
Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)が語る、ラップブームへの本音
ソニー「MDR-XB950N1」- インタビュー・テキスト
- 黒田隆憲
- 撮影:永峰拓也 編集:矢島由佳子
テレビ番組『フリースタイルダンジョン』で圧倒的なスキルを披露し、先輩ラッパーたちからは一目置かれ、10代のキッズたちからも人気を誇るR-指定と、凄腕ターンテーブリスト&トラックメイカーとして活躍するDJ松永によるヒップホップユニット、Creepy Nuts。
自ら「非モテ」「童貞」を標榜し、相手を油断させつつ一撃を食らわすような、しなやかでエッジの効いた「攻め」のスタイルは、ヒップホップ界隈のみならず各方面で大きな注目を集めている。
ロックやアイドルのイベントにも乗り込み、「主演」をも食うパフォーマンスを見せつけてきた二人。今回CINRA.NETでは、彼らが屈辱を感じていたかつての時代の話から、「フリースタイルブーム」が起こっている現在までの歩みと、その変化に対する率直な心境を訊いた。また、ソニーの最新ワイヤレスヘッドホン「MDR-XB950N1」で、Creepy Nutsの代表曲を聴きながら、自分たちのオリジナリティーを自己分析してもらった。
これは間違いないと思うんですけど、松永くんは「自分より好きな人が見つかっていない」。(R-指定)
―いきなりですけど、松永さんが「童貞」というのは、ノンフィクションですか?
松永:まあ、ほんまですね(笑)。
R-指定:松永さんは、別に童貞を守ってるわけではなく、全然いきたがってるんですけどね。これは宇多丸さん(RHYMESTER)にも言われたから、間違いないと思うんですけど、松永さんは「自分より好きな人が見つかっていない」っていう。
―日本の20代男性の4割は童貞というリサーチ結果も出ています(2013年に実施された、相模ゴム工業株式会社による調査による)。周りも童貞の人が多いですか?
R-指定:俺らが出会った頃は、ヒップホップをしてる人のなかで珍しかったんですよ、こういうタイプが。
松永:もっとマッチョ系な人が多かったしね。
R-指定:そうそう。でも、今はわりと普通になってきたというか。俺も最初はフリースタイルバトルとかで、童貞をネタにしていたんです。それを自ら言うやつはおらんかったし、当時はヒップホップのなかでご法度だと思ってたから、あえてそれをバトルで言うのが面白かった。ダサいことを自分で認めて言うっていうのは、結構なカウンターやったよな。
松永:カウンターというより、なかったと思う。それが表現としてまだ認められていないような雰囲気だった。
R-指定:それが今は逆に、『高校生RAP選手権』(BSスカパー!『BAZOOKA!!!』内で放送されているコーナー。R-指定は審査員を務める)に出る若い子とか、自分から言うようになったんですよね。
松永:でも、そう言ってるやつはすぐに童貞を卒業するからな(笑)。『高校生RAP選手権』に出るような歳、たとえば16歳とかで、「俺も彼女もいなくて」とか言われても、「当たり前やろ!」って思う。こっちはプラス10年や!
やっぱり、ヒップホップをちゃんと分からせたいという気持ちが強い。(R-指定)
―そもそも、お二人はどのようにして出会ったのですか?
R-指定:俺が18歳くらいの頃、大阪で活動していたときの相方のKOPERUってやつが、全国の同世代のラッパーやDJを集めてイベントをやったんです。そこに集まったのは、ほとんど全員がイカついやつらで。10代でDJやるのって、地元の不良みたいな人たちなんですよね。それで結構ビビってたときに、新潟から同じような空気をまとった青年がやってきた。
松永:それが僕です(笑)。
R-指定:会って二言目くらいやんな。「松永さんって童貞ですか?」って聞いたら、「もちろんですー!」って答えが返ってきて。「俺らソウルブラザーじゃないっすか、マイミク申請しますね」って(笑)。それから4年くらいは友達関係で、ずっと一緒に遊んでたんですけど、流れで「一緒になんかやりますか」って言って、Creepy Nutsが始まりました。
Creepy Nuts(GIF画像・完成バージョンを見る)
―憧れの存在として、先ほども話に出たRHYMESTERの名前をよく挙げていますよね。
R-指定:「俺みたいなやつも、ラップしていいんや」って思わせてくれたのがRHYMESTERだったんです。もちろんイカついラップも好きなんですけど、「自分とは違う世界やな」って思ってたのを、彼らが地続きにしてくれた。それでラップをやり始めたので、今でも尊敬するし憧れの存在であり続けていますね。
松永:僕も中2くらいのときにRHYMESTERと出会い、彼らに憧れてDJを始めました。青春時代のスターが、未だに変わらぬ大きさの背中を見せてくれていますね。
R-指定:しかも、別のジャンルにガンガン戦いに行っているところも共感します。俺らとしても、いわゆる「ヒップホップ村」とか、狭いコミュニティーだけで活動するのではなく、全方位に向けて発信していきたいという想いが最初からあったんです。
やっぱり、ヒップホップをちゃんと分からせたいという気持ちが強い。それをやってるグループって、RHYMESTERの他だと、THA BLUE HERB、スチャダラパー、サイプレス上野とロベルト吉野とか、数えられるくらいしかいないんですよね。
ウェブサイト情報

- The Headphones Park
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Creepy NutsのGIF画像・完成バージョンが、2本公開中。ヒップホップユニット / トラックメイカーならではの視点で、アプリを使った音調整の楽しみ方を伝授。
製品情報

- ソニー「MDR-XB950N1」
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2017年3月11日(土)発売予定
価格:オープン価格
プロフィール

- Creepy Nuts(くりーぴー なっつ)
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MCバトル日本一のラッパー「R-指定」とターンテーブリストであり、トラックメイカーとして活躍する「DJ 松永」による1MC1DJユニット。業界屈指のスキルを持つこの2人だからこそ実現できる唯一無二のライブパフォーマンスは必見。2016年1月20日にリリースされた1stミニアルバム『たりないふたり』はスマッシュヒットを記録。テレビや雑誌を始め、数多くのメディアにも取り上げられ、ラジオではニッポン放送『オールナイトニッポン R』のパーソナリティーを務めるなど、話題に事欠かない。現場でも、クラブやライブハウスから大型ロックフェスまで、シーンを問わず数多くの観客を魅了している。