。この3つの作品が、その後の俳優人生を見つめる機会になっています。特に『ヌードの夜』は無名に近い存在だった僕が、映画関係者に認識してもらえるようになった作品で、竹中直人さん、余貴美子さん、根津甚八さんともがっぷり組んでやらせてもらえました。初めての大きなチャンスだったので、「これで上手くいかなければ、この先の俳優人生は期待できないぞ」というような、伸るか反るか? の気持ちでしたね。

―『ヌードの夜』は28歳の頃に巡ってきたチャンスですが、30代に近付けば近付くほど、夢をとるか現実をとるかの分岐点に差し掛かりませんでしたか?

椎名:そうですね。やはり20代後半のときは焦りがありました。就職している友人たちは仕事にも慣れて、部下もできている頃じゃないですか? そんな姿を見てしまうと、自分は一体何をしているんだろう? と考えてしまうこともありました。だから当時はあまり人と会いたくなかったですね。

―そういった状況の中でも「役者になる」という夢を諦めなかったのは、どこかに自信のようなものがあったからでしょうか?

椎名:役者というのは不思議なもので、才能の有無の判断が難しい職業だと思うんです。顔が整っていなくても素晴らしい俳優になる人もいるし、声が悪くてもそれが個性として活きる人もいる。一概には良し悪しの判断基準が明確なわけでもない。

―確かにそうですね。

椎名桔平

椎名:それに若手時代に芝居の仕事をいただいたとしても、短時間の出演で終わってしまう場合が多く、演じる時間が少ない。役柄を掘り下げたり、キャラクターを演じ分けたりすることが物理的に難しいんですよね。役柄をきちんと演じさせてもらって初めて、自分自身が役者に向いているのか否かを理解することができると思っていたんです。だから、いつかそんな機会を与えてくれる人が現われるのだろうと信じながら、今年がダメなら来年、それでもダメなら再来年と考えながら過ごしていました。でも月日はどんどん流れていき……(笑)。そんな中で、自分自身に10年という期限を与えることにしたんです。

―10年という期限にはどんなルールを設けていたのでしょう?

椎名:21歳から俳優を始めたので、とりあえず31歳までは余計なことを考えず、必要以上に焦らず、人と自分を比べず、生活に必要なお金が稼げないとかも考えないことに決めたんです。

―とにかく、10年間を一所懸命に頑張ろうという心境だったんですね。

椎名:28歳で『ヌードの夜』が公開されてから、ちょこちょこと役者の仕事が来るようになって、29歳でアルバイトを辞めました。ちょうど10年目となる31歳のときに、トレンディードラマの名残が残っていた頃の月9ドラマ『いつかまた逢える』に出演することができたんです。ラッキーだと思ったし、なにより間に合ったという気持ちが強かったですね(笑)。

―ちなみに、下積み時代はどんなアルバイトしていたのでしょうか?

椎名:当時は人と会いたくないという気持ちが強かったので、トラック運転手のアルバイトが多かったですね。それに、客商売のアルバイトをしない方がいいという考えを持っていました。

―それはなぜでしょう?

椎名:客商売はお客さんが第一で、自分の感情よりもお客さんに合わせてサービスを提供するもの。もちろん俳優の仕事も最終的にはお客さんに見てもらうのですが、客商売では自分の考えや感情を他人に合わせないといけないですよね。それは役者を目指す上で、良い作用を与えるとは思えなかったんです。

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作品情報

『RETURN』

監督・脚本:原田眞人
主題歌:m-flo“CHANCE”
出演:
椎名桔平
水川あさみ
山本裕典
キムラ緑子
山路和弘
田中泯
高島政宏
土屋アンナ

製品情報

『UULA』

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プロフィール

椎名桔平

1964年7月14日、三重県出身。石井隆監督による1993年の映画『ヌードの夜』で注目を集め、『夜がまた来る』『GONIN』『黒の天使 Vol.1』など石井監督作品に続けて出演。原田眞人監督の映画『金融腐食列島 呪縛』では、日本映画アカデミー賞助演男優賞など、数多くの賞を受賞し、実力派俳優としての地位を確立する。テレビドラマ「Age35、恋しくて」「スウィートシーズン」「アンティーク〜西洋骨董洋菓子店〜」「警官の血」「銭ゲバ」などに出演、舞台俳優としても活躍中。フジテレビ系ドラマ「謎解きはディナーのあとで」ではコミカルな演技で新境地を開拓し、2013年8月3日には劇場版が公開される。

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