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ナナヲアカリ×DECO*27 初音ミク10周年、世代の違う二人が語る

ナナヲアカリ×DECO*27 初音ミク10周年、世代の違う二人が語る

ナナヲアカリ『ネクラロイドのあいしかた』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望 編集:矢島由佳子
2017/09/05
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心の底では、自分のことをわかってもらいたい。でも、万人にわかってもらえなくても全然いい。(ナナヲ)

―「歌手になりたい」と思ったのは、なにがきっかけだったのでしょうか?

ナナヲ:お兄ちゃんが音楽好きで、喧嘩をするとお兄ちゃんのCDを隠してたんですけど(笑)、それでたまたまBUMP OF CHICKEN(以下、バンプ)を知って、YouTubeを見たときに、「私もギター弾いて歌いたい」ってなったんです。

バンプの曲を聴いたときも、デコさんの曲を聴いたときもそうなんですけど、「自分も誰かを感動させたい」って思って。そこから自分で曲を作ってみたり、バンドでライブハウスに出たりするようになりました。

ナナヲアカリ

―でも、バンドは解散しちゃって、ソロでデビューすることになったと。

ナナヲ:そうなんです。ご縁があって大阪から東京に出てきたときに、「一人でなにするの?」って訊かれて、パッと出てきたのが、「自分はもともとニコニコ動画で育ったから、ニコニコ動画で生きたい」ってことだったんですよね。そのなかでも、ボカロで育ってるから、そこから「ネクラロイド」のシリーズにつながっていって。

―今年は初音ミク10周年ですけど、最初は人間を真似てボーカロイドが生まれたのに、今ではボーカロイドを真似る人がいっぱいいるというのは、時間の流れを感じますね。

DECO*27:自分たちがやってきたことに対して、憧れを抱いてくれるアカリちゃんみたいな人が出てきて、その子たちがさらに新しいものを産もうとしてるというのは、長くやってきた身としてホントに嬉しいです。やっててよかったなって思いますね。

左から:ナナヲアカリ、DECO*27

―「誰かを感動させたい」という話がありましたが、ナナヲさんはどんなアーティストを目指していますか?

ナナヲ:ニコ動を見てると、自分が励まされることもあるし、みんなも悩みを持ってるんだなって感じたりするんです。「じゃあ、私はなにをしたいのか?」って考えると、自分のことをみんなにわかってもらいたいわけではなくて。心の底では、ホントはわかってもらいたいんだろうけど、万人にわかってもらえなくても全然いい。「私もそう思ってた、ありがとう」とか、「わかんないけど、でも好き」とか、なんでもいいから感じてもらえたらなって。寂しがりなんですよね(笑)。

―ニコ動という場自体がそういう性質の場ですよね。「万人に」ってわけじゃなく、狭くても、強いつながりが生まれるっていう。

DECO*27:そうですね。ボカロって文化自体も、決して万人向けではないと思うんです。僕は大好きですけど、「これ苦手な人もいるだろうな」っていうのはわかる。

最初は「ミクの声が好き」ということで人がワーッと集まって、そこでいろんな曲を書く人が出てくるなかで「ミクで、この人の書いてる曲が好き」とか、どんどん細かくなっていった。そうやって、曲をアップする側と視聴者が強く結びついていくなかで、今度はカバーとかが出てきて、「この人の曲を『歌ってみた』してる人の声が好き」とか、さらにどんどん細かくなって、今に至るというか。

―そうやって広がっていったのがニコ動文化であり、そんななかで、デコさんとナナヲさんが出会うことにもなったと。

DECO*27:そういうことですね(笑)。

左から:ナナヲアカリ、DECO*27

「愚痴リストをください」って言ったんです。なかなかの愚痴リストでしたね(笑)。(DECO*27)

―ナナヲさんのパーソナリティーの部分をもう少しお伺いしたいです。最初に「コミュ障」って話もありましたけど、アルバムのタイトル通り「ネクラ」なんですか?(笑)

ナナヲ:私、まったくポジティブじゃないんですよ。デコさんが「いつか一緒に」って言ってくれたときも、まったく真に受けてなくて。自分にそんないいことが降りかかるなんて絶対ないと思ってたから。 基本姿勢がホントにネガティブで、それこそ“んなわけないけど”のサビの歌詞なんて、あんなの普段絶対思わないですもん(笑)。

―<僕らは独りじゃない それほど不幸じゃない><笑って泣いてハッピーフォーエバー>ですからね。まあ、そのあとに<んなわけないけど>って出てくるわけですけど。

ナナヲ:デコさんから歌詞を見せてもらったとき、「一生言うことないだろうな」と思う言葉の羅列だったんで、ホント笑っちゃって(笑)。

DECO*27:あれをアカリちゃんに歌わせたかったんです。ただ、自分では「暗いです」って言うけど、話してるとそこまでネガティブな感じしなかったから、その部分が“んなわけないけど”のサビに出てる。

ナナヲ:私、あのサビのイメージですか?

DECO*27:常にではないけど、たまにああなって、「でも、違うよな」ってなるイメージ。

ナナヲ:ああ、それは間違いないです。

左から:ナナヲアカリ、DECO*27

DECO*27:暗いだけじゃなくて、明るい、ハッピーな部分も、実際に会って感じたので、そこも織り込みたいと思ったんですよね。最初に打ち合わせをした時点で僕のなかにイメージの原型があって、Aメロは落とした感じにして、サビはハッピーにするっていう、そのギャップで僕から見たナナヲアカリを表現したいと思って。

ナナヲ:それを聞いた時点で、ワクワクしかなかったです。で、歌詞の参考として、いつも思ってることを……。

DECO*27:「愚痴リストをください」って言ったんです。サビの明るい部分は、僕から見た客観的なところを書いて、Aメロとかには、愚痴とかモヤモヤ抱えてることを入れ込んで、アカリちゃんの感情が上手く乗るようにしたいなって。でも、なかなかの愚痴リストでしたね(笑)。

DECO*27

ナナヲ:お送りするのが、ちょっと遅くなっちゃったんですよ。「大好きなデコさんに、私の愚痴を見せるのか……」って(笑)。普段から歌詞のネタとして思ったことをメモしたりはしてたんですけど、「デコさんが見るなら、ここの言い回しはこの方が……」とか考えすぎちゃって、結構書き直しました。

DECO*27:そのリストが送られてきた時点で、ミニ作詞みたいになってましたね。

―実際、どんな愚痴が書かれていたのでしょうか?

ナナヲ:歌詞にもすごく反映してもらってるんですけど……とにかく自分に自信がなくて、でも認めてもらいたいんですよね。<代わりたくてしょうがない 変わりたいがそうじゃない>とかって、「誰かになりたい」って言うけど、ホントはなりたくなくて、誰かを羨んではいるけど、でもやっぱり自分でいたいっていう。そういう気持ちはすごくあります。

たとえば、誰かのライブを観に行って感動すると、帰り道で死にたくなるんですよ。「なんであの子はあんなにできて、私はこんなにできないんだろう」って。そういう羨望とか劣等感はずっとある。でも、だからって閉じこもっていたくはないんですよね。

ナナヲアカリ

DECO*27:自分ですごく気に入ってるのが、<流れ込む善意に胸焼け もう結構です>というフレーズで。愚痴リストに「その優しさは優しさじゃないから」と書いてあって、「俺もそう感じることあるな」って思ったんですよね。向こうは優しくしてるつもりでも、余計なお世話っていうことあるよなって。

だから、ちょっとシンクロする部分もあったんです。「アカリちゃんになり切って書く」じゃなくて、ネクラロイドと27ロイドがちょうど半分ずつなんじゃないかって思いますね(笑)。

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リリース情報

ナナヲアカリ『ネクラロイドのあいしかた』
ナナヲアカリ
『ネクラロイドのあいしかた』(CD)

2017年8月22日(火)発売
価格:1,800円(税込)
AKRN-0006

1. んなわけないけど(Song Produced by DECO*27)
2. おばけのウケねらい(Song Produced by ピノキオピー)
3. ハノ(Song Produced by バルーン)
4. クチュール(Song Produced by 有機酸)
5. 化物は幸福を望んだ(Song Produced by こんにちは谷田さん(キタニタツヤ))
6. メルヘル小惑星(Song Produced by ナユタン星人)

プロフィール

ナナヲアカリ
ナナヲアカリ

1995年大阪生まれの21歳。B型、さそり座。2016年、ニコニコ動画で発表した“ハッピーになりたい”“ディスコミュ星人”の2曲が大きな話題となり殿堂入り(ニコニコ動画での10万再生)を果たす。原宿の古着屋「BAU」にて通販限定で販売した1st Tシャツ(CD付)『しあわせになりたい』は即完売。続いてリリースしたミニアルバム『ネクラロイドのつくりかた』は初回生産分が瞬く間に完売と、ネットを中心に大きな反響を得る。さらに、累計900万ダウンロード突破の超人気スマホRPGゲームを舞台化した『Fate/Grand Order THE STAGE -神聖円卓領域キャメロット-』にて、マシュ・キリエライト役に大抜擢されるなど精力的に活動中。

DECO*27
DECO*27(でこ にーな)

アーティスト/プロデューサー。2008年10月よりVOCALOID(音声合成ソフト)を使用した作品を動画共有サイトに投稿開始。これまで公開されたDECO*27の楽曲の中で100万回を超える再生回数の曲が12曲。自身で投稿した全ての楽曲が殿堂入り(再生回数10万回超え)。ニコニコ動画の総再生回数は驚愕の4100万回を超える。2010年4月、アルバム『相愛性理論』でデビュー。これまで、中川翔子(しょこたん)、MEG、KOTOKO、Daisy×Daisy、Bouno!、柴咲コウ、Q'ulleなどのプロデュース、その他様々な楽曲提供、タイアップソングなどを手がけるのと並行して、活動の原点であるVOCALOID楽曲を自身の最新作へ向けた布石として発表し続ける。2016年1月に公開した楽曲“ゴーストルール”は、ニコニコ動画において瞬く間にミリオンを達成。2016年9月28日、前作より2年半振りとなる新作アルバム『GHOST』をリリース。

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