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クウチュウ戦の警告。左脳ばかりを動かす現代日本人を刺激する

クウチュウ戦の警告。左脳ばかりを動かす現代日本人を刺激する

クウチュウ戦『Sukoshi Fushigi』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:西田香織

そもそも地球上で最初に歌った人って、精霊や神様と交信したりする、シャーマニズム的な目的で歌い始めたんだと思うんです。(リヨ)

―今作の1曲目“光線”と2曲目“青い星”にはシタールが使われていますけど、それもインドに行ったことから関連してのことですか?

リヨ:そうそう、インドでシタールを習ったんですよ。シタールって、超インド的な楽器なんですよね。弦が二層構造になっていて、上と下に張られているんですけど、下の方の弦は「共鳴弦」って言って、そこに触れることはないんです。上の弦で引いた音に共鳴して、下の弦が勝手にぽわ~んって鳴るんですね。置いておくだけでドローンミュージックみたいになる。それって、超宇宙じゃないですか。シタール、すごいですね。

―シタールの構造にも繋がると思うんですけど、普段、僕らが気づいていないだけで、目を凝らせば日常の地続きに、想像を超えたリアルがあったりする。そこがリヨさんにとって重要なのかもしれないですね。クウチュウ戦の音楽が1曲の中でコロコロと展開を変えていくのも、そのことを象徴しているのかなって思います。

リヨ:そうかもしれないです。曲を作るときにジャンルなんて意識しないけど、自分のルーツにあるのはプログレで。プログレって、長いから飽きないんですよ。3分くらいの曲だと、3回くらい立て続けに聴いたら俺は飽きてきちゃうんです。でもPINK FLOYDの“Echoes”は一生飽きないと思う。俺は飽きっぽいんですよね。だから海外にも行きたくなるし。次は中国に行ってみたいんですよねぇ。

リヨ

―リヨさんにとっては音楽も、インドで出会ったようなリアルな刺激を与えてくれるものなんですか?

リヨ:そもそも地球上で最初に歌った人って、精霊や神様と交信したりする、シャーマニズム的な目的で始めたんだと思うんです。その感覚は、俺にもあって。シャーマンは、神様や精霊と交信して、それを自分の言葉で人々に伝える存在だけど、それって俺と一緒じゃないですか。具体的に精霊とか神様とは言わないけど、言葉にできない、音楽や歌でしか表現できないものがあって、俺はそれを表現しているんだと思います。

―リヨさんが、最初に言葉にできないなにかを音楽で表現したいと思ったのは、いつ頃のことですか?

リヨ:意識して「表現しよう!」という感じじゃないんですよ。「音楽になった!」っていう感じ。「ああ、これ、ああ……音楽になった!」みたいな。でも、初期の頃はそういうふうには作ってないですね。前作の『コンパクト』の頃からかもしれない。

―じゃあ、作品を出したり、人前で演奏するようになってから、自分の中のシャーマン気質が表れ始めたんですね。

リヨ:うん、そうですね。あと、大学でドラッグカルチャーを学んでいたことは、影響していると思います。ドラッグカルチャーと言っても、THE BEATLESとか、1960年代のヒッピームーブメント的なものじゃなくて、もっと人類学的なものなんですけど。「儀礼でトランスする」ということに興味を持って、実際にペルーに行って現地のシャーマニズムの儀式に参加したりして。本物のシャーマンも、絶対に歌うんですよね。それは歌でしか伝わらないことだから歌うんだし、実際めちゃくちゃ伝わるんです。

身もふたもないけど、「音楽にしかできないものがある。それは音楽だ」という気持ちがある。(カオル)

―カオルさんは、同じクウチュウ戦のコンポーザーとして、リヨさんと共通する部分や違う部分はありますか?

カオル(Key):極端に正反対だなって思う部分もあるんですけど、すごく大事な部分で、他の人には感じないシンパシーを感じたりしますね。「演者がシャーマンであるべきだ」という発想はわかるし、似たようなものを感じていると思います。でも、曲を作るときって、彼の場合は具体的になにかを感じて、それをアウトプットする行為がメインだと思うんですけど、僕はどちらかと言うと、突拍子もない妄想がメインというか。

ベントラーカオル

―もっと、自分の脳内で起こることの方が大きいですか?

カオル:そうですね。それこそ今作で僕が作った“雨模様です”とか“にゅうどうぐも”も、タイトルからしてそんな感じだし。漠然とした景色とか時間帯とか……なにを理由にそれを表現したいと思ったのかはわからないけど、「ビル街に夕日が沈みかけている冬」みたいな断片的な景色や状況が、別にその場で見たわけではないのになぜか頭の中に生まれたとき、これを感じさせる曲を作りたいなって思うんです。

―その景色は、リヨさんと同じように「音楽でしか表現できない」ものですか?

カオル:「音楽じゃないといけない」という気持ちは僕にもあると思います。身もふたもないけど、「音楽にしかできないものがある。それは音楽だ」くらいの気持ちですね。そうとしか言えない。

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リリース情報

クウチュウ戦『Sukoshi Fushigi』
クウチュウ戦
『Sukoshi Fushigi』(CD)

2016年1月20日(水)発売
価格:1,000円(税込)
DQC-1513

1. 光線
2. 青い星
3. 雨模様です
4. 台風
5. にゅうどうぐも
6. エンドレスサマー

イベント情報

『ミニライブ、サイン会』

2016年2月14日(日)14:00~
会場:大阪府 タワーレコード難波店

2016年2月21日(日)21:00~
会場:東京都 タワーレコード新宿店

プロフィール

クウチュウ戦
クウチュウ戦(くうちゅうせん)

1990年生まれのロックカルテット。2008年、大学1年のリヨ(Vo,Gt)とニシヒラユミコ(Ba)が原型バンドを結成。2011年1月、ベントラーカオル(Key)加入。同年7月にリヨが突然ペルーに飛び、アマゾンのジャングルの奥で行われる神秘的な儀式に参加。その後、2012年3月までイギリス/オランダなど、ヨーロッパを放浪。2012年11月、シングル『意気消沈/白い十代』を500枚限定でリリース。瞬く間にソールドアウト。2013年5月、アバシリ(Dr)が正式加入。新体制のクウチュウ戦が誕生。その高度な演奏力、プログレッシブな音楽性が同世代の客/バンド/ライブハウス関係者などに絶賛されるが、そこにあった本当に重要なものは、夏のオリオンのように美しいメロディー、日常の風景を少し不思議な空間に異化させるユニークな視点を持ったリリック、そして光線のように天空を突き抜ける歌心だった。2016年1月20日、2ndミニアルバム『Sukoshi Fushigi』をリリース。

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