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貪欲すぎるLiLiCoの才能 人は苦難をどこまで受け入れられるのか

貪欲すぎるLiLiCoの才能 人は苦難をどこまで受け入れられるのか

インタビュー
佐々木鋼平
テキスト:杉山洋祐(編集集団WawW!Publishing), 撮影:相良博昭
2014/03/31

TBS『王様のブランチ』の映画コーナーでお馴染み、いつもパワフルかつ軽快なトークで視聴者に笑いと元気を与えるタレント・映画コメンテーターのLiLiCo。しかし、ご存知だろうか、今や超大物ハリウッドスターの取材やイベントに引っ張りだこの彼女が、駆け出しの頃5年もの間、ホームレスで車上生活を送っていたことを。公園の水道で体を洗い、サービスエリアのお茶で飢えをしのぎ、夜はスナックやカラオケバーのどさ回り営業で歌わせてもらうことで、子どもの頃から夢だった歌手への道を繋いできたのだ。

そんなLiLiCoが、「渋滞学」という独自の学問を追究する、東京大学先端科学技術研究センター教授・西成活裕とコラボレーションする。それに先立ち、LiLiCoが「渋滞学」に触れたことで感じた思いの丈を、単独インタビューさせていただけることになった。

森羅万象を「渋滞」というキーワードで結びつけ、MUJICOLOGY!研究所所長としても活動する西成の「渋滞学」を、果たして5年間車中生活を続けたLiLiCoはどう感じ取ったのか。テレビでは決して見ることのできないLiLiCoの「強さの秘密」に迫る、貴重なインタビューをぜひご覧いただきたい。

2020年の『東京オリンピック』、今のままだと本当に心配です。「おもてなし」とか言っているけど、その前に基本的な「思いやり」がないっていうところで。

―タレント・映画コメンテーター・歌手と、多方面で活躍をされているLiLiCoさんですが、今日はテレビではあまり見ることのできない一面を引き出すべく、いろいろとお話を伺いたいと思っています。

LiLiCo:どうぞ、何でも聞いて下さい(笑)。よろしくお願いします!

―LiLiCoさんは4月に、東京大学で「渋滞学」を研究されている西成活裕教授と、イベントでの対談が予定されていますね。「渋滞学」は、交通渋滞だけでなく、社会や環境に存在するさまざまな事象や問題を、「渋滞」というキーワードで研究・改善していく画期的な学問として注目されています。LiLiCoさんとの対談は意外な組み合わせにも感じたのですが、「渋滞学」についてどのように感じられましたか?

LiLiCo:すごく勉強になりましたし、面白かったです。私は国土の面積が日本の倍以上もあるスウェーデンの生まれなので、何十キロの渋滞なんて日本に来るまで見たこともありませんでした。「先頭の人は何やってんだろう?」と、いつも不思議に思っていた渋滞が、みんなで車間距離を保ったり、強引な車線変更を減らすといった「思いやり」によって緩和できるなんて、ちょっと感動的でしたね。ただ、「思いやり」ということにおいては、まだまだ私たちにも課題があるんじゃないかとも思いましたが。

―と、いいますと?

LiLiCo:私は日本に住んで26年になるのですが、昔と比べて「思いやりのある人が減ったなぁ」って如実に感じるんです。特に雨の日なんですが、私が日本に来たばかりの頃は、道ですれ違うときに傘を斜めに傾けて通りやすくしてくれることが多かった。だから狭い道で混んでいても、けっこうスムーズに歩けた記憶があります。でも今は、傘同士ぶつかり合ってでも強引に行こうとする人が多くて、余計渋滞になってしまっているんですよ。些細なことですけど、一事が万事こういう感じだと、みんなイライラして「お前がそうするなら俺もそうする!」っていう悪循環になるのは当然ですよね。

―たしかに、特に都心部などでは人口密度が高すぎて、思いやりが希薄な世の中になってしまっている気がします。電車のドアでも先に降りる人を待たない人が本当に増えましたよね。

LiLiCo:そうなんですよ! 今は、車掌さんが「降りる人を先に通してから乗ってください」って、当たり前のことをアナウンスしなきゃいけない時代になってしまっていて(笑)。変ですよね……2秒考えればわかることを、どうして考えようとしないのか。私は2020年の『東京オリンピック』、今のままだと本当に心配です。「おもてなし」とか言っているけど、その前に基本的な「思いやり」がないっていうところで。

LiLiCo
LiLiCo

―結局、みんなで「思いやり」を軽視する方向に飲み込まれちゃっている。テクノロジーの進化でいろんなことが便利になって、1人でもある程度生きていける世の中になったことも原因の1つかもしれません。

LiLiCo:私は世の中が便利になることや、それを求めること自体は、決して悪いことじゃないと思います。できたら歩きたくないし、考えたくないし、何もしたくないって思うのは普通だし、別に止めようとも思いません。でも、何が残念かって、こんな小さな国の中に人がいっぱいいるのに、お隣さんと友達になろうとすら思っていないことなんです。友達にまでならなくてもいいけど、お近づきになるどころか離れようとしているでしょう。それがすごく寂しいなって。

―正論だと思います。また、こういうことをちゃんと注意できる人も減ってきてしまっているのかもしれませんね。

LiLiCo:「人に優しくすることって格好いいじゃん!」って思いませんか? エレベーターのドアを開けてあげるとか。でも今、そんなことを大きな声で言ったら、たちまち「ウザいことを言う人だ」って煙たがられてしまうのもわかります(笑)。わざわざそんなことしなくたって普通に生きていける。でも、今の日本の人たちにとって「ウザいこと」であっても、大事なことは伝えてあげないといけない義務があると思う。だから私はこれからもガンガン「ウザいこと」を言っていこうと思っていますよ(笑)。

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書籍情報

『ザリガニとひまわり』

2010年12月発売
著者:LiLiCo
価格:1,470円(税込)
発行:マガジンハウス

プロフィール

LiLiCo(りりこ)

スウェーデン・ストックホルム生まれ。18歳の時来日、1989年から芸能活動スタート。TBS『王様のブランチ』に映画コメンテーターとして出演しているほか、フジテレビ『ノンストップ!』『SHELiCoの夜活』など、レギュラー出演番組も多数。映画、ファッションのイベントやトークショー、ラジオ、映画やアニメの声優も演じるなど、マルチに活躍している。

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