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「共有」するのがそんなに大事? 門田匡陽が語る時代への違和感

「共有」するのがそんなに大事? 門田匡陽が語る時代への違和感

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:永峰拓也

1月31日、県民共済みらいホールを舞台に、新曲を中心としたセットリストで行われた単独公演『A Place, Dark & Dark - prologue -』で幕を開けた2015年のPoet-type.M(以下、PtM)。一面的な価値観に支配された音楽シーンの現状に「NO」を突き付け、独自路線を打ち出した門田匡陽の方法論は、結果的に今年上半期に起こったいくつかの象徴的な動きとシンクロし、ビビッドに時代を映し出したと言っていいだろう。「夜しかない街=Dark&Dark」を描いたコンセプトミニアルバム4部作の第二弾、「夏盤」にあたる新作『A Place, Dark & Dark -ダイヤモンドは傷つかない-』の充実ぶりも、自身の活動に対する手応えがフィードバックされたもののように思える。

そして、秋に東名阪で開催される『festival M.O.N-美学の勝利-』には、すでに発表されていたPtM、BURGER NUDSに加え、Good Dog Happy Menの出演が発表された(3バンドとも門田がボーカルを務めるバンドである)。2010年6月にBURGER NUDSのメンバーでもある盟友・内田武瑠が脱退して以来となる、オリジナルメンバーでの復活に込められた想いとは? 門田にその真相をたっぷりと語ってもらった。

今って音楽だけじゃなくて、いろんなことがサービス過剰になってますけど、みんながみんなコンビニじゃないんだから、そんな何でも親切にやられたら、馬鹿になっちゃいますよね。

―2015年上半期の活動を振り返って、手応えはいかがでしたか?

門田:やっぱり1月31日の『A Place, Dark & Dark - prologue -』、あのライブが2015年の通奏低音になってるというか、自分たちなりのライブのやり方をちゃんと表現できたと思ってます。つまり、ライブというのは共有することだけがすべてではないっていう。そういうライブのあり方をみんなが感じてくれたと思うので、それが今のところ今年一番の手応えですね。

―ここ数年のフェスをはじめとしたライブの現場に対して違和感を抱えていた人は少なからずいて、今年上半期はいろんなところから声が上がった印象があります。

門田:うん、そういうことを言う人が少しずつ増えてきた気がします。やっぱり、自分がオーディエンスだったらって考えると、ミュージシャンがこっちに寄せてくるのって、すごく嫌なんですよね。僕は小さい頃デヴィッド・ボウイとかPrinceが好きだったけど、彼らはライブでオーディエンスの方まで下りてきて、手を差し伸べてくれるようなアーティストじゃなかった。「俺の表現はこれだ」っていうのをぶつけてきて、それに対して「すげえ」って思ったんです。今って音楽だけじゃなくて、いろんなことがサービス過剰になってますけど、みんながみんなコンビニじゃないんだから、そんな何でも親切にやられたら、馬鹿になっちゃいますよね。

―中でも印象的だったのが、ミスチルが未発表曲を中心としたセットリストでツアーをして、ツアー終了後に新作を発表したことで、言ってみれば、PtMがやったことの拡大版だった。もちろん、ミスチルは客層が広い分、リアクションもさまざまだったと思うんですけど。

門田:あの規模でそういうライブをやるっていうのは、すごい覚悟が要ることですよね。その意味では、PtMのライブに来てくれる人たちは音楽に対して貪欲な人たちが多いと思うから、さっきの話と矛盾しちゃうけど、そういう人たちに寄せたとも言えるのかもしれない。つまり、ミスチルが今年やったような姿勢を常に保って行かないといけないんだって、それを1月31日に改めて思いました。

門田匡陽
門田匡陽

―ただ、決してすべてのフェスやイベントを否定しているわけではなくて、上半期にはsleepy.abやGalileo Galileiとの対バンイベントもありました。そういった場に出て行くときの基準ってあるのでしょうか?

門田:そこはやっぱり最初に話したように、音楽の楽しみ方が「共有」だけではないということ。音楽って、俺にとっては「孤独」なものなんですよね。音楽を一人で聴いてるときに一番の幸せを感じる人間が、そこを無視して「共有が一番」とは口が裂けても言えないんです。そこはこっちも覚悟を決めてやってるから、「それでもいいんだったら出ます」っていう。

―フェスに関してはいかがですか?

門田:「フェスに出たい」って言ってるミュージシャンがいっぱいいるけど、楽屋エリアで酒飲みたいだけの人もいるじゃないですか? そんな物見遊山な気持ちで出てたら、日本のフェスはいつまでたってもよくならない。「あのフェスに出たい」「あの雑誌に載りたい」っていうのを目標にするんじゃなくて、まず最初に考えるべきは音楽そのものだと思うんです。だからフェスに出るんだったら、伝説を作るくらいの気持ちじゃないとダメだし、そういうモチベーションで臨めるフェスには出たいですね。

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リリース情報

Poet-type.M 『A Place, Dark & Dark -ダイヤモンドは傷つかない-』(CD)
Poet-type.M
『A Place, Dark & Dark -ダイヤモンドは傷つかない-』(CD)

2015年7月1日(水)発売
価格:1,620円(税込)
PtM-1031

1. バネのいかれたベッドの上で(I Don't Wanna Grow Up)
2. その自慰が終わったなら(Modern Ghost)
3. 窮屈、退屈、卑屈(A-halo)
4. 神の犬(Do Justice To?)
5. 瞳は野性、星はペット(Nursery Rhymes ep2)
6. ダイヤモンドは傷つかない(In Memory Of Louis)

Poet-type.M 『A Place, Dark & Dark -観た事のないものを好きなだけ-』(CD)
Poet-type.M
『A Place, Dark & Dark -観た事のないものを好きなだけ-』(CD)

2015年4月1日(水)発売
価格:1,620円(税込)
PtM-1030

1. 唱えよ、春 静か(XIII)
2. 痛いな、この光(Ticket To Nowhere)
3. 観た事のないものを、好きなだけ(THE LAND OF DO-AS-YOU-PLEASE)
4. 救えない。心から。(V.I.C.T.O.R.Y)
5. 泥棒猫かく語りき(Nursery Rhymes ep3)
6. 楽園の追放者(Somebody To Love)

イベント情報

『「A Place, Dark & Dark -ダイヤモンドは傷つかない-」インストアライブ』

2015年7月4日(土)START 21:00
会場:東京都 TOWER RECORDS新宿店 7Fイベントスペース

『「Gentry liar from D&D」独演会 Acoustic ver.』

2015年7月5日(日)OPEN 18:00 START 18:30
会場:東京都 原宿 ストロボカフェ
料金:3,000円

『festival M.O.N –美学の勝利-』

2015年9月26日(土)
会場:愛知県 名古屋 APOLLO BASE

2015年10月3日(土)
会場:大阪府 心斎橋 Music Club JANUS

2015年10月24日(土)
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

出演:
Poet-type.M
BURGER NUDS
Good Dog Happy Men
料金:各公演 3,800円(ドリンク別)

プロフィール

Poet-type.M(ぽえと たいぷ どっと えむ)

1980年東京都生まれ。1999年より3ピースロックバンド「BURGER NUDS」のメンバーとして活動。2004年解散。同年、ファンタジックで独創的な世界観を持つツインドラムの4ピースロックバンド「Good Dog Happy Men」を結成。数々の大型フェスに出演し、多くのファンを魅了させるが2010年にメンバーの脱退を受けて活動休止。2011年、門田匡陽として初のソロアルバム『Nobody Knows My Name』をリリース。その後、2013年4月1日よりソロ名義を「Poet-type.M」に変更し活動を再開。2014年6月21日にBURGER NUDS再結成、Poet-type.Mと並行して活動開始。2015年1月31日に独演会『A Place, Dark & Dark - prologue -』を開催。「夜しかない街の物語」というコンセプトを掲げ演奏を披露。そして同コンセプトを反映した4部作となる『A Place, Dark & Dark』を「春夏秋冬」でリリースしていくことを発表し、4月1日はその春盤となる『A Place, Dark & Dark –観た事のないものを好きなだけ-』をリリース。そして、夏盤『A Place, Dark & Dark –ダイヤモンドは傷つかない-』は7月1日リリース。

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