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AV監督VSアイドルの騙し合い 映画『BiSキャノンボール』の企み

AV監督VSアイドルの騙し合い 映画『BiSキャノンボール』の企み

インタビュー・テキスト
武田砂鉄
撮影:田中一人

AV監督がアイドルの解散ライブのドキュメンタリーを撮る。歓喜のステージに飛び散る汗、苦楽を共にした仲間たちと流した涙……なんて撮るわけがない。2014年夏、横浜アリーナで行なわれたBiSの解散ライブ『BiSなりの武道館』。物議を醸す事件を立て続けに起こしてきたBiSが辿り着いた最高の舞台の裏側で、とあるレースが仕掛けられていた。映画『テレクラキャノンボール2013』などで知られるAV監督・カンパニー松尾によるドキュメンタリー映画『劇場版 BiSキャノンボール2014』は、一世一代の解散ライブを揺さぶるように、アイドルに対して卑猥なレースを仕掛けるAV監督六人の企みが、ギラギラ黒光りする。テアトル新宿での上映が2月11日現在まですべて完売立ち見という話題作でもある本作、監督のカンパニー松尾、BiSのマネージャー・渡辺淳之介、プロデューサー・高根順次に、この映画に仕掛けられた企みの正体を聞いた。

ハメ撮られたらハメ撮られたで仕方ないとも思いつつも、底知れぬ不安がありました。(渡辺)

―公開まであと3日しかないのに(取材日は2月3日)、まだ完成していないそうですね。

松尾:そうなんです。事前に見ていただいた素材から、最後の20分ほどを大幅に変える予定になっています。

高根:2月6日深夜が前夜祭なんですけど、6日の朝に納品することになっていて……。

松尾:というわけで、実はまだ誰も完成版を共有していない。というか、完成していない(笑)。

―なるほど(笑)。この企画は、高根さんが松尾さんに「BiSのドキュメンタリーを撮って欲しい」と依頼したことが始まりだそうですが、高根さんはどういうイメージを持って依頼されたのでしょう。

高根:具体的な輪郭は無いですね。面白いものを作っている人に、なにも考えずにボールを投げてみようと。松尾さんが撮られた大橋仁さんの写真集『そこにすわろうとおもう』のメイキング映像に衝撃を受けて、衝動のままにお声かけしたんです。

松尾:で、僕はそのオファーから逃げ続けた。なぜなら、BiSのドキュメンタリーを撮る、これは確実に負け戦になるぞと思ったんですね。BiSについてネットで少し調べるだけで、彼女たちの身に起きたいくつもの騒動を知ることができます。彼女たちの解散ライブのドキュメンタリーを撮るとなれば、そういったエピソードをきれいにまとめあげる必要が生じるし、どうしても、研究員(BiSのファンのこと)やメンバーに向けて、花束を差し出すような解散ドキュメンタリーを作ることになる。そんな『情熱大陸』的持ち上げ方を俺に期待されても困る……いやでも、俺に依頼してくる時点でそれはないだろう……でも、アイドル相手にAV監督の資質を100%発揮するわけにもいかない……こうやって色々と自問自答したんです。で、最終的には逃げようと思っていた(笑)。

カンパニー松尾
カンパニー松尾

―依頼を受けた当時、まだ編集中だった『劇場版 テレクラキャノンボール2013』の完成版を見てもらい、その上でまた改めてオファーを受けたそうですね。

松尾:そうなんです。更に断りにくくなった時にふと思いついたのが、彼女たち六人の解散後の24時間を撮るのはどうかという案。解散ライブのドキュメンタリーって必ず解散したところで終わるけど、解散後って誰も見たことない、と思ったんですね。「今までありがとうございました!」と解散したところから始まる解散ドキュメンタリーがあっても面白いのではないか、と。BiSはメンバーが六人いるので、6カメ必要になるわけなんだけど、僕が信頼できる6カメとなれば、『テレクラキャノンボール』を一緒に作った六人のAV監督になる。とはいえ、彼女たちと面識もなければ、どうせ下調べもしてこないあの人たちに(笑)、「解散の感想を聞いてください」とお願いしてもできるはずがない。じゃあ、彼らを走らせるためのルールを設けるべきだとなり、彼女たちとのハメ撮りを目指す『キャノンボール』形式に辿り着いたんです。

―それにしても、監督たちの、下調べをしてこないっぷりが清々しいですよね。でも、その出たとこ勝負が映画全体の躍動感に繋がっていますね。

松尾:最後まで「ビズはさぁ~」って名前間違えてますから。でもよく知っている人が撮ったら「BiSはやっぱりすごい」で終わってしまったはずなんです。下調べなし、リスペクトのリの字も持たない人たちを彼女たちにブツけることに意義がありました。

―渡辺さんはどうでしたか。マネージャーとしては、さすがに「リスペクトのリの字くらい持って欲しい」という感覚はありませんでしたか?

渡辺:いや、そんなことはなくって、とにかく流れに任せようと思ってましたね。さすがに最低限のところというか、例えば「ビーバップみのるさんは要注意人物だな」とは気付いてましたけど(笑)。ルール会議(劇中で監督たちはルールを決め、「電話番号ゲット=3点」「寝顔撮影=2点」「セミヌード=3点」「ハメ撮り=100点」など、獲得ポイントを競っている。BiSメンバーたちはその事実を知らない)をやらせてもらった時には、正直、怖かったですね。あの人たち、本気でハメるつもりだったから。(バクシーシ)山下さんが「フェラチオの点数も決めておきますか!」なんて言い出すし。ハメ撮られたらハメ撮られたで仕方ないとも思いつつも、底知れぬ不安がありましたね。

渡辺淳之介
渡辺淳之介

―BiSというアイドルは、なにかと「タブーに挑む」というフレーズで語られてきましたよね。今回、そうは言ってもさすがに限界点を超えちゃうんじゃないかという警戒心はありましたか?

渡辺:いやでも、解散したら元BiSですから。公開される時にはBiSじゃないから、大丈夫じゃないかって(笑)。

高根:メンバーたちが撮影を止めてくれと申し出てくる事態になったり、解散ライブという晴れの舞台にマイナス影響を与えることにならないように、とは思いましたね。まぁ、半ばそうなってるんですけど……。でも、リスクばかりを考えたら動けないですから。

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作品情報

『劇場版 BiSキャノンボール2014』

2015年2月7日(土)からテアトル新宿ほか全国で順次公開
監督:カンパニー松尾
出演:
プー・ルイ
コショージメグミ
ヒラノノゾミ
テンテンコ
ファーストサマーウイカ
カミヤサキ
渡辺淳之介
カンパニー松尾
バクシーシ山下
ビーバップみのる
タートル今田
梁井一
嵐山みちる
平澤大輔
配給:SPACE SHOWER NETWORKS INC.

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プロフィール

カンパニー松尾(かんぱにー まつお)

HMJM。本作「BiSキャノンボール」の監督にして、AV業界に〝ハメ撮り〞を定着させたAV監督。「テレクラキャノンボール」シリーズをはじめ、「私を女優にして下さい」「僕の彼女を紹介します」「麗しのキャンペーンガール」など数々の人気作を制作した。その人気はAV業界にとどまらず、音楽や映画など幅広いジャンルのクリエイターから支持を集めている。

渡辺淳之介(わたなべ じゅんのすけ)

株式会社WACK代表取締役。CRAZY音楽プロデューサー。天狗のお面をかぶったバンドthis is not a business、アイドルユニットプラニメ、作家、プロデューサー松隈ケンタのマネージメントを務める。1月中旬に発表したBiSをもう一度始めるというプロジェクト「BiSH」がバズりまくりトレンド1位を記録、現在メンバーオーディション中。続報が待たれる。

高根順次(たかね じゅんじ)

スペースシャワー TV勤務のプロデューサー。本作は、事故で記憶障害を負ったミュージシャンGOMAが復活する過程を描いたドキュメンタリー映画「フラッシュバックメモリーズ 3D」(松江哲明監督)に続き、2作目のプロデュース映画。今夏「私たちのハァハァ」(松居大悟監督)の公開も控える。

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