特集 PR

盛り上がりそうなVR、どう使うべき? 広告会社の担当者と考える

盛り上がりそうなVR、どう使うべき? 広告会社の担当者と考える

SETA“金魚鉢”
インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
撮影:豊島望 編集:野村由芽

本当に才能がある人に、ちゃんと環境を用意すれば、スケールの大きな作品は出てくると思います。(保持)

―VRみたいなテクノロジーを使う理由も、ちゃんとそこにあるというか。

保持:そうですね。流行っているから飛びつくんじゃなくて、それを誰にどう役立てるかをちゃんと考えて使わないと。“金魚鉢”も発想法として、あえてVRありきで考えましたけど、そこから先はこの楽曲に対してVRがどう貢献できるか、楽曲に込められた想いやメッセージをきちんと可視化できるかということを意識したので。

―最近は音楽が売れないと言われている状況が続いていると思うのですが、「ミュージック」「スポーツ」「パフォーミングアーツ」を軸に掲げられているDentsu Lab Tokyoとしては、音楽をどう捉えているんですか?

保持:CDが売れないからといって、音楽がオワコンになったとは全然思っていません。だって若い人たちも含めて、みんな音楽好きじゃないですか。産業の構造が変わってきて、そこに悲観的になるのもわからなくないですけど、ライブコンテンツの価値は引き続き高いし、音楽が基軸になって、いろんな運動が生まれていると思うんです。最近も若い方々が政治的なムーブメントに音楽を使ったり。やっぱりカルチャーを語るうえで、音楽は常に真ん中にあると思うし、人と人、特に若者同士がつながるときの方法論として健在ですよね。

―音楽自体はなくならないですもんね。

保持:ただ、これもさっきの映像の話と同じで、お金とかいろんなカロリーを投じないとできあがらない種類の音楽というのがあると思うし、才能ある人を引っ張り上げる仕組みは、だんだん痩せてきているのかもしれない。いままではレコード会社のみなさんが資本を寄せることでやっていたと思うんですけど、これから音楽業界の産業構造が変わったときに、どこがその役割を担うのか。たとえば音楽配信をしている事業者が才能を育てることができるのか? ってことですよね。映像の世界では、すでにNetflixがやりはじめていますね。

小林:ユーザーの課金を製作費にあてて、独自コンテンツを作っていますよね。

保持:スポンサーありきではないから、放送禁止用語が出てきてもいいし、できるだけ制限を外して、表現として強いものを作ることを優先した。音楽では誰がそれをやるのか見えてないですけど、本当に才能がある人に、ちゃんと環境を用意すれば、スケールの大きな作品は出てくると思います。楽観的すぎるかな?

左から保持壮太郎、小林大祐

―最近はC CHANNELやTASTYといった動画プラットフォームも話題になっていますけど、そういう状況について思うことはありますか?

小林:いろんな映像の文化が生まれてきているなとは思いますね。

保持:以前、菅野薫と僕らでロードムービーズというアプリを作ったんですよ。短い動画を撮って、ムービーができあがるアプリだったんですけど、誰が撮っても具合よく見えるためにどうすればいいかを考えてシステムを作ったんです。

その結果、みんな気持ちよく使ってくれて、ユーザーもたくさんいて、たぶん僕の手がけた仕事のなかで、いちばん女子高生に知られていたんじゃないかな(笑)。でも、そこに注ぎ込まれているのは、30秒の動画をどう素敵に見せるか、というCM的ノウハウなんですよね。だから人間が見て気持ちいいとか、面白いと思う部分は、プラットフォームが違っても、そんなに大きく変わらないのかなと思ったんです。

―根本のメソッドやセオリーみたいなものは、既存の映像表現に入っていたかもしれない。

保持:そうですね。電通って会社はあらゆる業界とお付き合いがあるので、そこで得た知見を、新しいプラットフォームに活かしたり、新しい場に出かけて使ったりできればと思っています。ただ、もしこれまでの歴史と不連続なポイントがあるとしたら、テクノロジーが飛躍的に進化するタイミングでしょうね。

たとえば人工知能なんて最たるもので、囲碁が3千年かけてやってきたものを断ち切って、変化させてしまう。進化したテクノロジーは、そういう状況を引き起こす可能性があるから、僕たちはそこで抵抗勢力になるのではなく、いい世の中のために使えるようにしていかなきゃいけないのだと思います。

Page 3
前へ

リリース情報

YEN TOWN BAND『diverse journey』初回限定盤
SETA
『金魚鉢』(CD)

2016年2月14日(日)発売
価格:1,080円(税込)
SBLB-0001

レーベル情報

渋谷のレーベル合同会社

「渋谷のレーベル合同会社」とは、「クリエイターの才能を開放する!」というコンセプトの元設立されたクリエイティブオリエンテッドなレーベル。シンガーソングライター・SETAは、渋谷のレーベル合同会社の音楽部門「しぶレコ」第一弾アーティストとなる。

プロフィール

保持 壮太郎(やすもち そうたろう)

コピーライター / CMプランナー。東京大学工学部卒業後、2004年に電通入社。人事局配属を経てクリエーティブ局へ。 主な仕事にHondaインターナビ「Sound of Honda / Ayrton Senna 1989」「RoadMovies」、映画「テルマエ・ロマエⅠ/Ⅱ」、Gungho「パズドラ×嵐」、三井不動産「BE THE CHANGE」など。Cannes Lions グランプリ、D&AD Black Pencil、Adfest グランプリ、ACC賞 グランプリ、TCC賞、文化庁メディア芸術祭 大賞、日本パッケージデザイン大賞 金賞、ほか受賞多数。Advertising Age誌のAWARDS REPORT 2014においてコピーライター部門世界2位。

小林大祐(こばやし だいすけ)

映像ディレクター。京都造形芸術大学 情報デザイン学科卒。2005年電通テック入社。2010年電通クリエーティブX入社。『第1回Pocket Fiim Festival』大賞受賞。2011年『東京インタラクティブADアワード』クロスメディア部門ブロンズ受賞。第16回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門審査委員推薦作品。『映像作家100人 2013』掲載。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

Elephant Gym“Moonset- Live at Underwater World Tour In Japan”

一聴・一見すると繊細に織られたアンサンブルに柔和な印象を抱く。が、極太のベースがリズムとメロディの両方を引っ張っていく様は超アグレッシヴでもある。観客も含めて会場に漂う空気は一貫して緩やかなものでありながら、なによりも3音の鋭い合気道を存分に楽しめるライブ映像だ。ビルドアップした低音に歌心を置くスタイルはまさに今だし、音の余白も心地いい。ポップとエッジィの両極をあくまで愛嬌たっぷりに鳴らす台湾出身の3ピースバンド、その魅力を1カット1カットが十二分に伝えている。(矢島大地)

  1. BTSは愛と自信を原動力に前進する。新章『MAP OF THE SOUL: PERSONA』 1

    BTSは愛と自信を原動力に前進する。新章『MAP OF THE SOUL: PERSONA』

  2. 高畑充希×前田敦子×池松壮亮『Q10』組登場 『町田くんの世界』場面写真 2

    高畑充希×前田敦子×池松壮亮『Q10』組登場 『町田くんの世界』場面写真

  3. 長澤まさみ&夏帆がLOWRYS FARM夏ビジュアルに ディレクションは吉田ユニ 3

    長澤まさみ&夏帆がLOWRYS FARM夏ビジュアルに ディレクションは吉田ユニ

  4. 女子大生が「殺される誕生日」を無限ループ 『ハッピー・デス・デイ』予告 4

    女子大生が「殺される誕生日」を無限ループ 『ハッピー・デス・デイ』予告

  5. スガシカオが語る、アルバム名に込めた真意「幸福感は十人十色」 5

    スガシカオが語る、アルバム名に込めた真意「幸福感は十人十色」

  6. 舞台『オリエント急行殺人事件』日本初演 小西遼生、室龍太ら出演 6

    舞台『オリエント急行殺人事件』日本初演 小西遼生、室龍太ら出演

  7. トム・サックスが茶の湯の世界に目を向ける展覧会 庭や茶室、池などで構成 7

    トム・サックスが茶の湯の世界に目を向ける展覧会 庭や茶室、池などで構成

  8. ピクサーアニメの制作工程を体験&学習、『PIXARのひみつ展』六本木で開幕 8

    ピクサーアニメの制作工程を体験&学習、『PIXARのひみつ展』六本木で開幕

  9. 21世紀のプリンスを再評価。配信やセクシャリティーの先駆者 9

    21世紀のプリンスを再評価。配信やセクシャリティーの先駆者

  10. カネコアヤノのお守りみたいな歌 不安を大丈夫に変える詩の秘密 10

    カネコアヤノのお守りみたいな歌 不安を大丈夫に変える詩の秘密