特集 PR

sui sui duckが語る、アートディレクターを擁するバンドの在り方

sui sui duckが語る、アートディレクターを擁するバンドの在り方

sui sui duck『THINK』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:西槇太一 編集:矢島由佳子
2017/07/05
  • 111
  • 27

2015年結成の新人バンド・sui sui duckが、初の全国流通盤となるEP『THINK』を完成させた。ミニマルなサウンドデザインやオートチューン使いは近年の海外のトレンドと並走しつつ、それをポップな楽曲に落とし込む手腕はすでに確かなものを感じさせる。また、メンバーにアーティスト写真やミュージックビデオ、ライブでのVJなどを担当するアートディレクターがいて、ファッションブランド「STUDIOUS」とコラボレーションするなど、全方位型のクリエイティブ集団的なあり方は、非常に現代的だと言えよう。

しかし、中心人物の渋谷勇太はまだ20代前半にして、過去に一度大きな挫折を経験している。十代だった頃に、CDデビューを果たすものの、周りの同世代が順調に活動を進めるなか、自分たちは結果を残せずに解散。自暴自棄になったこともあるという。

それでも、再び音楽の喜びを取り戻し、初めて「これがやりたかった」と思えたのが、sui sui duckだったのである。正式メンバーが揃い、活動が本格化するこのタイミングで、渋谷に過去を振り返ってもらい、その先に見える未来を語ってもらった。

担当の人から「君たちヤバいよ。なんのために音楽やってるの?」って言われて、俺自身も「なんでやってるんだろう?」って。

―インタビューをするにあたって事前にアンケートをもらったんですけど、「好きなアーティスト」の欄の最初にThe Eaglesが書いてあったのは、sui sui duckのサウンドからして意外でした。

渋谷:The Eaglesはギターを始めたきっかけです。家に古いCDがいっぱいあって、とりあえずいろいろ聴いてみたらThe Eaglesが一番好きになって、家にギターもあったから、なんとなく弾いてみるみたいな。お父さんがベーシストで、バンドをやってたんです。

―じゃあ、自分がバンドをやるようになったのも自然な流れ?

渋谷:いや、もともとは小さい頃からチェロをやっていて、親は「絶対クラシックをやらせるぞ」という感じでした。チェロはもうかれこれ20年以上やっていて、実は今回のレコーディングでもちょっとだけ弾いてみたんですけど、入れどころ難しくて(笑)。

渋谷勇太
渋谷勇太

―チェロをやっていたのに、なぜバンドをやることに?

渋谷:中学のときに友達がバンドをやるってなって、ギターがいなかったらしく、「お前チェロやってるならできるだろ」って(笑)。チェロは「芸大目指そう」くらい本格的にやってたので、親に「バンドやろうと思う」って言ったときは、「え?」って感じでしたね。でもお父さんがバンドをやってたから、「やってみたら」って、自由にやらせてくれました。

sui sui duck
sui sui duck

―自分で歌うようになったのはいつからですか?

渋谷:高校の軽音部に入って、今のメンバーの多くはそこで知り合ってるんですけど、最初ギターでバンドを組んだら、ボーカルが途中で部活をやめちゃって。それで、歌ったことないのに僕が歌うことになったんです。

でも、自分の声があんまり好きじゃなくて、レコーディングでも「なにがいいんだろう?」って自分で思っちゃうくらいだったんですよ。それなのに、なぜか当時お世話になっていた事務所にデモが通って、どんどん話が進んでいき、正直自分がなにやってるか全然わからないみたいな状態で。

―そのバンドが「赤い猫」ですよね。デモを送ったのは高校生のとき?

渋谷:高校2年です。でもそれも、部活の先生が勝手に送ったやつが通っちゃったんですよ。実際にはライブもろくにやったことない下手くそなバンドだったので、「これはなにが起きてるんだ?」って感じで。

渋谷勇太

―CDが全国流通されたりするなかで、徐々に意識が変わっていった?

渋谷:切り替わったつもりでいたんですけど、結局全然甘い考えで、まったく上手くいきませんでした。今振り返ると、まともに活動できてたとはとても言えないです。

CDを出したのがちょうど大学1年のときで、でもライブには全然人が来なくて、2年生になる頃には担当の人から、「君たちヤバいよ。なんのために音楽やってるの?」って言われて、俺自身も「なんでやってるんだろう?」みたいになっちゃって。

「続けたい」って気持ちだけはあったから、そこでようやく焦り始めて、今も一緒にやってるドラムの安達(智博)くんとか、周りにいたある程度スキルのある人を誘って、サウンドを強化したりライブをいっぱいやったりしたんです。でも、その頃にはもう旬が過ぎちゃってたというか。ステップアップどころか、どんどん下がっていく感じで、結局4年生になる頃にはみんな就活を始めて「もうやめよう」ってなっちゃったんですよね。

―赤い猫がストップするタイミングで、もうバンドをやめようとは思わなかった?

渋谷:当時は自暴自棄になってたし、なにもする気がなくなっていたんですけど、電気電子工学科の研究室が音響系に強いところで、DAW(音楽制作・編集ソフト)をやってる人が多くて、教えてもらったらめっちゃ楽しいなと思ったんです。「もともと俺がやりたかったのこれだ!」って、そこで初めてわかったんですよね。

Page 1
次へ

リリース情報

sui sui duck『THINK』
sui sui duck
『THINK』(CD)

2017年7月5日(水)発売
価格:1,728円(税込)
LUCK-1005

1. inter light
2. nitro
3. out
4. salvage
5. A
6. think
7. loser

イベント情報

CINRA×Eggs presents『exPoP!!!!! volume99』

2017年7月20日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
sui sui duck
トリプルファイヤー
and more
料金:無料(2ドリンク別)

プロフィール

sui sui duck
sui sui duck(すい すい だっく)

メンバーは、渋谷勇太(Vo,Gt)、堀内拓海(Gt)、清水新士(Ba)、加藤亜実(Key,Cho)、安達智博(Dr)、Art Director高橋一生。『RO69JACK for COUNTDOWNJAPAN'16』入賞。2016年4月から都内にてライブ活動を開始。同年冬に、自主制作によるミニアルバム『WALK』『RUN』をライブ会場限定で発売。2017年7月5日、タワーレコードレーベル「LUCK」より全国流通盤『THINK』のリリースが決定。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS“にゃー feat.矢野顕子”

猫の気ままな散歩の様子を描いたラップが、ほぼタブラのみで作られた5.5拍子のトラックに乗せられる、ほぼ猫のPV。坂本美雨の愛猫「サバ美」をはじめ、いろいろな猫が出演している。ボーカリストとして参加している矢野顕子が歌う<にゃーにゃー>という歌詞が印象的。(宮原)