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Salyuと小林武史が今振り返る、Lily Chou-Chouで表現した美意識

Salyuと小林武史が今振り返る、Lily Chou-Chouで表現した美意識

『「円都空間 in 犬島」produced by Takeshi Kobayashi』
インタビュー・テキスト
柴那典
撮影:岩本良介 編集:矢島由佳子

相当贅沢なキャスティングになりました。このメンバーが、YEN TOWN BANDとLily Chou-Chou Project、その両方の演奏をやるんです。(小林)

―今回の『円都空間 in 犬島』では、YEN TOWN BAND、Lily Chou-Chou Projectらが出演し、2時間におよぶ「協奏組曲」が繰り広げられるとされています。正直、プレスリリースに書かれているイベント概要を読むだけでは、なにが行われるかイメージがわかないのですが、実際はどういうものになるのでしょうか。

小林:たぶん、実際に来ないとわからないと思います(笑)。こういうものは、まだ世の中に存在していないから。

小林武史

―単にYEN TOWN BANDとLily Chou-Chouのライブが行われる、というイベントではない。

小林:1曲終わったら挨拶をして拍手をするような通常のロックやポップスのライブではない。非日常的な空間になると思いますね。

Salyu:まだリハも始まっていないので、私も掴みきれていないのですが……オープニングからエンディングまで、ひとつの組曲としてとらえられるようなものなんですよね?

Salyu

小林:そう。SalyuがLily Chou-Chou Projectとして、ひとつの物語の語り部や狂言回しのような役割を担うんですね。その軸がひとつあって、もうひとつは、辺見庸さんという石巻出身の作家・ジャーナリスト・詩人の方が出された『眼の海』という詩集の朗読も、語り部の軸として用いさせてもらうつもりです。『眼の海』は、震災後の失われた命や残された命との言葉との呼応を詩の形にしたものなのですが、これがものすごく強い表現で、僕もとても好きな詩集なんですね。

―つまり、物語や詩の朗読も交えた音楽劇のようなもの、ということでしょうか?

小林:そういうイメージがありますが、それだけではないですね。すべて台本通りに動くわけではないし、語り部になるLily Chou-Chou Projectとからめながら、詩の朗読が音楽としても成立する。そういう立ち位置で、安藤裕子と大木伸夫という二人のシンガーが参加します。それぞれの歌も構成しながら、協奏していくんです。全体としては、それが「協奏組曲」ということになる。

―音楽と詩がからみあっていくような表現になる。

小林:そう。ダンスでもお芝居でもない。ただ、辺見庸さんの詩は平易な言葉を使っているわけではないので、言葉をタイポグラフィー的に見せたいと思ってますけれど。

左から:Salyu、小林武史

―参加ミュージシャンのラインナップは、安藤裕子さん、大木伸夫さん、Salyuさん、Charaさん、金子ノブアキさん、高桑圭さん、名越由貴夫さん、津野米咲さん、TOKUさんという面々となっています。これはどのような意図の編成なのでしょうか?

小林:はっきり言って、相当贅沢なキャスティングになりましたね。このバンドメンバーが、YEN TOWN BANDとLily Chou-Chou Project、その両方の演奏をやるんです。実際、リハーサルの時間は少ないんですけれど、そのかわりに一筆書きのようにできていくセッションの面白さもある。そういうことを楽しめる力量を持ったメンバーでもあるので。

よく稽古して見せるエンターテイメントもいいけれど、アート的な緊張感、ある種のジャズロックのようなセッション感があるのもいいと思うんです。いろんなことが起こるんじゃないかと思いますね。そういう意味でも、単なる音楽劇ではない。

僕は「円都」の奥に、Lily Chou-Chouの深度と美意識みたいなものが存在するんだと思うんです。(小林)

―映像監修として、『スワロウテイル』(1996年)と『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)の監督である岩井俊二さんの名前がありますが、岩井さんはどんな形で参加されるのでしょうか?

小林:今回の舞台を記録したものを、彼が監督して映像作品化したいと思っています。

―『スワロウテイル』からYEN TOWN BANDが誕生して20年、『リリイ・シュシュのすべて』からLily Chou-Chou Projectが誕生して15年が経つわけですけれども、その2つの関連性はどのように考えていますか?

小林:岩井くんとも話したんだけれど、僕は「円都」(『スワロウテイル』の舞台となっている架空都市)の奥に、Lily Chou-Chouの深度と美意識みたいなものが存在するんだと思うんです。

―Lily Chou-Chouの深度と美意識というと?

小林:岩井くんは、『スワロウテイル』と『リリイ・シュシュのすべて』を真逆だと言うんですね。前者は「円都」というローアングルの場所で、人が円というお金の基準に、それぞれが持っている知恵の欠片を持ち寄って集まってくるようなところがある。それはオープンでもあるけれど、ラフでタフなもの。一方で、『リリイ・シュシュ』は、かなり排他的でもっと閉ざされているもので。だけど深度とか美意識に対して、とても自由である。そういう意味で、岩井くんは「真逆だ」という言い方をしたんだと思います。

僕にとって「真逆」という発想は新鮮だったんだけれど、合点がいったのは、今回犬島で『円都空間』をやるにあたって、犬島の辿った数奇な運命と、そこに廃墟のような美しい空間ができているということで。そこがLily Chou-Chouの深度と美意識と、相性がいいと思ったんです。

―犬島という場所と、Lily Chou-Chouの世界観が共鳴しあっている。

小林:そう。だから、YEN TOWN BANDとLily Chou-Chou Projectというものの双璧を、犬島に持っていきたかった。「円都」の中にLily Chou-Chouは含まれている。そういう解釈ですね。

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イベント情報

『「円都空間 in 犬島」produced by Takeshi Kobayashi』

2016年10月8日(土)~10月11日(火)
会場:岡山県 犬島 犬島精錬所美術館 発電所跡
出演:
YEN TOWN BAND
Lily Chou-Chou Project
安藤裕子
大木伸夫(ACIDMAN)
金子ノブアキ(RIZE)
Salyu
高桑圭(Curly Giraffe)
Chara
津野米咲(赤い公園)
TOKU(10月10日、10月11日のみ)
名越由貴夫
小林武史

映像監修:岩井俊二

料金:12,000円

プロフィール

小林武史
小林武史(こばやし たけし)

音楽家、音楽プロデューサー。1980年代からサザンオールスターズやMr.Childrenなどのプロデュースを手掛ける。1990年代以降、映画と音楽の独創的コラボレーションで知られる『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』など、ジャンルを越えた活動を展開。2003年に「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギーや食の循環、東日本大震災の復興支援等、様々な活動を行っている。

Salyu(さりゅ)

2000年4月、岩井俊二の映画『リリイ・シュシュのすべて』作中に登場する架空のシンガー・ソングライター「Lily Chou-Chou」として2枚のシングルをリリース。2004年、シングル『VALON-1』でSalyuとしてデビュー。小林武史プロデュースのもとPOPで多様な色彩を持つ圧倒的な「声」の存在感を示し、Bank Band with Salyuとして発表した『to U』でその歌声を世に広めた。2011年4月には「salyu × salyu」プロジェクトとしてCornelius=小山田圭吾との共同プロデュース作品『s(o)un(d)beams』を発表。2015年4月には5枚目のオリジナルアルバム『Android & Human Being』をリリース。

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