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ルー・ヤンって何者?大注目の過激すぎる現代アーティストを取材

ルー・ヤンって何者?大注目の過激すぎる現代アーティストを取材

ルー・ヤン展(仮称)
インタビュー・テキスト
内田伸一
撮影:豊島望 編集:宮原朋之、川浦慧 撮影協力:まんだらけ、Bar Zingaro
2017/10/04
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MIDI音源でカエルの死骸をコントロールする『ゾンビ・バレエ』や、ぶっ飛んだキャラ設定の『子宮戦士』がシュールなバトルを繰り広げるSFアニメ。さらには、自らの顔をかたどった巨大凧が長髪を振り乱して空を舞う、禍々しくも美しい映像作品。

1984年生まれのルー・ヤン(陸揚)をわかりやすく紹介するなら「中国ミレニアル世代の女性アーティスト」だろう。先行世代の一部アーティストに見られた過激さの遺伝子を受け継ぐようでもあり、一方で幼いころから日本のポップカルチャーに親しみ、ネットで注目を集めてきた現代っ子でもある。しかし、彼女はそうしたカテゴライズなどどこ吹く風で、個人的かつ普遍的な探求に突き進む。

「アート界には興味がない」と言い放つが、2015年の『ヴェネチア・ビエンナーレ』では中国館の出展作家に抜擢され、この夏は東アジア文化都市2017京都『アジア回廊 現代美術展』に参加。さらに日本初個展が、年明けに東京のスパイラルで予定されている。CINRA初インタビューとなった今回、あくまで自身の関心を追い求める彼女の作家道に迫った。

目指したかったのは、特定の文化的背景や文脈から離れても何かが伝わる、誰が見ても伝わるもの。

―ルーさんは子供のころから日本のアニメや漫画が大好きだったそうで、今日のインタビューの待ち合わせ場所である中野ブロードウェイも、お気に入りスポットのようですね。

ルー:上海で生まれ育ち、小さいころに日本のアニメに出会いました。『鎧伝サムライトルーパー』や『宇宙の騎士テッカマンブレード』『聖闘士星矢』などなど。男子が好きそうなものが多いですね(笑)。それと、『新世紀エヴァンゲリオン』も大好きです。そのうち漫画も読み始め、さらに欧米のコンテンツにも触れるようになりました。そんな体験から、自分もいつか創造的な仕事につきたいと思うようになったんです。

―それは何才くらいのころ?

ルー:小学校くらいかな。好きな漫画本を買うお小遣いを貯めようと、食べるものを節約するような子どもでした。同じ趣味の友達は少なくて、学校ではちょっと珍しいジャンルに詳しい子という感じ。でも高校生になるとアニメや漫画好きの子も増えて、クラスで席が隣だった友達なんかは、BL漫画好きでしたね。

ルー・ヤン
ルー・ヤン

―その後、中国美術学院に進んだ経緯は?

ルー:第一に、当時の私にはアニメーターや漫画家になるという選択肢が、全く思い浮かばなかったから。産業、職業としても、当時の中国ではまだポピュラーではなかった気がします。第二に、これがより重要ですが、特定のジャンルに縛られずいろんな表現を試したかった。ふり返って考えると、表現の形式よりもコンセプトを重視したかった、とも言いかえられそうです。

―2次元コンテンツに親しんできたルーさんですが、その作品は現実の身体への強烈な関心をうかがわせます。例えば、2011年の作品『復活!カエルゾンビ水中バレエ!』(Reanimation!Underwater Zombie frog ballet!)。これはMIDI機器に同期させた電極を介して、水槽に並んだカエルの死骸にバレエを踊らせるという、物議をかもす試みでした。

『Reanimation! Underwater Zombie frog ballet!(復活!カエルゾンビ水中バレエ!)』
『Reanimation! Underwater Zombie frog ballet!(復活!カエルゾンビ水中バレエ!)』 (vimeoで見る

ルー:「過激な表現をして注目されたいだけだ」と批判もされました。でも、私はこれが恐ろしいものとは思わなかったし、自分の興味に忠実に作ってきただけです。なぜこういう世界に惹かれるのかは、自分でもわからないのですが(苦笑)。

大学での専攻はメディアアートで、神経科学や「コントロール」というキーワードに強い関心を持ち続けてきました。その上で目指したかったのは、特定の文化的背景や文脈から離れても何かが伝わる、つまり誰が見ても伝わるものです。

©MADSAKI/Kaikai Kiki Co.,Ltd.All Rights Reserved.
©MADSAKI/Kaikai Kiki Co.,Ltd.All Rights Reserved.

―この作品で考えたことを、もう少し詳しく教えてもらえますか?

ルー:私たちは何かの生死を、「動いているかどうか」で判断する部分が大きいですよね。そこから色々な可能性について考えました。例えば、ある人物が生きているかどうかは「周囲とインタラクションできるかどうか」がひとつの判断基準になる。

そして、ここで扱ったのはコントロールされたゾンビみたいな存在だけど、インタラクションしているとも言える。この作品はそうした問題にフォーカスし、考えてみたものです。また、人間は様々な限界を抱えながら、環境や病などにコントロールされ、かつそれに抗ってコントロールすることを試みる。そうした世界に、とても興味があるんです。

―『子宮戦士』(2013年)はカエルの作品とは対照的に、美形キャラが登場する3Dアニメ作品。パッと見にはSFバトルものの突飛なパロディー風で、ビデオゲームや写真作品にも展開した異色作ですが、ここでもいま話してくれたテーマは通じていそうですね。遺伝や生殖をモチーフにした世界で、主人公が何か大きな存在(進化や生存の危機?)と戦います。

『Uterus Man(子宮戦士)』
『Uterus Man(子宮戦士)』(vimeoで見る

ルー:発想のきっかけの一つは、日本のエイセクシュアル(asexal:無性愛者)の男性、杉山真央さんを知ったことです。2012年、彼が自分の生殖器を調理してゲストに振る舞う食事会を行なったという「事件」が、中国でもニュースになりました。

私が興味を持ったのはその行為自体ではなく、そこに至った理由。アーティストでもある彼があるインタビューで語った「自分が男であろうと女であろうと関係ない、ただ創造したいだけ」という趣旨の発言に心を動かされました。それでコンタクトを取って、コラボレーションに発展したんです。

ルー・ヤン

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イベント情報

『ルー・ヤン展(仮称)』

会期:2018年1月5日(金)~1月14日(日)(予定)
会場:東京都 表参道 スパイラルガーデン(スパイラル1F)

店舗情報

まんだらけ

住所:東京都中野区中野5-52-15
時間:12:00~20:00 休日:無休

Bar Zingaro

住所:東京都中野区中野5-52-15
時間:11:00~21:00

プロフィール

ルー・ヤン

1984年、中国生まれ。2010年に中国芸術院を卒業し、現在は上海を拠点に活動。科学、生物学、宗教、大衆文化、サブカルチャー、音楽など、さまざまなテーマを主題とし、映像やインスタレーション、デジタルペイントを組み合わせた作品を制作。生物学的技術そのものや、テクノロジーと感覚や感情の関係に焦点をあて、生命の"はかなさ"や"脆さ"を人体解剖学の観察・表現を通して模索する。フランス、イギリス、韓国、オランダ、アメリカ、スペイン、リトアニア、デンマーク等での展覧会開催など、国際的に活動。2018年、年明けにスパイラルガーデンにて日本初の大規模個展を開催する。

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