特集 PR

ORANGE RANGEのNAOTO率いるdelofamiliaが、10年経て語る胸中

ORANGE RANGEのNAOTO率いるdelofamiliaが、10年経て語る胸中

delofamilia『filament/fuse』
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:鈴木渉 編集:川浦慧
2017/11/02

naotohiroyama

今までこういうコラボはやってこなかったし、やる気もなかったんです。

—本作収録の“Enter The Mirror”は、波多野裕文(People In The Box)さんがボーカルで参加しています。これはどんな経緯で?

naotohiroyama:元々僕がPeople In The Box(以下、ピープル)のファンで、delofamiliaの公式サイトで対談やツーマン企画で対バンもしたこともあったり。そんな縁もあり、「今度アルバムを作るんですけど、一緒に何かやってくれませんか?」って頼んだら引き受けてくださって。あまり細かいリクエストはせず、僕は羽多野さんの語りのようなボーカルが好きだということだけを告げました。

—2作目以降、ずっとRie fuさんとの二人三脚でアルバムを作ってきたわけで、その濃密な関係性に新たな要素を入れることへのリスクは考えたんですか?

naotohiroyama:今までこういうコラボはやってこなかったし、やる気もなかったんです。羽多野さんに関してはピープルのサウンドを聴いたり、話したりする中で自分と近いものを以前から勝手に感じていたので、この人とだったら一緒にやってみたいし、きっと上手くいくと思ったんですよね。実際のところ、本当に気さくでいい方でした。たくさんアイデアも出してくださって、一緒にできて良かったです。

naotohiroyama

—─なるほど。“if it fall”のメロディーを聴いたとき、どこか童謡っぽい雰囲気もあって印象深かったのですが、これはどのようにして思いついたのですか?

naotohiroyama:このメロディー、実は5年くらい前からストックしてあって。アレンジがしっくりこなくてずっと保留にしていたんです。でも、今回のアルバムには上手くハマりそうな気がしたので、新たにアレンジし直してみたら、ようやく納得いくものになりました。元々は、Trickyの中期作品っぽいイメージで作っていた曲なんですけど、何だか不思議なメロディーですよね。ほどよくラフだし。

—それと、“rooms”のアブストラクトかつ、シンプルでラフなギターインストも、非常にインパクトがありますよね。

naotohiroyama:これは曲名の通りで、ギタープレイを聴くのではなく、ギターが鳴っている「部屋の音」を聴くのがテーマなんです。平和島にあるレコーディングスタジオに、非常に大きなブースがあるんですけど、そこにマイクをたくさん立てて録りました。ギターはあくまでも、部屋の響きを聴かせたいがために鳴らしたものであって、フレーズは全くのアドリブ(笑)。「高い音を出したらどんな響き方をするのかな?」「じゃあ次は、低い音を出したらどうだろう?」みたいな感じで。

—なるほど。「部屋の音」が聴きたくても無音状態では不可能で、そこで何かしらの音を鳴らさなければならないわけですよね。今回はたまたまギターを鳴らすことで、その部屋の広さや奥行き、壁の材質などがイメージできるっていう。

naotohiroyama:そうなんです。僕は普段から、他の人の楽曲を聴きながら、「お、このドラムはめっちゃいいスタジオで録っているな」とか、「この楽曲の音像は、限られた予算の中で最大限工夫して作り込んでるな」とか、そういうことを想像するのがたまらなく好きなんですよ。

—それって非常に現代音楽的な考え方だと思うのですが、そういう方面でNAOTOさんに最も影響を与えた音楽家はいますか?

naotohiroyama:手法は違いますが、池田亮司(パリを拠点に活動する現代音楽家)さんですね。池田さんは音だけでなく、映像や空間を用いたインスタレーションを展開している方ですが。もちろん、僕なんてまだまだ足元にも及ばないのですが、彼の作品や活動はものすごく好きです。

naotohiroyama:ちなみに“pyramid”における、ピアノの不協和音も現代音楽的な発想というか。Massive Attackや、Portishead的な感覚で作っています。結局ああいうサウンドが、僕はずっと好きなんだなって思います。ダウンテンポで不穏な空気を纏った気持ち悪いサウンドの象徴が、Portisheadやマッドリブだったり、さっき話したジャパニーズホラーだったりするのかなと。

今の方が、ずっと生きるのが楽になりました。

—最初におっしゃってくださったように、delofamiliaをスタートさせて今年で10年。ORANGE RANGEのインディーズデビューからは15年が経ちます。現在34歳のNAOTOさんにとって、音楽を作るモチベーションはどのようなものになってきていますか?

naotohiroyama:年々歳を重ねていく中、「自分にできる範囲」というのが段々分かってきましたね。昔は、特にORANGE RANGEに関しては、「何でも取り入れたい欲」が強かったんですけど、そういう時期を経て、自分の基準で選別が出来るようになってきたし、さっきも話したように好き嫌いがはっきりしてきました。しかもそれは音楽に限らず、全てにおいてそうです。

食べるものも、着るものも、関わる人も、全て好きなものにしか目がいかなくなってきたというか。頑固になったのかな(笑)。でも、今の方が、ずっと生きるのが楽になりました。

Page 3
前へ

リリース情報

delofamilia『filament/fuse』
delofamilia
『filament/fuse』(CD)

2017年11月1日(水)発売
価格:3,024円(税込)
VICL-64867

1. agenda
2. race
3. Enter The Mirror feat.波多野裕文(People In The Box)
4. if it fall
5. peace
6. rooms
7. pyramid
8. World is Weeping
9. DLOP
10. delight

プロフィール

delofamilia
delofamilia(でろふぁみりあ)

2007年に始動。ORANGE RANGEのリーダー / ギタリストであるNAOTO(naotohitoyama)と、シンガーソングライターRie fuを中心としたバンド。当初はNAOTOのソロプロジェクトとして始動し、信近エリや車谷浩司(参加当時AIR名義)がボーカリストとして参加し、1stアルバム“quiet life”をリリース。2ndアルバム”eddy”にゲスト・ヴォーカリストとしてRie fuを迎えたことをきっかけに、2011年に発表した3rdアルバム”Spaces in Queue”からdelofamiliaは2人のユニット・プロジェクトへと発展し、現在の体制に至る。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

岩井勇気(ハライチ)『ひねくれとか言われても俺はただ自分が進みたい道を選んでるだけ』

ドリームマッチでの『醤油の魔人 塩の魔人』、ラジオで突如披露した推しキャラケロッピをテーマにしたEDM調楽曲『ダメダメケロッピ』など、音楽的な才能に注目が集まる岩井勇気。今回はミツカン「こなべっち」とタッグを組み、自らがマイクを取ってラップに挑戦。しかもこの動画、岩井がこれまでラジオや書籍の中で言及してきた、珪藻土のバスマットや、海苔、メゾネットタイプの部屋、クラウス・ノミなどのネタが詰まっていて、まさか岩井さんの自宅なのでは……? と隅々まで見てしまう。つぎはぜひ、自作のトラックとリリックによる曲が披露されることを待っています。(川浦)

  1. IZ*ONE宮脇咲良の“FIESTA”歌詞。日本語による再解釈を紐解く 1

    IZ*ONE宮脇咲良の“FIESTA”歌詞。日本語による再解釈を紐解く

  2. ユニコーンが全員で振り返る「100周年」。ド派手に活動した2019年 2

    ユニコーンが全員で振り返る「100周年」。ド派手に活動した2019年

  3. 西加奈子が書く、肯定の世界。完璧じゃない自分を認めて生きたい 3

    西加奈子が書く、肯定の世界。完璧じゃない自分を認めて生きたい

  4. 角舘健悟の『未知との遭遇』たなかみさき編(前編) 4

    角舘健悟の『未知との遭遇』たなかみさき編(前編)

  5. TWICEが対峙する「欲望」の複雑さ。『Eyes wide open』が表すもの 5

    TWICEが対峙する「欲望」の複雑さ。『Eyes wide open』が表すもの

  6. 元たま滝本晃司×知久寿焼×石川浩司の共演ライブが紫明会館で開催、配信も 6

    元たま滝本晃司×知久寿焼×石川浩司の共演ライブが紫明会館で開催、配信も

  7. 佐藤健×松丸亮吾が頭脳戦、ポケモンカードゲーム新CM「真剣勝負」篇 7

    佐藤健×松丸亮吾が頭脳戦、ポケモンカードゲーム新CM「真剣勝負」篇

  8. 宮崎駿企画、宮崎吾朗監督のCGアニメ『アーヤと魔女』12月30日にNHKで放送 8

    宮崎駿企画、宮崎吾朗監督のCGアニメ『アーヤと魔女』12月30日にNHKで放送

  9. 吉沢亮・渋沢栄一と草彅剛・徳川慶喜が運命の初対面、NHK『青天を衝け』 9

    吉沢亮・渋沢栄一と草彅剛・徳川慶喜が運命の初対面、NHK『青天を衝け』

  10. 君島大空、苦闘の第二作。狂騒と覚醒の狭間で、ひっつかんだ実感 10

    君島大空、苦闘の第二作。狂騒と覚醒の狭間で、ひっつかんだ実感