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ドレスコーズはロックの継承者じゃない 志磨遼平の極限の決断

ドレスコーズはロックの継承者じゃない 志磨遼平の極限の決断

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望
2014/09/19

今年の春にキングレコードへの移籍を発表したドレスコーズが、「ダンスミュージックの解放」をテーマとした『Hippies E.P.』を完成させた。□□□の三浦康嗣や長谷川智樹、渡部高士をゲストに迎えた本作は、管楽器を交えたソウルポップ“ヒッピーズ”から始まり、志磨遼平と三浦が2MCのスタイルを披露する“メロディ”などを経て、打ち込みの“若者たち”で締め括られるという、これまでの「ドレスコーズ=ロックンロール」というイメージを大きく覆す作品であるが、志磨は「これこそがドレスコーズ」と胸を張る。また、歌詞で綴られているのは、時間の経過と共に消えて行くこと、忘れていくこと、消費されることに対しての、肯定と諦念が入り混じったような感情だが、それでもそこに残るものへの強い願いが込められているような印象も受ける。赤く燃え盛る炎というよりは、大きくはないけど、熱量高くユラユラと揺れている青い炎。そんなイメージの作品だと言ってもいいかもしれない。

The Rolling Stonesの“Paint It,Black”のごとく、黒いペンキを被ったビジュアルの意味なども含め、志磨には訊きたいことがたくさんあったのだが、この日はまず最初に訊いておかなければならないことがあった。それは8月17日に『ゴッドスピード・サマー・ヒッピーズ』と題して行われた日比谷野音公演の途中で志磨が発した「今思うと僕は間違ってなかった。僕は絶対正しい!」という言葉の真意。結果的に、この言葉はまさに志磨の現在地を明確にする言葉であり、つまりこの日の取材は最初に結論を話し、それからそこに至った過程について話すという、ややイレギュラーなものとなった。何にしろ、『Hippies E.P.』という作品が、志磨にとっての、ドレスコーズにとっての転機作となったことは間違いない。

僕の今までのキャリア全部が、自分の否定だったと思うんです。

―もしかしたら他の方からも訊かれているかもしれませんが、先日の日比谷野音でのライブ(8月17日の『ゴッドスピード・サマー・ヒッピーズ』)中に「僕は絶対正しい!」とおっしゃった場面がありましたよね? まず、あの発言の真意をお伺いしたいのですが。

志磨:それを質問してくださった方がもう1人いらっしゃったんですけど、言われるまで自分でも忘れてたんですよ(笑)。ライブのMCって前もって用意するものでもないので、おそらくなんですけど、たぶんあの瞬間に『Hippies E.P.』っていう作品が腑に落ちたんですよね。あのMCの前までアルバムの制作が何となくずっと続いているような状態だったんですけど、野音のステージで終止符が打てたというか。だからきっと、あのMCからが『Hippies E.P.』を作り終えた後の言葉と言えるんでしょうね。そこから話を始めるのも面白いなって思うんですけど(笑)。

志磨遼平
志磨遼平

―『Hippies E.P.』ができるまでの話を聞きに来たのに(笑)。

志磨:でも、これを作り終えてから、僕にとって音楽を作ること、メロディーを紡ぐこと、それに言葉を乗せることは、自分を盲目的に肯定するための行為なんだなって思いました。

―逆に言うと、レーベルの移籍だったり、音楽性の変化だったりっていうのは、自分を肯定するために模索を続けていたことの表れでもある?

志磨:まさしく、そうですね。言い切ってしまうなら、僕の今までのキャリア全部が、自分の否定だったと思うんです。僕は自分っていうものをどうしても認められなくて、何者かになるんだってずっと思ってた。「平凡な人生なんて選択するものか」って、音楽を始めた15歳頃からずっと思ってて、「和歌山の田舎に生まれた志磨遼平くん」っていうお兄ちゃんじゃなくて、歴史に名を残すロックンローラーになるんだっていう、それが僕と音楽の関係性だったんです。「音楽よ、僕を僕たらしめるな」っていう感覚、つまりは自分の否定なんですよね。ネガティブに聞こえるかもしれないですけど、ずっとそれが僕の原動力で、何かを生みだしても、そこに自分の影が追いついてくるから、そこからまた逃げなきゃいけない。そうじゃないと、また自分になってしまうっていう。

―確かに、それは毛皮のマリーズ時代からずっとそうでしたよね。

志磨:そうです。どんどん手段を変え、方法を変え、先に進んでいく。でも、ダンスミュージックっていうものをこのアルバムに持ち込んだことで、とうとう一番最果てまできたなっていう感じがすごくしたんですよね。

―今おっしゃられたように、今回の作品には「ダンスミュージックの解放」というテーマがあったそうですが、そもそもこのテーマはどこから出てきたものなのでしょうか?

志磨:踊るための音楽っていうのは、思考回路を介さずに、脊髄反射的に行動を促すアジテーションというか、「DON’T THINK,FEEL」的なものですよね。でも、もともと僕は音楽よりも前に文学と衝突していたんです。物語や詩にすごく魅力を感じて、それを歌うものとして音楽があったというか。だから音楽には、言葉を具現化する、ちょっと呪文にも似た感覚があって。

―言霊みたいなものでしょうか?

志磨:自分の願望に節をつけて歌うことで、それが本当のことになるんじゃないかって感覚ですね。僕はそれを自分の生業にしてきたというか、とにかく言葉で考えて、言葉で何かを叶えようとしてきた。僕の中で言葉を発することと思考は同時に行われていて、こうやって今もおしゃべりすることで、いろんなことが腑に落ちていってるんです。考えて考えて、音楽や人生と向き合って向き合ってやってきたんです。

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リリース情報

ドレスコーズ<br>
『Hippies E.P.』(CD)
ドレスコーズ
『Hippies E.P.』(CD)

2014年9月24日(水)発売
価格:1,782円(税込)
KICS-3120

1. ヒッピーズ
2. ドゥー・ダー・ダムン・ディスコ
3. Ghost
4. メロディ
5. 若者たち

プロフィール

ドレスコーズ

志磨遼平(Vo)、丸山康太(G)、菅大智(Dr)、山中治雄(B)による4人組ロックバンド。毛皮のマリーズでボーカルを務めた志磨を中心に、2012年1月1日に山中を除く3名で初ライブを実施し、同年2月に山中が加入して現在の編成となる。7月に1stシングル「Trash」をリリースし、タイトル曲は映画「苦役列車」の主題歌に採用された。12月に1stフルアルバム「the dresscodes」、2013年11月に2ndフルアルバム「バンド・デシネ」を発売。2014年4月にキングレコードへ / EVIL LINE RECORDSの移籍を発表し、9月に「Hippies E.P.」をリリース。

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