特集 PR

宴から始まったフリーダムな祝祭感 渋さ知らズインタビュー

宴から始まったフリーダムな祝祭感 渋さ知らズインタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:高見知香
2013/09/13

今年も横浜で開催される『神奈川国際芸術フェスティバル』、2013年のテーマは「音楽 – その先へ」。クラシックやバレエ、雅楽など、多彩なラインナップが並ぶ中、一際異彩を放っているのが、渋さ知らズ大オーケストラによる『天幕渋さ船〜龍轍MANDALA〜』だ。自らテントを張って開催する「天幕渋さ」の特別版である今回のステージは、至近距離でメンバーのセッションを味わえるフリージャズライブと、100人を超えるアーティストが集う祝祭的ライブという2デイズ。さらに、一般のお客さんも参加できるワークショップや、街中での練り歩きも行われるなど、渋さ知らズという唯一無二の巨大バンドを、端から端まで堪能できるプログラムとなっている。

さて、渋さ知らズといえば、よく使われるのが「祝祭感」という言葉。『FUJI ROCK FESTIVAL』を始め、さまざまなフェスティバルの常連である渋さのライブは、ステージ上に数多くのミュージシャンやパフォーマーが入り乱れ、さらには舞台美術が所狭しと飾りつけられるなど、見た目からしてまさにお祭りそのもの。では、この渋さの独創的な表現形態というのは、はたしてどのようにして生まれたのだろうか? 中心人物の不破大輔にその理由を訊いた。

「天幕渋さ」の圧縮版をロックフェスとかでやってる感じなんです。それは自分たちのお祭りというか……打ち上げを拡大したやつですね(笑)。

―今回『神奈川国際芸術フェスティバル』での2デイズでは、それぞれ「フリージャズ」「祝祭的」というコンセプトがあり、いずれも渋さ知らズの魅力を楽しめる内容になっていますね。そもそも渋さ知らズを始めるにあたって、「祝祭感」というコンセプトは考えられていたのでしょうか?

不破:いえ、全く考えてなかったです(笑)。「祭り」というよりも、どちらかと言えば、仲間みんなで集まって宴会をやりたいというコンセプトで始まったバンドだったんです。

―宴会ですか(笑)。

不破:「発見の会」というアングラ劇団の公演の際に劇伴を依頼されたことが渋さの始まりだったんですけど、役者の打ち上げっていうのはなかなか凄くて……(苦笑)。「バンドメンバーだけで落ち着いて打ち上げをやろう、でもせっかくだからもう1回ライブをやって、その延長で打ち上げをしよう!」って話だったのが、やってみたらライブも面白くなってきちゃって、今に至るっていう。

不破大輔
不破大輔

―でも、「祝祭感」は、今の渋さの代名詞の1つになってますよね。

不破:『FUJI ROCK FESTIVAL』とか、いろんなフェスで演奏させていただく機会が多いので、そういう中で「祝祭感」を求められている部分もあると思うんです。例えば、ジャズフェスの夕方くらいの時間帯だったら、フリージャズをやっててもいいはずなので、そういうときにお祭りっぽく「ギャーン!」とやる必要はないですよね。

―もちろん、不破さんのバックグラウンドにはジャズがあって、「黒人音楽をどう日本人らしく鳴らすか?」と考えたときに、祭りっぽさが出てきたのかなって考えたりもしたのですが。

不破:「日本人らしく」っていう意識もなかったです。僕は1959年生まれなんですけど、日本のフリージャズだと山下洋輔トリオの印象が大きくて、「好き勝手にやっていれば日本人らしくなる」って思ってたんですね。僕の世代は、子供の頃にラジオやテレビをつけると、歌謡曲もジャズもロックもフォークもクラシックも、いろんな音楽がかかっていて、それが自分にとっての民謡的なものになっていたと思うんです。欧米人がそんな僕らのライブを見て、「日本人らしい」と言うのですが、特別意識したことはないんですよね。

―では、不破さんが「祭り」というキーワードから連想するのは、どんなことですか?

不破:郊外の駅前広場に櫓を組んで、伝統音楽のテープを流して、みたいな感じですかね。もう少し田舎に行けば、三味線とかの生演奏もあったりすると思うんですけど、ちょっと都会になるとあっても太鼓を叩くぐらい。だから高揚感はあっても、ホントに解放してはっちゃけるような、どうにかなってしまうような祝祭感っていうのは、今の生活の中だとなかなか経験できないですよね。

―そう考えると、やはり音楽フェスが日本に定着していく中で、渋さにも「祭り」というイメージが付け加えられていったということなのかもしれないですね。

不破:『FUJI ROCK FESTIVAL』とかに呼ばれる前から、「天幕渋さ」といって、自分たちで大きなテントを張って、その中で自由にライブをやったりはしてたんですが、そこではもの凄い高揚感を感じてました。その圧縮版をフェスに呼ばれてやってる感じなんです。でも、それは自分たちのお祭りというか……やっぱり打ち上げを拡大したイメージなんですけどね(笑)。

Page 1
次へ

イベント情報

渋さ知らズ大オーケストラ
『天幕渋さ船〜龍轍(りゅうてつ)MANDALA〜「徹底版、渋さ!」』

『ジャズライブ』
2013年10月5日(土)17:00〜
会場:神奈川県 横浜 KAAT神奈川芸術劇場 ホール
ゲスト:小川美潮、玉井夕海
料金:2,500円

『祝祭的ライブ』
2013年10月6日(日)15:00〜
会場:神奈川県 横浜 KAAT神奈川芸術劇場 ホール
ゲスト:ザ・スターリン246、白崎映美(上々颱風)
ダンサー:東野祥子、八重樫玲子、安田理英、Kaeru、Mingo、AYUMI(フープ東京)、ケンジルビエン、ねねむ
料金:桟敷席3,500円 S椅子指定席4,000円 A椅子指定席3,000円 U24(24歳以下)2,000円 高校生以下1,000円

『第20回神奈川国際芸術フェスティバル』

2013年9月14日(土)〜11月30日(土)
会場:神奈川県 横浜 神奈川県民ホール、KAAT神奈川芸術劇場、神奈川県立音楽堂

『ワーグナー作曲 オペラ「ワルキューレ」全3幕(新制作/ドイツ語上演・日本語字幕付)』
2013年9月14日(土)、9月15日(日)各日14:00〜
会場:神奈川県 横浜 神奈川県民ホール・大ホール
指揮:沼尻竜典
演出・装置:ジョエル・ローウェルス
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団&日本センチュリー交響楽団による合同オーケストラ
9月14日出演:
福井敬
斉木健詞
青山貴
大村博美
横山恵子
小山由美
9月15日出演:
望月哲也
山下浩司
グリア・グリムズレイ
橋爪ゆか
エヴァ・ヨハンソン
加納悦子
料金:SS席15,000円 S席12,000円 A席9,000円 B席7,000円 学生(24歳以下)2,000円 S席ペア22,000円
※びわ湖公演は9月21日(土)、9月22日(日)に滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール・大ホールで開催

一柳慧プロデュース
『Avanti! 室内アンサンブル 冴えわたるフィンランドの響き』

2013年10月5日(土)15:00〜
会場:神奈川県 横浜 神奈川県民ホール 小ホール
料金:一般3,500円 学生(24歳以下)2,000円

『音楽堂で聴く雅楽』
2013年10月12日(土)15:00〜
会場:神奈川県 横浜 神奈川県立音楽堂
出演:
東京楽所(管絃と舞楽)
佐々木冬彦(箜篌(くご))
花:假屋崎省吾(華道家)
料金:一般4,500円 学生(24歳以下)2,000円

『東京バレエ団「ジゼル」全2幕』
2013年10月19日(土)15:00〜
会場:神奈川県 横浜 神奈川県民ホール 大ホール
出演:
上野水香
木村和夫
森川茉央
高木綾
東京バレエ団
指揮:ワレリー・オブジャニコフ
管弦楽:シアターオーケストラトーキョー
料金:S席10,000円 A席7,000円 B席5,000円 C席3,000円 学生(24歳以下)2,000円 S席ペア19,000円

『今井奈緒子 パイプオルガン・リサイタル Canon―カノン―Kanon』
2013年11月23日(土・祝)15:00〜
会場:神奈川県 横浜 神奈川県民ホール 小ホール
出演:今井奈緒子(オルガン)
料金:一般3,000円 ペア5,500円 学生(24歳以下)2,000円

『ファンタスティック・ガラコンサート2013 煌めきのオペラ&バレエ〜氷上の舞・宴』
2013年11月30日(土)15:00〜
会場:神奈川県 横浜 神奈川県民ホール 大ホール
出演:
松尾葉子(指揮)
別所哲也(司会)
砂川涼子(ソプラノ)
林美智子(メゾ・ソプラノ)
大澤一彰(テノール)
上江隼人(バリトン)
務川慧悟(ピアノ)
上野水香・高岸直樹(東京バレエ団・プリンシパル)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
料金:S席7,000円 A席5,000円 B席3,000円 学生(24歳以下)2,000円 S席ペア13,000円

『フェスティバルシンポジウム』
2013年11月開催予定

プロフィール

渋さ知らズ(しぶさしらず)

1989年9月、不破大輔を中心に初ライブを行う。フリージャズをベースにした大所帯バンドだが、オーケストラ編成だけでなく、中編成や小編成でも活動する。演奏にはジャズ、ロック、フォーク、歌謡曲など様々な要素が混在し、ジャンル分けを拒む音楽である。また、芝居の音楽伴奏が出発点の一つとなったこともあり、演劇的感覚が強い。「テント渋さ」と呼び、自らテントを建てての公演も行っている。これは渋さ知らズがバンドであると同時に、「場」であることを示しており、芸能のラディカリズムを意識したものである。国内外の大型フェスティバルで高い評価を受け、数度の長期ヨーロッパツアーを行っている。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

Yackle“ココナッツ(feat. ちゃんもも◎ from バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI & カルロスまーちゃん)”

現役高校生・Yackleの初フルアルバム収録曲“ココナッツ”のライブ映像。浮遊感あるサウンドに、ちゃんもも◎とカルロスまーちゃんが呪文を乗せたような1曲。歌詞にある「ぐにゃぐにゃに見えるプール」の中にいるような、不思議な世界観に引き込まれる。Yackle自身がヨーヨーを華麗にプレイするシーンなど、音源では味わえないパフォーマンスにも注目したい。(岡本)

  1. NUMBER GIRLがオリジナルメンバーで再結成、向井秀徳のコメントも 1

    NUMBER GIRLがオリジナルメンバーで再結成、向井秀徳のコメントも

  2. あいみょんから年下の子たち&大人へ 直感と瞬間の大切さを語る 2

    あいみょんから年下の子たち&大人へ 直感と瞬間の大切さを語る

  3. 『RISING SUN ROCK FES』第1弾でナンバガ、スカパラ、King Gnuら8組 3

    『RISING SUN ROCK FES』第1弾でナンバガ、スカパラ、King Gnuら8組

  4. Eveとは何者か? MVの総再生回数2億2千万回を誇る彼の歩みを考察 4

    Eveとは何者か? MVの総再生回数2億2千万回を誇る彼の歩みを考察

  5. 奥山由之が新たな手法で小松菜奈を撮影『SWITCH』特集 森山大道と対談も 5

    奥山由之が新たな手法で小松菜奈を撮影『SWITCH』特集 森山大道と対談も

  6. 映画『蜜蜂と遠雷』公開日が決定、参加ピアニスト発表&演奏場面の写真も 6

    映画『蜜蜂と遠雷』公開日が決定、参加ピアニスト発表&演奏場面の写真も

  7. 『君の名は。』ハリウッド版実写映画の監督はマーク・ウェブに決定 7

    『君の名は。』ハリウッド版実写映画の監督はマーク・ウェブに決定

  8. 多部未華子が猫の「にゃらん」と妄想旅 「じゃらん」新CM 8

    多部未華子が猫の「にゃらん」と妄想旅 「じゃらん」新CM

  9. 椿昇がバッサリ斬る、社会とアートの関係「京都の街に革命を」 9

    椿昇がバッサリ斬る、社会とアートの関係「京都の街に革命を」

  10. 劇団☆新感線『髑髏城の七人』6作がゲキ×シネに 第1弾は小栗旬主演の「花」 10

    劇団☆新感線『髑髏城の七人』6作がゲキ×シネに 第1弾は小栗旬主演の「花」