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「大人のせいで世の中こうなった」19歳メガホンズが訴える絶望

「大人のせいで世の中こうなった」19歳メガホンズが訴える絶望

メガホンズ『コドモ・フルコース』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:永峰拓也

聴いてくれる人に、世の中で起こっていることを他人事だと思ってほしくない。指差して、「てめえのせいで世の中こうなっちまったんだよ!」って言いたい。(泰平)

―「大人」という言葉が出ましたけど、今回リリースされる作品のタイトルは『コドモ・フルコース』で、「子供」という言葉が冠されている。「自分たちは子供であり、敵わない大人が存在しているんだ」という実感は、やはりこの作品にも普遍的なものとして強く出ていますよね。

泰平:そうですね。僕らは今年19歳で、世間的に見れば子供でいられる最後の歳じゃないですか。でも、年齢的に大人になったら反抗心はなくなるのかなって考えたら、そうではなくて。僕らが言う「大人」って、「社会」なんですよ。でも「社会」という言葉を使ってしまうと、聴いている人に他人事だと思われそうだと思ったんです。僕は聴いてくれる人に、世の中で起こっていることを他人事だと思ってほしくない。「大人」って指差して、「てめえのせいで世の中こうなっちまったんだよ!」って言えば、「あ、自分のことかな」と思ってドキッとするじゃないですか。僕らが「子供」って指差して言われると、ドキッとするのと一緒で。

―メガホンズが今見えている「大人」って、具体的にどんなものですか?

泰平:上に立って僕ら下層の人を牛耳っている政治家や官僚だったり、文字通り親だったり、犯罪が起こっても、それを揉み消したりリークしたりする犯罪者だったりメディアだったり……いろんな大人がいると思います。それは、曲によって対象が変わりますね。

―じゃあ、『コドモ・フルコース』に収録された曲の中から、具体的に例を挙げて説明してもらうことはできますか?

泰平:例えば、2曲目の“青いリンゴ”は、路地裏でレイプされた人と、その犯人の話なんです。青いリンゴって、食べないと青リンゴなのか熟していないだけのリンゴなのかわからないじゃないですか。食べた女が、普通のリンゴだったのか、果たしてそうではないのか……ということを描いています。この曲の中で、最終的に青いリンゴのジレンマにかかったのは、女も男も、どっちもなんです。やられたことによって、女が他の快感に目覚めてしまったり、極端な話、犯人を殺してしまうかもしれない。最終的に殺してしまったバカな女と、殺されてしまったバカな男……そういう人間臭いものを描いた曲で。

―自らが犯した罪によって身を亡ぼす愚かしさや、一元的ではない被害者と加害者の関係性を描いているんですね。

泰平:あと、3曲目の“Understanding Child”は純粋な子供目線の曲で、感覚としてはニュースを見ている子供の気持ちですね。「また大人がバカなことやってるな~。俺の方がよっぽど世の中のことを知ってるのにな~」って、世間知らずなんだけど、知った気になっている子供の気持ちの歌なんです。子供の方が意外と、大人に対して「また子供みたいなことしちゃって~」って思っていたりするものだと思うんですよね。

泰平

―「大人」という名のもとに、そんなにも世界の歪みとか汚い部分が見えてしまう原因って、何だと思いますか?

泰平:僕の家は、小さい頃に親父が蒸発して。その原因は、当時の雇い主に借金を担がされたからなんです。まぁ他にも母親とのトラブルもあったみたいなんですけど。そういうことがあったから、「大人っていうのは信用ならないものなんだ」と小さい頃から実感してきたんです。それで、性根からもう腐ってしまったというか……大人を疑いの目で見るようになったんですよね。

―それが処世術だったんですね。

泰平:僕は今、キャバクラでボーイのアルバイトをしているんですけど、未だに、お客さんをパッと見て「あ、この人は結婚しているんだな」とか、「どんな財布使っているのかな」とか、見ちゃいますからね。それはもう、色んな人に対しての疑心暗鬼な気持ちが小さい頃から根づいてしまっているからだと思うんです。そうやって人の裏の裏をかくようなことを10年以上本能的に続けてきた結果、曲にもそれが表れるようになったんだと思います。

いっそのこと、また戦争をやっちゃって、その先の70年がまた平和になったら、それでいいじゃんと思って。(泰平)

―もうひとつ曲の話をすると、4曲目の“愛を込めて戦争を~Luv&Peace&War~”では、今日本が直面している問題に対して明確な言葉を歌っているのかなと思ったんですけど、どうですか?

泰平:この曲は、僕自身が世の中を初めて認めることができた曲なんです。日本で戦争が終わって70年が経った今、またいつ起こるかわからない状況じゃないですか。上京してきて、8月15日の靖国通りを目の当たりにして、「戦争反対」と書いたビラを配っているおばちゃんに「あなたに関わることなんですよ」って言われて……そのときに、「もう、いいんじゃない?」って思ったんです。

―「いいんじゃない」って?

泰平:70年間も平和を守ってくることができたのに、今、どうしてまた戦争を始めそうなのかを考えたら、誰も戦争の本当の恐怖や痛みを知らないからだと思うんですよ。だって、戦争の恐怖を頭の奥底でわかっている僕らのおじいちゃんおばあちゃんの世代は、もうほとんど死んじゃったから。今、「戦争は怖いことだからダメなんだよ」って言っているほとんどの人たちも、その本当の怖さは知らないわけですよね。そんな中で戦争に対して賛成・反対って言っていても、そもそも議論が進まない気がするんです。だとしたら、いっそのこと、また戦争をやっちゃって、その先の70年がまた平和になったら、それでいいじゃんと思って。

―例えば、今、率先して反戦的な考え方を持ちながらデモ活動などを行っているSEALDsのメンバーなんかは20代前半くらいで、年齢的にメガホンズと近いですよね。彼らのような人たちの活動を見て思うことはありますか?

泰平:もちろん、デモ活動自体は意見の提示であって、発言の自由だから好きにすればいいと思います。でも、「あんたらに何がわかるの?」っていうのが僕の率直な意見ですね。「戦争反対」とか言っている人らだって、昔のことは知らないじゃないかって。学校で戦争教育は受けてきたけど、戦争体験のリアルな話を聞けるのは、世代的に僕らが最後くらいだと思うんです。修学旅行で沖縄に行ったときに、戦争体験者の話を僕は聞けなかったけど、Mohは聞けたんだっけ?

Moh:うん、僕は聞けた。

Moh

泰平:やっぱり、ギリギリのラインなんだと思う。「じゃあもう、僕らが戦争どうこう言える立場じゃないじゃん」って気持ちが僕にはあるんです。だから、大勢に向けて叫ぶのではなくて、もっと一人ひとりの胸ぐらを掴んで「あんたはどうなの?」って言いたいんですよね。その方法として「大人」という言葉で指差しているんです。それに、普段から怒っている人って、意外と大事なところで怒らなかったり、大事なことに気づかなかったりすると僕は思っていて。普段優しい人にこそ裏があると思う。自分自身がそうだし。だから、僕はデモ活動をやっている人たちのことは、そんなに気にしてはいないです。

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イベント情報

『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume81』

2015年11月26日(木)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
どついたるねん
odol
ヘンショクリュウ
Emerald
メガホンズ
料金:無料(2ドリンク別)
※会場入口で音楽アプリ「Eggs」の起動画面を提示すると入場時のドリンク代無料

リリース情報

メガホンズ『コドモ・フルコース』
メガホンズ
『コドモ・フルコース』(CD)

2015年12月4日(金)発売
価格:500円(税込) ライブ会場限定販売

1. THE LOVE
2. 青いリンゴ
3. Understanding Child
4. 愛を込めて戦争を~Luv&Peace&War~

イベント情報

『メガホンズ1st E.P.『コドモ・フルコース』Release Tour「コドモ・フルツアー」』

2015年12月4日(金)
会場:東京都 下北沢 DaisyBar

2015年12月7日(月)
会場:東京都 両国 SUNRIZE

2015年12月11日(金)
会場:沖縄県 那覇 Cyber-Box

2015年12月13日(日)
会場:北海道 苫小牧 ELLCUBE

2015年12月14日(月)
会場:北海道 札幌 Spiritual Lounge

2015年12月20日(日)
会場:東京都 両国 SUNRIZE

2015年12月21日(月)
会場:宮城県 仙台 MACANA

2015年12月22日(火)
会場:石川県 金沢 vanvanV4

2015年12月23日(水・祝)
会場:福井県 CHOP

2015年12月24日(木)
会場:新潟県 GOLDENPIGS BLACK STAGE

2015年12月29日(火)
会場:福井県 HALLBEE

2015年12月30日(水)
会場:東京都 両国 SUNRIZE

2016年1月8日(金)
会場:岡山県 CRAZYMAMA2nd room

2016年1月9日(土)
会場:高知県 X-pt

2016年1月10日(日)
会場:香川県 高松 DIME

2016年1月11日(月・祝)
会場:徳島県 GRINDHOUSE

2016年1月18日(月)
会場:東京都 渋谷 aube

2016年1月23日(土)
会場:岩手県 盛岡 CHANGE WAVE

2016年1月24日(日)
会場:福島県 いわき SONIC

2016年1月25日(月)
会場:東京都 新宿 JAM

2016年1月30日(土)
会場:山口県 岩国 RockCountry

2016年1月31日(日)
会場:島根県 出雲 APOLLO

2016年2月1日(月)
会場:大阪府 心斎橋 火影

2016年2月2日(火)
会場:愛知県 名古屋 HACK FINN

2016年2月4日(木)
会場:東京都 立川 BABEL

2016年2月5日(金)
会場:栃木県 宇都宮 HELLO DOLLY

2016年2月6日(土)
会場:秋田県 swindle

2016年2月11日(木・祝)
会場:群馬県 SUBURST

2016年2月12日(金)
会場:山梨県 KAZOOHALL

2016年2月13日(土)
会場:兵庫県 神戸 BLUEPORT

2016年2月14日(日)
会場:福岡県 小倉 FUSE

2016年2月15日(月)
会場:福岡県 qublick

2016年2月18日(木)
会場:大阪府 梅田 zeela

2016年2月19日(金)
会場:大阪府 堺 goith

2016年2月25日(木)
会場:愛知県 栄 R.A.D

2016年2月26日(金)
会場:滋賀県 B-FLAT

2016年2月27日(土)
会場:広島県 尾道 B×B

2016年2月28日(日)
会場:長崎県 DO!

2016年3月3日(木)
会場:京都府 MOJO

2016年3月4日(金)
会場:京都府 GROWLY

2016年3月5日(土)
会場:三重県 鈴鹿 ANSWER

2016年3月6日(日)
会場:長野県 club JUNK BOX

2016年3月7日(月)
会場:東京都 八王子 MatchVox

2016年3月9日(水)
会場:千葉県 LOOK

2016年3月10日(木)
会場:千葉県 稲毛 K'S DREAM

2016年3月11日(金)
会場:神奈川県 横浜 B.B.STREET

2016年3月12日(土)
会場:東京都 新宿 ACB

2016年3月13日(日)
会場:埼玉県 北浦和 KYARA

2016年3月18日(金)
会場:埼玉県 越谷 EASYGOINGS

2016年3月21日(月)
会場:東京都 新宿 ANTIKNOCK

プロフィール

メガホンズ
メガホンズ

全員が1996年生まれ。2013年1月、当時高校1年生だったMoh(Ba,Cho)が泰平(Vo,Gt)に声をかけて結成。同年8月、番長(Dr)が加入し現体制に。「心の声を大にして」というモットーで「メガホンズ」と泰平が命名。2015年4月、高校卒業と同時に地元福井を離れて上京。今や関東だけでなく全国へとその活動拠点を広げつつある。ロックンロールやブルースを基調とながらも、様々なジャンルを柔軟に織り交ぜた楽曲、社会や大人への憤りがあふれた歌詞、そして爆発的なライブで、着々と日本を斡旋している。2015年12月、1st E.P.『コドモ・フルコース』をリリース。『コドモ・フルツアー』として、合計50本の全国ツアーを慣行する。

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