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M/M(Paris)×浅葉克己 文字を愛する人のタイポグラフィ論

M/M(Paris)×浅葉克己 文字を愛する人のタイポグラフィ論

撮影:西田香織

いま、世界でもっとも刺激的なビジュアルを作るデザイナーは誰か。そう訊ねられて、フランスのデザインユニット「M/M(Paris)」の名前を挙げる人は少なくないはずだ。学友だったミカエル・アムザラグとマティアス・オグスティニアックによって1992年に結成されたこの二人組は、1990年代中盤のヨウジヤマモトとのコラボーレションなどによって、一気にシーンの中心に躍り出た。決してわかりやすくも、受け手に媚びるところもない彼らの作品は、しかしそれゆえにこそ、数々の先鋭的な表現者を刺激。Bjrok、カニエ・ウェスト、Madonnaといったミュージシャン、『VOGUE』『Interview』『Purple Fashion』といった雑誌、ピエール・ユイグ、リアム・ギリックといった現代アーティストまで、まさにジャンルレスな人々との創造的な共同制作を展開してきた。

そんな彼らの過去の傑作ポスターが一堂に会す展覧会『M/M(PARIS) SUGOROKU DE L'OIE』が、4月20日まで、東京・渋谷のパルコミュージアムで開催されている。「スゴロク」をモチーフとして複雑に構成された会場で、メンバーの一人、マティアス・オグスティニアックを迎えたのは浅葉克己。広告史に残る名作ポスター「おいしい生活」「不思議、大好き」(西武百貨店)をはじめとする作品で、日本の広告デザインを牽引してきた第一人者だ。タイポグラフィの研究と実践を活動の中心に据える浅葉の活動は、遠く海を超えた若き日のM/M(Paris)にも影響を与えていたという。彼らの考えるデザインの可能性、とりわけ文字のデザインの重要性とは何なのか? 両者の対談は、出会い頭のハイテンションな写真撮影から始まった。

僕は浅葉さんのように、猿を飼ってもいなければ、卓球の名人でもないけど(笑)、浅葉さんの作品には自分たちと何かしらの共通点を感じているんです。(マティアス)

マティアス浅葉:やあ!

左から:マティアス・オグスティニアック(M/M(Paris))、浅葉克己
左から:マティアス・オグスティニアック(M/M(Paris))、浅葉克己

(挨拶もそこそこに、会場に据えられたクッションの上で思い思いのポーズを取り合う両者。それを見守る取材陣。撮影がひとしきり終わり……)

―すごいテンションですね(笑)。

浅葉:M/M(Paris)の二人とは、もう20年間ほど前から仲良くしているからね。『東京TDC賞』(浅葉が設立した優れたタイポグラフィに与えられる賞)も、彼らは3回受賞しているし。今回の展覧会は「スゴロク」がテーマのポスター展ということだけど、彼らのポスターはもともとのクオリティーが高いので飽きずに見られちゃいますね。よくできていると思いますよ。

マティアス:ありがとうございます。

浅葉:彼らの作品の魅力は、とにかく前衛的なこと。東洋の美術の考え方で「書画同根」というのがありますが、M/M(Paris)の作品はまさにこれ。字も絵もうまいよね。未来のクリエイションをやっているな、と思っていつも見ています。

左から:マティアス・オグスティニアック、浅葉克己

―M/M(Paris)のお二人は、昔から浅葉さんの活動に強い関心を持っていたと聞きましたが?

マティアス:そうなんです。僕は浅葉さんのように、猿を飼ってもいなければ、卓球の名人でもないし(笑)、それにそもそも、フランスと日本は遠く離れた文化圏です。だけど、そうしたことを超えて、浅葉さんの作品には自分たちと近い、何かしらの共通点を感じることができました。その共感自体が、とても驚きだったんです。もう1つ、浅葉さんはよくご自身を被写体にした作品を作っていらっしゃいますよね。実はそのことは、後年になるまで知らなかったのですが、気がつかないうちに僕も同じことをしていたんです(笑)。僕はもともと俳優になりたいと思っていた。その才能がなかったので諦めましたけど、ポスターではよく自分を被写体にしているんです。今回の出品作にも、登場していますよ。

浅葉:そうなんだ。実は僕も、俳優としてスカウトされたことがあるんだよ(自慢気)。

一同:えっ!?(笑)

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イベント情報

M/M(Paris)
『M/M(PARIS) SUGOROKU DE L'OIE』

2015年4月3日(金)~4月20日(月)
会場:東京都 渋谷パルコパート1 3F パルコミュージアム
時間:10:00~21:00(入場は閉場の30分前、最終日は18:00閉場)
料金:一般500円 学生400円
※小学生以下無料

書籍情報

『浅葉克己デザイン日記 2002-2014』
『浅葉克己デザイン日記 2002-2014』

2015年1月7日(水)発売
価格:4,104円(税込)
発行:グラフィック社

プロフィール

M/M(Paris)(えむえむぱりす)

ミカエル・アムザラグとマティアス・オグスティニアックによって1992年に結成された、パリを拠点に活動するクリエイティブユニット。20年以上にわたりファッション、アート、音楽、デザインと多分野において活躍し、象徴的かつ影響力の強いデザイン&アートで世界中の人々を魅了させている。彼らの手掛ける多くの作品でオリジナルのタイポグラフィーを用いられることがあり、表現方法の一つとしてタイポグラフィーの重要性の高さが窺え、2003、2004、2012年度の東京TDC賞(タイポディレクターズクラブ)も受賞。また、ファッション、音楽関係の仕事が顕著で、これまでのコラボレーションワークとして、A.P.C.、Balenciaga、Calvin Klein、Dior Homme、Givenchy、Jil Sander、Loewe、Louis Vuitton、Missoni、Sonia Rykiel、Stella McCartney、Yohji Yamamoto、Yves Saint Laurentなどのビックメゾンやデザイナーが連なる。音楽の分野でも、2013年にグラミー賞の最優秀レコーディング・パッケージ賞を受賞したビョークの『Biophilia』を代表に、ヴァネッサ・パラディ、カニエ・ウェスト、マドンナといった著名アーティストのアルバムアートワークやミュージックビデオを手掛ける他、『Vogue Paris』、『Purple Fashion Magazine』、『Arena Homme+』、『Interview Magazine』等の雑誌のアートディレクションも手掛ける。また、2012年には、活動20周年記念として500ページを越える作品集を出版した。

浅葉克己(あさば かつみ)

アートディレクター。1940年神奈川県生まれ。桑沢デザイン研究所、ライトパブリシティを経て、75年浅葉克己デザイン室を設立。サントリー「夢街道」、西武百貨店「おいしい生活」、武田薬品「アリナミンA」、ミサワホーム「家ではスローにん」等、数々の広告を手がける。民主党ロゴマークを制作。日本アカデミー賞、紫綬褒章など受賞多数。東京ADC委員、東京TDC理事長、JAGDA理事、国際グラフィック連盟日本代表、東京造形大学・京都精華大学客員教授。卓球六段。’08年に21_21 DESIGN SIGHT「祈りの痕跡。」展を開催。同展の空間デザインと出品作品「浅葉克己日記」で2009年ADCグランプリを受賞。

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