特集 PR

シティボーイズが語る「歳をとったコメディアンは、もはや老害」

シティボーイズが語る「歳をとったコメディアンは、もはや老害」

インタビュー・テキスト
土佐有明
撮影:永峰拓也

一流クリエイターからリスペクトを受けるシティボーイズ。16年ぶりに三人だけで芝居に挑む

そう、彼らの周りには常に一流のクリエイターがいた。三木聡、細川徹、天久聖一といった作家が脚本を書き、電気グルーヴや小西康陽やスチャダラパーのSHINCOや高田蓮が音楽を担当。中村有志、ピエール瀧、YOU、五月女ケイ子など、ゲスト出演者も豪華で、多くの実力派が三人の脇を固めてきたのも特筆すべきだろう。だが、今回DVD化される公演は、三人だけで行われた。これはなぜだろう?


きたろう:ファイナルだから、最後はやっぱり三人でやりたいって言ったら、二人とも頑張ってやるよって言ってくれたから。

斉木:大変だったけどね。

きたろう:でも、やってよかった。三人で成り立つことが認識できただけでものすごく嬉しい。

斉木:三人だとね、会話が密なんですよ。三人しかいないという前提のもとに作られた本の方が、会話が妙で面白い。

大竹:それ、今まで参加してくれたゲストに失礼じゃないか。

『シティボーイズ ファイナル part.1「燃えるゴミ」』より
『シティボーイズ ファイナル part.1「燃えるゴミ」』より

斉木:シティボーイズのコアなファンは「三人でやれ」って言うんですよ。

大竹:でも、三人だと大変だったじゃん。

斉木:大変だったよ。本番中にタバコ1本も吸えないからね。公演中に5分くらいは休憩がとれると思っていたら、出ずっぱりだったから。そんなこと初めてだった。ゲストがいると、自分の休憩が10分くらいあるのが楽しみなのに。

きたろう:すごい楽しみだよね。

斉木:途中休憩は得した気持ちになる。

左から:きたろう、大竹まこと、斉木しげる

観客はまだまだコントを見たい。しかし、なぜ三人は終わりを見据えているのか?

今回のタイトル、「ファイナル」と銘打っているものの、「part1」と謳っているのが気になるところ。part1ということはpart2もあるのか? とうがちたくなるのだが、彼らは「同時代性のない表現には興味がない。だから歳をとった俺らはもう終わりなんだ」と言う。ファンからすると、歳を重ねたらこその円熟味というものもあるのではないか? と思ってしまうのだが、それは否定されてしまった。

―コントをやる上で、歳を重ねたことがプラスに作用する面もあるのではないでしょうか?

きたろう:ないね。

斉木:あまりない。

大竹:歳とったらだめだよ。コメディアンだからさ。役者さんなら歳とってよくなってくる人もいるだろうけど。あと、ボケはいいけど俺みたいなツッコミはねえ。キレだから、ツッコミは。間をひとつ間違ったらおしまいなんだよ。若い時の方がいい加減でもなんとかなった。

―衰えてもやる姿をお客さんに見せることは何かしら意義があると思いませんか?

大竹:そこがわからないところで……。コメディアンは時代と添い寝するものだから、ある時代とともに終わっていくのが当たり前でさ。自分が時代とずれてきてるんじゃないかっていう恐怖がすごいあるわけね。同じツッコミでも間がワンテンポ遅れたら、ああもうだめなんじゃないかって思っちゃう。だからこそ、余計に今回の最後の舞台は愛おしかった。もうあとがないのが分かってるからね。前は「このセリフは適当でも乗り切れるだろう」くらいに思ってたところもあったけど、近頃は一つひとつのセリフをああでもないこうでもないって頭の中でひねってみたり、色々なことしちゃったね。終りが近いせいか、追い詰められながらも楽しめたというか。要するに、まだ許されるだろうっていうギリギリのところでやってたから。

大竹まこと

―「ファイナルpart.1」となっていますが、「part.2」はあるのでしょうか?

大竹:うーん……70才とか80才になって、すごい芝居ができるという希望があれば別だけど、ただ衰えていく姿を晒すだけじゃ老害だろうっていう気持ちが強いよね。

斉木:笑いは客観的視点を持っていないと表現できないと思うけど、同時に今という時代を切り取る感性が必要ですからね。

きたろう:かっこいい時にやめたいっていうのはどうしてもあるよね。もっと観たいという人もいるけど、老いて情けない姿を見てお客さんが喜ぶとはあまり思えない。

斉木:歳とった役者で、すごい人いるけどね。

きたろう:だから役者は違う。

斉木:役者はいいのか。

きたろう:そう。別に役者やめるって一言も言ってないから。

大竹:役者とコメディアンは違うからな。役者は日常を晒さずに生きようと決めればそれが出来るけど、コメディアンは無理。時代の中で生きていくものだからさ。

Page 2
前へ 次へ

リリース情報

『シティボーイズ ファイナル part.1「燃えるゴミ」』(DVD)
『シティボーイズ ファイナル part.1「燃えるゴミ」』(DVD)

2015年10月28日(水)発売
価格:5,076円(税込)
COBM-6807

[収録内容]
・舞台本編映像
・舞台特別映像
・シティボーイズスペシャルインタビュー

プロフィール

シティボーイズ

大竹まこと、きたろう、斉木しげるによるコントユニット。1979年結成。1981年から『お笑いスター誕生!!』に出場し、10週勝ち抜きでグランプリを獲得する。1980年代から定期的にコントを上演してきた。定型に陥ることを周到に避け、コントに新鮮な風を送り続けてきた彼ら。まさに、コントをアートにまで高めたといっても過言ではない。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

あらかじめ決められた恋人たちへ“日々feat.アフロ”

何かを我慢することに慣れすぎて忘れてしまいそうになっている「感情」を、たった10分でこじ開けてしまう魔法のようなミュージックビデオ。現在地を確かめながらも、徐々に感情を回転させていくアフロの言葉とあら恋の音。人を傷つけるのではなく、慈しみ輝かせるためのエモーションが天井知らずの勢いで駆け上がっていった先に待ち構えている景色が、普段とは違ったものに見える。これが芸術の力だと言わんばかりに、潔く堂々と振り切っていて気持ちがいい。柴田剛監督のもと、タイコウクニヨシの写真と佐伯龍蔵の映像にも注目。(柏井)

  1. 星野源、ドラマ『着飾る恋には理由があって』主題歌“不思議”ジャケ公開 1

    星野源、ドラマ『着飾る恋には理由があって』主題歌“不思議”ジャケ公開

  2. くるり・岸田繁と君島大空の共鳴するところ 歌と言葉とギターの話 2

    くるり・岸田繁と君島大空の共鳴するところ 歌と言葉とギターの話

  3. Honda新型VEZELのCMに井浦新、玉城ティナ、Licaxxxら 楽曲は藤井 風が担当 3

    Honda新型VEZELのCMに井浦新、玉城ティナ、Licaxxxら 楽曲は藤井 風が担当

  4. Puzzle Projectとは?YOASOBIの仕掛け人と3人の10代が語る 4

    Puzzle Projectとは?YOASOBIの仕掛け人と3人の10代が語る

  5. 君島大空が照らす、生の暗がり 明日を繋ぐよう裸の音で語りかける 5

    君島大空が照らす、生の暗がり 明日を繋ぐよう裸の音で語りかける

  6. 今泉力哉と根本宗子が決めたこと ちゃんと「面倒くさい人」になる 6

    今泉力哉と根本宗子が決めたこと ちゃんと「面倒くさい人」になる

  7. パソコン音楽クラブが語る「生活」の音 非日常下で見つめた自然 7

    パソコン音楽クラブが語る「生活」の音 非日常下で見つめた自然

  8. サブスク以降のバンド活動 97年生まれ、Subway Daydreamの場合 8

    サブスク以降のバンド活動 97年生まれ、Subway Daydreamの場合

  9. Huluの映像クリエイター発掘&育成企画『HU35』発足の理由とは? Pが語る 9

    Huluの映像クリエイター発掘&育成企画『HU35』発足の理由とは? Pが語る

  10. 「日本が滅びても残る芸術を作りたい」平田オリザ×金森穣対談 10

    「日本が滅びても残る芸術を作りたい」平田オリザ×金森穣対談