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「ぽっこりお腹もアートだよ」奔放バンド・CHAIと古着屋を巡る

「ぽっこりお腹もアートだよ」奔放バンド・CHAIと古着屋を巡る

Eggs
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:永峰拓也 編集:矢島由佳子

男性からどう見られるとか関係ない。自分がいいと思ったものを追求した方がいい。(マナ)

―「コンプレックス」は、CHAIがライブのMCなどでもよく使っているワードですよね。

マナ:誰でもひとつぐらいはコンプレックスってあるじゃないですか。私たちも、細いわけでもないし、肌がきれいなわけでもないし、特別目が大きいわけでもない。すごくコンプレックスが多いんですよ。でも、私たちはそれを「これでいいんだよ」って自分たちで発信していきたい。みんな、もっと自分で自分のことを認めちゃえばいいのにって思うんです。

ユウキ:コンプレックスって逆に言えば他の人が持っていない尖った武器になると思うから。そこを強調させるぐらいの勢いがあっていいよね。コンプレックスを武器にすると、自分の世界が変わるし……面白いよね、コンプレックスって(笑)。

マナ:うん、コンプレックスは面白い(笑)。「NEOカワイイ」を提唱するのは、私たち自身が完璧じゃないからできることなんだと思う。

左から:カナ、マナ

―「女性は細い方がかわいい」とか「目が大きくなければいけない」とか、そういう発想の内側には、少なからず男性からの視線を意識する部分もあるんじゃないかと思うんですけど……。

マナ:でも、男性は男性で「ちょっと太っている女の人の方がいい」って言ったりするじゃないですか。

―うん、そうなんですよ。

マナ:だからじゃないけど、私たちは全然気にしていないんです。男性の人からどう見られるとか関係ない。自分がいいと思ったものを追求した方がいいと思っちゃうよね。

カナ:男だろうと女だろうと、誰にどう見られようと関係ないんじゃないかな。

ユウキ:うん。自分がいいと思うものを追求していたら、周りにそれを「いい」って言ってくれる人たちが、そのうち絶対に出てくるし。

 

「女の子バンドは上手くない」みたいな偏見とは戦わないといけないと思っています。(ユナ)

―CHAIは、バンドを組むときに女性だけで組むことが大前提だったんですか?

カナ:私は女同士がよかったかなぁ。

マナ:私も女がよかった。だって、どうやったって、男性と女性が親友になることって難しいと思うんですよ。絶対に恋愛が絡んできたりしちゃうと思うんだけど、バンドのなかでそういうことが生まれるのは嫌だったし、CHAIはずっとやっていきたかったから。そのためには、女同士の方が絶対にいい。なんでもわかり合えるし。

ユナ:私たちは今、一緒に暮らしているんですけど、タンスも一緒なんです(笑)。服も鞄も全部シェアしていて。

左から:ユナ、ユウキ

カナ:ずっと一緒にいられるよね。私たちは、女だけでバンドをやって、男の音を出したいんですよ。

ユウキ:性別が関係ない音を出したいよね。「女っぽい」ってなっただけで、それを売りにしているとか、演奏力がちょっと劣っていると思われがちだから。

―たしかに、CHAIは演奏力が高いですよね。歴史的に見て、女性だけで組まれたバンドって、「ヘタウマ」みたいな語られ方をしていて、演奏が下手であることとか、感覚的にバンドをやっているという点が美点として異様に持ち上げられたりすることが多かったんですけど……。

一同:わかる!!

マナ:あれ、超イヤやだ! 間違っているよ!

ユウキ:普通、下手だと通用しないですからね!

―CHAIは、そういう女性バンドに対する語り口が通じないから最高だなって思うんです。

マナ:私たちは、今、自分たちで発信しているものしか本物の音楽として捉えていないんです。与えられたものをこなしている人たちと一緒にはなりたくないっていう気持ちがある。

ユウキ:見た目やサービスを売って、思わせぶりなことはしたくない。それって、キャバクラみたいなものだよ。

ユナ:うん、それは音楽じゃない。今まで作られてきた「女の子バンドは上手くない」みたいな偏見とは戦わないといけないと思っています。

カナ:だから、私たちは「オンナバンド」って名乗っているんです。「ガールズバンド」じゃない。

左から:カナ、マナ

―最近、自分たちが共感を持てる存在はいますか?

カナ:日本人だと、D.A.N.が刺激的ですね。D.A.N.からは「海外」と「アート」を感じるんです。「日本でもこの音楽が上に行けるんだ!」って思うと、すごく刺激になる。

ユウキ:D.A.N.、めっちゃかっこいいよね!

ユナ:うん、超かっこいい。

マナ:私はtUnE-yArDsがいいな。彼女たちは、音数が少ないけどメロディーがきれいで、なおかつ民族的な要素もあって世界観ができ上がっているなって思う。しかも、ライブでのバックの絵や衣装も、レインボーな色合いで、すごくキラキラしていて。「この音楽に対して、こういう見せ方をするんだ!?」ってビックリする。

衣装は全然似合っていなかったりするんですけど、それがかわいい!(笑) かっこいいし、めっちゃ画になっているんです。私たちも、ステージに立っているだけで画になりたい。tUnE-yArDsは、すごく私たちが理想とする表現をしていると思う。

ユウキ:パツパツの衣装で、お腹がボーンと出ているんだよね(笑)。でも、それがアートになっているし、かっこいい。

キラキラの新品みたいな音楽は好きじゃないんです。最近の日本の音楽は、息ができない。(ユウキ)

―では、CHAIにとって「アート」という言葉を定義づけるとしたら?

ユウキ:「新しくて、見たことのないもの」。

マナ:見たことがあるものは全然面白くない。初めて見てこそ驚きがあるし、新しいことに目を向けることが、これからを作っていく気がする。

今は、刺激が足りないんだよ。もっと刺激し合いたい。新しいものを作って、それに反応してさらに新しいものを作る人に出会って、また影響されて……そういう仕組みができていけば、これからの世界はどんどん変わっていくと思うんだよなあ。私たちは、そういうアーティストでありたいです。

CHAI

―最初の古着の話にも通じますけど、みなさんは、見たことのない過去のものも「新しいもの」として受け入れているわけですよね。実際、CHAIの音楽には過去の音楽文化からの反響も感じますし。みなさんは、どんな音楽が根本的な影響源にあるんですか?

マナ:私が好きなのはTom Tom Clubです。あと、Basement Jaxx。

カナ:Jamiroquaiはみんな好きだよね。Tower of Powerとかも……ブラックミュージックのグルーヴが好きなんですよ。

マナ:ちゃんと「音」で踊らされる感覚がほしいんだよね。

ユウキ:そうそう、1音でグワッと鳥肌が立つ感覚ね。意味とか共感を求めるなんて、別に音楽でやらなくてもいいことだから。もっと音を聴きたいし、音で体を痺れさせたい。

あと、粗があっても、聴く度に発見がある方がいいよね。ちゃんと隙間がある音楽というか。キラキラの新品みたいな音楽は好きじゃないんです。きれいでツルツルな音を、私たちがやるのは違うかなって思う。最近の日本の音楽は、音数が多すぎだよね(笑)。息ができない。

マナ:きれいすぎるものが多いんだよね。きれいすぎると面白くない。あと、展開が見えちゃうのも面白くない。次になにが来るのかわかるものなんて面白くない……なんにも面白くないっ!

カナ:またこのコード進行か~みたいな(笑)。

ユウキ:いつも同じようなリフが最初にくるな~みたいな(笑)。

マナ:そんなもの、私たちが表現する必要はないっ!

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リリース情報

CHAI『ほったらかシリーズ』
CHAI
『ほったらかシリーズ』(CD)

2016年12月7日(水)発売
価格:1,728円(税込)
Grand Pacific Work / GPWC-0001

1. 召しませコーフィー
2. ぎゃらんぶー
3. ナンダミン to トータルケア
4. 二重センター
5. ぴーちくぱーちくきゅーちく

イベント情報

『CHAIの、“ロード・ツー・ダ・GRAMMYs”』

2016年11月18日(金)
会場:東京都 下北沢 BASEMENT BAR
出演:
CHAI
思い出野郎Aチーム
踊る!ディスコ室町
ヘンショクリュウ
料金:前売2,500円(ドリンク別)

プロフィール

CHAI
CHAI(ちゃい)

双子のマナ・カナに、ユウキとユナの最強リズム隊で編成された4人組、「NEO - ニュー・エキサイト・オンナバンド」、それがCHAI。2015年『ほったらかシリーズ』EPを会場限定発売&音楽配信サイト『OTOTOY』からリリース。突然いろんな人が「CHAIヤバい」と韻を踏みながら口にし始め、それに気を良くして2016年8月に各ストリーミングサービスで『ほったらかシリーズ』を配信したところ、Spotify UKチャートTOP50に収録曲“ぎゃらんぶー”が突如ランクイン(最高位36位)。12月7日より遅ればせながら全国のCDショップで発売することが決定。2017年『SXSW』の出演も決まり、その常軌を逸したライブパフォーマンスを観てしまった全バンドマンがアホらしくなってバンド解散ブームすら起こりかねないほど。君の2016年度衝撃値ナンバーワンは間違いなくこの「NEOバンド」、CHAIだよ!

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