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孤独とは? オザケンや『エヴァ』ともリンクするfhánaの歌詞談義

孤独とは? オザケンや『エヴァ』ともリンクするfhánaの歌詞談義

fhána『What a Wonderful World Line』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影・編集:柏井万作

年明けの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の予告映像公開こそ偽物だったものの、小沢健二がひさびさの全国ツアーを発表し、フィッシュマンズ周辺がデビュー25周年で騒がしくなるなど、1990年代リバイバル的な空気が盛り上がりつつある2016年。そんな中で発表されるfhánaのセカンドアルバム『What a Wonderful World Line』は、中心人物の佐藤純一と、作詞を手掛ける林英樹がともに青春時代を過ごした90年代カルチャーからの強い影響を感じさせる作品となっている。

そこで今回は佐藤と林の二人による、fhánaの歌詞世界を紐解く対談を企画。fhánaの全楽曲の作詞を手掛ける林はこれまでメディアへの露出は皆無だったが、作品について語ってもらうには今回がベストのタイミングだったと言っていいだろう。「だから、それでもこの世界線を肯定しよう」というアルバムのキャッチコピーは、まさに小沢健二の作品や『エヴァンゲリオン』に通じる、祈りの感覚の表れなのだ。

なお、林は現在名古屋在住のため、対談はSkypeを使って行われた。

「SNS楽しい」「サブカル批評から何かが生まれるかも」みたいな空気が、東日本大震災で一気にシリアスになった。(“Cypher”を発表した当時は)その直前の楽しい時期だったんですよね。(佐藤)

―お二人はもともとどういう関係性で、なぜ林さんがfhánaの作詞を担当することになったのでしょうか?

佐藤:知り合ったのは僕がFLEETを、林くんがメカネロというバンドをやっていたときです。そのときはまだちゃんとしゃべったことはなかったんですけど。

:メカネロを解散した後にオードリーシューズというバンドを始めて、そのサポートキーボードを佐藤さんにお願いしてからですね、しゃべるようになったのは。

佐藤:当時はボーカロイドに興味を持ち始めたころで、Twitterで議論みたいな感じでやり取りをしてたんです。2010年なので、ボーカロイドがメジャーになり始めたくらいの時期で、特に普通のバンドマンはまだ「なにあれ?」みたいな感じのときに、「音楽的にも面白いし、ボーカロイドって存在自体が哲学的だ」って話で僕と林くんを含めた何人かで盛り上がって、それを当時流行ってたTogetterでまとめて。

佐藤純一
佐藤純一

:トゥギャリましたねえ(笑)。

佐藤:「初音ミク文化論」って勝手に名前を付けてまとめたら、すぐに2万viewくらいいって、Togetter大賞にノミネートされたりとかもして。それで「ボーカロイドの曲を急いで作ろう」って話をして、林くんに歌詞を書いてもらったのが“Cypher”という曲だったんです。

―「急いで」っていうのは、何か理由があったんですか?

佐藤:東浩紀さんや渋谷慶一郎さんもTwitterで「ボカロの曲を作ろう」って話をしていたので、先を越されないようにっていう想いもあったし、「同人界隈じゃない人がボカロ曲を作るのが面白い」みたいなことがまだギリギリ成立していた時期でもあったんです。だから急がなきゃって。

:当時ってmixiの盛り上がりが一段落して、Twitterが一番楽しい時期だったんですよね。Twitter上で話をする題材としてボーカロイドがあって、僕はどっちかっていうと懐疑的な立場に立ちつつ、「いろいろ議論を重ねる中で、何かが生まれてくればいいな」みたいな、そんな立ち位置だったような気がします。なので、“Cypher”はどちらかというと僕の中では批判ソングなんですけど、受け取る側からすると、ボーカロイド賛美にも聴こえるみたいで、不思議な産物になりましたね。

林英樹
林英樹

佐藤:ボカロ周辺って、その当時はちょっと閉塞的な空気があったんですよね。外にいる人たちが認めてないだけじゃなくて、中にいる人たちも外から来る人拒んでた。そんな中で、一応メジャーからCDをリリースしてる僕がボーカロイドの曲を作ってアップして、しかもボーカロイドっていうカルチャー自体を批評的に捉えた歌詞だったから、“Cypher”はいろいろ議論を呼んだんです。コメントとかも、「さすがプロ」って書く人もいれば、「こんなところにまで商売しにきやがって」って人もいたり、賛否両論で、でもそのうち10万再生を超えて、「『殿堂入り』って言うらしい」みたいな(笑)。

:ゼロ年代の最後を引きずってたような感じですよね。「サブカル批評やってれば、いつか何か変わるんじゃね?」みたいな、そんな空気感がまだ漂ってたころの最後の輝きのような。

佐藤:そのちょっと後に東日本大震災があったんです。「SNS楽しい」「サブカル批評から何かが生まれるかも」みたいな空気が、一気にシリアスになった。その直前の楽しい時期だったんですよね。

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リリース情報

fhána『What a Wonderful World Line』初回限定盤
fhána
『What a Wonderful World Line』初回限定盤(CD+Blu-ray)

2016年4月27日(水)発売
価格:3,888円(税込)
LACA-35557

[CD]
1. The Color to Gray World
2. What a Wonderful World Line
3. ワンダーステラ
4. Relief
5. little secret magic
6. Antivirus
7. 虹を編めたら
8. Critique & Curation
9. c.a.t.
10. Appl(E)ication
11. 追憶のかなた
12. ホシノカケラ
13. コメットルシファー ~The Seed and the Sower~
14. gift song
[Blu-ray]
1. “What a Wonderful World Line”PV
2. “虹を編めたら”PV
3. “コメットルシファー ~The Seed and the Sower~”PV
4. “ワンダーステラ”PV
『リスアニ!LIVE 2016』ライブ映像
5. 虹を編めたら
6. コメットルシファー ~The Seed and the Sower~
7. divine intervention
8. 星屑のインターリュード
9. Outside of Melancholy ~憂鬱の向こう側~

fhána『What a Wonderful World Line』通常盤
fhána
『What a Wonderful World Line』通常盤

2016年4月27日(水)発売
価格:3,240円(税込)
LACA-15557

1. The Color to Gray World
2. What a Wonderful World Line
3. ワンダーステラ
4. Relief
5. little secret magic
6. Antivirus
7. 虹を編めたら
8. Critique & Curation
9. c.a.t.
10. Appl(E)ication
11. 追憶のかなた
12. ホシノカケラ
13. コメットルシファー ~The Seed and the Sower~
14. gift song

イベント情報

『fhána What a Wonderful World Line Tour 2016』

2016年5月7日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM
※SOLD OUT

22016年5月14日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:愛知県 名古屋 Electric Lady Land
※SOLD OUT

22016年5月15日(日)OPEN 16:00 / START 17:00
会場:大阪府 梅田 AKASO
※SOLD OUT

22016年6月4日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京都 お台場 Zepp DiverCity

料金:各公演5,800円(ドリンク別)

プロフィール

fhána
fhána(ふぁな)

佐藤純一(FLEET) + yuxuki waga(s10rw) + kevin mitsunaga(Leggysalad)のインターネット3世代によるサウンドプロデューサーと、ボーカリストのtowanaによるユニット。2013年夏、TVアニメ『有頂天家族』のED主題歌『ケセラセラ』でメジャーデビュー。これまでに7枚のシングルをリリースしており、 その表題曲のすべてがテレビアニメのタイアップを獲得している。そして8枚目となるニューシングル『虹を編めたら』は、TVアニメ『ハルチカ~ハルタとチカは青春する~』のOPテーマとなっており、新人アーティストでは異例とも言える8作品連続でのタイアップ獲得を果たし、注目を集めている。

林英樹(はやし ひでき)

バンド「メカネロ」のリーダーとして作詞作曲を手がけ、2005年にCDデビュー。2007年に同バンドを解散した後、オードリーシューズの一員として活動をスタート。現在は地元の名古屋に戻り、作詞家として活動を行っている。

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