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BRAHMAN・TOSHI-LOWが初武道館公演の前に語る、42歳の怒り

BRAHMAN・TOSHI-LOWが初武道館公演の前に語る、42歳の怒り

BRAHMAN『八面玲瓏』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:中村ナリコ 編集:矢島由佳子
2017/07/10

2017年6月15日。その日はBRAHMANと彼らのファンにとって、忘れられない一日になったように思う。20周年イヤーを経て、「強い怒り」を意味する『不倶戴天』と名付けられたシングルをリリースし、全国14か所を回ったツアーのファイナル。その当日の朝、国会では「共謀罪」法案が強行採決されていた。そして、新木場STUDIO COASTで行われたライブでは、本来最後の曲のはずだったILL-BOSSTINOとの“ラストダンス”を終えた後に、バンドはこの日2回目の“不倶戴天”を叩きつけ、TOSHI-LOWは「レベルミュージックは死んでねえ!」と絶叫してステージを去っていった。とにかく、強烈な一日だった。

そのライブの直後には、来年2月に初の日本武道館公演を行うことを発表。『八面玲瓏』というタイトルが冠され、以前からバンドが用いていた八角形のセンターステージによるライブが行われるという。彼らにとって、このタイミングで日本武道館に立つことの意味とは? そして、「怒り」はどこに向かうのか? TOSHI-LOWが語ってくれたのは、ツアーファイナル直後というタイミングだからこその、貴重なエピソードばかりだった。

2011年からの6年間はいろいろあったけど、自分を本物のパンクスにしてくれたんじゃないかって思う。

―「怒り」が強く表出した『不倶戴天』というシングルに伴うツアーの最終日の朝に、「共謀罪」法案が強行採決されたというのは、どこか運命めいたものを感じました。

TOSHI-LOW:ツアーのファイナルっていうのは、もはや関係ないというか、昔みたいにツアー中はツアーのことだけをやれてるわけではないので……。

―MCでも「主夫をしながらのツアー」とおっしゃってましたね(笑)。

TOSHI-LOW:嫁(りょう)の舞台が重なるという家庭の事情が、こんなにツアーに絡んでくるとは思ってなかった。前ノリできる状態じゃなかったからね(笑)。

まあ、自分たちの活動だけを見ても、昔だったらツアーのときはツアーしかやらなかったのが、今はその間にイベントとかフェスがガンガン入ってくるから、ファイナルも一個のライブという意識で、そういう意味で特別感はなくて。

ただ、何事も区切りを迎えればホッとはするから、そんな朝にああいう強行採決とかを見ると、いかんせん腹立たしくなるし、言われたように「これも運命なのかな」って気もする。やっぱりリアルに生きていきたいと思ってるから、なんでこのシングルが出たのかってことも、結局良かれ悪かれ時代と引き合ってるんだなとは思います。

TOSHI-LOW
TOSHI-LOW

―あの日はILL-BOSTINO(THA BLUE HERB)も登場した最後の“ラストダンス”の後に、2回目の“不倶戴天”をやりましたよね。あれはいつ決めたことだったんですか?

TOSHI-LOW:セミファイナルの盛岡が終わって、みんなで飲んでたときに、BOSSから「“ラストダンス”で終わるのは気持ちいいし、嬉しいんだけど、最後はBRAHMANの曲で締めてほしいんだよね」って言われて。でも、俺としてはやっぱり“ラストダンス”が最後だなと思って、もう1曲付け加えるのはなにか違うと思ったけど、やるんだったら、“不倶戴天”をもう一回かなって。メンバーには直前に言った気がする。

―BOSSからの提案がありつつ、当日の朝の出来事が最後の一押しになった?

TOSHI-LOW:そうなんだよね。それを「面白い」と言ってしまっていいのかわからないけど、やっぱり、引き合うんだよ。だから、あれで合ってたんだと思う。BOSSが出してきた宿題に対して、正しい答えだったんじゃないかな。

―1曲目がSLANGのKOと共演した“守破離”で、最後がBOSSとの“ラストダンス”っていう構成自体、レベルミュージック的な色合いを強めていたように思います。

TOSHI-LOW:それも自然だったんだと思う。あの日の打ち上げでKOと震災が起きた当時のことを話したんだけど、あの頃俺、なかなか寝れなくて、朝方に毎日KOとメールのやりとりをしてたのね。

そのときって、悲しみも強かったんだけど、やっぱり怒りが強くて。「なんでこんなことになってんのに動かねえやつが多いんだ?」とか「なんでミュージシャンは自粛とか言って黙んなきゃいけねえんだ?」って、すごい怒ってた。その怒りをぶつける相手がKOしかいなかったんだとも思う。

俺はそれまでライブでMCもしてなかったし、どっちかというと、自分の心の中の葛藤を深く作品に投影するっていうやり方で自分を作ってたから、社会に対してなにかをアピールする手段はなにも持ってなくて。だからお互いメールで「あいつらなんなんだ?」って言い合ってて。でも、その中には自分に対する怒りもあったんだよね。「俺はこんなところでなにをやってんだ?」って。

TOSHI-LOW

―その頃からずっと、「怒り」が行動原理になっていたと。

TOSHI-LOW:でね、「そのときTOSHI-LOWがくれたメールですげえ覚えてるんだけど」ってKOに言われたのが、俺が「本物のパンクスになりたい」って書いてたんだって。そんなこと完全に忘れてたから、「マジかい?」って思ったんだけど。

でも、だったとしたら、こんな社会で「音楽に政治を持ち込むな」とか「右の人にも左の人にも買ってもらったほうがいいから、特別な主張はしないほうがいいんじゃない?」みたいなことを言ってない今の自分は、そのメールの通りになれたのかなって思う。2011年からの6年間はいろいろあったけど、もしかしたら、自分を本物のパンクスにしてくれたんじゃないかって思ったんだよね。

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イベント情報

BRAHMAN
『八面玲瓏』

2018年2月9日(金)
会場:東京都 九段下 日本武道館
料金:6,000円(記念メダル付)

リリース情報

BRAHMAN『不倶戴天 -フグタイテン-』
BRAHMAN
『不倶戴天 -フグタイテン-』(CD)

2017年4月12日(水)発売
価格:1,200円(税込)
TFCC-89615

1. 不倶戴天
2. ラストダンス featuring ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB)
3. 怒涛の彼方

プロフィール

BRAHMAN
BRAHMAN(ぶらふまん)

1995年、東京にて結成。メンバーは、TOSHI-LOW(Vo)、KOHKI(G)、MAKOTO(Ba)、RONZI(Dr)。ハードコアと民族音楽をベースにしたサウンドで、パンク / ハードコアに留まらず、ロックシーンの先頭を走り続ける。国内だけでなくアジアやヨーロッパでもライブを行う。2011年3月11日の東日本大震災以降よりライブ中にMCを行うようになり、震災の復興支援を目的とした活動を積極的に展開。2015年7月4日に箭内道彦が監督を務めるドキュメンタリー映画『ブラフマン』が公開。8月12日に20th Anniversary Album『尽未来際』を発表した。2018年2月には、武道館公演が決定。

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