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殴り合いからのアウトドアツアー contact Gonzoインタビュー

殴り合いからのアウトドアツアー contact Gonzoインタビュー

インタビュー・テキスト
萩原雄太
2013/08/19

まるで、男たちの取っ組み合いの現場に立ち会ってしまったかのようなcontact Gonzoのパフォーマンス。2006年に活動を開始し、ダンス / アートの境界を越境しながら日本を代表するパフォーマンスとして、現在では国内外で多数の公演が行われている。

彼らが8月、山口情報芸術センター[YCAM]の企画で行う作品が『hey you, ask the animals. /テリトリー、気配、そして動作についての考察』という作品。通常の公演の形態とは異なり、観客が山の中に分け入り、斜面を滑り降りたり、かくれんぼやバーベキューパーティーを行うという参加型のツアーパフォーマンスだ。都市での殴り合いから森の中の暮らしへと進化(?)を遂げるcontact Gonzo。その視線の先には、いったい何が見えているのか? 山口で準備を行うメンバーの塚原悠也、松見拓也に話を聞いた。

違う街に行くことは、自分たちにとっても新鮮な体験です。そういった経験が、新しいアイデアのソースになっている部分もあります。(塚原)

―CINRA.NETの単独インタビューとしては3年ぶりになるのですが、この3年間の間にcontact Gonzoは、作品内容も活動範囲もさまざまな面で進化を遂げているように感じます。特に、近年は海外での公演をさらに活発に行なっていますね。この中で変化したことや、得られたものはありますか?

塚原:僕らのパフォーマンスの内容は、国内でも海外でもあまり変わりません。海外に持って行くと、文化的な背景や文脈が異なるので、それを乗り越える必要はあるのですが、基本的なことは一緒です。どちらかといえば、違う文化に触れ、地元の料理をいろいろ食べたり、各国のアーティストの作品を見たり、若いキュレーターの人と知り合いながら、世界中では今どんなことが進んでいるのか? ということをより早く知れる。そういった体験による経験値が、自分たちを広げてくれているのを実感しますね。

―公演そのものというよりも、その周辺から得られる経験値からの影響のほうが大きい。

塚原:そうですね。違う街に行くことは、自分たちにとっても新鮮な体験です。そういった経験が、新しいアイデアのソースになっている部分もあります。

左:塚原悠也、右:松見拓也
左:塚原悠也、右:松見拓也

―特に今年はニューヨーク近代美術館(MoMA)から招聘され、公演を行いましたよね。MoMAからは、どのような経緯で依頼があったのでしょうか?

塚原:初めは、森美術館『六本木クロッシング2010展』(2010年)での展示を、MoMAのキュレーターが見に来てくれていたんです。日本のコンテンポラリーアートをリサーチしていて、僕らをピックアップしてくれたんです。そのときは大阪の事務所まで来てくれて、いろいろと話しました。僕らの作品は、ニューヨークで発達した「ハプニング」と呼ばれる美術のムーブメントや、ポストモダンダンスといった文脈に影響を受けていて、コンタクト・インプロビゼーション(2人以上で動く即興パフォーマンス)という方法もニューヨークで始まったものなんです。そういった歴史があるので、ニューヨークで公演を行ったらどういう反応があるのか知りたいということと、その歴史に無理矢理自分たちを接続したらどう見えるのかを見てみたいと思い、いいスペースがないか尋ねてみたところ、「じゃあMoMAでやってみたら?」という流れになりました。

―YouTubeにアップされたMoMA公演の映像を見ると、かなりたくさんの人がじっと引き込まれるようにパフォーマンスを見ていましたね。

塚原:4回の公演で合計600人以上のお客さんに見てもらうことができました。イベントにもよりますが、日本で上演するよりもかなり人数的には多いです。場所もMoMAのエントランスだったので、座って熱心に見ている人から、たまたま目にして「なんだこれは!」と足を止める人などまちまちでしたね。

―海外で作品の受け入れられ方はいかがでしょうか? Gonzoのパフォーマンスは、殴る、取っ組み合いをするという、世界中の誰が見てもわかるような普遍的な動きですよね。

塚原:アジアやヨーロッパでは、日本とそこまでの違いを大きくは感じないですが、アメリカでは、初めて受け入れられ方の違いを一部のお客さんに感じました。暴力に対するアレルギーのようなものを感じたんです。昔アメリカに住んでいたことがあるんですが、おそらく宗教や教育上の理由から、人が人を殴るということに対する拒否感があるのでしょう。人間と動物をはっきりと分けて考えているというか。そういう人がMoMAまで芸術を鑑賞しに来たら、人がボコボコと殴り合っていた。悪い意味で非人間的なものを感じて、あまり「認めたくない」という気持ちになったのではないかと思います。まぁ、一部の方だけですが。

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イベント情報

『hey you, ask the animals. /テリトリー、気配、そして動作についての考察』

2013年8月24日(土)〜8月26日(月)各日15:30〜
会場:山口県 山口情報芸術センター、元・山口県21世紀の森
※YCAM1階チケットインフォメーション前集合
出演:contact Gonzo
料金:3,000円(各回25名、要予約申込、先着順)
対象年齢:中学生以上
※15歳未満の方は保護者同伴でご参加ください

『国際グループ展 art and collective intelligence』

2013年7月6日(土)〜9月29日(日)
会場:山口県 山口情報芸術センター(YCAMスタジオB、YCAM2階ギャラリー)、道場門前大駐車場屋上特設スペース
時間:火曜除く10:00〜19:00
出展作家:
タレク・アトウィ
コンタクト・ゴンゾ
ハックデザイン+リサーチ
平川紀道
ダフィット・リンク
ムン・キョンウォン
料金:無料

同時開催
『YCAM爆音上映会』

2013年8月23日(金)〜8月25日(日)
会場:山口県 山口情報芸術センター(YCAMスタジオA)
上映作品:
『ジャンゴ』
『ブンミおじさんの森』
『右側に気をつけろ』
『We Can't Go Home Again』
『ゾンビ』
『コンボイ』
『国道20号線』
『RAP IN TONDO 空族トークイベント』

『牧野貴×ジム・オルークライブ上映』
2013年8月23日(金)19:30〜
『Hair Stylistics(中原昌也)無声映画ライブあり』
2013年8月24日(土)13:30〜

料金:一般1,300円 any 会員・25歳以下・特別割引800円(全席自由)
※回数券3回分:一般3,000円 any 会員・25歳以下・特別割引2,100円

プロフィール

contact Gonzo(こんたくと ごんぞ)
contact Gonzoとは、殴り合ったり山の斜面を落ちたりする過程で一時的に言葉を忘れたりすることを美徳とする集団 / 方法論の名称。現メンバーは塚原悠也、三ヶ尻敬悟、金井悠、松見拓也、小林正和の5人。パフォーマンス中のインスタントカメラを使った撮影、ほぼサウンドデータのみで行為を劇場で表現した「Abstract Life《世界の仕組み / 肉体の条件》」 などメディアに対する独自の手法でも評価される。2013年セゾン文化財団セゾンフェロー助成に採択。

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