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音楽家という役割を引き受けた、Yogee New Waves角舘の決意

音楽家という役割を引き受けた、Yogee New Waves角舘の決意

Yogee New Waves『Sunset Town e.p.』
インタビュー・テキスト
小田部仁
撮影:小田部伶

メンバーを愛しているからこそ、自分自身が引き受ける覚悟ができたんです。

―角舘さんが言う「ヨギーの負け」の中には、今年の春に発表されたギターの松田光弘さんの脱退も含まれているのでしょうか? 角舘さんが音楽家という道に腹を括った一方で、彼は就職という道を選びました。

角舘:そうかもしれないです。ただ、彼がバンドを辞めて仕事を選んだのは仕方のないことだったし。なんだったら僕は「就職しろ」って他のメンバーにも言ってるんですよ。だって、今の音楽業界、ボーカル以外は食うのが難しいですから。彼らは親のこととか将来のこととかをきちんと考えている青年たちだから、彼らの人生を無下にすることは僕にはできない。僕はメンバーのことを家族同然だと思ってて。彼らを愛しているからこそ、自分自身が引き受ける覚悟ができたんです。メンバーが、仕事しながらでも素敵な人生を送れたら最高だなって思う。

―でも、ヨギーが大きなバンドになっていくにつれて、もっと他のメンバーにも自由な時間があったらとか、フルタイムのバンドとして活動できたらって思ったりもしませんか?

角舘:正直、めちゃめちゃそれはあります。周りのバンドとかは、全員でスクラムを組んでるし。でも、肩の力が抜けていないと音楽って作れないですからね。僕は、彼らがいないと音楽が作れないとさえ思っている。

角舘健悟

―それはなぜでしょう?

角舘:二人とも僕の人生にとってデカい存在だからです。ベースの矢澤(直紀)とは、小学1年生から友達だし。ドラムの前田(哲司)も優しい奴なんです。僕は人一倍面倒くさい人間だから、上手く寄り添ってくれる奥さん的な存在の二人がすごくデカくて。

―先ほど「引き受ける覚悟」という言葉が出ましたが、『SUNSET TOWN e.p.』は、角舘さんがヨギーとして音楽をやっていくという上でのバンドやリスナーに対する「覚悟」のようなものがはっきりと見えている作品だと思っていて。ただその一方で、「こんなもんじゃねえんだけどな」という感情もあるんじゃないかと思ったのですが。

角舘:それはありますね。今の自分はYogee New Wavesの角舘健悟でしかないから、もっと音楽家として活動がしたい、という思いが強いです。それは小沢健二さんだったり、小山田圭吾さんだったり、細野晴臣さんだったり、そういう人たちに強い憧れがあるからなんですけど。あの人たちは決してバンドマン止まりではないじゃないですか。それに今は同世代で括られることもあるんですけど、そこもさっさと脱却したい。もっと音楽を極めていきたいという思いがとても強いです。

人の熱いものを嘲笑ってる暇があるんだったら、「てめえの大事なものを見せてみろよ」って思う。

―今、角舘さんの中で一番重要なテーマだと思うものって何ですか?

角舘:まず、ヒロイズムですね。男尊女卑みたいに捉えられると嫌ですけど、男性は体が丈夫にできているから、その分、女性の盾にならなきゃいけないっていう思いはすごく強くて。自分は愛しているもののヒーローでいたい。1曲目の“Like Sixteen Candles”とかはそういう気持ちが色濃く出てると思いますね。あと、もうひとつあって。

―もうひとつ?

角舘:僕は盲目に愛を信じている人間なんです。それは小学校から高校まで、キリスト教の学校に行ってたからというのもあると思うんですけど。どんな形の愛であっても、愛こそ全てだと思っているんです。愛なくして、何もないというか。恋愛における愛だけじゃなくて、家族、友達……万物に対する愛。全ては愛に直結していると思う。だから、愛のことしか歌えないな、とはいつも思ってるんですね。

角舘健悟

―愛ってとても広い言葉だと思うのですが、それは音楽に対する愛情も含まれている?

角舘:そうですね。この1年間は「愛の修行」みたいな感じでした。自分の音楽に対する愛をすごく試された1年だったと思います。他のメンバーが平日は仕事をしている間、ソロの弾き語りを増やしたり、部屋にこもって時間をかけて曲を作ったりアレンジを考えたりして、とにかく自分の歌や音楽に対する向き合い方を極める期間にしたいと思ったんです。自分の声や詩を愛してないと、リスナーの人にもそれを聴いてもらおうとは思えないし。だから今回の作品は愛の結晶だなって思います。『PARAISO』も愛の要素はすごく強いけど、自分の愛を詩や楽曲や声に反映したのは、やっぱり今作の方ですね。それを出し切ったから、ある種スッキリしているくらいです。2曲目の“Sunset Town”なんて、自分のルーツであり愛する、いわゆる「シティポップ」を真正面からやったし。やっと本当に自分が愛してるものを素直に表現できるようになったなって思います。

―逆に今、世の中に対して「怒り」を感じていることってありますか?

角舘:怒りということではないんですけど、もっと音楽に対して愛情深い世界になったらいいのになって思います。音楽を聴いて会社辞めちゃう人がいてもいいし、電車の中で音楽を聴いている時に我慢できなくて泣いちゃったりしてもいい。そういう熱いものを嘲笑うような風潮があるのはなんでだろうなって思います。人の熱いものを嘲笑ってる暇があるんだったら、「てめえの大事なものを見せてみろよ」って思う。自分の愛してるものをもっと責任持って愛した方がいい。

―余裕であること、冷静であることが、何かに夢中になることと対照的に過剰に美徳とされているとは思います。

角舘:「冷めてんじゃねぇよ!」って思うんですよね。いいじゃん、死に物狂いで頑張ったら。それは音楽をやってる側の人間にも思うことなんです。音楽を取り巻く状況って、いい方向に向かってるじゃないですか? いいバンドがいい音源を出して、それを聴いてくれるリスナーも増えている。そんな中で不満を言ったり、SNSっていう便所の掃き溜めみたいなところに汚い言葉を吐いたりするのはもったいない。その不満や憤りを作品に昇華すればいいのにと思う。

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リリース情報

Yogee New Waves『SUNSET TOWN e.p.』(CD)
Yogee New Waves
『SUNSET TOWN e.p.』(CD)

2015年12月2日(水)発売
価格:1,620円(税込)
Roman Label / BAYON PRODUCTION / ROMAN-003

1. Like Sixteen Candles
2. Sunset Town
3. Night is Coming
4. Lemon Tea
5. Sunset Town(Dorian remix)
※デジパック仕様、ポスター、セルフライナーノーツ封入

イベント情報

『WWW×BAYON COUNTDOWN 2016』

2015年12月31日(木)OPEN 20:30 / START 21:30
会場:東京都 渋谷 WWW
出演:
Yogee New Waves
never young beach
D.A.N.
EMCと思い出野郎
and more
ラウンジDJ:
マイケルJフォクス
and more
料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

『Yogee New Waves presents Dreamin' Night 3』
2016年3月12日(土)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 代官山 UNIT
出演:
Yogee New Waves
髭 (HiGE)
料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

リリース情報

Yogee New WavesトートバッグL「RAKUEN BAG」
Yogee New Waves
トートバッグL「RAKUEN BAG」

新時代のクールなシティポップ感を落とし込んだステンシル風ビッグトート
価格:3,024円(税込)

プロフィール

Yogee New Waves
Yogee New Waves(よぎー にゅー うぇいぶす)

2013年6月、角舘健悟(Vo,Gt)と矢澤直紀(Ba)を中心に活動開始。楽曲制作に勤しむ。SUMMER SONICの『でれんのサマソニ2013』の最終選考に選出され、選考ライブがまさかのバンド初ライブとなる。9月には前田哲司(Dr)、松田光弘(Gt)が加入。2014年4月にデビューep『CLIMAX NIGHT e.p.』を全国流通でリリース。その後『FUJI ROCK FES'14』のRookie A Go Goに出演。9月には1stアルバム『PARAISO』をリリースし、年間ベストディスクとして各媒体で多く取り上げられる。2015年は、『VIVA LA ROCK』『ROCK IN JAPAN』『BAYCAMP』『SWEET LOVE SHOWER』『りんご音楽祭』『ボロフェスタ』などの野外フェスに出演を果たす。2015年5月に松田が脱退し、現在は3人で活動中。

関連チケット情報

2019年12月4日(水)
Yogee New Waves
会場:STUDIO COAST(東京都)

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