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ドレスコーズはロックの継承者じゃない 志磨遼平の極限の決断

ドレスコーズはロックの継承者じゃない 志磨遼平の極限の決断

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望
2014/09/19
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<大事にするよ、いつか消えてしまうけど><ぼく死なないよ、きっとぼくは死なない>という歌詞が、なんとなく自分の次の姿勢のような気がするんです。

―「ロックンロール原理主義者ではないんだ」ということですね。『Hippies E.P.』というタイトルに関しては、1曲目の“ヒッピーズ”から来ているのかと思いますが、「ヒッピー」というモチーフは、どこから出てきたものなのでしょうか?

志磨:実は先に『ゴッドスピード・サマー・ヒッピーズ』っていう野音のタイトルが決まってたんです。EPも含めた一連の夏の活動ってことで、それこそマンチェスターの「セカンド・サマー・オブ・ラブ」(1980年代後半にイギリスで生まれたクラブミュージックやレイヴカルチャーのムーブメント。60年代後半にアメリカで生まれた、音楽を媒介に社会構造の変革をめざすヒッピーカルチャームーブメント「サマー・オブ・ラブ」に由来している)みたいなのがイメージとしてあって、それで「ヒッピー」っていうのが出てきたんですよね。音楽と時間の関係って切っても切れなくて、メロディーにしろ何にしろ、手には取れないし、形には残らないけど、ダンスミュージックっていうのは繰り返すことで時間を疑似的に止めてるわけですよね。時間が過ぎることに対する抵抗や反抗の音楽というか、クラブではみんなまるで朝が来ないかのように振る舞うわけです。そんなこと絶対ないのに。なので、今回の作品はそういうことが自然とテーマになったような気もしますね。「いずれ消えてしまうのに、そんなことはあたかも知らない振りで僕らは生きる」っていう。

志磨遼平

―途中の「最果てにたどり着いた」っていう話を聞いて、元ゆらゆら帝国の坂本慎太郎さんを思い出しました。

志磨:ああ、坂本さんは自分を音楽から消した人ですもんね。“空洞です”の楽器だけ残してメンバーが消えていくPVが浮かびましたよ。『空洞です』の後の解散って、みんな納得しましたもんね。もうゆら帝が見られないのは残念だけど、「あ、ですよね」みたいな(笑)。

―でも、志磨さんはその最果てから引き返してきたわけですよね。アルバムの制作中はまだ自分でも気づいていなかったのかもしれないけど、野音の「正しかった」という言葉でそこがはっきりしたというか。

志磨:たぶんなんですけど、あてもなく自分を正しいと肯定することが、演奏することとまったく同じ意味じゃないといけないと思って、言ってみたかったんでしょうね。演奏することとか、歌うことと遜色なく、「正しい」って言葉が口にできるかなって。

―途中でおっしゃっていた、ある種の呪文のような言葉だった?

志磨:うん、試してみたかったんでしょうね。メンバーにもそういう風に思ったんです。「自分たちを肯定しよう」って。マルがギターを弾いて、治雄がベースを弾いて、菅さんがドラムを叩いて、僕は自分を正しいと宣言して、それが四人とも同じ姿でありますようにって思いましたね。で、僕はやっとあそこで三人に追いつけたような気がしてます。

―では、最果てから引き返して、これから志磨さんおよびドレスコーズはどこに向かうのでしょうか?

志磨:音楽って不思議で、常に自分より先にあるというか、あとから自分がそこに追いつくんですよね。だから、今回の作品に関しても、まだ完全には自分でも理解し切れてないんですけど、“ヒッピーズ”の<大事にするよ、いつか消えてしまうけど>から<ぼく死なないよ、きっとぼくは死なない>ってところが、なんとなくこの先のような気がするんです。さっきのMCと同じで、無謀な肯定というか、一番守れない約束みたいなのを書いてみたくて、その最大級が何かって考えると、「死なない」かなって(笑)。自分でもまだよくわかってないんですけど、それがたぶん自分の次の姿勢なのかなって思うんですよね。

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リリース情報

ドレスコーズ<br>
『Hippies E.P.』(CD)
ドレスコーズ
『Hippies E.P.』(CD)

2014年9月24日(水)発売
価格:1,782円(税込)
KICS-3120

1. ヒッピーズ
2. ドゥー・ダー・ダムン・ディスコ
3. Ghost
4. メロディ
5. 若者たち

プロフィール

ドレスコーズ

志磨遼平(Vo)、丸山康太(G)、菅大智(Dr)、山中治雄(B)による4人組ロックバンド。毛皮のマリーズでボーカルを務めた志磨を中心に、2012年1月1日に山中を除く3名で初ライブを実施し、同年2月に山中が加入して現在の編成となる。7月に1stシングル「Trash」をリリースし、タイトル曲は映画「苦役列車」の主題歌に採用された。12月に1stフルアルバム「the dresscodes」、2013年11月に2ndフルアルバム「バンド・デシネ」を発売。2014年4月にキングレコードへ / EVIL LINE RECORDSの移籍を発表し、9月に「Hippies E.P.」をリリース。

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