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ロマンチックな結婚って?菊池亜希子×臼田あさ美×岨手監督

ロマンチックな結婚って?菊池亜希子×臼田あさ美×岨手監督

インタビュー・テキスト
藤田ひとみ
撮影:永峰拓也

結婚を控えた現代の男女のリアルな価値観を描いたラブストーリー『グッド・ストライプス』。監督は、『ぴあフィルムフェスティバル』などの若手登竜門で評価される岨手由貴子。モデル・女優として活躍する菊池亜希子が大人になりきれない文化系女子・緑を演じ、中島歩演じる都会育ちの草食系男子・真生とのマンネリ状態から、まさかの妊娠判明、そして互いを認め合うまでの過程を丁寧に描いている。育ってきた家庭環境も文化も全く違う二人が次第に認め合っていく様子から感じられるのは、これまでの「結婚」の華々しいイメージとはまた異なる、現代的なロマンスのあり方。今回は、菊池亜希子と岨手由貴子のほか、緑の友人役を演じた臼田あさ美という三人の同世代の女性を迎え、今の時代に合った結婚観を語ってもらった。

※本記事は『グッド・ストライプス』のネタバレを含む内容となっております。あらかじめご了承下さい。

結婚モノのラブストーリーにありがちな「結婚した次の日から人生バラ色」みたいな描き方じゃなくて、私たち世代にとっての「結婚」のロマンティシズムってなんだろう? って思ったんです。(岨手)

―本作は、菊池亜希子さん演じる主人公・緑の妊娠をきっかけに、マンネリ化していたカップルが結婚に踏み切る話です。岨手監督が今作の脚本を書かれたのは、実際にご妊娠される前ですよね?

岨手:そうです。脚本を書き始めたのは、今からもう4年ぐらい前で。撮影の少し前に結婚して、撮影が終わってから妊娠、現在は育児の真っ最中です。

―「結婚」をテーマにした作品を手がけたのは、そういったご自身の環境の変化も大きかったのでしょうか?

岨手:そうですね。この映画を作るきっかけになったのは、「結婚」に対して「本当のロマンチックってなんだろう?」という気持ちがあったからです。いわゆる結婚モノのラブストーリーにありがちな「結婚した次の日から人生バラ色」みたいな描き方じゃなくて、自分の隣にいる人をもうちょっとよく知って、深めていくことこそが、私たち世代にとっての「結婚」のロマンティシズムであり、リアリティーなんじゃないかと思って映画を撮っていきました。


やりたいことを実現している、という印象を私に持ってくださる方もいるけど、緑みたいに、そうじゃない部分もたくさんあるんです。(菊池)

―菊池さんは、最初に脚本を読んだときの印象っていかがでしたか?

菊池:やっぱり、テーマが世代的にドンピシャでしたね。「結婚」や「妊娠」はもちろん、「東京」と「地元」という構図や、微妙な年齢における自己実現の行方など、実際にまわりの友達と日常的に話していることが次々に出てくる脚本で。なにか大きな事件が起こるわけではないけれど、ズシっと心に刺さるような作品だと思いました。だから、「オシャレっぽい雰囲気のカップルの話か」って見られ方をされてしまうともったいなぁ~と。一見オシャレなカップルに見える、その裏の「ダサさ加減」や、二人で生きていくうえでの恥ずかしさ、情けなさが描かれているので、その部分を覗き見してもらいたいなって思うんです。

菊池亜希子
菊池亜希子

―緑は自由奔放な文化系女子として描かれていますが、一方で、葛藤を抱えた人物でもありますよね。彼女の人物像と、監督や菊池さんご自身との共通点はありますか?

岨手:緑と同じく田舎出身であることは、自分を形作るうえでのベースになっているところなので、そのまま描きました。緑は、田舎ではちょっと変わった格好とかして、意思やスタイルを強く持っている人間だとまわりからも思われて、自分自身もそう思って上京したけど……東京にはもっとオシャレな人や、夢を実現している人がたくさんいる。その中でいつの間にか埋もれていって、臼田あさ美さん演じる友人の裕子を応援することで思いを昇華しているという、小さな挫折を抱えているキャラクターなんです。緑の人物像は、私自身とはリンクするところも多いんですけど、菊池さんご自身はやりたいことをちゃんと実現されている方だから……。

『グッド・ストライプス』 ©2015「グッド・ストライプス」製作委員会
『グッド・ストライプス』 ©2015「グッド・ストライプス」製作委員会

―まさに、緑が憧れるような人物ですよね。

岨手:そうそう。緑は夫になる真生からも「心が死んでる」って言われるような女性で(笑)、モデルとしての菊池さんとは、かけ離れているんですよ。だから菊池さんに「緑と共感できる部分ってありますか?」って聞いてみたら、「自分の中にもそういう部分はある」って答えてくれて。それで、私が緑の性格や思考を細かく説明して演出したわけではなく、菊池さんにお任せしちゃった部分が多くありました。いつもの素敵な菊池さんを求めて映画を見ると少しイメージが違うかもしれませんが、女優・菊池亜希子の新たな一面を発見できると思います。

菊池:(笑)。私のことを、自分のやりたいことを形にしている、しっかりしている、という印象を持ってくださる方もいるかもしれないけれど、そうじゃない部分もたくさんあるんです。本当は緑のようにふてくされた表情をしたいときも日常生活の中でたくさんあるんだよ、ということがこの映画には表れているんじゃないかな。

臼田:私は緑の友人の裕子の役ですが、緑に共感する部分はありますよ。ときどき自分を高く見積もってしまうとことか(笑)、そのあと「自分はこんなものなんだ」って思い知らされる瞬間がくることとか。でもそういう経験って、みんなありますよね。この作品は、そういう特別じゃない人が主人公で、だからこそ惹かれたんです。

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作品情報

『グッド・ストライプス』

2015年5月30日(土)から新宿武蔵野館ほか全国で公開
監督・脚本:岨手由貴子
主題歌:大橋トリオ“めくるめく僕らの出会い”
音楽:宮内優里
出演:
菊池亜希子
中島歩
臼田あさ美
井端珠里
相楽樹
山本裕子
中村優子
杏子
うじきつよし
配給:ファントム・フィルム

プロフィール

岨手由貴子(そで ゆきこ)

1983年長野県生まれ。大学在学中、篠原哲雄監督の指導の元で製作した短編『コスプレイヤー』が水戸短編映画祭、『ぴあフィルムフェスティバル』に入選。08年初の長編『マイムマイム』が同フィルムフェスティバルで準グランプリ、エンタテインメント賞を受賞。09年、自身初の35㎜フィルム作品『アンダーウェア・アフェア』を製作。その他、ドラマの脚本執筆やミュージックビデオの監督等、多岐にわたる活躍をしている。

菊池亜希子(きくち あきこ)

1982年岐阜県生まれ。独特の存在感で女優としても注目を集め、2010年映画『森崎書店の日々』(日向朝子監督)で初主演。その後『ファの豆腐』(11 / 久万真路監督)、『よだかのほし』(12 / 斉藤玲子監督)で主演を務めている。また、著書として『みちくさ』『菊池亜希子のおじゃまします 仕事場探訪20人』を刊行。12年から年2回で発売している書籍『菊池亜希子ムック マッシュ』では編集長を務め、累計33万部を超えるヒットシリーズとしてカルチャー好きの男女から強く支持されている。

臼田あさ美(うすだ あさみ)

1984年千葉県生まれ。10代の頃からモデルとして活躍後、ドラマ、映画、CMと幅広く活躍。ラブコメディ『ランブリングハート』(10 / 村松亮太郎監督)で映画初主演を果たし、ひとり二役を演じる。その他の映画出演作に『色即ぜねれいしょん』(09 / 田口トモロヲ監督)、『キツツキと雨』(12 / 沖田修一監督)、『映画 鈴木先生』(13 / 河合勇人監督)、『桜並木の満開の下に』(13 / 船橋惇監督)、『さいはてにて やさしい香りと待ちながら』(15 / 姜秀瓊監督)などがある。

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