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至高とは何か? no.9 城隆之×IFNi Coffee 松葉正和対談

至高とは何か? no.9 城隆之×IFNi Coffee 松葉正和対談

インタビュー・テキスト
塚田有那
撮影:野村由芽
2013/07/04

365日音楽を作り続け、音と共に暮らす日々を送る音楽家のno.9こと城隆之。彼の名を一躍世に知らしめたアルバム『good morning』『usual revolution and nine』を発表して以来、長く日本のエレクトロニカシーンの第一線で活躍してきた重要人物だ。そんな彼が約3年半の長き沈黙を破り、ニューアルバム『The History of the Day』をこの度リリース。本作に至るまで長らく真の作品を生み出せなかったと語る城が、日々の営みから見出した新たな境地がここに示された。

一方、アルバムリリースを記念した本記事にて彼が対談相手へと指名したのは、静岡でひとり珈琲ロースターを営む「IFNi Coffee」の松葉正和。城が強く感銘を受け、生み出す音楽にも少なからず影響を受けたと語る「IFNi Coffee」の松葉は、中東やヨーロッパを中心とする各国に長く滞在した豊富な経験と知識から、「世界基準」の珈琲を日々追求している。no.9のスタジオで、松葉が淹れる珈琲を飲みながら交わされた本対談。同世代でもあるふたりのやり取りから見えてきた、彼らがストイックに追求する至高の1曲、至高の1杯とは?

音楽も珈琲も、世界中の誰もが楽しめる日常のものですよね。(松葉)

―互いのもの作りの姿勢に尊敬し合っているというおふたりですが、出会いのきっかけは?

:まず僕は珈琲が大好きで、毎朝好きな豆を挽き、おいしい珈琲を飲んでから音楽を作り始めるのが日課なんです。それを周りの友人もよく知っていて、たまたま近所でやっていたイベントに「なんか美味しい珈琲を淹れる人がいるよ」と言われて行ってみたら松葉さんがいて、瞬時にただ者ではないオーラを感じて(笑)、すぐに話しかけたのがきっかけ。なにしろ、いきなり見たこともない珈琲の淹れ方を目の当たりにしましたからね。ご自分で器具を研究されてる人を見たのは初めてでした。

松葉:あのときはイベントの主旨もよくわからずに珈琲を出していたんですけど、城さんと出会えたいい機会でしたね。

:それから、たまたま僕が友人たちとやっているコミュニティ「fairground」で珈琲のワークショップを開催することになり、松葉さんをお呼びしたんです。そこで、珈琲はもちろんですけど、松葉さんのものを生み出す姿勢そのものに深く共感したんです。

no.9 / 城隆之
no.9 / 城隆之

―おふたりの共通点は、音楽と珈琲という全く違うジャンルではあるけれど、常に「至高のもの」を目指す姿勢にある、と。

:「至高を目指す」って、もちろん音楽家としては当然のことなんだけど、それって他者と比べてどうかってものではなくて、あくまでも自分の中で、常にベストを探っているんです。ただ、音楽って人に聴いてもらって初めて魂が宿るものだとも思うから、そのバランスといつも戦っています。それこそ、珈琲も世界中の人が飲んでいて、どこにでもあるものですよね。「おいしい珈琲」なんて、最近ではコンビニの商品にも書いてあるぐらいで。

松葉:それぐらい珈琲に対する価値観が浸透してきてるってことなんでしょうけどね。ただ、日本って色んな情報が入ってくる国だから、アメリカのスタイルとか、エスプレッソの文化とか、今「おいしい」と感じる味自体が輸入されてきたものだと思うんです。一方、世界地図を見てみれば、世界はもっと広いことがわかる。 僕はもうかれこれ20年ほど、ヨーロッパや中東の世界各国で焙煎修行をしながら、世界各国で珈琲が飲まれている中、「世界基準」の味って何だろうといつも考えるんです。

松葉正和
松葉正和

―世界中にさまざまな味覚があるわけですから、すごく難しいテーマですよね。珈琲を飲むスタイルや文化もさまざまでしょうし。

松葉:インスタントコーヒーがシカゴで発明されたのが19世紀末、ちなみにそれは日本人の研究者が開発したものだったりするんですが、それまではどこの家庭でも生の豆を買って、各家庭で焙煎していたんですよね。つまり珈琲って、ステータスでも何でもなくて、人々の日常に根ざしたものだったんです。

音楽も、世界中の誰もが楽しめる日常のものですよね。それ自体がコミュニケーションのツールになるし、自分にとって心地いい音楽を見つけたときって、ちょっぴり自信になるじゃないですか? その音楽は「自分を好きになるためのツール」にもなると思うんです。そういう意味では、音楽も、珈琲も、ファッションも、すべて同じことですよね。

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イベント情報

『no.9 orchestra ワンマンライブ puddle/social 9周年記念パーティー』

2013年7月6日(土)
会場:石川県 金沢 puddle/social
出演:no.9 orchestra
映像:michi

『no.9 NEW Album 「The History of the Day」 Release Party 2013』

2013年8月11日(日)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 代官山 UNIT
出演:
no.9 orchestra Special Set(feat.paniyolo、青葉聡希[number0]、chiyo[köttur]and Special Guest)
[.que] (オープニングアクト)
VJ:Kaoru Nishigaki
料金:前売3,000円 当日3,500円

リリース情報

no.9<br>
『The History of the Day』(CD)
no.9
『The History of the Day』(CD)

2013年7月4日発売
価格:2,100円(税込)
LNR-018

1. inside outside / feat. Tomoya Ito
2. The History of the Day
3. whisper of rain / feat. paniyolo(SCHOLE)
4. there / feat. haruka nakamura
5. small promise
6. fairground spring #02
7. balance
8. flat point
9. before the wind / feat. chiyo(köttur)
10. a picture on the wall / feat. 青葉聡希(number0)
11. source of harmonics
12. imagine fun
13. remember
14. softly song to you
15. Hello / feat. Tomoya Ito

プロフィール

no.9 / 城隆之(なんばーないん / じょう たかゆき)

「音と共に暮らす」をテーマに、日々の暮らしに寄り添う豊かでメロディアスな楽曲を生み出す作曲家・城隆之のソロプロジェクト。2007年より始動したバンドセット[no.9 orchestra]では、no.9の音楽にギターやドラム、ヴァイオリンやピアノといった フィジカルな音楽性が加味され、フルオーケストラを想起させる壮大なライブパフォーマンスを披露。ライブ会場を包む 圧倒的な存在感で、多くのファンを魅了し続けている。

IFNi Coffee / 松葉正和(いふにこーひー / まつば まさかず)

2001年より静岡市街でコーヒーショップを営む焙煎家。店名の「IFNi」とは、過去に実在した国名(現在のモロッコ)であり、温暖で過ごしやすい豊かな地域に由来する。良質で新鮮な生豆を厳選し、その日のコンディションに合わせて完全焙煎したIFNiの珈琲は、多くの珈琲ファンを魅了している。最近では「Today’s Special」などでも取り扱いがスタート。

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