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音楽から流行語が生まれないのはなぜ? 気鋭の文学ロック歌詞対談

音楽から流行語が生まれないのはなぜ? 気鋭の文学ロック歌詞対談

BURNOUT SYNDROMES『檸檬』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:田中一人 編集:飯嶋藍子

アニメ『ハイキュー!!』のオープニングソングを手掛けることでも知られる3ピースバンド・BURNOUT SYNDROMESが、1stフルアルバム『檸檬』をリリースした。フォークからクラシックまでも飲み込んだ自由自在かつハイエナジーなサウンドはもちろんだが、「青春文學ロックバンド」という肩書きがつくほどの訴求力を持った、ボーカル・熊谷和海が綴る歌詞もまた、彼らの魅力のひとつ。

そして、熊谷の文学青年っぷりが如何なく発揮されたミニアルバム『文學少女』以来、バンドのプロデュースを務めているのが、元スーパーカーのギタリストであり、作詞家のいしわたり淳治だ。スーパーカーの詞で時代を射抜き、バンド解散後も現在に続くまでプロデューサー / 作詞家として、日本の音楽シーンの土台を作り続けてきたいしわたり。彼にとって、熊谷和海という新世代文學ロック青年は、どのように映ったのだろう。今回は、この二人の新旧・文學ロック青年対談を敢行。作詞に対する思いの丈を、思う存分語り合ってもらった。

曲を最後まで聴いてもらうためには、大前提として歌詞にもわかりやすさが必要になっている。(いしわたり)

―まず、いしわたりさんはスーパーカーでデビューした1990年代の終わりから現在までの約15年間で、日本のロック / ポップの歌詞の在り方は変化していると思いますか?

いしわたり:そもそも90年代は、音楽を聴いてもらえる時代だったんですよ。何が入っているかわからなくても、お金を出してアルバムを買って、買ったからには理解しようとして聴く時代だった。

左から:熊谷和海(BURNOUT SYNDROMES)、いしわたり淳治
左から:熊谷和海(BURNOUT SYNDROMES)、いしわたり淳治

―音楽を聴くスタイルから、今とは違いますよね。

いしわたり:そうそう。たとえば年齢を訊いたときに、「何歳に見えます?」って、逆に訊き返してくる人がいるじゃないですか(笑)。あれが通用したんですよね。「何を歌っているんですか?」「何を歌っていると思います?」でよかった。

でも今は、それだとマズいっていう感じですかね。今はもう買わなくても聴けるから、曲を最後まで聴いてもらうためには、大前提として歌詞にもある程度のわかりやすさが必要になっているな、と。

熊谷:今の話は、“FLY HIGH!”(2016年。アニメ『ハイキュー!!』オープニングソング)のときにはっきりと意識しました。というのも、聴いてくれる人が興味を持つのは第一にアニメであって、僕たちではない。そういう人たちにも「いいね」って言ってもらうにはどうしたらいいんだろう? と考えながら作ったんです。今は、聴いてくれる人たちの分母を広げるためにも、最初の入り口を選ばなくていい時代だと思います。結局、行き着くところに自分の芸術があればいいので。

―メジャーデビューシングルの『FLY HIGH!』のときには、すでにそういう意識だったんですね。いしわたりさんは、スーパーカーがメジャーデビューした1998年当時、歌詞への向き合い方はどのようなものでしたか?

いしわたり:時代なのか個人的なものなのかわからないけど、とてもシラケていたんですよ。当時はミリオンヒットもたくさん出ていたけど、売れていたのは連ドラの主題歌ばかりで、自分たちが到底それをやれるとも、やりたいとも思っていなかった。

その斜に構えたシラケた感じを、そのまま言葉に変えるだけで共感を得られていた実感がありました。でも、今は「シラケているんだ、俺は」なんて言ってもかっこ悪いし、通用しない時代ですよね。SNSで意味深なシラケた言葉を呟かれたらなんか嫌じゃない?

熊谷:そうなんですよ。今はSNSの影響で「人口総アーティスト」時代だと思うんですけど、「俺のほうがシラケてんだよ」なんて、そんなことで競い合ってもしょうがないんですよね。

シラけるのは誰にだってできるし、シラケているのを前提として、そこからどうやって聴く人の気持ちをグイッと持ち上げられるのか? という部分で、アーティストの真価が問われる時代だなと思います。

熊谷和海

―その想いは、熊谷さんが音楽を作るうえで一貫してあるものですか?

熊谷:そうですね。音楽って、時代のムードとは逆のものが売れると聞いたことがあるんです。だから、明るい時代に対して、尾崎豊さんみたいな反抗的な音楽が売れたのはすごくわかる。

でも、今のように暗くて未来の見えない時代に、無根拠に「騒ごうぜ!」っていう明るいものが売れるのは危ないと思います。なので、僕らの仕事は、暗くてシラケた時代であることは仕方がないとして、そのうえで光を探すことなのかなと。

―今日は、事前に歌詞に関してのお題を熊谷さんに投げさせていただいていて。それについて、いしわたりさんと語り合っていただきたいと思うのですが、歌詞のプロデュースって、普段はどんな形で行われるんですか?

いしわたり:もう、本当に丸々ですね。『文學少女』のときは、「サビの2行だけ残して、あとは全部変えよう」みたいなことを続けていたよね。

熊谷:そうですね(笑)。あの頃は本当に煮詰まっていて、ひと月で収録曲の歌詞を全部書き直しました。僕、人に歌詞を教わったことなんて1回もないんです。さっきの時代性の話もそうですけど、いしわたりさんに初めて会って話を聞いた瞬間に「この人の言うことは全部聞こう」と思いました。

いしわたり:初めて会った頃は「年に2~3曲しか書けない」って言っていたけど、今は週に2~3曲書けるようになったもんね。僕は普段から作詞に関する講義もたくさんやっているんですけど、熊谷は一番の優等生ですから。音楽への憧れや、音楽の可能性を信じる気持ちもちゃんとあるし……「いしわたり大学」の主席です。自分の研究室があるなら入れたいぐらい(笑)。

熊谷:ありがとうございます(笑)。僕はもう、弟子だと思っているので。

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リリース情報

BURNOUT SYNDROMES『檸檬』初回生産限定盤
BURNOUT SYNDROMES
『檸檬』初回生産限定盤(CD+DVD)

2016年11月9日(水)発売
価格:3,500円(税込)
ESCL-4732

[CD]
1. 檸檬
2. Bottle Ship Boys
3. FLY HIGH!!
4. アタシインソムニア
5. エレベーターガール
6. ナイトサイクリング
7. 君は僕のRainbow
8. 君のためのMusic
9. ヒカリアレ
10. 人工衛星
11. エアギターガール
12. タイムカプセルに青空を
13. Sign
[DVD]
1. FLY HIGH!! [MUSIC VIDEO]
2. ヒカリアレ [MUSIC VIDEO]

BURNOUT SYNDROMES
『檸檬』完全生産限定盤(CD+バンダナ)

2016年11月9日(水)発売
価格:3,500円(税込)
ESCL-4735

1. 檸檬
2. Bottle Ship Boys
3. FLY HIGH!!
4. アタシインソムニア
5. エレベーターガール
6. ナイトサイクリング
7. 君は僕のRainbow
8. 君のためのMusic
9. ヒカリアレ
10. 人工衛星
11. エアギターガール
12. タイムカプセルに青空を
13. Sign

BURNOUT SYNDROMES
『檸檬』通常盤(CD)

2016年11月9日(水)発売
価格:3,000円(税込)
ESCL-4734

1. 檸檬
2. Bottle Ship Boys
3. FLY HIGH!!
4. アタシインソムニア
5. エレベーターガール
6. ナイトサイクリング
7. 君は僕のRainbow
8. 君のためのMusic
9. ヒカリアレ
10. 人工衛星
11. エアギターガール
12. タイムカプセルに青空を
13. Sign

イベント情報

ワンマンツアー『ヒカリアレ~未来への祈りを合図に火蓋を切る~』

2016年11月20日(日)
会場:新潟県 CLUB RIVERST

2016年11月25日(金)
会場:東京都 渋谷CLUB QUATTRO

2016年12月3日(土)
会場:広島県 HIROSHIMA BACK BEAT

2016年12月4日(日)
会場:福岡県 Queblick

料金:前売3,500円(ドリンク代別)

プロフィール

BURNOUT SYNDROMES
BURNOUT SYNDROMES(ばーんあうと しんどろーむず)

2005年結成、大阪・新世界を中心に活動するロックバンド。1992年生まれの熊谷和海(Vo・G)と石川大裕(Ba・Cho)、93年生まれの廣瀬拓哉(Dr・Cho)による関西在住の3名で編成。日本語の響き、美しさを大切にした文学的な詞やボーカル、その世界を彩る緻密に計算されたアレンジを基盤とし、3ピースの限界に挑戦することをモットーに活動。2010年に若手アーティストの登竜門『閃光ライオット』で準グランプリを獲得。2014年7月に初の全国流通盤『世界一美しい世界一美しい世界』を発表。2015年5月、2ndアルバム『文學少女』、2016年11月、ニューアルバム『檸檬』をリリース。対バンなどを含め、精力的に全国各地でライヴ活動を展開中。

BURNOUT SYNDROMES
いしわたり淳治(いしわたり じゅんじ)

音楽プロデューサー、作詞家。1997年にSUPERCARのギターとしてデビューし、バンド作品全曲の作詞とギターを担当する。2005年のバンド解散後は、音楽プロデューサー、作詞家として活動。雑誌などへの執筆も行なう。著書に小説『うれしい悲鳴をあげてくれ』(ちくま文庫)。ソニー・ミュージックエンタテインメント REDプロジェクトルーム所属。

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