都知事選を終えた若き事業家・家入一真、絶望の中に希望を見る

21歳で起業して以来様々なウェブサ―ビスを立ち上げ、今やネット世代の若者から絶大な支持を受ける元引きこもりのIT起業家・家入一真。「1000リツイートで都知事選出馬」という何気ないTwitterでの一言から始まった彼の壮大な挑戦は、結果こそ落選に終わったものの、新しい政治参加の方法を広く世に知らしめ、多くの若者が「社会と自分の未来の在り方」について考える契機をもたらした。

最新刊『ぼくらの未来のつくりかた』では、政治に無関心ではいられなくなったという彼の都知事選出馬の経緯、ネットをフルに使いきる斬新な政策内容、そして、その裏に秘められた「誰かの居場所をつくりたい」という思いが、平易かつ真摯な言葉で情緒豊かに語られている。そんな彼に、「どうすれば自分と社会を結びつけた未来を描くことができるのか?」というテーマで単独インタビューをさせていただけることになった。

自分事として捉えづらい「政治」や「社会」といったものを遠巻きに眺め、自分の世界に閉じこもるのは楽かもしれない。しかし現代社会は、政治や社会、もっと言えば他人に無関心・不干渉であることによって、どうしようもなく搾取されてしまう構造をもっている。そんなとき、僕らはどうすればいいのか? 明日から始められる社会との関わり方、関わることでしか達成し得ない未来のつくりかたを、家入氏の軽妙な語り口とともに味わっていただきたい。

結局、若い人たちが出馬しないと、僕らの声を代弁してくれる政治家が1人もいない。それじゃあもう僕が出るしかないかなって。

―昨今、政治や選挙といった、いわゆる政(まつりごと)が、自分の暮らしと縁遠いところにあると思っている人は多いと思います。その中にあって、社会を良くしようということを自分事として捉え、個人レベルでアクションを起こせるようになるためにはどうすればいいのか? 今日はぜひ家入さんにご教示いただければと思います。

家入:よろしくお願いします。

―家入さんは、そもそもなぜ都知事選に出馬されようと思ったのでしょうか?

家入:一言で言うと、「そこに都知事選があったから」です。もともと、都知事選の数か月くらい前から、政治や選挙に興味を持ち始めていたんですよ。僕はこれまで、誰かの「居場所をつくる」という目的意識をもっていろいろな活動をしてきたんですけれど、それは「もう国とか行政とか、そういった枠組みに頼らず自分たちだけで勝手に共同体をつくってしまおう」という、いわゆる「勝手行政」みたいなスタンスでした。

家入一真
家入一真

―それこそ、国や政治とあえて距離をとる、という方向だったんですね。自分たちにできることを自分たちでやろう、と。

家入:最初はそういう感じでやっていたんですけど、脱法ハウス問題とかクラブの規制とか表現の規制を目の当たりにして、「これは勝手行政とか言ってる場合じゃないな」って、すごい危惧を覚えたんです。結局、民間レベルで共同体とかいったところで、日本にいる以上、国が定めた法律や規制には縛られるわけですよね。だから、政治に無関心ではいられない。そういうことになんとなく気づき始めて、「民間で居場所をつくる」ことはこれまで通りやるんだけど、それと同時に、「政治という視点で居場所をつくる」ことができるかどうか、考えてみたいなと思ったんですね。

―なるほど。

家入:そのためにどうしたらいいかなって考えているまさにそのときに、都知事選がきた、と。それで、「1000リツイートされたら出馬する」っていう照れ隠しみたいなツイートをしたあと、出ようか出まいかでずっと悶々としていました。やっぱり、わからないところに飛び込んでいくのは怖いですから。

―最終的に、何が決め手になったんですか?

家入:最後の最後まで、30代や40代の出馬者が1人もいなかった、ということが大きかったですね。結局、若い人たちが出ないと、僕自身がこの都知事選自体に興味を持てないし、誰も興味を持たないだろう、と。出馬しているのは50代60代以上の人ばかりで、僕らの声を代弁してくれる政治家が誰もいない。それじゃあもう僕が出るしかないかなって。最後はそんな感じでしたね。

本当はそんなことないのに、「どうせ政治家は僕たちの声なんて聞いてくれない」と思ってあきらめてしまっている人はまだまだ多いと思います。

―家入さんは今回の選挙活動で、いろいろな挑戦をされましたよね。そのひとつが、「ネットを駆使して選挙活動を行う」ということだと思うのですが、なぜネットを駆使しようと?

家入:新しい選挙の形、もっと言うならネットを使った政治活動の可能性を提示したかったというところがありました。それでどこまで戦うことができるのかを、ちゃんと形にしてみたかったんですよね。それが実現できれば、若い人たちがこれから出馬しようと思ったとき、いわゆる「地盤・看板・かばん」みたいなものがなくたって戦えるんだぞっていうことを示せると思ったんです。

―ネットの可能性を検証するために、あえて「ドブ板」(民間の家を一軒ずつまわる選挙活動)のような従来の手法を選ばずに、徹底的にネットを使ってやってみたということですね。

家入:そうです。それに、ネットを使うことで、今まで声をあげられなかったような人たちの声を聞くことができるわけですよ。そういった人たちの声をくみ上げて政策に落とし込むことで、新しい形の民主主義みたいなものができるんじゃないかなと思った。ちょっと大げさですけれど、僕の選挙を通じて、「未来の政治の形」を小さいながら示せたんじゃないかなと思っています。

家入一真

―やはり若い人からの反響は大きかったんでしょうか?

家入:そうですね。「選挙とか政治とか興味なかったけれど、今回初めて投票に行きました」というメッセージをたくさん受け取りました。中には、「今度の市議選に出ようかと思っています」という人もいたくらいで。それに、日本中の若い市議の方々からは、「次の市長選に出るので話を聞きたい」とか、「市議として、今後地元を盛り上げていきたいから、ネットを使った盛り上げ方を教えほしい」といったご連絡をいただけるようにもなりました。そういった反応はすごく嬉しかったですね。日本にはまだまだ踏ん張っている若い人たちがたくさんいるということが強く実感できたので、それだけでも都知事選に出てよかったなと思いました。

―「出馬しよう」という人が出てくるのはすごいですね!

家入:あと、「僕らも声を上げていいんだ」と言ってくれる子たちもいっぱいいました。僕も含めてですけど、やっぱりみんな、「どうせ政治家は僕たちの声なんて聞いてくれない」と思っているところがあるんですよね。本当はそんなことないのに、「政治は政治家だけのもの」と思ってあきらめてしまっている人はまだまだ多いので、今回改めて、ちゃんと声を上げないといけないんだなって痛感しました。

今やるべきことのみに全力を出していれば、「あ、あのときの失敗がここにきて活きてるな」ってふと気づいたりするんです。すると、失敗や苦労を含めてちょっとずつ自分が好きになってくるんですよ。

―家入さんは、誰かの「居場所をつくる」ためにこれまで活動し、都知事選に出馬したのもその思いが根底にあったそうですが、「居場所」というのは具体的にはどんな場所のことなのでしょうか?

家入:僕がいう「居場所」って、いろいろな定義があるんですけれど、特に重要なことが3つあります。まず1つ目は、自分を認められる場所であること。2つ目は、いろいろな人がいて当然で、それをお互い認め合える場所であること。そして最後は、自分の役割を見いだせる場所であることです。この3つが満たされている空間というのは、その人にとっての「居場所」になる可能性がすごく高いと思います。

―大なり小なり生きづらさみたいなものを感じていて、「自分の居場所はここじゃないかもしれない」という思いを抱えている人は多いと思います。そういう人たちは、どうすれば「居場所」を見つけられるようになるのか、あるいは、今いる場所を「居場所」だと思えるようになるためには、どうすればいいと思われますか?

家入:まず言いたいのは、「ある人が絶対に居続けなければならない場所なんてこの世にはない」ということです。もしそんな場所があるとしたら、それは自分で勝手にそう思い込んでいるだけ。「自分がいられる場所はここにしかない」と思い込んでいる人は、つらい思いを抱えながらそこに居続けなければなりません。そこから飛び出すほんの少しの勇気と行動力を持ってもらえたら、世界はどれだけでも広がっていって、「なんで自分は今まであそこにこだわっていたんだろう」って、すぐに気づくと思いますよ。これは、すごく無責任なことを言っているように聞こえるかもしれないけれど、本当のことなんです。

家入一真

―それでも、なかなか飛び出せない人もいると思うんです。そういう人が、じゃあ自分の場所を「居場所」にしようと思ったら、どんな方法があると思いますか?

家入:僕のこれまでの経験からでしか言えないのですが、生きづらさを感じている人というのは往々にして、自分に自信がなかったり、自分を否定し続けている人です。過去の失敗をずっと引きずっていたり、コンプレックスがとても強かったり。そういう人は、どこに行っても、自分の居場所を見つけられずにいるパターンが多いんですよ。

―「自分を認められない」という状況ですね。そういう人に対して、「自分を受け入れろ」といきなり言っても、なかなか難しいかもしれないですよね。

家入:つらい過去やコンプレックスは、みんな抱えていると思いますけど、過去はどうしたって消せないし、どんなに悔やんだところでやり直せない。僕だって、しょっちゅう思いますよ。「自分はなんてダメな人間なんだろう」とか、「あのとき、ああしときゃ良かったな」とか。でも、それに時間を割いてもしょうがないわけです。だったら、そのつらい過去にも意味があったということをまず自分で見つけて、責めるのではなく受け入れることができれば、必ず生きやすさにつながると思います。

―過去に意味を見つけるためのコツはあるんでしょうか?

家入:これは僕の場合ですけど、もうがむしゃらに今やらなきゃいけないことをやる、というのは良いと思います。もちろん、反省しなければいけない部分は、次につなげるためにも振り返るんですけど、いつまでもくよくよ引きずらない。今やるべきことのみに全力を出していれば、考えてる暇なんてなくなっちゃいますし、やってるうちに「あ、あのときの失敗がここにきて活きてるな」ってふと気づいたりするんです。すると、失敗や苦労を含めてちょっとずつ自分が好きになってくるんですよ。

他者の嫌いな部分を見つけたら、積極的にいじるようにしますね。直接突っ込むこともあるし、脳内で突っ込んでいる場合もあります。ネタにした時点で、本来なら嫌な部分も愛せてしまうんですね。

―そうやって自分を認めることができたら、次は他人を認められるという段階に入ってくるわけですね。それは、家入さんが本の中でも書かれている「多様性を認める」ということだと思うのですが、実生活の中で多様性を認めるってどういうことなのでしょうか? たとえば、今職場にまったく理解できないオジサン上司がいたとして、その上司とこれから認め合う仲になるためには、どうしたら……?

家入:そういうとき、普通はまず否定からはいってしまいがちですが、ここで重要なのは、他者を受け入れるために、他者を理解することは必ずしも必要ではないということです。

―と、いいますと?

家入:そもそも他者のことを完全に理解することなんて不可能です。僕は、たとえ親子や兄弟、夫婦という関係性だったとしても、絶対に分かり合えることはないと思っています。だから、「必ず分かり合えるんだ」という幻想を抱くと人間関係はつらいですよ。分かり合えると思っているからこそ、「なんで分かってくれないんだ!」という気持ちも生まれてしまうからです。他者を認めるための第一歩は、分かり合えないという前提に立つことなんです。それだけで、だいぶ楽になりますよ。

―なるほど。その上で家入さんは、同じ空間に嫌いな人がいた場合、どうされますか?

家入:僕の場合、嫌いな部分を積極的にいじるようにしますね。直接突っ込むこともあるし、脳内で突っ込んでいる場合もあります。たとえば、会うたびににセレブ自慢をする人がいたとして、それが嫌だなぁと思ったなら、その人がそういう話をし始めた瞬間に、「でたぁ~~~」「待ってましたぁ~~」みたいな感じで脳内ツッコミするんです(笑)。

―ネタ化してしまうんですね(笑)。

家入:そうです。ネタ化することで、その人の嫌な部分が相対化されるんですよ。そもそも、「嫌いな人」という認識がもうすでに間違っているんです。やっぱり人間はいろいろな面があって、その中で、たまたま自分にとって嫌いな面が浮かび上がっているだけのことなんですよ。

家入一真

―「○○さえなければいい人なのに」と思うことってありますよね。

家入:でも、本当はそうじゃなくて、それも含めての個性というか、全部まるっと含めてその人なんです。だから、自分にとって嫌な部分も愛せたらすべて愛せますよ。僕はネタにした時点で、本来なら嫌な部分も愛せてしまうんですね。

―でも、脳内ならいざしらず、直接突っ込んでしまったりしたら、軋轢が生まれませんか?

家入:いや、それが意外にも、直接いじって空気が良くなることの方が圧倒的に多いんですよ。たとえば、トークイベントの質疑応答の時間、いろんな人たちが発言してくれるんですが、中には緊張のあまり挙動不審な人とかいたりするわけですよ。会場の人たちも何となく「あ、ちょっと変わってるな」って思ってるんだけど、口には出せないみたいな状況のとき、僕はあえて突っ込むんですよ。「大丈夫すか? ちょっと落ち着いて」という具合に。そうすると、会場のみんなはホッとした顔をするわけです。それで言われた本人が、「すいません。ちょっとテンパってました」なんて言うと、会場が一瞬にして笑いに包まれる。それまでのギクシャクした空気が嘘みたいに和やかなムードになるんです。

 

―「言いたいけど言えない」という空間では、空気がどんどん淀んでいきますよね。

家入:ええ。だから、本人がコンプレックスだと思っていることもすべて個性じゃないですか。たとえば、僕の周りには童貞の男の子も沢山いて、それを恥ずかしがっていたり、コンプレックスにしていたりするんですけど、僕がみんなの前で「こいつ童貞なんですよ」と言うと、最初は嫌がっていても、だんだん自分自身が童貞をネタにし始めるんです。その時点で、童貞は彼のコンプレックスではなくなっているんですよね。むしろ童貞という個性を武器にしちゃっている。

―普通は隠したがることをあえて俎上に載せることで、自分が気にしているほど周りは気にしていないことが分かるんですね。

家入:むしろアンタッチャブルにすることで、本人もより深刻に思ってしまうし、周りも腫れ物をさわるような扱いになってしまう。だから、そうならないようにネタにする。僕はよく使う手ですね。

自分のおばあちゃんのためにやったことを、日本中のおばあちゃんが欲している可能性がある。だから、人を喜ばせるための第一歩は本当に小さくていいんですよね。

―「役割を見出す」ということも、居場所をつくるためには重要だということですが、「何かしたいけど、何をしていいかわからない」という人はどうすればいいのでしょう?

家入:これは単純で、誰かが喜ぶことをやればいいんですよ。自分の親でも兄弟でも友達でも彼氏、彼女でも誰でもいいので、小さくてもいいからその人が喜ぶことをまずやってみる。このとき大事なのは、見返りを求めずにやるということです。「これだけやってあげたんだから」という損得勘定を抜きにして、誰かの喜ぶことをやってみると、必ず「ありがとう」って言ってもらえます。「ありがとう」と言ってもらえると、自分のことを必要としてくれる人がいるんだなって思えて、すごくその空間の居心地が良くなるんです。

―なるほど。まずは自分のおばあちゃんを喜ばせるということでもいいんですね。

家入:しかも、自分のおばあちゃんのためにやったことが、もしかすると実は日本中のおばあちゃんが同じことを欲している可能性もあるかもしれません。僕が取締役をつとめる「BASE」もそう。代表の鶴岡くんのお母さんが大分県で小さなブティックをやっていて、それをネットで販売したいけれどどうしたらいいかと悩んで鶴岡くんに相談したんです。そこで「じゃあお母さんのような人でも簡単にネットショップがつくれるようなサービスをつくったらどうだろう?」という発想が生まれて、「BASE」がスタートして、結果的に日本中の同じような思いを抱えた人たちが使ってくれるサービスにまで成長している。だから、きっかけは本当に小さくていいんですよね。

家入一真

日本は世界中の生きづらさを感じている人たちにとっての希望の国になり得るんじゃないかと思うんです。だから僕はこの先も、それをバカみたいに信じて動き続けていくだけです。

―普通に生活していても、「ここ、もっとこうしたらいいのになぁ」と思う瞬間って、実はたくさんありますよね。たとえば、僕は今集合住宅に住んでいるのですが、その集合住宅の入り口にちょっと高い段差があって、これがすごく不便なんです。僕としてはぜひスロープをつけて欲しいと思っていて。

家入:僕だったらもう勝手にスロープ作っちゃうかもしれないですね。だからまずホームセンターに行く(笑)。あるいは、仲間を集めようとすると思います。たとえば、今僕のTwitterには約10万人のフォロワーがいて、「手伝います」「やります」と名乗り出てくれる人がたくさんいます。だから僕はとりあえず、普段思っていることをバンバンTwitterに投げるんです。まぁTwitterじゃなくてもいいんですけど、仲間が集まってくると、実現力を持ちますよね。

―僕の話に引き付けると、まずはご近所さんに挨拶に行って、「ちょっと入口の段差が気になるので、スロープをつけたいと思うんですよ」と言って回る、という感じでしょうか。

家入:そうですね。恐らくそこで繋がりが生まれると、仮にスロープが実現しなかったとしても、次なにか違うことをやるときに、その繋がりが活きていくんです。僕が「今回はクラウドファンディングでこれだけ集まりました」と言うと、「お金をいくら集めたか」ということに目がいきがちなんですけれど、クラウドファンディングが真に重要なのは、「お金を出してでも応援したいという熱い人たちを集める装置」だということなんです。

―確かにお金を集めるものではあるんだけれど、それ以上に、志を同じくする熱い思いを持った同士を集めることができる。それが大事なんですね。

家入:そのことにもっとみんなに気づいて欲しいですね。たとえば、『SR サイタマノラッパー』の入江悠監督は、クラウドファンディングというサービス自体は使っていないですけれど、映画の製作資金はクラウドファンディング的に集めているんですよ。しかも、お金を出した人が、現場では手弁当で撮影の手伝いをしている。そうすると、コミットしている一人ひとりが、「あの映画、俺が関わってるんだぜ」って周りに言うじゃないですか? 無名の監督が、新作映画を撮ってから初めてファンを集めるのと、映画が公開される前からすでにファンがいるというのは、全然違うと思うんですよ。そこでできた仲間の輪は、間違いなく、入江監督にとって何にも代えがたい財産になりますよね。

―確かに、一人ひとりが他者を巻き込んでいけたら、すごく広がりますね。仮に僕が日曜日に1人でスロープをつくっていたら、それに気づいた人が手伝ってくれるかもしれないですよね。「僕もこの段差気になってたんですよ」って。

家入:そういうことですよね。1人のバカが周りを巻き込んでいく。それを熱狂と言い換えてもいいですけどね。

―最後に、家入さんが真に望む社会が実現されたとしたら、今と違ってどんな社会になっていると思いますか?

家入:いわゆる紋切型の「豊かさ」や「幸せ」以外の価値観の人たちが沢山いて、でも、違った上で互いが互いを認め合って、優しくいられる社会になっていればいいと思いますね。僕は日本というのは、先進国として、ひとつの未来の形を歩んでいると思うんですよ。大きな物語が終わってしまって、僕らはその物語の先を歩んでいる。村上龍さんの『希望の国のエクソダス』という小説の中で、「この国には何でもある。だが、希望だけがない」という名言があります。今はまさにそんな状況だと思うんですよね。でも、絶望の国なりにみんな幸せに生きていくことができれば、日本は世界中の生きづらさを感じている人たちにとっての希望の国になり得るんじゃないかと思うんです。だから僕はこの先も、それをバカみたいに信じて動き続けていくだけです。

書籍情報
『ぼくらの未来のつくりかた(YOUR BOOKS 01)』

2014年5月17日(土)発売
著者:家入一真
価格:1,080円(税込)
発行:双葉社

プロフィール
家入一真 (いえいり かずま)

1978年、福岡県生まれ。起業家、活動家、クリエイター。Liverty代表。リアルやネットを問わずカフェやウェブサービスなど遊び場を生み出す。JASDAQ最年少上場社長。株式会社paperboy&co.(現GMOペパボ)創業者、株式会社ハイパーインターネッツ創業者、BASE株式会社共同創業取締役。2014年の東京都知事選挙では唯一の30代からの立候補となり、ネット選挙を掲げた選挙活動が話題となる。2014年5月に双葉社より『YOUR BOOKS 01 ぼくらの未来のつくりかた』を出版。



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