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失われたポップスを求めて CittY×高野寛のひねくれ者対談

失われたポップスを求めて CittY×高野寛のひねくれ者対談

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:永峰拓也
2015/07/17

CittYは、1970~80年代の懐かしいポップスの匂いがする4人組のバンドである。新作『AKE NO MYOJO』には高野寛がプロデュースと演奏で参加し、“波打ち際のチェリー”や“真夏の夜の夢のようなもの”といったタイトルからもわかる通りの、夏や海への愛情がたっぷり含まれた楽曲が並んでいる。しかし、このCittYというバンド、どうやらただ王道のポップスを奏でるバンドというわけではなさそうだ。曲名を見ると“売れないバンドマンとつきあっている”なんて曲があったり、アルバムのジャケットも「ウミウシ」が描かれていたり、やっぱりちょっと変……。というわけで、CittYから作詞作曲を担当するベースの岸田小石とボーカルのグミを迎え、高野と共に彼らのポップスに対する想いと、そのひねくれ精神を解き明かしてみた。

CittYを聴いて、失われたポップスを聴いてるような気持ちになったんです。(高野)

―CittYと高野さんは同じスタジオを使っていたという縁もあって、今回のコラボレーションが実現したそうですが、CittYにとって高野さんはどんな存在だったのでしょうか?

岸田(Ba):子どものときにテレビCMを見ていて、「未来の音楽が流れてきた!」と思ったことがあるんです。それが当時スキーウェアのCMソングに使われていた高野さんの“虹の都へ”(1990年)だったんですけど、それぐらい衝撃を受けて。でも高野さんの作品の中で僕が最も影響を受けたのは『カメレオン・ポップ』(2011年)なんです。音楽人としての「清潔感」がにじみ出ていたというか、僕らもそういうものを目指したいと思っていたので、今回、プロデュースをダメモトでお願いしたんです。

高野:『カメレオン・ポップ』に関しては、タイトル通りポップなものを突き詰めようと思って作った作品で、全曲自分でミックスしたソロアルバムはあれが最初で最後なんですよ。集中力がすごいというか、念がこもった作品ですね(笑)。

高野寛
高野寛

―高野さんはCittYの音楽を聴いて、どんなことを感じられましたか?

高野:CittYを聴いて、失われたポップスを聴いてるような気持ちになったんです。というのは、実は僕はJ-POPにあんまり親しみを持てなくて、すごくざっくり言ってしまうと、渋谷系までの日本のポップスとそれ以降で、断絶があるような気がして。はっぴいえんどやティン・パン・アレーが洋楽を消化して日本のポップスに還元して、ニューミュージックみたいなものが生まれた時代から渋谷系までは、引き継がれているものがあったと思うんです。でも、それ以降はよくも悪くも洋楽の呪縛から解き放たれて、日本独自のものになっていったぶん、失われたものもだいぶある気がして。その点、CittYはいい意味で古い(笑)。1970~80年代の匂いがプンプンしていますよね。そういう接点がないと、僕とやってもかみ合わなかったと思います。

―では、高野さんは「J-POP」と言われることにちょっと違和感があるのでしょうか?

高野:さすがにもう慣れましたけど、そもそもJ-POPという言葉はJ-WAVEが開局したときに提唱した言葉らしくて。僕もちょうどその頃にデビューしたんだけど、最初の1~2年はその言葉は定着してなかったはずです。

―CittYもやはり渋谷系以前のポップスがお好きだと思うのですが、それこそ「CittY」というバンド名は、近年のキーワードにもなってる「シティポップ」と関係があるのでしょうか?

岸田:それは若干「しまったなあ」と思っているところで(笑)。もちろん僕らも渋谷系以前の日本の音楽が大好きで、シティポップやニューミュージックをよく聴いてるんですけど、バンド名は「シティポップ」の「シティ」ではないんです。いろいろな意味合いがあって、一番はホンダのCITYっていう車。80年代の日本文化がすごく好きなのですが、CITYはまさにあの頃のオシャレな雰囲気を象徴している感じがして。

高野:あのデザインは秀逸だよね。CITYのカブリオレ(オープンカー)が今でもたまに走っているのを見かけます。

岸田:あと、僕らは田舎者の集まりなので、逆説的な意味での「シティ」という意味もあったり。まあ「シティポップ」も頭の片隅にはあったんですけど。

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リリース情報

CittY 『AKE NO MYOJYO』(CD)
CittY
『AKE NO MYOJYO』(CD)

2015年7月22日(水)発売
価格:1,620円(税込)
WP-003

1. 東京ガール 上京ボーイ
2. 波打ち際のチェリー
3. ハートビートジャーニー
4. 真夏の夜の夢のようなもの
5. 売れないバンドマンとつきあってる
6. 私をディスコに連れてって(Dai!Don!Den!Gaeshi!80'sMix)

イベント情報

『AKE NO MYOJYO』レコ発ツアー

2015年8月5日(水)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:東京都 渋谷LOOP annex
出演:
CittY
UKO
仮谷せいら
西恵利香
i nou vory
料金:前売2,600円 当日3,100円(共にドリンク別)

『流しそうめんと流しバンドの夕べ2015 ~熱いバンドとクールな流しそうめんの夢の競演』
2015年8月16日(日)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:東京都 下北沢 mona records
出演:
CittY
elect-link
HAPPLE
MC:まつもとたくお
and more
料金:前売2,000円 当日2,300円(共にドリンク別)

2015年8月20日(木)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:神奈川 横浜 BAYSIS
出演:
CittY
コアラモード.
ハロー青空トレイン
素晴らしきあの女
宮林愛美
and more
料金:前売2,100円 当日2,600円(共にドリンク別)

『サルシティ Vol.4』
2015年8月29日(土)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 東新宿 真昼の月 夜の太陽
出演:
CittY
サルパラダイス
料金:前売2,300円(ドリンク別)

『夏うらら 私をCittYに連れてって』
2015年9月20日(日)OPEN 17:30 / START 18:30
会場:東京都 青山 月見ル君想フ
出演:CittY
料金:前売2,500円(ドリンク別)

CINRA.STOREで取扱中の商品

CittY 『AKE NO MYOJYO』[トートバッグS]
CittY
『AKE NO MYOJYO』[トートバッグS]

価格:1,944円(税込)
CittYの夏がやってくる! 3rdミニアルバム『AKE NO MYOJYO』発売記念トート

CittY 『AKE NO MYOJYO』[トートバッグL]
CittY
『AKE NO MYOJYO』[トートバッグL]

価格:3,024円(税込)
CittYの夏がやってくる! 3rdミニアルバム『AKE NO MYOJYO』発売記念トートバッグ

リリース情報

高野寛 『TRIO』(CD)
高野寛
『TRIO』(CD)

2014年8月6日(水)発売
価格:3,240円(税込)
SUNBURST, inc. / SBST-005

1. Dog Year, Good Year
2. (それは)Music
3. 2つの太陽
4. See you again(RIO ver.)
5. 一分間
6. Morning Star
7. 確かな光(RIO ver.)
8. Mo i Kai
9. いつのまにか晴れ(2014)
10. On & On(& On)
11. 地球は丸い - A Terra é Redonda
12. ないものねだり
13. Free
14. Nectar
15. 美しい星(RIO ver.)
16. Petala - 花びら

V.A. 『高野寛 ソングブック~tribute to HIROSHI TAKANO~』(CD)
V.A.<br> 『高野寛 ソングブック ~TRIBUTE TO HIROSHI TAKANO~』

2014年8月6日(水)発売
価格:3,024円(税込)
Ultra-Vybe,inc. / OTCD-3872

1. 夢の中で会えるでしょう / 蓮沼執太フィル
2. hibiki / ハナレグミ
3. やがてふる / 高橋幸宏
4. エーテルダンス / ビューティフルハミングバード & 宮内優里
5. 確かな光 / 畠山美由紀+青柳拓次
6. ベステンダンク / 岸田 繁 (くるり)
7. オレンジ・ジュース・ブルース / anonymass with 湯川潮音
8. KAORI / 有里知花 with 宮川 剛・永見行崇
9. 夜の海を走って月を見た / 山田稔明 (GOMES THE HITMAN)
10. See You Again / アンチモン
11. ベステンダンク / おお雨 (おおはた雄一+坂本美雨)
12. All over, Starting over / 浜崎貴司
13. 虹の都へ / トッド・ラングレン

『We Are Here / 高野寛と素晴らしきラリーの仲間たち』
『We Are Here / 高野寛と素晴らしきラリーの仲間たち』

2014年8月6日(土)発売
価格:3,024円(税込)
RALLYE LABEL / RYECD100

1. 夢の中で会えるでしょう / 蓮沼執太フィル
2. hibiki / ハナレグミ
3. やがてふる / 高橋幸宏
4. エーテルダンス / ビューティフルハミングバード&宮内優里
5. 確かな光 / 畠山美由紀+青柳拓次
6. ベステンダンク / 岸田繁(くるり)
7. オレンジ・ジュース・ブルース / anonymass with 湯川潮音
8. KAORI / 有里知花 with 宮川 剛・永見行崇
9. 夜の海を走って月を見た / 山田稔明(GOMES THE HITMAN)
10. See you again / アンチモン
11. ベステンダンク / おお雨(おおはた雄一+坂本美雨)
12. All over, Starting over / 浜崎貴司
13. 虹の都へ / トッド・ラングレン

イベント情報

『CHUBBY 10th Anniversary』

2015年8月22日(土)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 代田橋 CHUBBY
出演:
高野寛
宮川剛

『楽しい夕に 上田映劇ミーティングVol.4』

2015年9月12日(土)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:長野県 上田映劇
出演:
高野寛
畠山美由紀
おおはた雄一

プロフィール

CittY(してぃ)

2009年結成。グミ(vocal,guitar)、岸田小石(bass)、けんたろう(guitar)、森亘(drums)からなる「夏」をメインテーマとして活動する四人組バンド。日常の中に潜むファンタジーを表現する詞の世界、70s80sの和製ポップミュージックをルーツとしながらも、ジャンルレスでドラマチックな新感覚の楽曲、キュートで清涼感あふれる歌声が融合し、リスナーに心地良い風を届ける。

高野寛(たかの ひろし)

シンガー・ソングライター、ギタリスト、プロデューサー。1964年生まれ 1988年ソロデビュー(高橋幸宏プロデュース)。代表曲は「虹の都へ」「ベステンダンク」(共にトッド・ラングレンプロデュース)など。田島貴男(オリジナルラブ)との共作シングル「Winter's tale」を初めとして世代やジャンルを超えたアーティストとのコラボレーションも多い。ギタリストとしてもYMO・TEI TOWAを初めとしたアーティストのライブ・録音に多数参加し、坂本龍一や宮沢和史のツアーメンバーとして延べ20カ国での演奏経験を持つ。2013年10月デビュー25周年を迎え 記念アルバムをブラジル・リオデジャネイロで録音。2013年4月から京都精華大学ポピュラーカルチャー学部・音楽コース特任教授に就任。趣味は写真撮影。最新作『TRIO』を初めとして、何作かのアルバムジャケットの写真も自身による撮影。2014年のブラジル滞在中に撮影した写真と滞在記によるフォト・エッセイ集『RIO』を刊行。

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