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アイドルブームはどこまで行く?異色イベント発の「泡ドル」鼎談

アイドルブームはどこまで行く?異色イベント発の「泡ドル」鼎談

インタビュー・テキスト
柴那典
撮影:永峰拓也
2014/08/21

今はいろんなアイドルグループが淘汰される時代かもしれないですけれど、それが逆にチャンスだと思っていて。(afromance)

―michitomoさんはいろいろなアイドルに曲を提供している作曲家として、この「泡ドル」というコンセプトにはどういう魅力を感じたんでしょう?

michitomo:『泡パ』って、やっぱりクラブイベントだし、大人の世界というイメージが強いんですよね。そこにアイドルっていうエッセンスを加えることによって、もっと敷居を下げて広げていけると思いましたし、その取り組みに関わるのは楽しいだろうと思いました。

―今は、本当にたくさんのアイドルグループが存在しているわけですよね。『TOKYO IDOL FESTIVAL』には100を超えるグループが出演している。

michitomo:そうですね。今年は約140組くらいかな。

―この状況はどのように捉えてらっしゃいますか?

michitomo:すごくいいことだと思いますね。当然、ブームにならないより、なったほうがいいし、シーンが盛り上がっているほうがいい。今のアイドルブームは20年前のバンドブームと比較できるところがあって、あの頃は極端に言えば猫も杓子もバンドをやってるみたいな時代でしたよね。そこから淘汰されて、バンドとしてちゃんとやれてる人が残ってるというのが今の状況なわけで。

michitomo

afromance:ただ、今はいろんなアイドルグループが淘汰される時代かもしれないですけれど、それが逆にチャンスだと思っていて。「泡ドル」というアイドルが、『泡パ』という異文化との化学反応によって、アイドルシーンの中で個性を発揮できるんじゃないかと思ってます。

KENSHU:僕個人としては、「泡ドル」を日本だけじゃなくて海外でも活躍できるクオリティーに育てていきたいなという野望がありますね。なので、オーディションに合格した子たちは英語の勉強も必修で入ってるんですよ。アイドルの新しい見せ方ができればいいなと思います。

―1990年代のバンドブームって、一度バブルが弾けた時期があったんですよね。でも、今のアイドルに関わっている人には、「そうさせないぞ」という意識があると思うんです。

afromance:そうですよね。その時代を知ってるからこそ、今のブームを一過性なもので終わらせたくないという気持ちは強いんじゃないかと思います。

『泡フェス』会場風景

『泡フェス』会場風景
『泡フェス』会場風景

―以前に『TOYKO IDOL FESTIVAL』を立ち上げた門澤清太さんというプロデューサーの方に話を聞いたことがあるんです。彼が言うには、ブームをブームで終わらせないために大事なのは多様性だと。例えば過去にあったエリマキトカゲのブームのように、一つのコンテンツに人気があるだけでは、その人気が終わったときにシーン全体に活気がなくなってしまう。そうではなくて、場に多様性があることが大切なんだと言っていたんです。そういう感覚は現場でも感じたりしますか?

michitomo:もちろん、それぞれが独自のカラーを出すというのは非常に大事なことだと思ってますね。個性がないと、目立たないものになってしまうという実感がまずありますし。

KENSHU:いろんな人が参入して、いろんな形で競い合って、そこから盛り上がる。ムーブメントと多様性って、実は表裏一体のような感じがありますね。

EDMの様式美って時に叩かれがちですけど、僕は大好きなんですよね。分かりやすさって、すなわちポップということだから、音楽をやる上で非常に大事。(michitomo)

―afromanceさんはクラブシーンの現場で、アイドルシーンと同じような多様性を感じたりしますか?

afromance:逆にクラブシーンは画一化されてしまっていて、まずいとは思ってましたね。多様性がなくてシーンが沈んでいたというか。その中で、『泡パ』を始めたり、『THE COLOR RUN』(アメリカ発祥、様々な色のカラーパウダーを浴びながら5kmのコースを走るイベント)のような体験型のイベントが出てきて、みんなの目が醒めつつある状況で。

afromance

KENSHU:そうですね。クラブシーンは逆に地方のほうが、地元の若い子たちがイチからイベントを作ろうという意識があるので、新しいものが出てきたりしている印象がありますね。

afromance:フェスだって、音楽だけじゃない、いろんな企画があって、多様性があるから盛り上がっている。クラブはもうちょっと頑張らないといけないと思います。

―michitomoさんはどう思います?

michitomo:もともとクラブシーンよりもアイドルシーンのほうが潜在的なファン層が多いというのはあると思うんですけど、自分たちがどのベクトルを目指してやっていくのかということは大事にしたほうがいいんじゃないかと思いますね。僕はクラブミュージックが大好きだから、アイドルの曲でも四つ打ちの曲を作ったりするんですよ。だから「泡ドル」も、いわゆるクラブが好きなお客さん、今年で言えば『ULTRA JAPAN』に来るようなお客さんに楽しんでもらえるような音楽を作っていければなと今の時点では思ってます。

―『ULTRA JAPAN』は日本初開催で、チケットも早々にソールドアウトしたみたいですね。EDM以降のダンスミュージックを求めている若い人って予想以上にたくさんいるというのを実感しました。

KENSHU:EDMの貢献は大きいですよね。5年前にハウスとかテクノで同じようなことやってもそんなに集まらなかったと思いますよ。

KENSHU

michitomo:EDMの様式美って時に叩かれがちなんですけど、僕はそれが大好きなんですよね。決まった型があって、わかりやすい。わかりやすさって、すなわちポップということだから、音楽をやる上で非常に大事だと思っていて。

KENSHU:EDMは、ダンスミュージックでありつつポップなんですよね。

michitomo:そういう意味でも、「泡ドル」の泡っていうモチーフはすごくわかりやすくていいと思うんです。

―確かにEDMはショーとしての見た目のわかりやすさも大事ですよね。たとえばdeadmau5(ジョエル・トーマス・ジマーマンのソロユニット。カナダオンタリオ州トロント出身のエレクトロニカ、ハウスミュージシャン、DJ)はネズミの被りものを被っているし、Skrillex(ロサンゼルス出身のサニー・ムーアによるソロ活動、2010年代のダブステップおよびブロステップムーブメントの象徴的存在)のステージセットはガンダムのロボみたいなセットで出てくる。ベルギーでやっている世界最大級のEDMフェスの『Tomorrowland』は巨大でファンタジックなステージセットが話題になっていますよね。

michitomo:ガスが出て、花火がドーン! と打ち上がるみたいな、あの感じはすごいですよね。僕もすごく大事だと思います。ド派手なサウンドに、ド派手な演出が乗っかることで、聴覚だけじゃなくて、視覚で攻めるというか。

―泡ドルもそういうところがイメージとして大きい?

KENSHU:かなり近いと思いますね。

afromance:少し前だと、フェスっていうのはあくまでも音楽が9割で、それを引き立てるための演出だったと思うんです。でも、最近のメガフェスは、音楽と視覚と空気感を全部ひっくるめたエンターテイメントになっている。泡ドルもその方向性をイメージしてますね。

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プロフィール

michitomo(みちとも)

作曲家・編曲家・リミキサー。近年では主にアイドルのサウンドプロデュースを手がけており、ももいろクローバーZ“走れ!”や吉川友、アップアップガールズ(仮)などのサウンド面で高い評価を得ている。

afromance(あふろまんす)

2006年、京都で活動を開始。初期から京都クラブシーンをボトムアップするイベント“I GET A HOUSE@LAB.TRIBE”をプロデュースしつつ、京都エリアDJの若手代表として数々のメジャーアーティストと共演。2009年より活動の拠点を東京に移し、2012年には、都内初の“原宿 泡パーティー”を主催。さらに、アメリカ ネバタ州の砂漠のフェス“BURNING MAN”の日本リージョナルイベント“BURNING JAPAN”の主催など、活動は多岐に渡り、日本のパーティーシーンに変革を起こすべく精進中。

KENSHU(けんしゅう)

オーストラリア、ウィーン生まれ。音楽家の両親のもと、幼少の頃よりクラシック音楽をベースに様々な楽器に親しむ中、ヒップホップカルチャーに多大な影響を受け、12歳よりDJスタート。圧倒的なDJスキルと様々なジャンルを通過してきた音楽的センス溢れるプロデュースワークは多方面から高い注目を集めている。8月に『mastermind MUSIC3』が発売。

泡ドル

『泡パーティー』で公開オーディションを行った新アイドル。本格的なダンスミュージックと泡を発射するパフォーマンスを行う。作曲およびプロデュースは、ももいろクローバーZなど数々のアイドルやアーティストに楽曲を提供するmichitomoが担当。作詞は、U-KISS、リュ・シウォンらの作詞を行う大館敬、クリエイティブディレクションは『泡パーティー』を主催するafromance、総合プロデュースはKENSHUがそれぞれ手掛ける。

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