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デビューから10年。手嶌葵が乗り越え、歩んできた道のりを語る

デビューから10年。手嶌葵が乗り越え、歩んできた道のりを語る

手嶌葵『青い図書室』
インタビュー・テキスト
天野史彬
編集:山元翔一
2016/09/21

今年、デビュー10周年を迎えた手嶌葵。その歌声は、この10年間、どうして私たちの心を惹きつけ続けてきたのだろう? 2年ぶりとなるオリジナルアルバム『青い図書室』を聴けば、その理由が少しわかるかもしれない。聴き手の心に安堵をもたらす、ノスタルジックな質感に満ちた音。紡がれる言葉は、記憶と幻想と祈りを歌に重ねる。そこには、今、大舞台で多くの人々に向けられる手嶌の優しい歌声の、その奥にある凛とした強さが、そして、そのさらに奥にある悲しみが刻まれている。

でも大事なことは、今の手嶌は悲しみを優しさに変えるような、そんな大きな歌を歌っているということなのだ。人は幸せを求めて旅に出て、いつしか帰る家を求める。このアルバムは「家」のようなアルバムだ。10年間の旅を経て帰りついた家で、きっと手嶌は、かつての自分に笑顔で「ただいま」と言えているのだ。だからだろう、このアルバムは手嶌自身の、そして聴き手の人生の「今」を祝福するような、そんなあたたかさに満ちている。

10年経って自分も周りも少しずつ変わっていって、歌うことが好きだな、楽しいなって思える瞬間が増えてきた。

―手嶌さん、今年がデビュー10周年であると同時に、20代最後の年なんですよね。

手嶌:はい、そうなんです。

―なので、心境的な変化も多い1年なんじゃないかなと思うのですが、まず今年は、“明日への手紙”がフジテレビ系月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の主題歌に起用されたことも話題になりましたね。

手嶌:“明日への手紙”は、そもそもドラマのために書き下ろしたものではなくて、2年前にリリースした『Ren'dez-vous』というアルバムの中の1曲だったんです。作詞作曲をしてくださった池田綾子さんが、本当に優しくてあたたかい気持ちで書いてくださった曲で。私にとっては、「悲しいことも楽しいこともあるけど、素敵な明日を迎えられるように頑張れ!」っていう先輩からのエールの曲でもあったんです。なので、あの曲を見つけ出していただいたのは、すごく嬉しかったですね。

―今年は映画『永い言い訳』の挿入歌を歌われるなど、活動の幅はより広がっていますが、デビュー10周年ということについては、今、どんな気持ちですか?

手嶌:「10年もやらせていただけたんだなぁ」って、感謝でいっぱいですね。デビューした当時は、小さい頃から大好きだったジブリさんの作品でデビューさせてもらえる喜びと同時に、緊張しすぎていて、あまり冷静に覚えていられない状況でもあったんですけど(笑)。……でも、10年経って自分も周りも少しずつ変わっていって、歌うことが好きだな、楽しいなって思える瞬間が最近、増えてきたんです。

―裏を返すと、この10年の間に、歌うことが楽しくなくなる瞬間や、音楽と距離を置きたくなる瞬間があったんですか?

手嶌:悔しさを覚える瞬間はいっぱいありましたね。デビュー当時は周りにたくさん大人がいて、その中で背伸びをしていた感覚があったんですよね。それでコンサート中に緊張しすぎてしまって、いつもの調子で歌えなかったり、不安定になってしまったり……せっかく作っていただいた曲に対して、「申し訳ないな」「不甲斐ないな」っていう気持ちになったこともありました。 「作っていただいて嬉しい」っていう気持ちが根底にあるので、自分で曲を書いていらっしゃる方とは違う種類の悔しさだと思いますけどね。今になってみるとデビュー曲の“テルーの唄”も、「あんな時期もあったなぁ」って思いながら歌えていますが(笑)。

―昔の自分を思い出すことは多いですか?

手嶌:「10周年」という部分で、昔を振り返ることは多くなったかもしれないです。……やっぱり、10年って長いですよね。自分の内面も変わったし、歌って経験値が必要なものだから、歌声も、この10年ですごく変わっていると思うんです。 それこそ10年間ずっと担当してくださっているメイクさんに、「葵ちゃん、大人になったね」ってまじまじと言われるんですよ(笑)。「余裕ができてよかったね」って。デビューした当時は人に対しても余裕のある態度をとれていなかったと思うんですけど、今は曲や詞を書いてくださる方たちに直接、自分の気持ちを伝えることもできているし……今の方がよっぽど楽しめていると思いますね。

手嶌葵
手嶌葵

―手嶌さんがデビューされた18~19歳という年頃って、人によっては大学に進学したりして、悩むことを許される猶予期間でもあると思うんです。でも、手嶌さんは当時からジブリ作品の主題歌に抜擢されるという、とても大きな舞台で歌われていますよね。そこに向き合えた覚悟って、どこから生まれたものだったんですか?

手嶌:うーん……デビューした当時は、覚悟なんて全然なかったと思うんですよね。私の歌を求めてくれる方がいたからこそ、歌っていた部分が大きかったので。なので、デビューをしてから現実を知っていったんだと思います。ただ、お客様の前に立って歌うことに対する責任は、ずっと感じていました。「自分が出したものの責任は、すべて自分に返ってくるんだ」っていう意識は、18~19歳の頃からあまり変わっていないと思いますね。

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リリース情報

手嶌葵『青い図書室』初回限定盤
手嶌葵
『青い図書室』初回限定盤(2CD)

2016年9月21日(水)発売
価格:3,780円(税込)
VIZL-1016

[CD1]
1. 想秋ノート
2. 白薔薇のララバイ
3. ナルキスと人魚
4. 海を見つめる日
5. 蒼と白~水辺、君への愛の詩~
6. ワインとアンティパスト
7. ミス・ライムの推理
8. Handsome Blue
9. 白い街と青いコート
[CD2]
『Aoi Teshima 10th Anniversary Concert Live at KATSUSHIKA SYMPHONY HILLS on May 28, 2016』
1. 岸を離れる日
2. 虹
3. 朝ごはんの歌
4. 1000の国を旅した少年
5. ちょっとしたもの
6. 瑠璃色の地球
7. 風の谷のナウシカ

手嶌葵
『青い図書室』通常盤(CD)

2016年9月21日(水)発売
価格:3,240円(税込)
VICL-64584

1. 想秋ノート
2. 白薔薇のララバイ
3. ナルキスと人魚
4. 海を見つめる日
5. 蒼と白~水辺、君への愛の詩~
6. ワインとアンティパスト
7. ミス・ライムの推理
8. Handsome Blue
9. 白い街と青いコート

V.A.『永い言い訳 オリジナル・サウンドトラック』
V.A.
『永い言い訳 オリジナル・サウンドトラック』(CD)

2016年9月21日(水)発売
価格:2,700円(税込)
VICL-64654

1. 永い言い訳 OPENING THEME
2. 調子の良い鍛冶屋 ピアノ初級
3. 孤独(モノローグ)
4. パッサカリア
5. 孤独(エゴサーチ)
6. 孤独(静かな夜)
7. 東京タワー
8. ちゃぷちゃぷローリーのテーマ
9. 調子の良い鍛冶屋 ギター
10. 急こう配の坂
11. 夏の海
12. 愛しい望みよ
13. もろびとこぞりて
14. もみの木
15. 行かなくちゃ
16. オンブラ・マイ・フ(歌・手嶌葵)
17. ujasiri
18. 調子の良い鍛冶屋 ENDING

イベント情報

『ミニライブ・トーク&サイン会』

2016年9月24日(土)
会場:東京都 TSUTAYA TOKYO ROPPONGI

2016年9月25日(日)
会場:大阪府 枚方 T-SITE 4F ラウンジスペース

『手嶌葵 10th Anniversary Concert』

2016年10月2日(日)
会場:大阪府 NHK大阪ホール

2016年11月20日(日)
会場:愛媛県 四国中央市土居文化会館(ユーホール)

2016年11月23日(水・祝)
会場:兵庫県 丹波市立ライフピアいちじま大ホール

2016年12月10日(土)
会場:埼玉県 大宮ソニックシティ小ホール

2016年12月18日(日)
会場:東京都 中野サンプラザホール

2016年12月24日(土)
会場:神奈川県 相模女子大学グリーンホール

プロフィール

手嶌葵
手嶌葵(てしま あおい)

1987年、福岡県出身。「The Rose」を歌ったデモCDをきっかけに、2006年公開のジブリ映画『ゲド戦記』の挿入歌「テルーの唄」と主題歌の歌唱、ヒロイン"テルー"の声も担当しデビュー。その後、2011年公開のジブリ映画『コクリコ坂から』の主題歌も担当。デビュー10周年となる2016年には「明日への手紙」がフジテレビ系月9ドラマ『この恋を思い出してきっと泣いてしまう』の主題歌に抜擢され大ヒット。4月にリリースされたタイアップコレクションアルバム「Aoi Works~best collection 2011-2016~」もロングセールスを記録する中、9月にはセルフプロデュースによる2年ぶりの待望のオリジナルアルバム「青い図書室」をリリース。聴き手を魅了するその類稀なる歌声は、数々の主題歌やCMソングに求められ続けており、近年はライブ活動も積極的に行っている。

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