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再出発するTAMTAMに、時代は味方する。移籍を経た2年間を語る

再出発するTAMTAMに、時代は味方する。移籍を経た2年間を語る

TAMTAM『NEWPOESY』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:山元翔一 編集:山元翔一・柏井万作
2016/09/14

やはりTAMTAMはTAMTAMだ。2年ぶりとなる取材を終えて感じたのは、そんな印象だった。実のところ、この2年でバンドには大きな変化が起こり、メンバーの脱退とレーベル移籍を経て完成した新作『NEWPOESY』は、ルーツであるダブ / レゲエの側面を残しつつも、ロック寄りだった前作とは異なり、ソウル / R&B的な印象を強めている。

しかし、もともとTAMTAMというバンドは折衷的な音楽性を持つバンドであり、ジャンルとしてのダブというよりも、「普通のことはやらない」という精神性としてのダブを愛するバンドであった。さらに言えば、利便性よりも人間味を愛するバンドであって、その魅力自体は何も変わっていないのだ。「荒野」から始まる彼らのリスタートを、心より祝福したい。

メジャーが一定の方向でクオリティーを上げていくことを求めるのに対して、バンド的には「新しかったり、面白いことをちゃんとやりたい」っていうのがあったんです。(アフィ)

―CINRA.NETとしてはひさしぶりの取材になるのですが、前作『Strange Tomorrow』(2014年)リリース後の2年というのは、バンドにとってどんな期間だったのでしょうか? おそらくは、いろんな意味で自分たちのことを見つめ直す時間にはなったのかと思いますが。

クロ(Vo):結果から言うと、テンションは変わってないというか、バンドは前向きな状態でずっと続いてるんです。でも、環境はめちゃくちゃ変わったし、周りにいる人もガラッと変わったなって。

アフィ(Dr):1年間デトックスをしたというか、自分たちがやりたいことをやれるように1年間頑張って、その後の1年は実際にやりたいことをやって、今回のアルバムができたって感じですね。

―新作はP-VINEからのリリースになりますが、ビクターとの契約が満了して、P-VINEに移籍したという形なのでしょうか?

アフィ:実は、もう1枚フルアルバムを出す予定だったんですけど、バンドのやりたい方向と、向こうの出したい方向とがずれてきちゃったんです。そこでお互い妥協してもう1枚作るか、それともやりたいことをやれる方法でもう一回頑張るかってなったら、妥協してやる意味はないだろうと。

―今の環境を自分たちで選んだわけですね。

アフィ:まあ、こう言うときれいにまとめ過ぎなんですけど、メジャーが一定の方向でクオリティーを上げていくことを求めるのに対して、バンド的には「新しかったり、面白いことをちゃんとやりたい」っていうのが強くあったんです。もちろん、それをちゃんと両立してるバンドもいるので一概には言えないんですけど。とにかく、僕たちとしては、そのときそのときに面白いと思ってることを自由にやれなくなってしまうと、本末転倒で。

―2年前の取材でも「普通のことはやりたくない」っていう話をしていて、やっぱり、そこがバンドの肝なんでしょうね。

クロ:こういう話をすると向こうが悪者みたいに聞こえちゃうかもしれないけど、そうじゃなくて。最初の時点ではお互いのやりたいことが合致してたと思っていたんだけど、継続的にやっていく中で少しずつ相違が出てきたのかなと思ってて。そこで妥協して一枚作るよりかは、お互い「ありがとうございました」できっぱり離れようという感じだったんですよね。

左から:クロ、高橋アフィ
左から:クロ、高橋アフィ

(他のバンドに参加したことで)自分たち的には当たり前だと思っていたことが、意外とそうじゃないってこともわかった。(クロ)

―最初の1年はデトックスの期間だったという話がありましたが、その時期は個々で他のバンドに参加したりもしていて、その中で自分たちのことを見つめ直す部分もあったかと思います。

クロ:私は吉田ヨウヘイgroupのサポートをやっていたので、自分のプレイヤビリティーを見つめ直したところはあったし、カントリーとかフォークとか、それまで自分があまり対バンしてこなかったタイプの人と出会うことにもなって、単純に「同じ世代に素敵なバンドがいっぱいいたんだなあ」って思いました(笑)。

ただ、それによって、自分たち的には当たり前だと思っていたことが、意外とそうじゃないってこともわかって。例えば、私はベースとドラムから曲を作るので、うねる感じのビートが作曲の前提に来ていて、メンバーもそういう楽曲やアーティストが比較的好きで、打ち込み音源も含めてよく話をするんですけど、思ってた以上に自分たちはその「うねり」の観点を重めに考えてて、理想もわりとブレなくて。そこは、バンドにとって音像的なアイデンティティーなのかもなって、改めて思いました。

クロ

アフィ:逆に言うと、僕は吉田さんたちと話すまでWilcoとかは全然聴いてなかったんです。フォーキーなんだけど、フリージャズとかノイズの要素が入ってる音楽って自分の対象外だったから、「こういうのもあるんだ」って、知見が広がりました(笑)。

―アフィくんは先日出たマイルス本(『MILES : REIMAGINED 2010年代のマイルス・デイヴィス・ガイド』)にも寄稿していたり、ジャズとの接点も強いと思うんですけど、プレイヤーとしてはどんなルーツの人なんですか?

アフィ:もともとはミクスチャーとかなんですけど(笑)、最近だとBADBADNOTGOOD(カナダのジャズバンド)とかが好きで、わりといなたい演奏というか、録音も含めて、ドタバタしてるのが好きで。

ジャズを聴くようになったのは、エレクトリックマイルス(マイルス・デイビスの長いキャリアの中で、エレクトリック楽器にシフトチェンジした1970年代のサウンド)とかが入口なんですけど、ジャズの人が頑張って8ビートを叩いてるのとかが好きなんですよね。その流れで、ソウルとかファンクも好きになるんですけど、ジャンルというよりは、それぞれの整頓されてない時期の音楽が好きみたいです。プレイヤーにしても、上手くなる直前の演奏が一番好きだし、変なセッティングで演奏する人とかも好きだから、そういう部分は影響も受けてるかもしれないですね。

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リリース情報

TAMTAM『NEWPOESY』
TAMTAM
『NEWPOESY』(CD)

2016年9月14日(水)発売
価格:2,592円(税込)
PCD-24536

1. アンブレラ
2. コーヒーピープル
3. CANADA
4. インディゴ16'
5. カルテ
6. sweetcigarettes
7. greedcity -the theme of lisa-
8. 星雲ヒッチハイク
9. newpoesy
10. 自転車ジェット

イベント情報

『TAMTAM "NEWPOESY" Release Tour』

2016年9月21日(水)
会場:長野県 松本 ALECX
出演:
TAMTAM
Healthy Dynamite Club
パーティーグッズ

2016年10月2日(日)
会場:茨城県 古河 SPIDER
出演:
TAMTAM
MAGIC FEELING
A Month of Sundays
Vulpes Vulpes Schrencki
DJ:Shower of Music

2016年10月22日(土)
会場:大阪府 南堀江 socorefactory
出演:
TAMTAM
キツネの嫁入り
The sankhwa
and more

2016年11月4日(金)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
TAMTAM
Tempalay
DyyPRIDE(SIMI LAB)

プロフィール

TAMTAM
TAMTAM(たむたむ)

2008年結成、東京を中心に活動するオルタナティヴバンド。メンバーは、クロ(Vocal、Trumpet、Synthesizer)、高橋アフィ(Drums、Programming)、ともみん(Keyboard、Chorus)、ユースケ(Guitar)。紅一点クロの透明感のあるしなやかな歌声を中心に、レゲエ / ダブを土台にし培った、バリエーション豊かに刻む骨太なリディムセクション。全体のカラーを決定づけるギターに、彩りを与えるメロウなキーボード、ときに祝祭的なブラス・サウンドが幅広い音楽性を与えている。

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