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これで「さようなら」のつもりだった DECO*27インタビュー

これで「さようなら」のつもりだった DECO*27インタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人
2013/12/18

5周年っていうのは自分の中で大きくて、「ありがとう」の曲を書きたいと思ったんですけど、上手く気持ちを伝える曲がなかなか作れなかったんです。

―改めて「ミクで作ろう」と思ったのは、『マジカルミライ』での経験が大きいわけですか?

DECO*27:そこで確定的になりましたけど、『sonar』のときになぜかミクが頭に浮かんだんです。

―それはなぜだったのでしょう?

DECO*27:それはホント無意識で、「あ、ミクで曲作ろう」って、なぜかそう思ったんですよね。ただ、バルセロナの大学で音声合成技術の研究をしていたらしくて、その話を聞いたときに、何かつながってるのかなって思ったり。

―ある意味、ボーカロイドの生まれ故郷なんですね。面白いなあ。

DECO*27:今回のベストって「2008〜2012」ってついてるんですけど、1曲だけ2013年の曲が入ってて、それが“愛言葉II”なんですね。5周年っていうのは自分の中で大きくて、「ありがとう」の曲を書きたいと思ったんですけど、上手く気持ちを伝える曲がなかなか作れなかったんです。だから、今まで自分が書いた曲の中で一番好きな“愛言葉”っていう曲のイメージと今の自分の気持ちを重ね合わせて、“愛言葉II”を作ろうと思って。<これまでのありがとう これからもありがとう><救世主は君のありがとう>っていうサビに、このベストアルバムのコンセプトが詰まってるんですけど、ホントにみんなが聴いてくれて、好きだって言ってくれることが、今の自分の支えになってるんですよね。

―この曲の歌詞で言うと、<3と9をかけると 27になるの>っていうところが気になって、「3と9」って、もちろん「ミク」ですよね。最初に「DECO*27」っていう名前をつけた時点で、このことって頭にあったんですか?

DECO*27:いや、全然意識してなくて、あとで発見したんです。歌詞を書きながら、この偶然はスゴイ! って思ってました(笑)。その後の<僕を何倍しても 君がいるよ>っていうところに、ミクでやっていくっていう決意を込めてます。

―ホントすごい巡りあわせですよね。台本があるんじゃないかっていうぐらい(笑)。

DECO*27:誰かが書いてるんですかね(笑)。

―ちなみに、“妄想税”“愛言葉II”に続いて、11月15日に“僕の名前は”が公開されましたよね。“僕の名前は”っていうタイトルにしても、改めて「DECO*27という名前でやっていく」っていう宣言でもあるのかなって。


DECO*27:あー、確かに!

―そこは意識してなかったんだ(笑)。

DECO*27:怖い! あの……もうすぐ新しい曲を公開するんですけど、登場人物が死んじゃう曲なんですよ(笑)。だいぶ怖いんですけど……。

―……。それも「DECO*27が生まれ変わる」っていう意味ですよ、きっと(笑)。


2013年11月30日にアップされた新曲

みんなDECO*27の曲を聴きに来るっていうよりも、ミクの曲を聴きに来るんだと思うし、僕もそっちの方が嬉しいんですよね。

―ファンの人たちへの感謝がアルバムのコンセプトだという話もありましたが、DECO*27をやめようと思ったときに、ファンの人たちのことが頭をよぎったのではないかと思うのですが、そこに関してはいかがでしたか?

DECO*27:よぎったんですけど、そこを考えられないぐらい僕自身いっぱいいっぱいだったんだと思います。相談は絶対できない相手じゃないですか? 「もうやめようと思ってる」なんて絶対言っちゃいけないから、どうすればいいのかわからなくて。

―他のニコ動周りのクリエイターの人に相談したりとかはしませんでした?

DECO*27:今アレンジを一緒にやってるkousさんとはすごく仲がいいので、いろいろ相談しつつ、支えてもらいましたね。「思うようにやりなよ」って言ってくれて。

―「やっぱり続けようと思う」って言ったら、喜んでたんじゃないですか?

DECO*27:そうですね。「よかったね」って言ってくれて、今も一緒にやれて楽しいです。

DECO*27

―「この先は新しいものを作っていきたい」という話もありましたが、現時点での展望はいかがですか?

DECO*27:詞とメロは僕が書いたらどうしてもDECO*27になるので、アレンジメントの部分をkousさんと一緒に考えてる感じです。『sonar』に行って、好きな音楽にも変化が起きて、ギターが入ってる曲とか聴かなくなっちゃったんですよ。今まで敬遠してたような、洋楽のポップスとか、ヒットしている作品を聴いたりしてます。OWL CITY、カーリー・レイ・ジェプセン、ジェイソン・デルーロとか、EDMのコンピ聴いたり。

―“妄想税”にはすでにそういうテイスト入ってますもんね。

DECO*27:“妄想税”にはしっかり入っちゃってますね(笑)。完全に『sonar』帰りの音なんで。まあ、入れ過ぎちゃうとDECO*27じゃなくなっちゃうというのもありますけど……。

―“妄想税”に関しては、あえて寄せたような部分もあると。

DECO*27:あれはホント1年半ぶりぐらいの、ミクで言うと“ゆめゆめ”以来の新曲で、その間にsasakure.UKさんとのコラボとかはありましたけど、ちゃんと変化を見せたいと思って。でも、スタッフからは“妄想税”は反対されてたんですよ。

―「変わり過ぎ」ってこと?

DECO*27:はい。でも昔から聴いてる人なら、DECO*27だって絶対わかると思ったんです。

―うん、メロディーのポップさとか、言葉の鋭さっていうのはやっぱりDECO*27さんらしくて、その上でサウンドが変わったなっていうのが第一印象でした。

DECO*27:僕が中学生のときとかって、歌しか聴いてなくて、バックトラックとか全然聴いてなかったから、そう考えると、普通に音楽を聴いてる人にとっては、まずメロディーが大事かなって。もちろん、いろいろ聴いてる人は後ろの音も耳に入るから、新しくなったって思ってもらえるだろうし。

―ニコ動の作り手って、コード進行だったり、歌詞だったり、楽曲としての完成度を重視するけど、海外のDJとかって、低音だったりとか、サウンドの機能性を重視する側面ってあると思うんですね。DECO*27さんとしては、そのバランスをどう考えていますか?

DECO*27:僕がミクを知ったときにまず思ったのが、すごいいい声だなってことで、それがきっかけでボカロPになろうと思ったし、今までやって来れたんです。みんなDECO*27の曲を聴きに来るっていうよりも、ミクの曲を聴きに来るんだと思うし、僕もそっちの方が嬉しいんですよね。なので、バックトラックにこだわりつつも、一番はやっぱりミクの声がちゃんと聴こえるように作りたいんです。

―なるほど。

DECO*27:ミクの声が聴こえるためだったら、オケは安っぽい方がいいときもあるかもしれないし、ドラムとベースだけで、サビでギターが入ってくるぐらいの簡単なものでもいいかもしれない。洋楽のポップスってすごく歌を大事にしてるじゃないですか? 僕もやっぱり歌を主役に、ミクを主役にしたいと思ってます。

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リリース情報

DECO*27<br>
『DECO*27 VOCALOID COLLECTION 2008〜2012』初回限定盤(2CD+DVD)
DECO*27
『DECO*27 VOCALOID COLLECTION 2008〜2012』初回限定盤(2CD+DVD)

2013年12月18日発売
価格:3,500円(税込)
UMA-9030-9032

[CD DISC1]
1. 愛言葉 feat.初音ミク
2. 僕みたいな君、君みたいな僕。 feat. 初音ミク
3. 相愛性理論 feat. 初音ミク
4. 心壊サミット feat. 初音ミク
5. 罪と罰 feat. 初音ミク
6. ゆめゆめ feat. 初音ミク
7. むかしむかしのきょうのぼく feat. 初音ミク
8. 二息歩行 feat. 初音ミク
9. キミ以上、ボク未満。 feat. 初音ミク
10. 愛迷エレジー feat. 初音ミク
11. モザイクロール feat. GUMI
12. 弱虫モンブラン feat. GUMI
13. ペダルハート feat. GUMI
14. 愛言葉II feat. 初音ミク
[CD DISC2]
1. 砂時計 feat.初音ミク
2. 恋距離遠愛 feat. 初音ミク
3. ハルイチ。 feat. 初音ミク
4. オートスコピー feat. 初音ミク
5. 隠恋慕 feat. 初音ミク
6. No You, No Me feat. 初音ミク
7. 愛 think so, feat. 初音ミク
8. ダミーダミー feat. 初音ミク
9. ラヴゲイザー feat. 初音ミク
10. 帰想本能 feat. 初音ミク
11. ショコラビーツ feat. 初音ミク
12. リノリウム feat. GUMI
13. 僕の名前は feat. GUMI
[DVD]
1. モザイクロール feat. GUMI(MV)
2. 相愛性理論 feat. 初音ミク(MV)
3. 弱虫モンブラン feat. GUMI(MV)
4. トリノアイウタ feat. GUMI(MV)
5. No You, No Me feat. 初音ミク(MV)
6. 愛 think so, feat. 初音ミク(MV)
7. ペダルハート feat. GUMI(MV)
8. むかしむかしのきょうのぼく feat. 初音ミク(MV)
9. ゆめゆめ feat. 初音ミク(MV)
※三方背スリーブケース、40ページ絵本風ブックレット付属

リリース情報

DECO*27<br>
『DECO*27 VOCALOID COLLECTION 2008〜2012』通常盤(CD)
DECO*27
『DECO*27 VOCALOID COLLECTION 2008〜2012』通常盤(CD)

2013年12月18日発売
価格:2,500円(税込)
UMA-1030

1. 愛言葉 feat.初音ミク
2. 僕みたいな君、君みたいな僕。 feat. 初音ミク
3. 相愛性理論 feat. 初音ミク
4. 心壊サミット feat. 初音ミク
5. 罪と罰 feat. 初音ミク
6. ゆめゆめ feat. 初音ミク
7. むかしむかしのきょうのぼく feat. 初音ミク
8. 二息歩行 feat. 初音ミク
9. キミ以上、ボク未満。 feat. 初音ミク
10. 愛迷エレジー feat. 初音ミク
11. モザイクロール feat. GUMI
12. 弱虫モンブラン feat. GUMI
13. ペダルハート feat. GUMI
14. 愛言葉II feat. 初音ミク
※20ページ中綴じブックレット付属、ジュエルケース

プロフィール

DECO*27(でこ にーな)

福岡生まれ、男性。レフティスタイルでキターを奏で、作詞、作曲を手掛ける27歳のアーティスト/プロデューサー。ロックをベースにフォークからエレクロニックミュージックまでを柔軟に吸収したサウンドと印象に残るメロディー、等身大の感情をリアルに、かつ絶妙な言葉遊びを用いて描かれた歌詞か若い世代から絶大な支持を得ている。2013年9月には1年8カ月ぶりとなる新作ボーカロイド曲「妄想税」を発表。以降「愛言葉II」、「音偽バナシ」と毎月新曲を動画共有サイトで発表している。活動5周年を迎えたメモリアルイヤーである2013年、自身初となるボーカロイド・ベストアルバムをU/M/A/Aよりリリース。

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