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Ken Yokoyamaの願い「未来を生きる子どもに希望を残したい」

Ken Yokoyamaの願い「未来を生きる子どもに希望を残したい」

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人

「もう時間がないんです」。この日のインタビューの後半で、横山健はそう何度も繰り返した。7月8日に発売された8年ぶりのシングル『I Won't Turn Off My Radio』がオリコンチャートで6位を獲得し、地上波初登場となった『ミュージックステーション』への出演は、その後日談を綴ったコラムも含め、爆発的な反響を呼んだ。現在の横山は、『AIR JAM 2000』の頃のHi-STANDARDすら凌駕すると言ってもいいぐらい、バンドシーンにおけるトップランナーとしての地位を揺るぎないものにしている。しかし、前述の言葉通り、この積極的な活動の背景には今のロックバンドが置かれている状況を何とかして変え、未来の子どもたちの希望になってほしいという切なる願いがあるのだ。

ニューアルバム『Sentimental Trash』には、そんな想いがたっぷり詰まっていると同時に、音楽的にはこれまでのメロディックパンクのイメージを覆す、ロックンロール色の強い作品となっていることも印象的。このある種の原点回帰は使用ギターの変更によって導かれたものだというが、横山自身が音楽に対する無垢な喜びを取り戻すことが、この作品にとって何より重要なポイントだったようにも思う。硬軟織り交ぜた横山健の最新語録から、ロックバンドの魅力を感じ取り、ぜひともライブハウスへ足を運んでみてほしい。

震災があって、東北のために行動したパンクスはすごく多かった。ただ、果たして音楽面でも存在感を示せたのか、注目を浴びたのかというと、そこは必ずしもイコールではないと感じていました。

―昨年CINRAに掲載させていただいたインタビューには、非常に多くの反響がありました。震災以降、健さんに限らず、パンク系のミュージシャンの生き様に多くの人が関心を持ったと思うのですが、ただ、音楽そのものがどこまで届いていたのかというと、そこには疑問符もあったんです。その点、新作『Sentimental Trash』は社会的なメッセージも含みつつ、音楽の面白さ、バンドのかっこ良さをストレートに伝える作品になっていて、とても痛快な気分になりました。

横山:まさに、おっしゃる通りですね。震災があって、東北のために行動したパンクスはすごく多かった。一部のJ-POPアーティストが「私は音楽家だから」って二の足を踏む中で、パンクバンドは確かに存在感を示したと思います。ただ、それが果たして音楽面だとどうなのか、注目を浴びたのかというと、そこは必ずしもイコールではないと感じていました。「ちょっとおかしなおじさんたちが、何かあったときは動いてくれる。でも、普段聴くのはこの人たちの音楽じゃない」っていうのは冷静に受け止めていましたね。もちろん、ライブに来てくれるお客さんは、震災以前よりも高い熱で音楽を求めてくれてますが、その周りで俯瞰してる人たちを引きずり込めたかどうかっていうと、相当疑問でした。

Ken Yokoyama
Ken Yokoyama

―でも、シングル『I Won't Turn Off My Radio』をリリースして、『ミュージックステーション』でその曲を演奏したことは、もっと音楽そのものに、バンドそのものに興味を持ってもらおうという、ある種の号令になったような気がするんです。

横山:そういう気持ちでした。自分の言葉として、スタートの号令を発せられたかなっていう気はしてます。

―『ミュージックステーション』への出演に関しては、その後のコラムも含め、ポジティブなリアクションが多かったそうで、それは健さんにとって意外だったわけですか?

横山:意外中の意外でした。やっぱり不安だったし、悲壮な覚悟……って言うとちょっと大げさですけど、そんな気持ちを持って、どんなことになっても受け入れようと思って出演したんです。そうしたら、思いの外みんな喜んでくれたみたいで、2週間ぐらい居心地悪かったですもん。「俺ってこんなに受け入れられちゃうの?」って(笑)。

―芸能界的な場所にバンドが出ることをかっこ悪いと思う人も中にはいると思いますが、今の時代、そういう見方をする人は昔より減ったっていうことかもしれないですね。

横山:そういうことなんでしょうね。これまでが出なさすぎたのかもしれない。テレビを見ている子どもたちに、果たしてあなたはNMB48みたいに歌って踊れる華やかなグループを目指すのか、三代目J Soul Brothersみたいに歌に特化したいのか、それとも妖怪チン毛ちらし(「横山健の別に危なくないコラム」にて綴った自身の呼び名)のようにロックンロールするのか(笑)、そういう問いかけの選択肢の中に、あの日に限ってはちゃんと自分が立てた気はします。

―あの後にBRAHMANが『The Covers』(NHK BSプレミアムで放送された番組)に出たりもしましたし、パンクバンドがテレビに出ていく流れのきっかけになったような気もします。

横山:求めてくれる人たちに対しては応えられてる。ただ、これからの子たちに対してこの勢いをどう見せるか、「ロックバンドここにあり」っていうのをどうアピールしていこうかっていうのは、TOSHI-LOW(BRAHMAN)と何か話したわけではないですけど、もしかしたら同じようなことを考えてたのかもなあ。

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リリース情報

Ken Yokoyama 『Sentimental Trash』(CD)
Ken Yokoyama
『Sentimental Trash』(CD)

2015年9月2日(水)発売
価格:2,365円(税込)
PZCA-73

1. Dream Of You
2. Boys Don't Cry
3. I Don't Care
4. Maybe Maybe
5. Da Da Da
6. Roll The Dice
7. One Last Time
8. Mama,Let Me Come Home
9. Yellow Trash Blues
10. I Won't Turn Off My Radio
11. A Beautiful Song
12. Pressure Drop

イベント情報

Ken Yokoyama
『Sentimental Trash Tour』

2015年9月25日(金)
会場:東京都 渋谷CLUB QUATTRO

2015年10月6日(火)
会場:長野県 CLUB JUNK BOX

2015年10月7日(水)
会場:石川県 金沢 EIGHT HALL

2015年10月9日(金)
会場:新潟県 LOTS

2015年10月10日(土)
会場:群馬県 高崎 CLUB FLEEZ

2015年10月16日(金)
会場:福島県 郡山 HIPSHOT

2015年10月18日(日)
会場:青森県 弘前 Mag-Net

2015年10月19日(月)
会場:秋田県 秋田 Club SWINDLE

2015年10月21日(水)
会場:岩手県 盛岡 Club Change WAVE

2015年10月22日(木)
会場:宮城県 仙台 Rensa

2015年10月24日(土)
会場:山形県 MUSIC SHOWA Session

2015年12月19日(土)
会場:神奈川県 横浜 Bay Hall

2016年1月20日(水)
会場:岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM

2016年1月21日(木)
会場:島根県 松江 AZTiC canova

2016年1月23日(土)
会場:熊本県 DRUM B.9 V1

2016年1月24日(日)
会場:鹿児島県 Caparvo Hall

2016年1月26日(火)
会場:長崎県 DRUM Be-7

2016年1月27日(水)
会場:福岡県 博多 DRUM LOGOS

2016年1月29日(金)
会場:愛媛県 松山 WstudioRED

2016年1月30日(土)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2016年2月10日(水)
会場:静岡県 清水 ark

2016年2月11日(木・祝)
会場:静岡県 浜松 窓枠

2016年2月13日(土)
会場:大阪府 なんば Hatch

2016年2月14日(日)
会場:愛知県 名古屋 Diamond Hall

プロフィール

Ken Yokoyama(けん よこやま)

1969年東京出身。1991年にHi-STANDARDを結成、ギタリストとして活躍。1999年にレーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」を設立、社長を務める。 Hi-STANDARD活動休止後、2004年にはアルバム『The Cost Of My Freedom』でKen Yokoyamaとしてソロ活動を開始。2011年9月18日にロックフェス『AIR JAM 2011』を横浜スタジアムにて開催、11年ぶりにHi-STANDARDの活動を再開させる。2015年7月には8年4か月ぶりとなるシングル『I Won't Turn Off My Radio』をリリース。そして9月2日、3年ぶりのフルアルバム『Sentimental Trash』を発売。

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