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大沢伸一が語る仕事論「プロであることにこだわる時代ではない」

大沢伸一が語る仕事論「プロであることにこだわる時代ではない」

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人
2015/09/30

もっと多様性のある音楽を聴ける場所を増やしたいんですよね。

―ここ(GINZA MUSIC BAR)のプロデュースに関しては、最初におっしゃっていたように、小林武史さんとの縁もありつつスタートしているわけですよね?

大沢:昔、渋谷にあるTHE ROOM(落ち着いた雰囲気のある隠れ家的クラブ)を沖野(修也)さんと手掛けたりもしてるし、もとから空間プロデュースは好きなんです。その上で、今って街にあまり音楽が流れてないじゃないですか? クラブでは、踊るための音楽しか鳴ってない。ライブハウスは出演してるアーティストを好きじゃないと意味がない。そうじゃなくて、もっと多様性のある音楽を聴ける場所を増やしたいんですよね。

―アナログレコードに対するこだわりはやはり大きいですか?

大沢:アナログレコードって、リスナーが音楽に関わってる実感が持てるものなんですよね。自分が針を落としたところから音楽が始まる。あの衝撃があったから、今自分はミュージシャンになってるんだと思うんです。今の人がそれを味わえてないんだったら、それは可哀想だと思います。アナログレコードに代わるものがあればそれでもいいとは思うんですけど、今のところアナログレコードを超える体験は見つけられてないですね。

大沢伸一

―今って若い人の中で「音楽はタダで聴くもの」という価値観が生まれつつあるとよく言われますが、それも音楽を聴くことに体験が付随してないことが大きな理由かもしれないですね。

大沢:そうなると、音楽がなくてもいい人生になってしまう。でも、人間の心にはやっぱり音楽が必要だと思います。

―そのためには、多様性のある音楽を提示することが重要で、MUSIC BARはそういう場所だし、『SOFA DISCO』のようなイベントも、多様性の提示と言えますよね。

大沢:みんなで一体になることも大事だとは思うんですけど、もともとクラブはカウンターカルチャーで、自由な発想で何かやろうってところから生まれてるわけじゃないですか? そう考えると、クラブがメインストリームなことだけをやっていてはだめだと思うんです。クラブはメインストリームに対するアンチテーゼで、踊ってもいいし、座ってゆっくり聴いてもいい。そういう自由な場所なんです。でも今のクラブはそうじゃない感じがして。なのでクラブ以外のところで自由にダンスミュージックを楽しもうというのが『SOFA DISCO』のコンセプトです。

―ちなみに、TBS『Sing!Sing!Sing!』(ボーカリストコンテスト番組)で審査員をやられていましたが、ああいったメディアへの露出に対しては、どうお考えですか?

大沢:あれはマネージャーからの提案で、僕はそれに乗っかった感じです。正直悩みましたし、変に誤解されたら嫌だと思いましたけど、今はお呼びがかかればもっと出てもいいかなと思ってます。お笑い芸人がものを言う時代ですし、『ワイドナショー』とかに僕も呼んでほしいですけどね(笑)。

『グラミー賞』なんて獲れなくて当たり前ですけど、言葉にしてたら可能性はある。人生を懸けて取り組めば、全く届かなくはないんじゃないかと思ってます。

―大沢さんご自身のアーティスト活動については、現在「CLASSIC meets EDM」というテーマのもと、「A Thousand Tears Orchestra」と「LNOL(Like No One's Looking)」というふたつのプロジェクトが進行中ですね。

大沢:「A Thousand Tears Orchestra」はもう足かけ3年くらいやってるプロジェクトで、ようやく形になってきたかなって。EDMって言ってますけど、ホントの意味の「Electronic Dance Music」というか、もっと言うと「Essential(本質的な) Dance Music」って書きたいぐらいなんですよ。ダンスミュージックとクラシックの要素がどこまで融合できるかというトライアルですね。

―そもそもどこから生まれたアイデアなのでしょうか?

大沢:世界に打って出るときに、言葉の壁がなく、誰もやってないことを探すと、クラシックは意外と進化の余地があると思ったんです。実際には、進化はしてるんですけど、どんどん調性のない、ものすごい複雑なものになってるんですよね。でも、もともとクラシックってそんなものじゃなくて、美しいものであって。その美しさを封印して、奇々怪々なスコアを書いて賞を獲ったとしてもあまり意味がないと思うんです。だって、人々が楽しんでないから。僕はそこを変えたい。会場全体をクラシック+ダンスミュージックで踊らせることができたら、胸がすっきりするでしょ? そういうことがやりたいんです。

―なるほど。今のEDMに対するリアクションとは、まったくの別文脈なんですね。

大沢:まったく別軸です。下手したら、「A Thousand Tears Orchestra」はクラブではやらないかもしれないですしね。今みなさんが言う象徴的なEDMというのは、トップ40の曲を流すことで、僕はもともとそこには興味ないんです。ダンスミュージックとは、ハンズアップすることとかじゃなくて、2時間踊っていられるようなものだと思っているので。

―VERBALさんとピアニストの武村八重子さんとの「LNOL」に関しては、どんなコンセプトがあるのでしょうか?

大沢:LNOLは基本的には武村さんのピアノを後押しするプロジェクトで、クラシックの枠を飛び越えて、芸術性の高いものを、エレクトリックなものとどこまで融合できるかを考えています。これに関しては途中で話をしたように、大きな企業にスポンサードしてもらって動いているので、ひとつのモデルケースとして、より広げて行きたいですね。実は世間的にも認められている大企業のCEOの方は、芸術に造詣が深かったり、芸術を広めたいという欲求の強い方が多いんです。

LNOLとして楽曲を手掛けているCM

―どちらのプロジェクトに関しても、海外に対する意識はかなり高そうですね。

大沢:『グラミー賞』なんて獲れなくて当たり前ですけど、言葉にしてたらきっと可能性があるかと。逆に言えば、言葉にしていかないと辿り着けない。もちろん簡単ではないと思いますが、人生を懸けて取り組めば、全く届かなくはないんじゃないかと思ってます。こうやって口にしてると、面白がっていろんな人がいろんな人を紹介してくれますしね。なので、どんどん周りの人に言ってください。「大沢さん、ビッグマウスで吹いてたよ」って(笑)。

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リリース情報

大沢伸一『OFF THE ROCKER presents SOFA DISCO 15FW』(2CD)
大沢伸一
『OFF THE ROCKER presents SOFA DISCO 15FW』(2CD)

2015年8月26日(水)発売
価格:2,916円(税込)
AVCD-93165/6

[DISC1]
1. On & On / This Soft Machine
2. Summerville / OFF THE ROCKER
3. The Rhythm (Alpines Remix) / MNEK
4. Right Here, Right Now feat. Kylie Minogue (OFF THE ROCKER SOFA DISCO Remix) / Giorgio Moroder
5. BUSH / OFF THE ROCKER
6. Make Me Wanna Dance / TRACE7000
7. Driven / OFF THE ROCKER
8. Hype / Kazuma Takahashi
9. Beggin For Thread (Friend Within Remix) / BANKS
10. Late At Nite (122 VIP) / Thee Mike B, Oliver Dollar, Matthew K
11. Curious (Shinichi Osawa Remix) / Alison Valentine
12. Switch in My Brain (Mitaka Sound Remix) (SOFA RE-DISCO) / SERi
13. Anywhere / Flash Bug
14. My Chesterfield / Mason
15. Love Crime / Jesus
16. MIAMI (SOFA RE-DISCO) / rubyin
17. Fond Memory / Aurient
[DISC2]
1. Summerville / OFF THE ROCKER
2. Right Here, Right Now feat. Kylie Minogue (OFF THE ROCKER SOFA DISCO Remix) / Giorgio Moroder
3. BUSH / OFF THE ROCKER
4. Make Me Wanna Dance / TRACE7000
5. Driven / OFF THE ROCKER
6. Hype / Kazuma Takahashi
7. Late At Nite (122 VIP) / Thee Mike B, Oliver Dollar, Matthew K
8. Curious (Shinichi Osawa Remix) / Alison Valentine
9. Switch in My Brain (Mitaka Sound Remix) (SOFA RE-DISCO) / SERi
10. Anywhere / Flash Bug
11. My Chesterfield / Mason
12. Love Crime / Jesus
13. MIAMI (SOFA RE-DISCO) / rubyin
14.Fond Memory / Aurient

プロフィール

大沢伸一(おおさわ しんいち)

1993年のデビュー以来、MONDO GROSSO、ソロ活動を通じて、革新的な作品をリリースし続けている音楽家、DJ、プロデューサー。クラブサイトiLOUDのDJ人気投票国内の部3年連続No.1(2009~11年)に輝く。世界中のDJ/クリエイターからのコラボやリミックスのラブコールも多い。近年ではAlex Gopher、M-Machine、Bart B More、Mumbai Scienceなどの楽曲をリミックスした。平行して作曲家、プロデューサーとしても活躍。1990年代はUA、Chara、birdなど数多くのディーヴァを手掛け、近年も安室奈美恵、JUJU、AFTERSHOOLなどにそれぞれの新境地となるようなプロデュース楽曲を提供している。また、トヨタ・オーリスやユニクロなど多数のCM音楽を手掛けるほか、アナログレコードに特化したミュージックバーをプロデュースするなど音楽を主軸として多方面に活躍している。

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