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自由奔放なさかいゆうに完敗 極上ポップスの裏にある本音を語る

自由奔放なさかいゆうに完敗 極上ポップスの裏にある本音を語る

インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
撮影:豊島望
2015/10/19

人はひとりで生まれて、ひとりで死んでいくじゃないですか。貧乏なのか、金持ちなのか、大差ないと思いますよ。

―カップリングの“WALK ON AIR”は、渡辺シュンスケさん(Schroeder-Headz)が作詞してますよね。シュンスケさんは一般的にはピアノ弾きのイメージが強いと思うんですけど、なぜ歌詞を書いてもらったんですか?

さかい:シュンちゃんはcafelonというバンドでボーカルをやっていて、ちょっと情けない歌詞を書くんです。それがすごい好きなんですよね。生き様が全部歌詞に出ているんですよ。もちろんピアノにも出てますけど。シュンちゃんは、完全に酒に飲まれる人で。ずーっとワインを飲んでて、ふらふらになって、僕が「シュンちゃん、吐いたほうがいいんじゃない?」って言うと吐きに行くんですけど、戻ってきたら「赤ワイン、グラスで」ってまた注文する(笑)。かわいい人ですね。

―もともとシュンスケさんとはどういったつながりなんですか?

さかい:12~13年くらい前、スタジオミュージシャンをやっていた頃に、同じバンドをサポートしました。

―そんな古い付き合いだったんですね。前回のインタビューで、コラボ相手には高いハードルを課すという話をしてましたけど、今回はどんな感じでコラボしたんですか?

さかい:もともと歌詞まで書いていた曲だったんですけど、自分とは違う温度がほしくなって、自分の歌詞を全部捨てたんです。それでシュンちゃんにお任せして、もともとの歌詞も渡さず、自由に書いてもらいました。ちょっと失礼な話ですけど、シュンちゃんの情けないんだけど核心を突いている感じが自分にはない要素で。

―さっき言っていた「死なないゲーム」的な意味では、すごく共通してる部分があるなと思いました。<大事なことは愛とhumorさ>と歌っているところとか。

さかい:そうなんですよ。人はひとりで生まれて、ひとりで死んでいくじゃないですか。貧乏なのか、金持ちなのか、僕は大差ないと思いますよ。何兆稼ごうが、全部置いて死んでいくわけでしょ。生きている間は、「金持ちになりたいな」「貧乏は嫌だな」とか、いろいろ思うかもしれないけど、持っているオプションが違うだけの話で、生きていたらこっちのものですからね。

―金持ちでも自殺する人はいっぱいいますからね。

さかい:たくさんいますよ。うちの家族はお金持ちじゃないですけど、幸せそうですからね。お金がいらない人もいるんですよ。

―そういう意味では、音楽をやるモチベーションは、好きなことができれば保てる?

さかい:ここまでしゃべって金だったらヤバいですよね(笑)。本当に、楽しく、死なずに、生きていくゲームですね。何かを残したいという気持ちになるのは、やっぱり怖いからだと思うんですよ。でも、死んだら別に何も残らないし、死んだ後の印税なんて触れることもできないじゃないですか。だから、生きてる間に楽しいことをしたい。僕は、1979年に生まれた意味が何かあるなと思うんですよね。この時代の人たちと楽しくやれって言われているのかなって。


世のなかで個性的でいいと言われている人は、個性的じゃない部分を90%くらい持っている人だと思うんです。

―3曲目にはORIGINAL LOVEの“接吻”のカバーが収録されていますけど、これこそ1979年に生まれた意味がある作品ですよね。1993年リリースなので、さかいさんが14歳の頃の曲。

さかい:“接吻”は発売された当時からすごい好きで、前から歌いたかったんですよね。この時代だと“接吻”とか、槇原敬之さんの“北風”とかは、いまだに好きですね。思想が好きとか、言葉が好きとかじゃなくて、脳天にビリッと走るというか、心で記憶している感じというか。それを後で理論的に紐解いてみたら、よく自分が使うコードを弾いていたり、好きなリズムだったりして。

―それは興味深い発見ですね。

さかい:たぶん僕は、ソウルやジャズを聴く前から、ソウルやジャズが好きだったんでしょうね。今回のカバーは、自分を振り返るというか、自分のなかを旅しているような感覚もあります。あと、カバーって、僕は原曲を歌った本人に向けて発信しているところがあるんですよ。「どうすか、これ?」みたいな。そういう意味ではうまくいったなと思いますね。このあいだテレビ番組で、ご本人の前で“接吻”を歌う機会があったんですけど、めっちゃ盛り上がってくれました。

―何か言われましたか?

さかい:自分じゃ言いづらいですけど、まぁ絶賛でしたね(笑)。「さかいくんと自分の声も全然違うし、リズムの解釈も違うんだけど、同じツボを持ってる」みたいなことを言ってもらいました。

―さかいさんはカバーをたくさんされてますけど、意識していることは?

さかい:もらったからお返しをしている感覚ですかね。できればたくさん売って、田島貴男さんに印税を持って行ってもらいたい(笑)。“接吻”はいろんな人にカバーされていて、誰でも知っている曲かもしれないですけど、もう1回好きになってもらえたらいいなって。「やっぱり“接吻”っていい曲だよな、ORIGINAL LOVEの原曲も聴いてみようかな」と思ってオリジナルも買ってもらえたら最高じゃないですか……あ、ORIGINAL LOVEのニューアルバム(『ラヴァーマン』)、すごくいいんですよ。とても個性的なんだけど、何回も聴けるアルバムを作られるなと思って。それってすごいことだと思うんですよね。

―CINRAに掲載している田島さんのインタビューでは、「わかりづらいポップスを作りたい」「スタンダードとして残る曲は、謎が隠されていて、その謎はきっと人間の本性みたいなもの」とおっしゃっていました。

さかい:あー、わかりやすかったら飽きちゃいますからね。でも、わかりやすい部分も必要なんですよね。それはマスを意識しているわけじゃなくて、わかりづらい音楽だけを好きな人に対しても、80%くらいはわかりやすい部分がないと疲れちゃうんですよ。でも、そのなかでゴリッとした最後のひと工夫みたいなのが個性で。要するに完璧にオリジナルだったら、誰も理解できない現代音楽になっちゃう。だから、世のなかで個性的でいいと言われている人は、個性的じゃない部分を90%くらい持っている人だと思うんです。

さかいゆう

―確かにそうかもしれないですね(苦笑)。

さかい:みんなに愛されるっていうのは、個性的じゃない証拠だから。そこのバランス感覚が大事だと思うんですよね。だから僕は、「オリジナリティー」という言葉が、ちょっと恥ずかしいんです。どんなギンギンのレイヴも、どんなオーガニックな音楽も、本当は全部親がいるわけだから。

―さかいさんにとって、「こういうポップスを作りたい」という理想はあるんですか?

さかい:どうでしょう……毎回作っているつもりではあります。でも、田島さんの「わかりづらいポップスを作りたい」って、いい言葉ですね。うまいこと僕が言ったことにしてください(笑)。

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リリース情報

さかいゆう『ジャスミン』初回限定盤(CD+DVD)
さかいゆう
『ジャスミン』初回限定盤(CD+DVD)

2015年10月21日(水)発売
価格:1,900円(税込)
AUCL-187/8

[CD]
1. ジャスミン
2. WALK ON AIR
3. 接吻
4. ジャスミン(backing track)
[DVD]
『さかいの湯 Vol.3“さかいゆうといっしょ”スペシャル』
1. 薔薇とローズ with Little Glee Monster
2. How Beautiful with 土岐麻子
3. シロクジ with KOHEI JAPAN
4. Magic Hour with RHYMESTER
5. 闇夜のホタル with 日野皓正

さかいゆう『ジャスミン』通常盤(CD)
さかいゆう
『ジャスミン』通常盤(CD)

2015年10月21日(水)発売
価格:1,300円(税込)
AUCL-189

1. ジャスミン
2. WALK ON AIR
3. 接吻
4. ジャスミン(backing track)

イベント情報

さかいゆう『TOUR 2015“ジャスミン”』
さかいゆう
『TOUR 2015“ジャスミン”』

2015年11月30日(月)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:福岡県 DRUM Be-1
料金:4,860円(ドリンク別)

2015年12月2日(水)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:大阪府 サンケイホールブリーゼ
料金:5,400円

2015年12月7日(月)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
料金:4,860円(ドリンク別)

2015年12月10日(木)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:北海道 札幌 cube garden
料金:4,860円(ドリンク別)

2015年12月19日(土)OPEN 16:30 / START 17:00
会場:東京都 中野サンプラザホール
料金:5,400円

プロフィール

さかいゆう

2009年にシングル『ストーリー』でデビュー。2014年は話題の楽曲“薔薇とローズ”収録の3rdアルバム『Coming Up Roses』がオリコンデイリーチャート5位にランクインした他、映画『LOVE SESSION』で初主演も果たし話題を集める。11月には初の中野サンプラザホールを含む大阪・東京でのスペシャルライブも開催。唯一無二の歌声と、SOUL・R&B・JAZZ・ゴスペル・ROCKなど幅広い音楽的バックグラウンドをポップスへと昇華させるサウンドが魅力の男性シンガーソングライター。2015年10月21日に6枚目のシングル『ジャスミン』をリリース。

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