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「ぽっこりお腹もアートだよ」奔放バンド・CHAIと古着屋を巡る

「ぽっこりお腹もアートだよ」奔放バンド・CHAIと古着屋を巡る

Eggs
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:永峰拓也 編集:矢島由佳子

耳の早い日本の音楽好きはすでにざわついているし、SpotifyのUKチャートTOP50にもチャートインして、そのざわつきはいつの間にか世界にまで伝播している……彼女たちは、あっけらかんとなにかを変えてしまいそうな予感がする。名古屋出身の女性4ピースバンド、CHAI。このバンドは、ヤバイ。

マナとカナという双子のツインボーカルに、ユナとユウキという強力なリズム隊が生み出す、ファンクもヒップホップもディスコもサイケも飲み込んだエクストリームなポップサウンド。その上で「コンプレックスはアートなり~」と歌い鳴らす、なにが起こるかまったくわからない彼女たちの動きに身を委ねれば、耳も体も心も、いつの間にかCHAIにジャックされている。「なにこれ?」と感じた瞬間に、私たちはもうCHAIの虜だし、新しい自分に出会っている。

「自分」という存在を規定するのはいつだって自己の内面ではなく外の世界であり、世界を楽しむ感受性と想像力さえ持っていれば、「自分」なんていつでも新しく生まれ変わることができる。「ニュー・エキサイト・オンナバンド」を自称し、「NEOカワイイ」という価値観を提唱するCHAIは、その事実を知っているからこそ、無邪気に世界と自分を更新する。無敵のオンナ四人の自由で確信に満ちた発言を楽しんでください。きっと今に世界中が、CHAIに恋をする。

服を着ておしゃれをするのって、自分のコンプレックスも個性にして発信することだと思うんです。(ユウキ)

―今日の撮影は、みなさんが大好きだという下北沢の古着屋「プチコション」にて行いました。古着って、着る人と着ない人が明確にわかれると思うんですけど、みなさんが古着を好きな理由は?

マナ(Vo,Key):古着って1点ものだから、個性が出せるんですよ。

ユウキ(Ba,Cho):しかも、昔の時代の今はもう売られていない服で、さらに外国製のものだったりすると、ワクワクするよね。

左から:カナ、ユウキ、ユナ、マナ
左から:カナ、ユウキ、ユナ、マナ

―今日のみなさんのファッションもとてもおしゃれですけど、それぞれのポイントを教えてもらえますか?

左から:ユナ、マナ、カナ、ユウキ
左から:ユナ、マナ、カナ、ユウキ

ユナ(Dr,Cho):私は、今日はインナースケスケで攻めました(笑)。

カナ(Vo,Gt):攻めてるよね~。

ユウキ:ユナはCHAIのなかで一番目鼻立ちがはっきりしているから、ナチュラルよりは強い方が似合うと思う。私は、スポーティーにしてみました。普段から男の子みたいな恰好が好きなんです。髪の毛もショートだし、今着ている服も、上はメンズで、下もサイズ的にはメンズ。実はすごくデカい(笑)。

カナ:ユウキは、ナチュラルが一番似合う顔をしてる。ベージュとか茶色とか、淡いレトロな感じがいい。奇抜な感じよりは、緩い雰囲気が似合うイメージがあるね。

ナチュラルなテイストのユウキ(左)と、メンバーから強めのスタイルが似合うと表現されたユナ(右)がそれぞれ選んだ、店内で一番好みの服
ナチュラルなテイストのユウキ(左)と、メンバーから強めのスタイルが似合うと表現されたユナ(右)がそれぞれ選んだ、店内で一番好みの服

カナ:私は、クールな感じが好き。

マナ:カナは色気があるから、それを引き出していやらしすぎないものがいいよね。長い髪の毛を活かした服がいいし。

私は、台湾人を目指しました。台湾人がかわいいんですよね。いつも、日本人をイメージして服を選ばないんです。「日本人として音楽がやりたい」という誇りはもちろんあるけど、服のイメージは「台湾人が着てそう」とか「韓国人が着てそう」で選んじゃう。

ユウキ:日本人のファッションはきれい目が多いからね。でも、アジアの人は派手なピンクとかも普通に着るもんね。

マナ:そうそう。あんまり似合っていないのに、かわいく見える感じ……これ、褒めているんですよ(笑)。

ユウキ:うん、合ってないのが逆にかわいいんだよ。

クールな色気を持つカナ(左)と、台湾人がかわいいと言うマナ(右)がそれぞれ選んだ、店内で一番好みの服
クールな色気を持つカナ(左)と、台湾人がかわいいと言うマナ(右)がそれぞれ選んだ、店内で一番好みの服

―日本人のファッションはきれいすぎるし、合いすぎているなっていう印象がある?

ユウキ:攻めてないかな。キマっちゃっていて、自由がないというか。

カナ:作られちゃっている感じだよね。

―最近は、日本よりも他のアジア諸国のほうが元気だと言われますけど、それは若者たちのファッションにも言えるのかもしれないですね。向こうの人たちの方が、着たい服を着ることができているのかもしれない。

マナ:私たちにとって、ファッションは音楽と一緒なんですよ。自分たちが表現したいものを着るし、自分たちが表現したい音楽を作る。「こういうものが着たいな」ってイメージをして、夢を膨らませて、服を買いに行く。イメージしているだけで楽しいもんね。

CHAI

―自分たちの理想や欲望が投影されるのがファッションであり、音楽であると。

マナ:そうそう。今の私たちは欲望を見つけることがモチベーションだし、それがなかったら音楽もできないんです。不満が多いから、やりたいことも多い。そうじゃなきゃ、音楽をやる意味もないし、表現する意味もないから。今は、その欲を見つけることと戦っています。

ユウキ:でも、それは尽きないんじゃない? 今の日本は、「これがかわいいんだ」とか「これが普通だろ」って与えられた「かわいい」が定着しちゃっているけど、「でも、それっておかしくない?」という考え方が私たちの根本にはあるから。

―CHAIが提唱している「NEOカワイイ」という言葉も、そうした意識の反映なのでしょうか?

マナ:そうですね。私たちは、新しい価値観を作ることを目指していて。今の日本人の「かわいい」価値観のトップに立っている女性って、みんな足が細くて、腕も細くて、お腹もへこんでいて……もちろん、それもかわいいんだけど、みんな、ああいうふうになりたくて頑張るじゃないですか。でも、「なりたい」の方向がそれだけしかないのはおかしいと思う。もっと、そのままでいいのにって思っちゃうんです。

ユウキ:自分が今持っているものを削ってまで、世の中で「かわいい」と言われるものに寄せていこうとするのは違う気がする。もっと体を細くしなきゃいけないとか、目を大きくするために整形しようとか……根本が間違っちゃっている。自分をかわいく見せるのって、そういうことじゃないと思うんですよ。

服を着ておしゃれをするのって、自分のコンプレックスも個性にして、自分から発信することだと思うんです。つまり、発信すること自体が「NEOカワイイ」ということなんですよ。

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リリース情報

CHAI『ほったらかシリーズ』
CHAI
『ほったらかシリーズ』(CD)

2016年12月7日(水)発売
価格:1,728円(税込)
Grand Pacific Work / GPWC-0001

1. 召しませコーフィー
2. ぎゃらんぶー
3. ナンダミン to トータルケア
4. 二重センター
5. ぴーちくぱーちくきゅーちく

イベント情報

『CHAIの、“ロード・ツー・ダ・GRAMMYs”』

2016年11月18日(金)
会場:東京都 下北沢 BASEMENT BAR
出演:
CHAI
思い出野郎Aチーム
踊る!ディスコ室町
ヘンショクリュウ
料金:前売2,500円(ドリンク別)

プロフィール

CHAI
CHAI(ちゃい)

双子のマナ・カナに、ユウキとユナの最強リズム隊で編成された4人組、「NEO - ニュー・エキサイト・オンナバンド」、それがCHAI。2015年『ほったらかシリーズ』EPを会場限定発売&音楽配信サイト『OTOTOY』からリリース。突然いろんな人が「CHAIヤバい」と韻を踏みながら口にし始め、それに気を良くして2016年8月に各ストリーミングサービスで『ほったらかシリーズ』を配信したところ、Spotify UKチャートTOP50に収録曲“ぎゃらんぶー”が突如ランクイン(最高位36位)。12月7日より遅ればせながら全国のCDショップで発売することが決定。2017年『SXSW』の出演も決まり、その常軌を逸したライブパフォーマンスを観てしまった全バンドマンがアホらしくなってバンド解散ブームすら起こりかねないほど。君の2016年度衝撃値ナンバーワンは間違いなくこの「NEOバンド」、CHAIだよ!

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