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Salyuと小林武史が今振り返る、Lily Chou-Chouで表現した美意識

Salyuと小林武史が今振り返る、Lily Chou-Chouで表現した美意識

『「円都空間 in 犬島」produced by Takeshi Kobayashi』
インタビュー・テキスト
柴那典
撮影:岩本良介 編集:矢島由佳子

「美しい、純粋である」というテーマは、Lily Chou-Chouの歌唱の中にあります。(Salyu)

―Salyuさんは、「Lily Chou-Chouの深度と美意識」について、どんな考えをお持ちですか?

Salyu:正直、私は作品の楽曲を作ったり、言葉を構築していったりという、建設的なところには参加していないので、小林さんみたいにスマートにLily Chou-Chouの概念を語りきれないのですが、「美しい、純粋である」というテーマは歌唱の中にあると思います。私は、ただただ小林さんや岩井さんが作った世界観をどう表現したら美しいだろうかということだけに力を注いでいますね。

小林:とは言っても、実際にLily Chou-Chouの深度や美意識を提示できるのは、Salyuが発する生き物としての声であり、歌うという行為なんですよ。彼女の歌の中に、いろんなものが反映されている。僕らに共通して持っている感覚は、Salyuの身体を通して表現できているんです。

左から:Salyu、小林武史

―Salyuさんは、自身の名義とLily Chou-Chouで、なにか表現に違いはありますか?

Salyu:特に違いはないんです。岩井さんによって作られた、Lily Chou-Chouという一人の人物のストーリーがある、その中の音楽という事実がある。それに対して自分自身もそれに応えられるように反応したいというのはありますが、Salyu名義のときとは歌唱を変えようとか、そういうことはあまりないです。持っているストーリーが違うということですね。ただ、当時からはいろいろな精神的な変化、肉体的な変化、価値観の変化もあったので、歌唱は変わったと思います。

Salyu

経済や合理性から取り残されていくものが創造力を発揮する空間として「円都空間」を作ったんです。(小林)

―今回の『円都空間』の物語の中で、YEN TOWN BANDとLily Chou-Chouはどう絡み合っていくのでしょうか?

小林:今回は、経済や合理性から取り残されていくものが創造力を発揮する空間として、「円都空間」という場を作ったんです。YEN TOWN BANDは、ローな場所、世界の端に追いやられてしまった場面で生きている人たちにとって、スターのような象徴として存在している。その一方で、語り部や狂言回し的な存在としてLily Chou-Chouがいる。

左から:Salyu、小林武史

―今回の『円都空間』にも、経済の合理性と人の多様性のぶつかり合い、技術と人間性の相克など、これまで小林武史さんが追求してきたテーマのいろんなエッセンスが注ぎ込まれているように思います(YEN TOWN BANDアルバムリリース時インタビュー記事:小林武史が訴える「経済の合理性を追求すると多様性が失われる」)。そのあたりはどうでしょうか?

小林:まあ、ずっと、そのあたりを触りながら生きていますからね。急に別のテーマにはなりにくい(笑)。ただ今回、岩井くんや同じ時代に生きている仲間と、僕なりに一番面白いと思うことを更新しているつもりではあるんです。

―どのように更新されているのでしょう?

小林:やっぱり、今のテーマは大きく言えばグローバリズムと、そこから取り残されたものをどう守っていくか、というものになりますね。それは自分だけが考えていることではなくて、たとえばヴェネツィアの芸術祭に行ったときにも、そことのせめぎあいがテーマになっていたりする。どうしてもこうなるんですよ。

一方で自然や野生があって、一方でテクノロジーがある。信仰や宇宙観のようなものがある。そういう中で、僕らがどこから来てどこに向かって、今どこにいるのか。今回は、そういうことに沿った演目になると思います。

―Salyuさんは歌い手としてそれをどう表現しようとイメージされていますか?

Salyu:今回は演目がいくつも散らばっているのではなく、それがひとつの組曲という捉え方ができるものなので、参加させていただく一人のシンガーとしては、どれだけそこに質量をもたらせるか。それができるだけ美しくて、心を震わせられる価値があるものにできるか。そういう心構えですね。

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イベント情報

『「円都空間 in 犬島」produced by Takeshi Kobayashi』

2016年10月8日(土)~10月11日(火)
会場:岡山県 犬島 犬島精錬所美術館 発電所跡
出演:
YEN TOWN BAND
Lily Chou-Chou Project
安藤裕子
大木伸夫(ACIDMAN)
金子ノブアキ(RIZE)
Salyu
高桑圭(Curly Giraffe)
Chara
津野米咲(赤い公園)
TOKU(10月10日、10月11日のみ)
名越由貴夫
小林武史

映像監修:岩井俊二

料金:12,000円

プロフィール

小林武史
小林武史(こばやし たけし)

音楽家、音楽プロデューサー。1980年代からサザンオールスターズやMr.Childrenなどのプロデュースを手掛ける。1990年代以降、映画と音楽の独創的コラボレーションで知られる『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』など、ジャンルを越えた活動を展開。2003年に「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギーや食の循環、東日本大震災の復興支援等、様々な活動を行っている。

Salyu(さりゅ)

2000年4月、岩井俊二の映画『リリイ・シュシュのすべて』作中に登場する架空のシンガー・ソングライター「Lily Chou-Chou」として2枚のシングルをリリース。2004年、シングル『VALON-1』でSalyuとしてデビュー。小林武史プロデュースのもとPOPで多様な色彩を持つ圧倒的な「声」の存在感を示し、Bank Band with Salyuとして発表した『to U』でその歌声を世に広めた。2011年4月には「salyu × salyu」プロジェクトとしてCornelius=小山田圭吾との共同プロデュース作品『s(o)un(d)beams』を発表。2015年4月には5枚目のオリジナルアルバム『Android & Human Being』をリリース。

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