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文化の力で社会変革はできるのか? 山出淳也インタビュー

文化の力で社会変革はできるのか? 山出淳也インタビュー

インタビュー・テキスト
萩原雄太
撮影:高見知香
2013/09/30

アーティストとして国際的に活動してきた経験を活かし、近年は別府現代芸術フェスティバル『混浴温泉世界』や、『国東半島アートプロジェクト』など、さまざまな地域でのアートプロジェクト開催に尽力してきた、NPO法人「BEPPU PROJECT」代表・山出淳也。

そんな山出がこの10月、「文化の視点から見る経済像」をサブテーマに、様々な議論が語られる『文化の力・東京会議2013』本会議に参加する。東京都と東京文化発信プロジェクトが主催する『東京クリエイティブ・ウィークス』の一環として行われる同会議。パネリストには、哲学者や経済学者など、世界各国の多彩な分野から有識者が集い、新たな「文化」と「経済」の関係を探っていく。

別府という地方都市を活動拠点とする山出には何が見えており、経済を中心とした今の社会にどんな提言を投げかけるのか? 都内で行われたインタビューでは、山出のこれまでを振り返りながら、別府での活動、アートプロジェクトを行う意義など、本質的な内容に踏み込むものとなった。

「東京じゃないから」「お金がないから」「ネットワークがないから」できないじゃなくて、その中で何ができるのかを考えるのが好きだった。

―山出さんは、大分のギャラリーで展覧会を開催するなど、10代の頃から盛んにアーティスト活動をされていたそうですね。

山出:高校生の頃から異業種の人が集うパーティーや、レクチャーを友人たちと開催していました。普段つながりのないような人たちと関わりたいと思っていたんです。それが縁で高校卒業後すぐ、展覧会を開催することになりました。20点くらいの絵画作品を展示したんですが、それが全部売れてしまった。ませた子どもだったんです(苦笑)。

―いずれも、あまり普通の高校生が行わないような活動ばかりですよね(笑)。

山出:今振り返って考えると、「学校がないと学べない」「東京じゃないとできない」「大分ではできない」といった考え方に対して反発心があったんじゃないかと思います。「お金がないから」「ネットワークがないから」できない、じゃなくて、その中で何ができるのかを考えるのが好きだったんです。

―それは、現在の山出さんの活動にも繋がる哲学ですか?

山出:そうだと思います。初めての展覧会の翌年には、大分にあるパルコの地下でも展覧会を行いました。そこでも作品が売れて、そのお金でイギリスやイタリアに留学しました。それで「僕はアート作品を売って生きていけるんだ」という勘違いをしてしまったんですね。

山出淳也
山出淳也

―1980年代後半の日本は景気が良く、アート作品も飛ぶように売れた時代でしたね。しかし、それ以降も山出さんは『台北ビエンナーレ』などのアートフェスティバルや、ニューヨークやパリで展覧会を行なうなど、国際的なアートシーンの中で活躍されていきます。そして、2004年に帰国後、それまで順調だったアーティストとしてのキャリアを中断し、別府でのアートプロジェクト活動に注力し始める。そこには、どういう心境の変化があったのでしょうか?

山出:世界各国の美術館で展覧会をしていたのですが、多いときだと週3回、さまざまな国へ移動することもありました。空港からホテルへ、ホテルから美術館へ、という移動の中で、その土地と全く関わらずに過ごすことが多かったんです。僕はどちらかというと、場所と関わって作品を制作していくタイプのアーティストなので、そんな状況に対して消化不良を感じていたのかもしれません。そんなとき、滞在していたパリで初代観光庁長官の本保芳明さんが執筆した記事をインターネットで読みました。別府のホテル経営者が宿泊者に対して路地裏散策ツアーというサービスを始めた。しかも、お客さんが1人でもいれば実施するという内容の記事でした。

―その記事のどのような部分に惹かれたのでしょうか?

山出:かつて別府は団体客中心の観光地でしたから、ホテル経営者が個人に向けたサービスを考えるはずがないと思っていました。そんな別府のホテルが個人向けのサービスに移行していた。その街の変化に興味があって、記事に名前が出ていた方々に実際に会いに行ってみたんです。

―久しぶりに別府を訪れたとき、街はどのような様子だったのでしょうか?

山出:子供の頃、家族や親戚と何度か別府に行ったことがありましたが、往時の賑わいはなく、国際大学が設置され外国人の居住率がとても上がっていたり、僕の知っているかつての別府とは全く違う街になっていました。ただ一方で、別府は港町でもあり、色んな人々を平等に受け入れる風土が残されているため、受容性が高い街でもあるんです。そんな部分も魅力に感じて、「この街で芸術祭を開催したらどうなるんだろう?」と考え、「BEPPU PROJECT」を始めたんです。

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イベント情報

『文化の力・東京会議2013』

2013年10月25日(金)16:00〜20:00(15:30開場)
会場:東京都 新宿 東京都庁 都民ホール
テーマ:文化の力で社会変革−文化から見た新しい経済像の提案−

基調講演
『主権効果。経済レジームにおける市場と権力』

時間:16:10〜16:55
出演:ヨゼフ・フォグル(ベルリン・フンボルト大学教授、プリンストン大学客員教授)

基調講演
『日本の伝統芸能と資本主義の新しいかたち―芸術と経済の基底に倫理を見い出す』

時間:17:05〜17:50
出演:岩井克人(国際基督教大学客員教授、東京財団上席研究員、東京大学名誉教授)

パネルディスカッション
時間:18:00〜20:00
出演:
ヨゼフ・フォグル(ベルリン・フンボルト大学教授、プリンストン大学客員教授)
岩井克人(国際基督教大学客員教授、東京財団上席研究員、東京大学名誉教授)
パスカル・ブリュネ(Relais Culture Europeディレクター)
フェレンシア・フタバラット(クリエイティブ・エコノミー・コンサルタント)
矢崎和彦(株式会社フェリシモ代表取締役社長)
山出淳也(NPO法人 BEPPU PROJECT 代表理事、アーティスト)
議長:加藤種男(東京都歴史文化財団エグゼクティブ・アドバイザー)

定員:200名(要申し込み、応募多数の場合は抽選)
料金:無料

プロフィール

山出淳也(やまいで じゅんや)

1970年大分生まれ。PS1インターナショナルスタジオプログラム(2000〜01、ニューヨーク)の後、文化庁在外研修員としてパリに滞在(2002〜04)。『台北ビエンナーレ』(台北市立美術館)、『GIFT OF HOPE』(東京都現代美術館)、『Exposition collective』(Palais de Tokyo)など多数の展覧会に出展。大分・別府にて、地域や多様な団体との連携による国際展を目指し、2005年にNPO法人「BEPPU PROJECT」を立ち上げる。別府現代芸術フェスティバル『混浴温泉世界』総合プロデューサー(2009、2012)、『国東半島アートプロジェクト』総合ディレクター(2012、2013)。平成20年度芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞(芸術振興部門)。

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