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宴から始まったフリーダムな祝祭感 渋さ知らズインタビュー

宴から始まったフリーダムな祝祭感 渋さ知らズインタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:高見知香
2013/09/13

「祭り」ってことでいうと、渋さ知らズは「場」ということかもしれない。

―今回の公演でも『天幕渋さ船〜龍轍MANDALA〜』というタイトルがつけられていますが、そもそも「天幕渋さ」と呼ばれるテント公演というのは、どのように始まったのですか?

不破:普通のライブハウスでの公演だと、やりたくてもできないことが多かったんです。渋さは人数も多いし、舞台美術を持って行ってもエレベーターに入らなかったり、のこぎりで切って6階とか7階まで担ぎ上げなくちゃいけなかったりとか。あとは火を吹いて天井を焦がしちゃって、関係者が本社に呼ばれて説教されたり(笑)。

―(笑)。

不破:そういう積み重ねの中で、こりゃアカンと。で、僕らの先輩にはアングラでテント芝居をやってる人が多くて、ちょうど「テントシートを5万円で買わないか?」って話があったから、「じゃあ、自分たちでテント背負って廻ってみるか」っていう。

―実際にやってみてどうでしたか?

不破:もう、火も水も使い放題だし、昼夜宴会みたいなことになっていって(笑)。そんなライブを何度か繰り返してるうちに海外フェスに呼ばれたり、その後『FUJI ROCK FESTIVAL』とかにも呼ばれるようになって、嬉しいなって(笑)。

不破大輔

―「天幕渋さ」を始めたことで、渋さ知らズの中にあった「祝祭感」が強まったと言えそうですね。渋さのメンバーにとっては「打ち上げ感」なのかもしれないですけど(笑)。

不破:「祝祭感溢れる」みたいな言われ方って、『FUJI ROCK FESTIVAL』に出演する前まではなかった気がしますね。僕自身、ロックフェスで知っていることと言えば、『ウッドストック・フェスティバル』を映画で見たくらいでしたし。あとは、よくリゾート地とかでやってる胡散臭いジャズフェスだったり(笑)。そういうのに行っても、好きなバンドだけ見て、酒をたらふく飲んで、トリを見ずに帰ってしまうとかでしたね(笑)。

―じゃあ、やっぱり「天幕渋さ」こそが、渋さにとってのフェスだったと言えるんじゃないですか?

不破:アングラ芝居をやってる人たちは、プロの役者さんというよりは、テント芝居をやるために1年間働いて、何か月間だけ役者をやるっていう感じなので、それこそ待ちに待ったカーニバルをやるような感じではありますね。

―さきほど、大掛かりな舞台美術の話もチラッと出ましたが、ああいうのも最初は仲間内の盛り上がりから生まれたものだったんですか?

不破大輔

不破:「やりたい」っていう人がいたので、「うん」って言ったら、もの凄くでかいものを持ってきて、「これですか……」みたいな(笑)。最初からイメージして「発注しよう」とかではなかったんですね。キャバレーダンサーも最初からいたんですけど、そのうち知り合いの大駱駝艦から「出させてくれ」って白塗りの人たちがやって来て、同時期に舞台美術もできてきて、そうこうしてるうちにどれも渋さに欠かせない要素になっていったんです。だから、「祭り」ってことでいうと、渋さは「場」ということかもしれない。

―なるほど。「祭り」というより「宴会」という話でしたが、確かに「祭り」だと、伝統やしきたりなど、少し固いイメージもありますけど、「宴」はもっと自由で人が自然と集まってくるような感じがありますよね。

不破:個人が集まって、それぞれ得意なことをやって、それを共有していったというかね。最初は音楽のメンバーで集まっていたつもりだったのが、そこに美術であったり、踊りだったり、さらには芝居だったり、いろんな要素が入ってこれるような「場」として機能し始めて、今のようなあり方になっていったということかもしれないですね。

―あと、舞台美術の話をもう少しお伺いすると、やっぱり渋さの象徴と言えば、あの空を舞うドラゴンだと思うんですね。今回のタイトルにも「龍轍」という言葉が入っていますし。あのドラゴンはどのように生まれたのですか?

不破:1998年にヨーロッパツアーをしたときに、何かあったらいいなと思って。それこそ、ペットじゃないですけど、スタッフに「龍がいい」って言って、エマージェンシーシートっていう、500円ぐらいで売ってる素材をテープで張り合わせてドラゴンを作ったんです。旅をするときの守り神みたいなイメージだったんですけど、そのヨーロッパ―ツアーの終盤で、会場近くの公園にヘラクレスとドラゴンが戦ってる銅像があるから、そこまで練り歩きをしようってなったときに、テグスが切れてドラゴン飛んで行っちゃって(笑)。

―(笑)。

不破:でも、そのときから毎回旅には連れていくし、フェスとかでもウケたから、ウケるともう1回やりたくなるのが芸人の習いなので(笑)。

―芸人ですか(笑)。

不破:人前でこんな恥ずかしいことやってるんですから、芸人ですよ(笑)。芸術家ではないと思いますね。

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イベント情報

渋さ知らズ大オーケストラ
『天幕渋さ船〜龍轍(りゅうてつ)MANDALA〜「徹底版、渋さ!」』

『ジャズライブ』
2013年10月5日(土)17:00〜
会場:神奈川県 横浜 KAAT神奈川芸術劇場 ホール
ゲスト:小川美潮、玉井夕海
料金:2,500円

『祝祭的ライブ』
2013年10月6日(日)15:00〜
会場:神奈川県 横浜 KAAT神奈川芸術劇場 ホール
ゲスト:ザ・スターリン246、白崎映美(上々颱風)
ダンサー:東野祥子、八重樫玲子、安田理英、Kaeru、Mingo、AYUMI(フープ東京)、ケンジルビエン、ねねむ
料金:桟敷席3,500円 S椅子指定席4,000円 A椅子指定席3,000円 U24(24歳以下)2,000円 高校生以下1,000円

『第20回神奈川国際芸術フェスティバル』

2013年9月14日(土)〜11月30日(土)
会場:神奈川県 横浜 神奈川県民ホール、KAAT神奈川芸術劇場、神奈川県立音楽堂

『ワーグナー作曲 オペラ「ワルキューレ」全3幕(新制作/ドイツ語上演・日本語字幕付)』
2013年9月14日(土)、9月15日(日)各日14:00〜
会場:神奈川県 横浜 神奈川県民ホール・大ホール
指揮:沼尻竜典
演出・装置:ジョエル・ローウェルス
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団&日本センチュリー交響楽団による合同オーケストラ
9月14日出演:
福井敬
斉木健詞
青山貴
大村博美
横山恵子
小山由美
9月15日出演:
望月哲也
山下浩司
グリア・グリムズレイ
橋爪ゆか
エヴァ・ヨハンソン
加納悦子
料金:SS席15,000円 S席12,000円 A席9,000円 B席7,000円 学生(24歳以下)2,000円 S席ペア22,000円
※びわ湖公演は9月21日(土)、9月22日(日)に滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール・大ホールで開催

一柳慧プロデュース
『Avanti! 室内アンサンブル 冴えわたるフィンランドの響き』

2013年10月5日(土)15:00〜
会場:神奈川県 横浜 神奈川県民ホール 小ホール
料金:一般3,500円 学生(24歳以下)2,000円

『音楽堂で聴く雅楽』
2013年10月12日(土)15:00〜
会場:神奈川県 横浜 神奈川県立音楽堂
出演:
東京楽所(管絃と舞楽)
佐々木冬彦(箜篌(くご))
花:假屋崎省吾(華道家)
料金:一般4,500円 学生(24歳以下)2,000円

『東京バレエ団「ジゼル」全2幕』
2013年10月19日(土)15:00〜
会場:神奈川県 横浜 神奈川県民ホール 大ホール
出演:
上野水香
木村和夫
森川茉央
高木綾
東京バレエ団
指揮:ワレリー・オブジャニコフ
管弦楽:シアターオーケストラトーキョー
料金:S席10,000円 A席7,000円 B席5,000円 C席3,000円 学生(24歳以下)2,000円 S席ペア19,000円

『今井奈緒子 パイプオルガン・リサイタル Canon―カノン―Kanon』
2013年11月23日(土・祝)15:00〜
会場:神奈川県 横浜 神奈川県民ホール 小ホール
出演:今井奈緒子(オルガン)
料金:一般3,000円 ペア5,500円 学生(24歳以下)2,000円

『ファンタスティック・ガラコンサート2013 煌めきのオペラ&バレエ〜氷上の舞・宴』
2013年11月30日(土)15:00〜
会場:神奈川県 横浜 神奈川県民ホール 大ホール
出演:
松尾葉子(指揮)
別所哲也(司会)
砂川涼子(ソプラノ)
林美智子(メゾ・ソプラノ)
大澤一彰(テノール)
上江隼人(バリトン)
務川慧悟(ピアノ)
上野水香・高岸直樹(東京バレエ団・プリンシパル)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
料金:S席7,000円 A席5,000円 B席3,000円 学生(24歳以下)2,000円 S席ペア13,000円

『フェスティバルシンポジウム』
2013年11月開催予定

プロフィール

渋さ知らズ(しぶさしらず)

1989年9月、不破大輔を中心に初ライブを行う。フリージャズをベースにした大所帯バンドだが、オーケストラ編成だけでなく、中編成や小編成でも活動する。演奏にはジャズ、ロック、フォーク、歌謡曲など様々な要素が混在し、ジャンル分けを拒む音楽である。また、芝居の音楽伴奏が出発点の一つとなったこともあり、演劇的感覚が強い。「テント渋さ」と呼び、自らテントを建てての公演も行っている。これは渋さ知らズがバンドであると同時に、「場」であることを示しており、芸能のラディカリズムを意識したものである。国内外の大型フェスティバルで高い評価を受け、数度の長期ヨーロッパツアーを行っている。

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