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貪欲すぎるLiLiCoの才能 人は苦難をどこまで受け入れられるのか

貪欲すぎるLiLiCoの才能 人は苦難をどこまで受け入れられるのか

インタビュー
佐々木鋼平
テキスト:杉山洋祐(編集集団WawW!Publishing), 撮影:相良博昭
2014/03/31

だって、私5年間もホームレスをして車で生活していたんですよ!? 最悪そこに戻ったとしても、全然やっていける自信はあります。

LiLiCoさんと言えば、自著『ザリガニとひまわり』でも触れられていた、幼少時代の家庭崩壊に始まって、学校でのイジメ、日本の来てからの5年間のホームレス時代など、あまりにも壮絶すぎる人生が有名です。一方、先ほどからお話をお伺いしていて感じるのは、すごく前向きな性格の持ち主なんですね。

LiLiCo:良く言えば前向き。悪く言えばスキのない可愛くない女なんですよ。今年の目標としてスキを作ろうと思っていたんですけど、やっぱりできない(笑)。自分がキチンとしてないな、甘えているなって感じちゃうと、バチが当たるんじゃないかって心配になってしまうんですよね。

―あれほど壮絶な経験ばかりされていて、挫折したり、腐りそうになったことはないんですか?

LiLiCo:腐りそうに? ……うーん、この仕事を好きだから頑張っているわけで……。仕事に対して挫折とか、もうやりたくないっていうのはないです。

―すごい(笑)。そんなLiLicoさんを作り上げたのは何だったのか? というところに興味があります。環境だったのか? 持って生まれた性格なのか? あえてターニングポイントをあげるとするなら、どこになるでしょうか?

LiLiCo:たぶん、歌手を目指して日本にやって来て、5年間ホームレスで車中泊だった時代のマネージャーとの営業経験だと思います。

―『ザリガニとひまわり』にも登場するパンチパーマの守さんですね。

LiLiCo:そうです。あの人は厳しかったですね。もう、しょっちゅう殴り合いの喧嘩をしてましたから(笑)。でも、日本で歌手になるって心に決めて、言葉も文化も何もわからないままスウェーデンからやってきた私にとっては、守さんしか頼る人がいなかったんですよ。礼儀作法だったり、ステージでの表情だったり、「赤いものでも、俺が青といえば青なんだよ!」って、ほとんどマインドコントロールに近いようなやり方で……。「なんだクソ!」って思いながらも、でも、売れるんだったら、やってみる価値あるじゃないですか。じゃあやってみよう。そうしたらうまくいくわけですよ、やっぱり。

―今振り返ると、そこで……。

LiLiCo:厳しくなりましたね、自分自身に。あのときは売れるために1か月半で23キロもダイエットしましたからね。今なんて2キロも痩せられない(笑)。今は付き人もスタイリストもいないし、メイクも自分できるし、洗濯だって、仕事現場への交通手段だって、全部自分でやってしまうんです。もちろん、お金を払って、マネージャーにやってもらうこともできますよ。でも、ここでダラダラしてしまうと、これまで積み重ねてきたものが、全部崩れ落ちてしまうんじゃないかという怖さもあるんです。

―もし、今の仕事が続けられなくなってしまったとしたら、どう考え、どうされると思いますか?

LiLiCo:ふふふ、意地悪な質問ですね(笑)。でも、大丈夫だと思います。だって、私5年間もホームレスをして車で生活していたんですよ!? 最悪そこに戻ったとしても、全然やっていける自信はあります。それに、ずっとこの状態でいられるなんて全然思っていないんですよ。たまたま2年前に、私みたいなハーフで怒りキャラが他にいなかったから、テレビの世界でハマっただけなんです。いつか飽きられてしまう日は来るでしょうし、新しい魅力的な人もどんどん芸能界に入ってきますから、いずれ埋もれてしまうかもしれません。それでも、自分がここまでやってきた努力は本物なわけじゃないですか。だから、今度はその努力と、これまでの経験や知識を合わせれば、何だってできると思うんです。夢がある人は、もちろん、死ぬほど努力してその夢を実現させてほしい。でも、その夢が叶わなかったとしても、それですべてがゼロになってしまうわけではないと思うんですね。

LiLiCo

何かを犠牲にできないなら、その夢は結局自分にとってそれほど叶えたい夢ではなかったということだと思うんです。

―LiLiCoさんの人生にとって、「夢」は重要なキーワードなんですね。

LiLiCo:最初に渋滞の話をしましたけど、今あらためて過去を振り返ってみて、遠回りだったかもしれないけど、自分はいい渋滞にハマっていたんだな……って、思いました。駆け出しだった頃は、仕事もないし、お金もない。恋人どころか友だちもいない。持っていたのは、寝泊り兼移動用の車と、「絶対に芸能界で成功するんだ」という一途な夢だけでした。本当に辛くて、ふとした瞬間、悲しい気持ちでもないのに、涙が自然と溢れてくるんですよ。当時は、「芸能界で成功すること」と「生きること」が、ほぼイコールで結ばれていたような気がします。

―夢に向かって一歩ずつ進みつつ、行き詰まってもいたんですね。夢を追い求める人なら、誰もが陥る状態なのかもしれませんが、その頃を振り返ってみて、結局何が今に繋がっていったと思いますか?

LiLiCo:「自分の目指しているゴールにたどり着くために、どれだけの犠牲を払えるのか」ということだと思います。夢を叶えるためには、その倍以上の何かを犠牲にしなければいけません。時間やお金はもちろん、恥やプライド、ときには恋愛や友情みたいなものも、秤にかける対象になるかもしれない。私はヌードだって、死体役だって、何でもやってきました。所持金が43円になっても、ショーパブで白鳥のコスプレで踊ることになっても、スウェーデンに帰ろうとは思いませんでした。何かを犠牲にできないなら、その夢は結局、自分にとってそれほど叶えたい夢ではなかったということだと思うんです。

LiLiCo

―「休みたい」って思うことはないんですか?

LiLiCo:仕事に関して言えば、まったくないですね。私は、今いる芸能界という場所に、憧れて憧れて、死ぬほど努力して、ようやく立つことができているんです。人気商売ですから、どれだけ頑張っても報われない人が星の数ほどいる中で、いまだにちゃんと仕事をいただけているんですよ。それで「お休みしたいです」なんて言ったら、罰が当たるどころか、神様に直接、石のハンマーかなんかで頭を叩き割られますよ。

―なるほど(笑)。

LiLiCo:この間、インフルエンザにかかっちゃったんですけど、もう自分の中で、大失態だと思いましたよ。出張はダメになるわ、スケジュールはずれるわ、各方面に大迷惑をかけてしまいまして。これは怒られても仕方ないなって思っていたら、誰も「それは、休めってことなんだよ」って言うだけで、私を怒らなかったんですよ。もう、その状況に頭がきちゃって。「なんだこの甘やかされ方は……おい、LiLiCo。お前、周りの人が優しいからって、それに乗っかるわけ?」って試されている気がしたんですよね。だから結局、最初の1日だけ寝て、次の日からはずっと家でできる仕事をしていました。

―す、すごいですね……。

LiLiCo:私が最近、自分のテーマにしていることは、「未来の私のために」なんです。未来の私っていうのは、5年後とか3年後じゃなくて、明日の私でいいんです。「明日の私のために、今日できることは全部やろう」って思いながら生きると、不思議といいことがあるんですよ。仕事が終わって深夜近い時間に家に帰ると、次の日も仕事なのですぐ寝ちゃうのが普通です。でもそこで、もうひと踏ん張りして、来週までに観ておかないといけない映画のDVDを観たりするんです。そうすると、本来、そのDVDを観ようと確保していた時間に、飲み会のお誘いが入ったりする。行くと、今度はそこで会った人と仕事が生まれたりするんです。そういうことが何回か続いたので、これは、ちょっと続けていこうかなと思いましたね。

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書籍情報

『ザリガニとひまわり』

2010年12月発売
著者:LiLiCo
価格:1,470円(税込)
発行:マガジンハウス

プロフィール

LiLiCo(りりこ)

スウェーデン・ストックホルム生まれ。18歳の時来日、1989年から芸能活動スタート。TBS『王様のブランチ』に映画コメンテーターとして出演しているほか、フジテレビ『ノンストップ!』『SHELiCoの夜活』など、レギュラー出演番組も多数。映画、ファッションのイベントやトークショー、ラジオ、映画やアニメの声優も演じるなど、マルチに活躍している。

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