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KAGEROインタビュー トレンドになったジャズ×ロックの先駆者

KAGEROインタビュー トレンドになったジャズ×ロックの先駆者

KAGERO『KAGERO V』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人

ループ感がある時点で、この人(白水)にとっては革新的なんですよ。「こんなにベースのリフ少なくていいんですか? ライブでこれずっと弾くんですよ? 満足しますか?」って(笑)。(萩原)

―では、『KAGERO V』について訊かせてください。『KAGERO IV』からは、セッションから曲を固めるのではなく、白水さんが曲の全体像を作るやり方に変わったそうですが、今回ものその延長だったのでしょうか?

白水:そうですね。今回は結構時間がなかったんですよ。前作を出したのが去年の10月で、ツアーファイナルが今年2月の新宿ロフトで、僕はそこからI love you Orchestraもやってたから……。

―I love you Orchestraは今年だけで2枚アルバム出してますもんね(笑)。

白水:だから、9月にKAGEROのレコーディングをするのは決まってたんですけど、6月にアメリカツアー行った段階ではまだ4曲くらいしかなかったのかな。前作のセットリストを塗り替えられるものを作りたいと思って、自分の中でハードルをめちゃめちゃ上げちゃったせいで、50曲くらい作ったんじゃないかな。

―そのハードスケジュールの中で50曲ですか……曲は常に作ってるんですか?

白水:別に、暇だしね(笑)。月10日間ライブがあったとして、それ以外の20日は空いてるわけだから。まあ、いくら自分一人でたくさん曲を作れても、それをバンドで固めるには時間が足りないなって思ってたんだけど、前作からの積み上げで、みんなの理解がすごく速くなったんですよ。今回はとくにハギ(萩原)が集中して取り組んでくれて、最初にリズムを録った段階で、「これは絶対、前作を超える!」って確信はありましたね。

萩原朋学

萩原(Dr):レコーディング自体はとてもスムーズでした。ただ、最初の方に出てきた曲は、前作のイメージを頭に置きながらやってたかもしれなくて、それはそれでよかったんだけど……。

白水:後半にできた曲の方が割り切って、「こういう曲にしよう」ってはっきり言ったかも。

萩原:だから、最初は今回のアルバムがどんな作品になるのかあんまり見えてなかったんですけど、途中からそれが見えてきて、それが見えさえすれば、あとは早いんです。「この人はこういうアルバムにしたいんだ」っていう、俺はそれを“Ginger”で感じて。

萩原朋学
萩原朋学

―KAGEROとしては珍しい、ループ感のある曲ですよね。

萩原:そう、ループ感がある時点で、白水にとっては革新的なんですよ。「こんなにベースのリフ少なくていいんですか? ライブでこれずっと弾くんですよ? 満足しますか?」っていう(笑)。でも、やってみたらすごくいい感じで、「これがオッケーなアルバムなんだ」っていうのが見えてからは、スムーズにレコーディングができました。

たいそうな機材を使わなくても、信頼できる耳を持ったエンジニアが使い慣れた機材で作れば、それで十分じゃないかなって。(佐々木)

―白水さんとしては、アルバム制作においてどんなことがポイントでしたか?

白水:今回一番変わったのはレコーディングとミックスです。普通のレコーディングは、ブースの中に演奏してる人がいて、それ以外はミックスルームから、マイクを通じて話をするけど、今回は演奏する人と僕が一緒のブースの中にいたんです。別の部屋からマイク越しでディレクションするとちょっと変な空気になったりするけど、どう弾いてるかも見える距離にいたから、「こうしてみようよ」ってダイレクトに言えて、そういう方が合ってるなと思いました。KAGEROの最初のほうのレコーディングって、超一流のレコーディングスタジオだったんですよ。防音ドアを開けてくれる人までいたからね(笑)。

―リッチですねえ(笑)。

白水:でも、どんどん「それはなくてもいいだろ」って思うことが重なっていって、今回はホントに信頼できる人間だけの、小さなチームで作りました。全員の顔が見えて、「なんでこうなっちゃったの?」と思うことが一切なく、すごい楽しかった。

菊池(Pf):ずっと自然体のままレコーディングできましたね。前だと「これ終わらないと、誰か待たせちゃってるかな?」とかあったけど、そういうのも全然気にせず。

菊池智恵子
菊池智恵子

菊池智恵子

白水:前はCDを出す、イコールちゃんとしたスタジオでレコーディングする、というように思ってたけど、今はライブのPAもやってくれてる大津にエンジニアをやってもらっていて、発想がすごく自由になったのも大きかった。

佐々木:たいそうな機材を使わなくても、信頼できる耳を持ったエンジニアが使い慣れた機材で作れば、それで十分じゃないかなって。知らないマイクがいっぱい出てくるのも楽しいけど、KAGEROを熟知してる人間と精一杯やる方がいいんじゃないかっていう。

―ライブPAである大津さんに作品のエンジニアリングをお願いすること自体、やはりライブに繋げていくような意図があるのでしょうか?

白水:うーん……突き詰めると、結局は僕が震えるかどうかしか考えてないんですよ。グラフィックとか絵にしてもそうですけど、やっぱりアートとデザインって明確に違って、KAGEROはデザインじゃない。だから、明確な目的ってないんです。ライブに関しては、目の前にいる人のことぐらいは考えられるようになったけど、音源に関しては、どういうターゲットに届けたいとか、マーケティング的にこうしようとかは全然ない。もちろん、プロモーションは必要だから、こうやってインタビューを受けたりはするけど、音を作る過程はあくまで自分たちの方を向いていて、やっぱりデザインじゃなく、アートなんだと思うんですよね。

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リリース情報

KAGERO『KAGERO V』
KAGERO
『KAGERO V』(CD)

2015年12月9日(水)発売
価格:2,160円(税込)
Ragged Jam Records / RAGC-011

1. LOVE AND HATE
2. Eraser
3. NO WAY
4. THE TRICKSTER
5. SIDE EFFECT DISORDER
6. dependence
7. Walk Alone
8. Ginger
9. a girl in the morning light
10. Ajisai
11. winter beach, and the beautiful sunset

イベント情報

『KAGERO V release tour「LOVE IS THE DISORDER」』

2016年1月10日(日)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:大阪府 天王寺 Fireloop
出演:
KAGERO
Jake stone garage
memento森

2016年1月11日(月・祝)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:愛知県 名古屋 APOLLO BASE
出演:
KAGERO
Jake stone garage
palitextdestroy
ワッペリン

2016年1月17日(日)OPEN 17:00 / START 17:30
会場:長野県 LIVE HOUSE J
出演:
KAGERO
UHNELLYS

2016年1月30日(土)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:北海道 札幌 SPIRITUAL LOUNGE
出演:
KAGERO
Jake stone garage
トリコンドル

『KAGERO V release tour「LOVE IS THE DISORDER」final oneman show』
2016年2月6日(土)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 渋谷CLUB QUATTRO

料金:各公演 前売2,500円 当日3,000円

プロフィール

KAGERO
KAGERO(かげろう)

白水悠(Ba)、佐々木“Ruppa”瑠(Sax)、菊池智恵子(Piano)、萩原朋学(Drums)。ジャズカルテット編成の想像を覆す攻撃的な轟音とパンクスピリット溢れるライブパフォーマンスを武器に、国内の数多のフェスやサーキットで話題沸騰。ジャズ、パンク、ハードコアシーンを股にかける異端児として全国、そして海外より注目が集まる。ベスト盤のリード曲“Pyro Hippo Ride”はiTunesジャズチャート1位を獲得。2013年から2度のアメリカツアーを開催、成功に収めている。

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