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ティム・バートンを名監督にした音楽家ダニー・エルフマンの功績

ティム・バートンを名監督にした音楽家ダニー・エルフマンの功績

インタビュー・テキスト
伊藤なつみ
撮影:豊島望, 取材協力:HANG OUT

映画『新しい靴を買わなくちゃ』の音楽は、1か月間で、坂本龍一さんとニューヨークで合宿のようにして作りました。

―コトリさんは『くまのがっこう~ジャッキーとケイティ』(2010年)、『新しい靴を買わなくちゃ』(2012年)など映画音楽も担当していますが、実際に自分が映画音楽を作るようになってから、映画音楽の聴こえ方、聴き方は変わってきましたか?

コトリンゴ:聴き方はすごく変わりましたね。特に『新しい靴を買わなくちゃ』の音楽を共同で作るときに坂本(龍一)さんからいろいろ教えてもらいましたので。たぶんアメリカ映画って音楽と映像のシンクロの元祖というか……。

―1940、50年代のディズニーのアニメーションなどそうですからね。

コトリンゴ:そう、そこから来ている流れで音楽が映像の邪魔にならないような作り方をしているので、話が大きく展開するときは音楽も一緒に展開しているんですよね。だから、普段はあまり気に留めていないサウンドトラックもいろいろ考えて作られているんだなっていう。音楽がない映像に、ちょっと不吉な予感がする音がス~ッと入っていたりすると、自然に「なんだろう」と見てしまうような、そういう効果的な作り方も気になるようになりました。

コトリンゴ

―映画音楽はどのような流れで作っていくのですか?

コトリンゴ:全ての映像が完成した段階で見せてもらって、そこに音楽を書いていくのが理想だと思うんですけど、音楽をはめる部分の映像だけ先にできていて、そこに書いていくということもありますね。バートンとエルフマンは、たぶん映画の企画の段階でテーマっぽいものを考え始めるのかもしれませんね。細かいところはフィルムができてから調整して作っていって。

―1本の映画の音楽を完成させるには、どれくらいの制作期間がかかるものなんですか?

コトリンゴ:作品によってまちまちだと思いますが、『新しい靴を買わなくちゃ』の音楽は1か月で作りました。しかもこのときは坂本さんと一緒で、とにかく期日までにやらないといけなかったから、ニューヨークで合宿のようでした。自宅だといつもの感じで考えてできるんですけど、そのときはすごくいい環境のところに泊めてもらったので、逆に緊張しました(笑)。エルフマンはきっと忙しいと思うので、旅先で制作作業をやらなきゃいけないということもあるでしょうね。

―特にどういうシーンで、音楽を作るのに苦労しますか?

コトリンゴ:『新しい靴を買わなくちゃ』のときは、結構長いシークエンスの場面を1曲でやるところがあって、そこがすごく勉強になりましたね。主人公がパリの街を電話しながらずっと歩いているんですけど、途中でベンチに座って休憩するシーンもあって、さらには電話の相手の場面にも切り替わって、そして最後は落ち着いてホテルに入っていってという、状況が変わるのに合わせながら4分半くらいの1曲を作るのが大変で、でも楽しかったです。そう考えると、『アリス・イン・ワンダーランド』の長い戦いのシーンとか、エルフマンも大変だったと思います。

―コトリさんはコンピューターも使って楽曲を作っていますが、エルフマンが最初に映画音楽を手掛けたのが1980年で、このときはコンピューターを使っていないはずですよね。

コトリンゴ:今はコンピューターで作れるから、いろいろ便利になっていると思うんですけど、きっと昔の人の手仕事はすごかったんではないかと思います。今は、エルフマンは、Viennaというコンピューターのソフト音源を使ってるみたいですね。映画音楽を作る方は結構使っていて。「まずはViennaを使って打ち込みで全部作ってから、オーケストラを使って録音しています」と、Viennaのサイトでエルフマンが話している動画を見ました。

イベント当日は、本当に特別な日だから、ワクワク感をもって仮装するくらい、バートンとエルフマンの世界に入り込むと楽しいんじゃないかな。

―今回の来日公演で、ティム・バートン映画のスコアを130人編成のフルオーケストラで聴く楽しみというのもあるし、これほどコトリさんが尊敬するエルフマン本人が来日するのもとても貴重な機会だと思います。特に楽しみにしていることはありますか?

コトリンゴ:この豪華な大編成の生演奏を聴けて、しかもその作曲者であるエルフマン本人が来日して、歌のパフォーマンスも見られるなんて、もうそれだけで贅沢ですね。当日は、みんな仮装とかしてその世界に入り込んだ方がいいんじゃないかってくらいに思ってます(笑)。それくらい特別な日だから、楽しみ感、ワクワク感をもって、集まりたいですね。

―今後、エルフマンに期待することはありますか?

コトリンゴ:私はOingo Boingoの活動をリアルタイムで見ていないので、バンドを見てみたいというのもあるし、エルフマンがギターと歌で映画の世界を一人で弾き語りするような機会もあれば、すごく楽しそう。

―他にこんな映画監督の音楽をやってほしいとか、こんなストーリーの映画に音楽が合いそう、というのはありますか?

コトリンゴ:とっても悩みますね(笑)。ジャン=ピエール・ジュネという『アメリ』や『デリカテッセン』の監督の作品に合いそうだし……でもやっぱり最終的に辿り着いてしまったのは、宮崎駿さん。ジブリ作品のダークな部分って、あんまり見たことないし。たとえば『となりのトトロ』の音楽がエルフマンの音楽だと、また雰囲気にちょっと違いが出て、面白そうだなと思って。

―バートンとエルフマンの組み合わせは、ゴシック色の強いファンタジー世界のイメージが強いかもしれないですが、『マーズ・アタック』(1996年)のようなSFコメディーもやっているから、近未来的なゾンビとか出て来るものも面白いかも。

コトリンゴ:そうですね(笑)。ティム・バートンがどんどん突き詰めてしまいそうですけどね(笑)。これから先、この二人のコンビがどういう映画と音楽を発表していくのか、本当に楽しみです。

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イベント情報

『ティム・バートン&ダニー・エルフマン 映画音楽コンサート』

2014年8月9日(土)OPEN 17:30 / START 18:30
2014年8月10日(日)OPEN 12:00 / START 13:00
会場:東京都 有楽町 東京国際フォーラム ホールA
作曲・歌:ダニー・エルフマン
指揮:ジョン・マウチェリ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
コーラス:洗足フレッシュマン・シンガーズ
料金:
S席9,800円 A席7,800円 B席5,800円
※A席とB席は売り切れ
※3歳以下のお子様はご入場できません、お一人様1枚チケットが必要です。
※車椅子をご利用のお客様は、S席をお買い求め頂き、キョードー東京までお電話にてお問合せ下さい。
※プログラム、出演者は変更になる場合もございます

  • ティム・バートン&ダニー・エルフマン映画音楽コンサート
  • 『コトリの巣めぐりツアー2014』

    2014年7月26日(土)OPEN 18:00 / START 19:00
    会場:島根県 松江 清光院下のギャラリー
    料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

    2014年7月27日(日)START 15:00
    会場:鳥取県 わらべ館いべんとほーる
    料金:料金:大人500円(入館料)
    ※高校生以下無料

    2014年8月2日(土)OPEN 9:00 / START 19:30
    会場:香川県 小豆島 ベイリゾートホテル小豆島
    料金:前売2,000円 当日2,500円 宿泊客1,000円

    2014年8月3日(日)OPEN 19:00 / START 20:00
    会場:香川県 高松 umie
    料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

    2014年8月4日(月)OPEN 18:30 / START 19:30
    会場:愛媛県 新居浜 アンデルセンホール
    料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

    2014年8月6日(水)OPEN 19:00 / START 19:30
    会場:愛知県 名古屋 K.D Japon
    料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

    2014年8月23日(土)OPEN 18:30 / START 19:00
    会場:宮城県 仙台 SENDAI KOFFEE CO.
    料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

    2014年8月24日(日)OPEN 16:30 / START 17:00
    会場:福島県 いわき burrows
    料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

    『コトリの巣めぐりツアー2014 Band set ver.』

    2014年8月31日(日)OPEN 17:30 / START 18:30
    会場:東京都 青山 CAY
    出演:コトリンゴ with 村田シゲ・神谷洵平
    ゲスト:良原リエ(トイ楽器)
    料金:前売4,000円 当日4,500円(共にドリンク別)

    リリース情報

    コトリンゴ<br>
『birdcore!』(CD+DVD)
    コトリンゴ
    『birdcore!』(CD+DVD)

    2014年4月30日(水)発売
    価格:3,672円(税込)
    RZCM-59575/B

    [CD]
    1. 種まき
    2. terrarium
    3. ツバメ号
    4. 誰か私を
    5. 白い鳥
    6. 読み合うふたり
    7. 絵描きと雲雀
    8. ballooning
    9. o by the by
    10. あたま、こころ
    11. moon's a balloon
    [DVD]
    ・“誰か私を”PV

    コトリンゴ<br>
『birdcore!』(CD)
    コトリンゴ
    『birdcore!』(CD)

    2014年4月30日(水)発売
    価格:3,240円(税込)
    RZCM-59576

    1. 種まき
    2. terrarium
    3. ツバメ号
    4. 誰か私を
    5. 白い鳥
    6. 読み合うふたり
    7. 絵描きと雲雀
    8. ballooning
    9. o by the by
    10. あたま、こころ
    11. moon's a balloon

    プロフィール

    {コトリンゴ

    1978年生まれ。5歳よりピアノを始め、7歳で初めての作曲をする。1999年、神戸の甲陽音楽院を卒業後、ボストンのバークリー音楽院に留学。ジャズ作・編曲 / ピアノパフォーマンス科専攻。在学中には教会でのクワイヤのレギュラーピアニストや、バークリーのボイス科のピアノ伴奏の仕事も務めながら、数々の賞を受賞。2006年『こんにちは またあした』でデビュー。2010年にアニメーション映画『くまのがっこう~ジャッキーとケイティ』、2012年には、映画『新しい靴を買わなくちゃ』の音楽を、坂本龍一と共に手がける。最新アルバム『birdcore!』には、ドラマ『明日、ママがいない』の主題歌“誰か私を“を収録。卓越したピアノ演奏と柔らかな歌声で浮遊感に満ちたポップ・ワールドを描きだす女性シンガー・ソングライターとして各方面から注目を浴びている。

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