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キセルインタビュー 「明るい場所」はどこにある?

キセルインタビュー 「明るい場所」はどこにある?

インタビュー・テキスト
渡辺裕也
撮影:永峰拓也
2014/12/02

辻村豪文と辻村友晴による兄弟ユニット、キセルがニューアルバム『明るい幻』を完成させた。彼らがスタジオアルバムを世に送り出すのは、前作『凪』から、なんと4年半ぶり。アルバムの完成までにここまで長い期間を要したのは、もちろん今回が初めてのことだ。そして、本作を待ちわびていた方の多くが、きっといつものようにこんな感想を抱くことになるだろう。「これ、キセル史上最高傑作なんじゃないか」と。

これまでの作品と比べて、キセルの音楽性に何かドラスティックな変化が起きたわけではない。アナログレコーディングによるあたたかなサウンド。黒人音楽を咀嚼しながら身につけた、ゆるやかなファンクネス。そして辻村豪文の浮遊するような声で唄われる、美しいメロディーライン。そうしたキセルらしさを構成する要素はここでも健在で、むしろそのすべてが本作ではさらに研磨されたような印象を受ける。辻村兄弟はこの4年半でキセルの音楽を見つめ直し、自分たちが作り得る最良のポップソングだけをここに詰め込んだ。キセルは常に最新作が一番良いと思わせてくれる数少ないバンドだが、やはりそれは本作でも変わらなかったのだ。あるいは、これはキセルというバンドが結成15年目に辿り着いた1つの境地と言ってもいいのかもしれない。

さあ、ここからはいよいよ本人に語っていただこう。ちなみに前作『凪』がリリースされたのは、2010年6月。言うまでもなく、我々を取り巻く状況はあの頃からずいぶんと変わってしまった。キセルはこの4年半の間、時代の変化をどんなふうに見つめながら、この『明るい幻』という作品に取りかかっていたのだろう。辻村兄弟の二人に話を聞いてみた。

友晴くんは自分のことを「甘かった」と言ってましたけど、それを言い出したら、僕にも拙いところがたくさんあったんですよ。でも、そこも含めてキセルらしさやと思うので。(豪文)

―『magic hour』(2008年)以降、キセルはアルバムの制作にたっぷりと時間をかけるようになった印象があります。カクバリズムへの移籍がお二人の活動に与えた影響って、恐らくものすごく大きかったと思うのですが。

豪文:そうですね。とはいえ、今回のアルバムは思っていた以上に時間がかかってしまったので、スタッフにはいろいろ迷惑をかけちゃいましたけど(笑)。2012年頃には次のアルバムに向けた話をしていて、曲もその頃からちょこちょこ作っていたんです。でも、どうしても曲作りってその時々の状況に左右されてしまうし、特に今回は自分たちの中でけっこう高めのハードルを設定していたから、たしかにこれはカクバリズムじゃないと出せなかったアルバムやと思います。時折お尻叩かれつつ、ちゃんと待っていてもらえたので。

辻村豪文
辻村豪文

―お二人はどんなハードルを自分たちに課していたんですか?

豪文:単純なところですけど、まずは歌モノとしての強度をもっと上げたいと思っていました。多分、キセルのいいところって、メロディーのさりげない感じやとっつきやすさだと思うから、今回のアルバムではそこをもっと突き詰めたかったんです。

友晴:アレンジとかもね。ただ、もちろん僕も兄さんと同じく「このアルバムで次の段階に進もう」みたいな気持ちはあったんですけど、今思えば、初めの頃の僕はまだ考え方が甘かったような気がする。兄さんと作業を進めていく中で「今回は大変になりそうやな」と思いましたから(笑)。

豪文:そう? そんなことは二人のときに言ってくれたら良かったやん!(笑) それに、けっこう早い段階でいろいろ話し合わへんかったっけ?

左:辻村友晴、辻村豪文
左:辻村友晴

友晴:話し合ったけど、お互いのリズムのノリなんかを掴むまでは、やっぱり時間がかかったよ。二人でソウルやブラジル音楽を聴きつつ、「次はこういう感じもあることをやりたいね」みたいな話はよくしていたんですけど、具体的なやり方が最初の頃はよくわからなくて。兄さんがプリプロしてきたものを聴きながら、徐々に掴んでいくような感じでしたね。そこからは兄さんが今回やりたいことにうまくはまりそうな曲を、僕もいくつか持っていったりして。

―まずは豪文さんのイメージを共有するところから始まったんですね。

豪文:でも、それは僕だけのイメージってわけでもなくて、あくまでもキセルとしての傾向がそうだったというか。僕ら二人の好む音楽って、キセルを始めた頃からそんなに変わっていないから、それをこの作品でうまく濃縮したかったんです。さっき友晴くんは自分のことを「甘かった」と言ってましたけど、それを言い出したら、僕にも拙いところがたくさんあったんですよ。でも、そこも含めてキセルらしさやと思うので。

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リリース情報

キセル『明るい幻』(CD)
キセル
『明るい幻』(CD)

2014年12月3日(水)発売
価格:2,900円(税込)
DDCK-1040

1. 時をはなれて
2. 夏の子供
3. 君をみた
4. 覚めないの
5. 花に変わる
6. そこにいる
7. ミナスの夢
8. たまにはね
9. 今日のすべて
10. 同じではない
11. 絵の中で
12. 空の上
13. 声だけ聴こえる

イベント情報

『明るい幻 Release Tour 2015』

2015年1月23日(金)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:長野県 松本ピカデリーホール
料金:前売3,500円

2015年1月24日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:石川県 金沢 21世紀美術館 シアター21
料金:前売3,800円

2015年1月25日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:京都府 磔磔
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年1月30日(金)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:福岡県 博多百年蔵
料金:前売3,800円(ドリンク別)

2015年1月31日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:広島県 4.14
料金:前売3,500円(ドリンク別)

2015年2月6日(金)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:北海道 札幌 cube garden
料金:前売3,500円(ドリンク別)

2015年2月8日(日)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:宮城県 仙台 darwin
料金:前売3,500円(ドリンク別)

2015年2月14日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:大阪府 梅田CLUB QUATTRO
料金:前売3,500円(ドリンク別)

2015年2月15日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
料金:前売3,500円(ドリンク別)

2015年2月21日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京都 赤坂 BLITZ
料金:前売 1Fスタンディング3,500円 2F指定4,000円(共にドリンク別)

プロフィール

キセル

辻村豪文と辻村友晴による兄弟ユニット。カセットMTR、リズムボックス、サンプラー、ミュージカルソウ等を使用しつつ、浮遊感あふれる独自のファンタジックな音楽を展開中。これまで4枚のアルバムをスピードスターよりリリース。2006年12月にカクバリズムに移籍し、『magic hour』『凪』『SUKIMA MUSICS』のアルバムと10インチレコードやライブ会場限定のEPなど精力的にリリース。2013年6月1日には二人のかねてからの目標のひとつである日比谷野外音楽堂でのライブを実施。チケットは完売、大盛況のもと終了。昨年末にDVDとして発売している。2014年は結成15周年を迎え、12月3日に7枚目のアルバム『明るい幻』をリリース。2015年1月23日より全国ツアーがスタート。

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