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再出発するTAMTAMに、時代は味方する。移籍を経た2年間を語る

再出発するTAMTAMに、時代は味方する。移籍を経た2年間を語る

TAMTAM『NEWPOESY』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:山元翔一 編集:山元翔一・柏井万作
2016/09/14

これまでの騒ぐっていう感じではなく、踊ってもらいたいような曲調が多くなって、そこから徐々にR&Bとかヒップホップの流れに入っていった感じですね。(アフィ)

―では、実際のアルバム制作に関しては、どこがスタートだったのでしょうか?

クロ:8曲目の“星雲ヒッチハイク”は2年前には既にあった曲で、バンド内でわりと盛り上がって、「こういう方向で伸びていきたい」って話してたんです。もともとは「20分くらいの曲を作って、Ustreamでやろう」って企画があって、最初はもっとジャムっぽい感じだったんですけど、ライブでやるために短くして、今回のアルバムに入ってるのはそこからさらにリアレンジしたものです。

―『Strange Tomorrow』がロック寄りだったのに対して、『NEWPOESY』はソウル、ヒップホップ、R&B寄りで、資料にはThe InternetやHiatus Kaiyote(共にソウルやヒップホップを生演奏する海外のバンド)の名前が挙がっていて、僕もそういった今のバンドに通じる感覚がTAMTAMにあると思いました。“星雲ヒッチハイク”が今の方向性に至るきっかけになったわけですか?

クロ:「リラックス」してるっていうのが、重要だったんだと思います。前まではすごくシリアスだったけど、“星雲ヒッチハイク”は脱力してると思うんですね。

アフィ:前からそういう曲もアルバムには入ってたけど、今回のアルバムで、方向性が明確になりました。これまでの騒ぐっていう感じではなく、踊ってもらいたいような曲調が多くなって、そこから徐々にR&Bとかヒップホップの流れに入っていった感じですね。

前作『Strsnge Tomorrow』収録曲

―音像も変わりましたね。

アフィ:前までは音数が多めだったんですけど、最近のジャズの人たちって、普段打ち込みとかを聴いてる人に向けて、生バンドのかっこよさを届けるためのアレンジをしてるじゃないですか? 少し余白を作って、プレイヤーそれぞれの音とか、ボーカルのちょっとしたうねりが聴こえるような。まあ、メンバーみんな音楽好きなので、そういう時代性は伴うというか、意識してやったというよりは、結果的にこうなったって感じなんですけど。

―意識して寄せてたら薄っぺらくなってしまうけど、そうはなってないし、TAMTAMってもともとすごく折衷的だから、その割合が以前と少し変わっただけとも言えるのかなって。

クロ:そうですね。ただ、最初の頃は前提として「周りにレゲエ / ダブバンドとして見られている中でどうポップスをするか」に囚われていた部分が少なからずあったけど、そういう肩書きも含めて、ひとつの場所に留まっているとモヤモヤし始めて、「もっと違うものを作りたい」って気持ちが芽生えるんですよね。

今回大きく変わったこととして、余計なことは何も考えず、とにかくシンプルに「今やりたい曲」を突き詰める精度だけ高めたかった。だから一旦、これまでの経緯からバンドに期待されそうなものはリセットして、考えませんでした。「音を聴いた人から自分達がどう見えるか楽しもう!」と、ようやく振り切れたというか。

アフィ:やりたいことをちゃんとやればレスポンスも返ってくるから、あんまりいろいろ考えなくても、それでいいんだなっていうか。

―そう考えると、やっぱり『Strange Tomorrow』までの積み重ねがあったからこその今だっていう言い方ができそうですね。

クロ:そう思っていただけると嬉しいです(笑)。

左から:クロ、高橋アフィ

ダブのそういう生々しいところとか、よれたりしてるのをちゃんとかっこよく入れるのって、今のインディーの感性にも近いなって。(アフィ)

―さきほどちょっと出自の話になりましたが、一時期は「21世紀型ダブバンド」っていうコピーもあったり、やはりルーツとしてのダブ / レゲエっていう部分は今も大きいと思うんですね。そういう自分たちのルーツと、今の時代との接点をどのようにお考えですか?

アフィ:ダブって録音後のポストプロダクションも重要なんですけど、基本的には、「録ったのをそのまま出す」みたいなところもあるんです。例えば、ダブのレコードにはよく、最初のカウントをミスってやり直すみたいのがそのまま入ってるんですけど、そういう感性って今と近いというか……。

クロ:セクシーというか、だらしないというか。

アフィ:人の顔が見えるというかね。ダブのそういう生々しいところとか、よれたりしてるのをちゃんとかっこよく入れる精神とかは、今のインディーの感性にも近いなって。だから、今の時代を「ダブっぽい」と言うことはできるけど、たまたま共通の要素というだけで、わざわざ言わなくてもいいよねっていうのはあります(笑)。

高橋アフィ

―ダブっていうと一般的には「ポストプロダクションでいろんなエフェクトをかける」みたいなイメージの方が強いかもしれないけど、その一方では生々しさも魅力で、そこが時代性にもリンクすると。

クロ:でも、前者のようなエフェクトの飛びが気持ちいいものにもがっつり影響は受けてるので、今回そういう楽曲もいくつかあって。それらのミックスのときは、「ここはもっと極端にエフェクトかけてぶっとばしてください」みたいなオーダーはたくさんしました。ミックスの人もそういうのをちゃんと面白がってくれる人だったので、「このディレイは馬鹿だなあ」とか言いつつやってくれて、そういうのは楽しい思い出です。

アフィ:そう、すごく生々しく録れてるようで、実はミックスは結構めちゃくちゃなことやってるんです。そこもわざわざ言わなくていいけどダブ要素ではあるというか、「スタジオでやった変なことをちゃんと面白がる」って部分は出てると思います。録音したドラムの音をアンプに通したり、そもそもマイキングも変だし。

クロ:声もパッと聴き普通に聴こえると思うんですけど、緩やかに全体を歪ませてたりして、バンドと一緒に気持ちいいところを探してくれたというか。

―エンジニアの中村公輔さんは、入江陽さんやツチヤニボンド、最近だと宇宙ネコ子とかを手がけられている方ですね。特にミックスに時間をかけた曲を挙げるとしたら、どれになりますか?

アフィ:曲単位というよりも、全体の方向性を決めるまでが大変でした。最初にどういうミックスにしたいかって話をしたときに、僕らは「打ち込みっぽい感じで」みたいなことを言ってて(笑)。

クロ:参考音源が、A$AP Rocky(ニューヨーク出身のラッパー)の“L$D”だったり。

アフィ:全体的にドラムが歪んでて、わりと打ち込みっぽい感じがいいなって思ってたら、リファレンスになるバンドの曲が2曲くらいしかなくて。なので、そういうサウンドをどうやってバンドで出すかっていう部分に、ちょっと時間がかかりましたね。

クロ:でも、生ドラムの録り音がすごいよかったから、「そこは活かしたい」と言って……。

―「どっちやねん!」と(笑)。

クロ:でも、「うーん」って言いながら、「なんとなくわかりました」ってやってくれたのが結構イメージに近くて、最初に“CANADA”がパーフェクトバランスでできて、「他の曲もこの方向にチューニングしよう」ってなってからは速かったです。曲より音像で考えるみたいなのも、今の海外のバンドとかに近いのかもしれないですね。

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リリース情報

TAMTAM『NEWPOESY』
TAMTAM
『NEWPOESY』(CD)

2016年9月14日(水)発売
価格:2,592円(税込)
PCD-24536

1. アンブレラ
2. コーヒーピープル
3. CANADA
4. インディゴ16'
5. カルテ
6. sweetcigarettes
7. greedcity -the theme of lisa-
8. 星雲ヒッチハイク
9. newpoesy
10. 自転車ジェット

イベント情報

『TAMTAM "NEWPOESY" Release Tour』

2016年9月21日(水)
会場:長野県 松本 ALECX
出演:
TAMTAM
Healthy Dynamite Club
パーティーグッズ

2016年10月2日(日)
会場:茨城県 古河 SPIDER
出演:
TAMTAM
MAGIC FEELING
A Month of Sundays
Vulpes Vulpes Schrencki
DJ:Shower of Music

2016年10月22日(土)
会場:大阪府 南堀江 socorefactory
出演:
TAMTAM
キツネの嫁入り
The sankhwa
and more

2016年11月4日(金)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
TAMTAM
Tempalay
DyyPRIDE(SIMI LAB)

プロフィール

TAMTAM
TAMTAM(たむたむ)

2008年結成、東京を中心に活動するオルタナティヴバンド。メンバーは、クロ(Vocal、Trumpet、Synthesizer)、高橋アフィ(Drums、Programming)、ともみん(Keyboard、Chorus)、ユースケ(Guitar)。紅一点クロの透明感のあるしなやかな歌声を中心に、レゲエ / ダブを土台にし培った、バリエーション豊かに刻む骨太なリディムセクション。全体のカラーを決定づけるギターに、彩りを与えるメロウなキーボード、ときに祝祭的なブラス・サウンドが幅広い音楽性を与えている。

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