特集 PR

現代アートとリサイクルブームの意外な関係 藤元明×佐藤晋哉

現代アートとリサイクルブームの意外な関係 藤元明×佐藤晋哉

インタビュー・テキスト
野路千晶
撮影:田中一人

地球エネルギー資源の枯渇問題が心配される中、巷では「エコ」「リサイクル」といったキーワードが溢れ返り、ここ数年は流行語のようにさまざまなシーンでも使われるようになった。そんな状況に疑問を持ち、自ら「NEW RECYCLE®」というコンセプトを掲げて活動を行うアーティスト・藤元明。彼は伊勢谷友介を中心に環境や社会に根ざした活動を展開するクリエイター集団「REBIRTH PROJECT」の一員でもある。

その藤元が期待する次世代の若手アーティストをキュレーションした展覧会が、渋谷駅に直結し、月に1万人ほどが訪れるカフェ「PUBLIC HOUSE」で開催されている。キュレーションされたのは、CGアニメーション、モーショングラフィックス制作など多岐にわたる活動を行うクリエイター・佐藤晋哉と、この春美大を卒業したばかりという新進美術作家・相澤安嗣志の二名。

アート作品公募プログラム『FUTURE CULTIVATORS PROGRAM』の一環として実施されたこの企画展について、今回はキュレーターの藤元と参加アーティストの一人、佐藤晋哉から話を聞いた。その対話から見えてきたものは、「リサイクル」をテーマにした現代社会に対する問題意識と、これからのアーティストの生き方だった。

壁画をみんなで描くプロジェクトに参加したとき、最後に藤元さんがすべて真っ白に塗りつぶしちゃったんですよ。「これがアートなのか……!?」と、衝撃を受けました。(佐藤)

―今回、藤元さんがキュレーションする展示に、佐藤さんも作品を出品されるわけですが、お二人は共に東京藝術大学のデザイン科出身だそうですね。

藤元:そうです、初めて会ったのは学生の頃でした。

佐藤:僕がまだ浪人生だったとき、藝大の日比野克彦研究室でプロジェクトがあるということを聞いて遊びに行ったんです。「人を癒す」みたいなコンセプトで、みんなで大きな壁画を少しずつ描いていくプロジェクトでした。僕も参加して描いたんですが、そしたら最後に藤元さんがすべて真っ白に塗りつぶしちゃったんですよ。浪人生の僕は衝撃を受けました。「これがアートなのか……!?」みたいな。

左から:藤元明、佐藤晋哉
左から:藤元明、佐藤晋哉

藤元:(笑)。僕はその頃、大学院生だったと思うのですが、たけし君っていう先輩が、壁画に背を向けながら話すキーワードに呼応して、少しずつみんなで描いていくワークショップでした。最後、たけし君が振り返って見た壁画は真っ白だった。

佐藤:真ん中にピンク色で「TAKESHI」とだけ描いてありました(笑)。

藤元:当時は、「上手いこと描いてんじゃねえぞ!」みたいな気持ちだったんでしょうね。予定調和じゃなく「自由に描くとはこういうことでしょ?」と。

佐藤:その後、大学に入学したら藤元さんもたまたま同じデザイン科だったので、「あの白く塗りつぶした人だ!」って、すぐにわかりました。

―これまで、コラボレーションされたこともあったんですか?

藤元:「うなぎパイ」で有名な春華堂という老舗菓子店が、2014年にお菓子をテーマにしたエンターテイメント施設「nicoe」を作った際、REBIRTH PROJECTが子どものためのプレイランドをプロデュースすることになり、僕の所属する会社DGNでインタラクティブな遊具を作ったんですが、その映像部分を佐藤くんにお願いしました。それが、いわゆるお菓子工場とは全然関係ない、むちゃくちゃなストーリーでお菓子ができあがるアニメーションですごく面白かった(笑)。

―佐藤さんのウェブサイトを拝見しましたが、すごくシュールなセンスを持つクリエイターだと感じました。

佐藤晋哉の映像作品

藤元:なんて言うんだろうなあ……。ぜひ実際に観に行ってほしいですね。その映像の中でも特にクリエイティブだと思ったのが、頼んでもいないのに、隠しコマンドみたいな操作をすると見られるボーナストラック的な映像を入れてくれたんですよ。そこで流れる“うなぎパイ音頭”というオリジナル曲も自分で作ってた(笑)。

―頼まれてもいないのに。

佐藤:夜中に一人で布団をかぶって、“うなぎパイ音頭”と“うなぎパイラップ”を録音しました。でも、クライアントにプレゼンするかどうかは迷っていて、浜松に向かう新幹線の中で、藤元さんに「作ってみたんですけど……」って聴かせたんです。「うーん、なるほど」みたいに、イマイチな反応だったんですけど、いざプレゼンとなると「じつは佐藤くんがラップを作っていて、ちょっと発表してもらいます」って急に言い出して(笑)。

藤元:すごいですよ。「うなぎパイパイパイパイ……」っていう、下ネタ系です。

佐藤:うなぎパイは「夜のお菓子」って言われてるんで。

藤元:ちなみに、夜のお菓子っていうのは一人歩きしているイメージで、じつは夜の家族団らんの時間に食べるというのが最初だったそうです。でも違う意味に捉えられて爆発的にヒットしてる。結局プレゼンでは「面白いね」って一発OKでした。同じプロジェクトで音楽を担当したFPMの田中さんも、「リミックスしたい」って言ってくれて(笑)。僕は「すげぇな」って思ったんですよ。頼まれてもいないのに勝手に追加映像を作ってくるサービス精神だけじゃなく、夜中に布団かぶって一人でレコーディングするとか、とにかく面白いものを作るためなら、なりふりかまわない姿勢が。そんな経験も踏まえて、今回、『FUTURE CULTIVATORS PROGRAM』に参加してもらいました。

Page 1
次へ

イベント情報

『“FUTURE CULTIVATORS” PROGRAM #1「NEW RECYCLE®」curation by REBIRTH PROJECT』

2015年7月15日(水)~10月11日(日)
会場:東京都 渋谷 PUBLIC HOUSE
料金:無料(カフェ内のスペースのためオーダーが必要)
主催:サンタフェ ナチュラルタバコ ジャパン株式会社

プロフィール

藤元明(ふじもと あきら)

1975年東京生まれ。東京藝術大学卒業。1999年コミュニケーションリサーチセンターFABRICA(イタリア)に在籍後、東京藝術大学大学院を修了(デザイン専攻)。東京藝術大学先端芸術表現科助手を経て「社会」「エネルギー」「象徴化」などをテーマに様々なメディアを用いて作品を発表している。近年は「社会と戯れる」作品スタイルを確立しはじめている。

佐藤晋哉(さとう しんや)

1980年千葉県生まれ。東京藝術大学デザイン科卒業。モーショングラフィックスを中心に企業VP、イベント映像演出、TVアニメ、ミュージックビデオからバナーまで硬軟織り交ぜつつ活動中。好きな食べ物は ラーメン、そば、うどん。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

LUMINE ART FAIR - My First collection / Art of New York City

10月12日、13日にルミネ新宿で開催する『LUMINE ART FAIR -My First Collection』のために制作された動画。現地アーティスト2名の言葉と、リアルな空気感とともにNYのアートシーンを紹介している。「NY、かっこいい!」という気持ちがムクムク膨れ上がってくるはずだし、アートに触れるきっかけはそれくらいがちょうどいいと思う。(石澤)

  1. 忘却の時代に生まれた明暗。『スター・ウォーズ』と『この世界の片隅に』 1

    忘却の時代に生まれた明暗。『スター・ウォーズ』と『この世界の片隅に』

  2. 『PEANUTS』生誕70周年記念、郵便局限定『スヌーピー』グッズ&切手セット 2

    『PEANUTS』生誕70周年記念、郵便局限定『スヌーピー』グッズ&切手セット

  3. 森七菜インタビュー 巨匠たちを惹きつける純粋さ、聡明さ、心の穴 3

    森七菜インタビュー 巨匠たちを惹きつける純粋さ、聡明さ、心の穴

  4. 中山美穂が新境地 『連続ドラマW 彼らを見ればわかること』第2話紹介 4

    中山美穂が新境地 『連続ドラマW 彼らを見ればわかること』第2話紹介

  5. Chara+YUKIのミニAL『echo』に大沢伸一、Seiho、mabanua、TENDREらコメント 5

    Chara+YUKIのミニAL『echo』に大沢伸一、Seiho、mabanua、TENDREらコメント

  6. 『クロちゃんのモンスターパーク』池袋PARCOで開催、「体毛研究室」初登場 6

    『クロちゃんのモンスターパーク』池袋PARCOで開催、「体毛研究室」初登場

  7. Awesome City Clubが語る、脱退・移籍をバネに大脱皮&飛翔 7

    Awesome City Clubが語る、脱退・移籍をバネに大脱皮&飛翔

  8. 『たなかみさき個展 あ~ん スケベスケベスケベ!!』熊本、広島、渋谷で開催 8

    『たなかみさき個展 あ~ん スケベスケベスケベ!!』熊本、広島、渋谷で開催

  9. 波瑠と成田凌が制服姿 遊川和彦監督『弥生、三月』予告編&ポスター 9

    波瑠と成田凌が制服姿 遊川和彦監督『弥生、三月』予告編&ポスター

  10. 菊池亜希子が渋谷PARCOでお買い物。買う事は、作り手を支える事 10

    菊池亜希子が渋谷PARCOでお買い物。買う事は、作り手を支える事