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人生を少し輝かせる、下司尚実の演劇とスズキタカユキの服の話

人生を少し輝かせる、下司尚実の演劇とスズキタカユキの服の話

シアタートラム ネクスト・ジェネレーションvol.9 泥棒対策ライト◎11号機設置公演『ドラマティック横丁』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:豊島望 編集:野村由芽、宮原朋之

音楽や演劇やダンスの人たちのエネルギーに触れることで、普段忘れがちな感覚を研ぎ澄ましたい。(スズキ)

―お話を聞いていると、お二人のスタンスが近いってだけではなくて、『仕立て屋のサーカス』の存在が包括的にお二人を結びつけているような印象を持ちました。

スズキ:洋服の世界って、かなり定型化されたプロセスがある場所なんです。だから音楽や演劇やダンスの人たちのエネルギーに触れることで、普段忘れがちな感覚を研ぎ澄ましたいと思っています。ただそれは「芸術」のように定型化の重力の強いものとはちょっと違った、カテゴライズの難しい広さがあってほしい。しいて言えば、新しい「芸能」を作りたくて『仕立て屋のサーカス』を続けているところがあります。

下司:なんて呼んだらいいかわかんない、ってよく言われますよね(笑)。

仕立て屋のサーカス

スズキ:そこがいいなあと思う。ライブなのかパフォーマンスなのか演劇なのかダンスなのかなんなのか、よくわからない。さらにゴハンも出すので、集まる人たちは適当にワイワイやりながら見ることになって、いろんな要素がごちゃごちゃとあって、それをそのまんま「召し上がれ」って感じです。

下司:私ね、公演が終わった後の様子を見るのが好きなんですよ。ちゃんと反省会するんですよね、みなさん。

スズキ:互いにダメ出しするからね(笑)。

下司:『仕立て屋のサーカス』はみんながトップ、みんなが対等なんです。こんなに自由に気持ちよくぶつかり合う現場はなかなかないですよ。自由がありつつ、責任感もある。だから私が参加する時も、「私がトップ!」って思いながら踊っている(笑)。

左から:スズキタカユキ、下司尚実

―やっぱり観るよりも出演する方が楽しいんですね。

下司:それはケースバイケースかな(笑)。曽我さんの采配もあるし、やっぱり勝負の場ですから緊張しますしね。さっきも言ったように、本当に何も決まっていない即興だから、試されるし、自分でも考えるし、動く。たぶんタイミングが合えば参加させてもらう感じになると思うんですけど、そのたびに自分をリセットして自分の殻を脱げるところ。だからこれからも寄り添っていきたい。

「君はアーティストになりたいのか? 大衆にウケたいのか?」と言われて「大衆にウケたいです!」って即答したことがあるんですよ。(下司)

―お二人のやられていることは、単にデザイナーやアーティストという括り方に収まらないように思います。

スズキ:僕は今はデザイナーって名乗ってますけど、ファッション業界の領域では、かなり端っこの変なポジションでやってるなと思っています。服に関わることであれば、全体的にふわっとやってますよ、くらいのテンション。 あと、本質的に服っていう文化は1人のものではないっていう意識がすごくあるかもしれない。ファッション自体がオマージュとか影響関係を公言する文化じゃないですか。権利や著作権がふわっとしていて、言い方が悪いけどパクリに対しておおらか。

スズキタカユキ

スズキ:でも、それもいいと思うんですよ。もしも僕の服の要素を誰かが援用して、面白いことをやってくれるなら歓迎したい。もちろんそれでも自分のオリジナリティーは残る、っていうある種の自負もありますけどね(笑)。それを踏まえて、みんなで大きな流れを作っていくことで、よりすごいものが生まれるんじゃないかって感覚があって、それは『仕立て屋のサーカス』の思想にも通じてる。

下司:録音も録画も全部フリーなんだよね。

仕立て屋のサーカス
仕立て屋のサーカス

スズキ:権利も何も関係ないし、営利目的もOKにしてる。変に妨げるようなルールを設けず、みんなが面白がっていろんなやり方をしていくところから、広がりや流れができると思っているからね。そういうプロセス自体が芸能に近いと思っているんです。それは同時に大衆性を帯びる、っていうことでもあると思っていて、服もそういうものになっていけば面白いな、と思っているんです。

左から:スズキタカユキ、下司尚実

下司:私はずっと前に「君はアーティストになりたいのか? 大衆にウケたいのか?」みたいなこと言われて「大衆にウケたいです!」って即答したことがあるんですよ(笑)。べつにアーティストって言葉は嫌いじゃないんですけど、名乗った時にちょっと人との間に距離が生まれる言葉だなと思うんです。「私とあなたは違うんだよ」みたいな。

私は特別な天才ではないし、みんなと一緒。一緒だからわかることがあるし、そういう場で勝負しているのだから、やっぱり私はアーティストじゃないなって思うんです。

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イベント情報

泥棒対策ライト◎11号機設置公演『ドラマティック横丁』
シアタートラム ネクスト・ジェネレーション vol.9
泥棒対策ライト◎11号機設置公演『ドラマティック横丁』

2016年12月22日(木)~12月24日(土)全3公演
会場:東京都 三軒茶屋 シアタートラム
作・演出・振付:下司尚実
出演:
佐々木富貴子
鈴木美奈子
傳川光留
長尾純子
丸山和彰
若松力
渡辺芳博
下司尚実
料金:一般3,500円 U24チケット2,500円 小・中・高校生1,000円 友の会会員割引3,000円 せたがやアーツカード会員割引3,200円 未就学児500円
※チケット詳細は公式サイトまで
※12月23日終演後はスズキタカユキがゲストのポストトークあり

プロフィール

下司尚実(しもつかさ なおみ)

振付家・演出家・ダンサー。自由形ユニット「泥棒対策ライト」主宰。個性を活かしたぬくもりのある時間創りを得意とする。振付・演出助手・出演での参加作品に、小野寺修二『空白に落ちた男』、NODA・MAP『エッグ』、『逆鱗』、野田秀樹演出オペラ『フィガロの結婚』、近藤良平『山羊ボー走』、康本雅子『絶交わる子、ポンッ』ほか多数。彩の国さいたま芸術劇場日本昔ばなしのダンス『いっすんぼうし』では演出を手がけた。ダンス、芝居などジャンルを問わず幅広く活動している。

スズキタカユキ

1975年愛知生まれ。東京造形大学在学中に友人と開いた展示会をきっかけに映画、ダンス、ミュージシャンなどの衣装を手掛けるようになる。2002-03A/Wから「suzuki takayuki」として自身ブランドを立ち上げる。舞台衣装なども数多く手がけ、自身も現代サーカスグループの「仕立て屋のサーカス」で、金沢21世紀美術館など国内外で多数の公演を行っている。次回は2017年1月に新宿 LUMINE0にて公演を予定している。

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