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ボーカロイドとフォークを繋ぐボカロP、ピノキオピーの正体とは

ボーカロイドとフォークを繋ぐボカロP、ピノキオピーの正体とは

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望

子どもの頃からテレビやコミックで親しんできた『ドラえもん』や『オバケのQ太郎』、もしくは『鉄腕アトム』などの作者が、実はかなりの社会派で、もともとはシリアスでドロドロした作風だったと知ったときの衝撃は、その親しみやすいキャラクターとのギャップゆえに、強烈な印象として残っている人が多いことだろう。または、J-POPで育った耳に、初めてフォークが流れ込んできたとき、例えば、30代ならたまの“さよなら人類”、20代なら映画『タカダワタル的』に出会ったときの異物感は、やはり忘れられないものであるはず。そんな体験を、初音ミクを通じてあくまでポップに提供してくれるのが本稿の主役、ピノキオピーである。

2009年に初投稿した楽曲“ハナウタ”の動画絵が鼻の肥大化したミクだったことからその名がつけられたピノキオピーは、その後コンスタントにオリジナル曲を発表し、自身の作り出したキャラクター「アイマイナちゃん」や「どうしてちゃん」などのイラストも手掛ける多彩な才能が評価され、2012年に1stアルバム『Obscure Questions』でメジャーデビュー。学生時代にはまったサブカルチャーからの影響を感じさせる作風が、ひときわ異彩を放ってきた。2014年12月3日にリリースされる2ndアルバム『しぼう』は、フォークの精神で「死生観」と向き合い、「人生」という大きなテーマに挑んだ作品だが、決して難解なものではなく、誰もが楽しめるエンターテイメントになっているのが素晴らしい。例えるなら、青森ではなく秋葉原で育ったamazarashi、もしくはニコ動世代の電気グルーヴ……そうそう、「ナゴムレコード」から作品を発表していた電気グルーヴの前身バンドの名前は「人生」でしたね。

2009年頃のボカロシーンって、今より優しかったというか、温かかったんで、ソフトランディングの感じで入って行けたんですよね。好き勝手にやってる人たちが、同じところに集まってるっていうのが面白くて。

―なぜいつもマスクをつけていらっしゃるのですか?

ピノキオピー:ネットで活動してる人の顔って、あんまり見たくないんですよね。前はスケキヨのお面だったんですけど、顔が隠れれば何でもいいので、今はただの白いマスクにして、どうしてちゃんの目のふちが黒いのに合わせて、マスクも黒く塗ってるんです。

ピノキオピー
ピノキオピー

―「アイマイナちゃん」と「どうしてちゃん」というキャラクターは、ピノさんの世界観をよく表しているように思います。「物事は白と黒ではっきりとは分けられない」ということだったり、「物事の本質を見極めることは大事だけど、知ってしまうことによって失われることもある」ということだったり。

ピノキオピー:どうしてちゃんはニコニコ生放送のときに悪ふざけで生まれたものではあるんですけど、曲を作るときに、曖昧であることとか、「何でこういうことになるんだろう?」って思うことが多かったので、そういう自分のテーマを具現化した何かではあると思います。あとは単純に、絵を描くときにミクだけだと座りが悪いんで、何かキャラがいるといいなと思ったんです。

アイマイナちゃん
アイマイナちゃん

どうしてちゃん
どうしてちゃん

―絵と音楽と、どちらを先に始められたのでしょう?

ピノキオピー:もともとはずっとギャグ漫画を描いてて、投稿とかもしてました。ただ、それとは別に音楽もすごく好きだったので、アコギを買って、一人で曲を作って歌ってもいたんです。で、漫画を描きながらフラフラしてたときに、ボカロのことを知ったんですよね。それまでは自分が作ったものに対して人に褒められることが全然なかったんですけど、ボカロの曲を投稿したときに、初めてリアクションがあったんです。

―そこでメインの活動が漫画から音楽に切り替わったわけですか?

ピノキオピー:いや、切り替わったというよりは、曲は作ってたし、絵も描いてたから、地続きの感覚です。むしろ、表現方法は何でもよかったのかもしれないです。最初の頃はゲーム実況もやろうと思っていましたし。とにかく、やってみたら「いいね」って言ってくれる人が多かったことが嬉しくて。それまでは、小学校のときに悪ふざけで描いた絵で笑ってもらったぐらいしか、人に褒められる経験がなかったので(笑)。

―やっと自分の作品を受け入れてくれたのが、ニコ動だったと。

ピノキオピー:僕が曲をアップし始めた2009年頃のボカロシーンって、今より優しかったというか、温かかったんで、ソフトランディングの感じで入って行けたんですよね。当時の方が好き勝手にやってる人が多くて、その好き勝手にやってる人たちが、同じところに集まってるっていうのが面白くて。なので、まったく別ジャンルの人との交流があったりしたんですけど、今は結局それぞれのクラスタに固まっちゃって、変なごった煮の空気はなくなっちゃったなって思いますね。

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リリース情報

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ピノキオピー
『しぼう』初回限定盤(CD+DVD)

2014年12月3日(水)発売
価格:3,500円(税込)
UMA-9047/8

[CD]
1. しぼう
2. はじめまして地球人さん
3. よいこのくすり
4. 絵の上手かった友達
5. すろぉもぉしょん
6. Last Continue
7. たりないかぼちゃ
8. ヒーローが来ない
9. ニナ
10. ラブ イズ オノマトペ
11. 100年前の僕、100年後の君
12. こどものしくみ
13. こあ
[DVD]
・“すろぉもぉしょん”PV
・“絵の上手かった友達”PV
・“ニナ”PV
・“たりないかぼちゃ”PV
・“スケベニンゲン”PV
・“ゴージャスビッグ対談”PV
・オーディオコメンタリー(ピノキオピー、ARuFa、鬱Pほか)
※「どうしてちゃん 視暴めがね」「どうしてちゃん いきなてぬぐい」付属

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ピノキオピー
『しぼう』通常盤(CD)

2014年12月3日(水)発売
価格:2,000円(税込)
UMA-1047

1.しぼう
2. はじめまして地球人さん
3. よいこのくすり
4. 絵の上手かった友達
5. すろぉもぉしょん
6. Last Continue
7. たりないかぼちゃ
8. ヒーローが来ない
9. ニナ
10. ラブ イズ オノマトペ
11. 100年前の僕、100年後の君
12. こどものしくみ
13. こあ

イベント情報

U/M/A/A×2.5D『ピノキオピー&sasakure.UK Wリリースパーティー』

2014年12月16日(火)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 渋谷 2.5D(渋谷 PARCO PART1 6F)
出演:
ピノキオピー
sasakure.UK
鬱P
料金:前売1,500円 当日1,800円(共にドリンク別)

プロフィール

ピノキオピー

2009年より動画共有サイトにボーカロイドを用いた楽曲の発表をはじめ、ピノキオピーとして活動開始。以降も精力的にオリジナル曲をコンスタントに発表しつつ、コラボレーションや自身で行う生放送など積極的に活動している。また、作曲活動のみならず 動画内のイラストや漫画の執筆、様々な商品プロデュースワーク等のクリエイティブワークも行う。2013年には携帯電話「Xperia feat. HATSUNE MIKU」連動コンセプトCD『ミクスペリエンス e.p.』に楽曲提供を行い、2014年には、ぺんてる『i+ × 初音ミク』コラボレーションにおいて、テーマソングを担当するなど活動の場を広げている。作風は、お祭りどんちゃん盆踊り型ダンスミュージックから、しっぽりノスタルジックフォークソング、屈折したセンセーショナル青色ロックまでと、幅広いサウンドを聴かせるとともに、作詞に於いては、シニカルに物事を捉えつつ、独特な言葉選びと思わずニヤリとさせられる仕掛けを盛り込み、リスナーを夢の国(ピノキオワールド)へと迷い込ませる。

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